2012年3月15日 (木)

長野県外郭団体の仕組み債投資

長野県の外郭団体が仕組み債に投資をしているというニュースがあった。

信濃毎日 3月13日 県の外郭9団体、「仕組み債」計66億円余を保有

仕組み債については、2010年12月3日に地方自治体はデリバティブに手を出すべきではないというブログを書いた。このときは、資金運用ではなく、資金調達で、通常の地方債を発行する代わりに仕組み債を発行することの危険性を書いた。

今回の仕組み債への投資とは、何であるか。信濃毎日の記事に団体名と金額の記載がある。最大の金額は長野県テクノ財団35億円である。そこで、長野県テクノ財団のホームページから探したが、財務諸表や財務データが見つからない。第2位の長野県農業担い手育成基金(ホームページはここ)を見ると、財務諸表や財務データが公表されていた。

2011年3月31日現在の投資有価証券が15.7億円あり、外国債2口、国債2口となっている。信濃毎日の記事では、10億円仕組み債を保有していることになっている。そうすると、外国債2口が、その可能性が高いと思う。信濃毎日の記事には「9団体はいずれも為替に連動する仕組み債を保有。円安であれば高い利子が受けるれるはずだったが、最近の大幅な円高で金利がゼロになっている事例が多い。」とある。これからすると、利息は当初期待は4%とかで、通常より高い。しかし、100円以上の円高になると利息率は低くなり、例えば95円より円高になると外貨建てで償還されるという仕組み債と思う。

仕組み債とは、デリバティブと債券が合体しているが、表面には何も書いていない債券である。自分の資金を投資する場合、とやかく言われることはない。しかし、長野県農業担い手育成基金の場合は、県と市町村と農協の金である。人の金をリスクにさらして、許されることではないと思う。

これらの団体はまずは、財務諸表・財産・投資内容と明細を明らかにし、特に仕組み債については、目論見書も公開すべきである。その上で、投資判断を議論できるし、時価を評価できる。もし、納得ができる説明があるなら、仕方ないと思えるが、さもなければ、損失については、全額を理事長や理事が個人のお金で賠償すべきと思う。損失は使い込み、不正支出とイコールのはずである。

そして、この問題は、長野県のみならず、他の都道府県の同じような団体でも生じている可能性がある。長野県のことと思わず、自分の都道府県の団体の財務諸表と財産・投資内容を調査せねばならない。

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2012年2月28日 (火)

セラーテムテクノロジーの疑惑

セラーテムテクノロジーという会社を知らなかったが、架空増資・偽計取引の疑いで証券取引等監視委員会が強制調査があり、ストップ安になっている。

日経 2月27日 セラーテムが一時ストップ安 架空増資疑いを嫌気

そこで、どんな話かは、FACTAが、ずいぶん前から取り上げており、多くの記事がある。(全てを読むには、会員限定記事もある。)

2010年9月号 「中国のハイエナ」が大証裏上場

2010年09月02日 FACTAleaks――対セラーテム戦争4  お笑い決算会見(上)

2010年09月03日 FACTAleaks――対セラーテム戦争5  お笑い決算会見(中)

2010年09月06日 FACTAleaks――対セラーテム戦争6  お笑い決算会見(下)

2010年09月07日 FACTAleaks――対セラーテム戦争7  9項目質問状

2010年09月10日 FACTAleaks――対セラーテム戦争8 脅しつき回答

2010年10月号 窮鼠セラーテムの「お笑い」弥縫策

2011年11月号 セラーテム「強制調査」で崩壊へ

FACTAleaksとなっているのは、ブログであり、上に記載したより多くの記事がある。

架空増資・偽計取引については、例えばこの2009年12月16日付の第三者割当による新株式発行の払込完了ならびに主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせである。British Virgin Islandsの会社が15億円の増資を払い込んで49.6%保有の筆頭株主になったと言う。但し、この資金で、中国の会社を子会社化するという。ところが、British Virgin Islandsの会社は資産管理会社であり、その株式は趙広隆という人が100%保有していると書いてあり、中国人と思える。

増資をBritish Virgin Islandsから受けようが、中国に投資をしようが自由である。しかし、中国の投資に実態がなく、増資を受け入れた相手と、投資をした相手が同一であり、ぐるっと金が回っているだけなら、一般投資家を欺し、市場を悪用しているといえる。目的は、何であるのか?Yahoo株価チャートを見ると、2010年1月からむちゃくちゃな値上がりをしている。この間に、株価操作となった可能性があると思う。また、中国の投資に実態がなく価値がゼロであれば、ゼロと交換にセラーテムテクノロジーの株式を手に入れたのであり、全額儲けの濡れ手に粟となる。

実態の解明を待ちたいと思う。

Celartem20122

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2011年12月17日 (土)

オリンパスの違法配当

1400億円以上にのぼる粉飾決算事件だが、どうも頭が混乱しそうになる時がある。次の日経記事です。

日経12月16日 オリンパス「配当、限度額超えてた」と正式発表

「訂正後の貸借対照表では株主に分配可能な限度額を超えていた」であるが、「対象期間に行った剰余金の配当の効力に影響はないものと考えている」に結びつけてどうだろうか、ミスをしても、大丈夫ですと言うのと、変わりはないと思う。なお、会社の発表はここにある。

1) 剰余金の配当の効力への影響

コメントしようとは思わないが、会社法462条(剰余金の配当等に関する責任)第2項に「前項の規定にかかわらず、業務執行者及び同項各号に定める者は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、同項の義務を負わない。」である。これを主張しようとする取締役が多くいるのかなと思った。

それとオリンパスは会計監査人設置会社である故、会計監査人設置会社であった監査法人に責任を浮かび上がらせようとしているのか?でも、作成者はオリンパスである。オリンパスの方が、質の上でも、責任重大であるはずが。

2) 何故抵抗が続くのか

過年度決算訂正を発表したが、2007年3月期までの5年分のみ。2007年3月期でいきなり1116億円のファンド連結に伴う特定資産の修正が計上されている。損益計算書のファンド関連損失は21億円億円なので、1000億円以上は2006年3月以前のはず。第三者委員会報告書には「金融資産の運用損は飛躍的に膨れあがるに至り、1990年代後半には1000億円をやや下回るほどの巨額なものとなった。」とあるが、会社の決算訂正は、無視をしていると思う。

報道では、「飛ばし」と呼ばれている。しかし「だまし」が正しいと思う。200億円の投資をして、時価が100億円になった。その時に、200億円を短気で調達し、海外の銀行に預金をする。その預金を担保にしてダミーに金を借りさせ、その金で損をした投資を200億円で購入させる。そうすると200億円はオリンパスに入ることになり、元の短期借入は返済できる。残るのは、200億円の預金であるが、担保になっているので、実質価値はダミーが持つ時価100億円の投資のみ。複雑なことをしなくても、同じ効果であるが、銀行預金の担保部分を秘密にすれば、預金は預金残高で評価されるから200億円。ダミーは水面下に隠れて分からない。そして、複雑な構造にしたことから、手数料の持ち出しはある。こんな操作は、飛ばしではなくだましである。

別の表現をすれば、会社の金に手を出して、馬を買った。でも、はずれた。だから、買っていないように隠そうとし、誰かに会社の金を手数料として支払って、その手数料をバックしてもらう。これが、穴埋め資金となる。この話とオリンパスの今回の事件は、ほぼ同じと思う。

会社の為にしたのだと、同情するような意見も聞かれる。しかし、犯罪であり、あってはならないこと。他の企業でも発生しうるからこそ、厳しい処分が必要と思う。

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2011年11月18日 (金)

オリンパスから資金が暴力団に流れた可能性

オリンパスから資金が暴力団に流れた可能性について報道した記事が出た。

時事ドットコム 11月18日 「闇経済」に2000億円超=オリンパスから流出か-NYタイムズ

であり、New York Timesの記事は次です。

New York Times November 17, 2011 Billions Lost by Olympus May Be Tied to Criminals

NY Timesが捜査関係者から得たメモのコピーによれば、オリンパスから暴力団に資金が流れたと書いてある。固有名詞として、山口組を含めともある。(The memo says investigators believe that over half of that amount has been channeled to organized crime syndicates, including the country’s largest, the Yamaguchi Gumi. )買収した国内の3社は暴力団関係の会社であった。(Meanwhile, Olympus, being advised by Global Company, paid 73.4 billion yen ($953 million) to acquire three Tokyo-based companies — Altis, Humalabo and News Chef — between 2006 and 2008, and then quickly wrote off the investments. The memo identifies all three as front companies with links to organized crime. )等々様々なことが記事にある。

実態は、どうなのでしょうか?意図的に粉飾決算をしていたわけで、すねに傷がある経営者がおり、その弱みにつけ込んで、様々な利益を吸い取ろうとした輩は多かったはずである。不正が不正を生み、転落していく。オリンパス事件には、そのような面があったのかも知れない。

私は、オリンパス事件については、特捜部に頑張って欲しいと思う。規模も大きく、ケイマン諸島、英国、米国と国境を越え、日本の証券会社や証券関係者の名前も上がっており、今回はついに暴力団も関係していることを伺わせる。オリンパス経営者のみの刑事罰で済まされる事件ではないと思う。

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2011年11月 9日 (水)

オリンパス事件にからんでいた証券会社とは、これでしょうか?

11月7日のロイターには、アクシーズ・ジャパン証券(東京・中央区)(現アクシーズ・ジャパン)の社長を一時期務めていた中川昭夫氏との名前があった。

ロイター 7日 オリンパス買収仲介者は80年代から関係、「損失先送り」に関与=関係筋

複数の関係者によると、中川氏が財テクや損失先送りを提案していた主要顧客の1社がオリンパスだった。同氏はバブル絶頂期の88年に入社したドレクセル時代に、すでにオリンパスを顧客として持ち、他の事業会社と同様に投資商品を売り込んでいたという」とあり、そうなると、オリンパス以外に巨額損失を抱えた起業があるはず。それらの会社は、現在どうなのだろうか?

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あきれかえるオリンパス事件

悪い方向に進むオリンパス事件と思う。先ずは、日経のニュース

日経 11月8日 オリンパス、90年代から損失隠し 買収資金で補填

これについてのオリンパスの発表

11月8日 オリンパス発表 過去の損失計上先送りに関するお知らせ

この中で、第三者委員会による調査の過程で判明したと書いてある。ところが、次のオリンパス発表では、

11月8日 オリンパス発表 第三者委員会の調査対象拡大及び人事異動のお知らせ

には、損失計上先送りに関わっていた森久志副社長の解職と山田秀雄常勤監査役の辞任の意向と書いてある。即ち、現任の副社長や監査役が関わっていた組織犯罪となる。それじゃ、第三者委員会の調査を待つまでもなく、判明していたことになる。第三者委員会による調査の過程で判明との言い逃れは、無理あると思う。

金額について答えていないが、1000億円を上回る気がする。何故なら、アルティス、NEWS CHEF、ヒューマラボの3社で734億円を支払、ジャイラスの手数料は700億円なので、合計で1400億円を超える。そして、恐ろしいのは、未だ全額処理できていなかった場合。合計は幾らになるのだろう?

ところでそんな巨額をどのように粉飾したのか、これが興味の対象になる。日経記事には「含み損を抱えた運用資産を、複数のファンドに移すなど複雑な操作をして損失計上を回避」とあるが、ファンドに移しただけで損失回避が出来るわけではなく、時価評価や資金決済で、浮かんでくるはず。そして、最大の難関である監査法人の監査をどう誤魔化したのかである。金融商品で監査法人を誤魔化すことは難しいと思うし、山一事件以後は、監査法人も一番気にしたはずである。何故なら、監査が不十分であったら、監査法人と会計士が吹っ飛ぶのだから。

もし、この損失を生んだ証券投資に、証券会社が絡んでおり、その証券会社が、損失隠しに協力していたとするならば、こちらも大事件になる。

このオリンパス事件について株主からの民事訴訟は確実と思うが、刑事事件については、何人起訴されるのか、もしかしたら史上最大の人数になりそうな気がする。現在まで、ほぼ確定は、米国においてHajime SagawaとAkio Nakagawaなのだろうか。

それと、オリンパス事件の波及はどうなるのだろうか?同様な損失隠しが、他社でもあり得るとなれば、信用を失う日本の上場会社も多いかも知れない。それらの会社は、海外進出において、海外での資金調達が困難となる可能性あり。外人投資家の日本株売却は、日本の株式の更に安値低迷となる。この損失隠しが、日本の当時の会計基準や以後の改正と関係しているだろうか?現在、IFRSへの抵抗勢力が存在する。その人達の日本基準というかけ声は、一斉に色あせるだろうかと思う。

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2011年11月 2日 (水)

オリンパスは、謎が深まるばかり

謎が深まるばかりのオリンパスです。会社の所有者は、株主である。オリンパスは、上場会社であり、ここまで謎が深まれば、会社として明確な説明をせねばならず、さもなければ株主を欺して投資をさせたことになると思う。では、深まった謎とは、価値のない3社(アルティス、NEWS CHEF、ヒューマラボ)の株式を734億円の対価で購入し、その代金をケイマン島の会社に送金したことです。価値のないというのは、次のウォール・ストリート・ジャーナルの記事からです。

WSJ 11月1日 オリンパス買収の3社、当初休眠状態だった-信用調査などで判明

普通に考えれば、犯罪が関係していると思える。無価値の権利に734億円を払うのだから。

ところで、読売の次のニュースがある。

読売 10月31日 オリンパスの米大株主、詳細な情報開示要求

会社法371条により監査役設置会社は裁判所の許可を得て取締役会議事録の閲覧又は謄写の請求をすることができる。これだけ疑惑が大きい事件なので、裁判所は許可すると思う。そうすると、全株主も同じ権利を持つので、取締役会の議事録が読める。万一、無いとすれば、オリンパス取締役と監査役の責任は重大だし、納得できる内容が書かれていなければ、株主代表訴訟に確実につながると思う。そして、取締役・監査役の刑事責任は・・・?

なお、オリンパスの2011年3月期有価証券報告書には、サウスイースタン・アセット・マネジメントの株式保有について、2010年5月14日付大量保有報告書の変更報告書で19,406,997株(7.15%)の保有報告があるが、オリンパスでは実質所有株式数の確認ができていないと書かれている。

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2011年10月21日 (金)

オリンパスの英ジャイラス社買収事件

オリンパスの英ジャイラス社買収に関する事件は、報道されている内容と判明している事実をつなぎ合わせても、不思議なことがありすぎる事件だと思った。報道としては、次のロイターを掲げておきます。

ロイター 10月20日 オリンパスの晴れない「霧」、資金の流れで当局の事実解明に発展も

1) 内部告発をしたウッドフォード元社長

元社長と言っても、2011年4月1日に就任し、10月14日に社長解任となったので、社長であった期間は6月半であった。現在も取締役であり、対外的には代表取締役を外れたのみとも言える。

ウッドフォード氏であるが、社長交代(就任)に関する2011年2月10日のオリンパスのプレスリリースに経歴が添付されており、1960年生まれで、1977年Millbank Business School卒業、1981年オリンパス子会社のKeyMed(Medical & Industrial Equipment)Ltd.に入社し、入社10年後の1991年に同社社長となった。2003年にOlympus KeyMed Group Limited取締役に就任、2004年に日本のオリンパスメディカルシステムズ取締役、2008年にはOlympus Europa Holding GmbH代表取締役社長、KeyMed(Medical & Industrial Equipment)Ltd.取締役会長そしてオリンパス執行役員になった。

ウッドフォード氏は、オリンパス生え抜きで、欧州医療部門の中心的人物であった。医療部門とは、現在のオリンパスの大黒柱である。2011年3月期の連結売上高847,105百万円のうち医療は42%を占める355,322百万円の売上で、営業利益で医療が69,314百万。実は、報告セグメントの合計営業利益63,832百万円より額が大きい。ちなみに、デジカメ、録音機等の映像部門は15,019百万円の営業損失であった。なお、医療部門とは、医療用内視鏡、外科内視鏡、内視鏡処置具、超音波内視鏡等である。

何が真実か、よく分からない。しかし、ウッドフォード氏の10月11日付の菊川剛会長(現社長)宛書簡(このNY TimesのWebにあり)と、これに関する報道について述べているこのオリンパスのプレスリリースを読み比べると、FAに対する支払額はウッドフォード氏の言うとおり600億円を超える巨額であることをオリンパスも認めており、ウッドフォード氏の告発内容は正しいと思える。600億円を超える金額を誰に支払ったか、また、最終的に誰の手に渡ったのかについても、ウッドフォード氏は知っている可能性が高いと思う。

2) ジャイラス

オリンパス買収前は、ロンドンで上場していた会社である。上場会社の買収で、600億円超の手数料を仲介者に払うのは、私としては、驚きである。2000億円強の買収と発表されたのであるが、手数料については発表されていないようである。(買収手続き開始合意の発表は、平成19年11月19日のプレスリリースで、買収手続完了の発表は平成20年2月1日のプレスリリースでなされている。)

ところで、オリンパス子会社となったジャイラスであるが、オリンパスの有価証券報告書で関係会社としては、表にはなく、Gyrus ACM Inc.(米)とGyrus Medical Limited(英)が、かろうじて発見できるだけである。買収後に、その会社を清算しても、売却しても、他の子会社と整理統合しても良いのであるが、関連するプレスリリースを発見できていないので、気持ちが悪い。

2008年3月期の連結キャッシュフロー計算書には、「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」として232,234百万円の支出が記載されている。そして、単独財務諸表の附属明細書に、Olympus UK Acquisitions Limited向けに192,166百万円とGyrus Group PLC向けに24,752百万円の関係会社短期貸付金の記載がある。

Olympus UK Acquisitions Limitedは、ジャイラス買収のために設立したと思うが、買収したジャイラスの事業が、どうなっているのか情報がないので、不気味に思える。

3) 手数料687百万ドル

普通に考えれば、手数料としては、あり得ない金額です。この支払のうち、(オリンパス発表では)443百万ドル、(ウッドフォード氏書簡では)620百万ドルがジャイラス優先株の買い戻しで、支払われている。この優先株を使った取引は、名目だけで、オリックスが言うような、値上がりではないはず。何故なら、上場を廃止した後の売買なので、勝手に値を付けられるからである。なぜ、優先株を使ったかは、ウッドフォード氏書簡にあるように、税対策であったと思う。

そもそも税対策であったからこそ、ケイマンが使われたはず。そして、この支払は、2000年3月期キャッシュフロー計算書の「子会社株式の取得による支出」の59,895百万円に含まれていると推定する。

4) 今後

やはり上場会社が、このような不透明な取引をすることは、よくないと思う。いずれにせよ、ウッドフォード氏は17日に、ロンドンのBritain’s Serious Fraud Officeに告発したのである。英国の上場会社に関して発生した事件であり、しかも、600億円超の受取関係者に英国の人間が絡んでいる可能性もないとは言えない。

単なる経済事件なのか、脱税も絡むか、あるいは犯罪も構成しているのか、今後の進展を見てみたい。そして、オリンパスの取締役・経営者は、どのように問われるであろうか、英国法でどうなのか、日本法では、どうなるのか。ウッドフォード氏の告発が真実であれば、オリンパス経営者は少なくとも虚偽のプレスリリースを出したように思う。その場合、証券取引法違反は確実と思うが。

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2011年7月28日 (木)

粉飾決算は許されるべきではない

ニイウスコーの巨額粉飾を書いていて、粉飾決算は許されざるべき犯罪と思いました。しかも、被告は「違法な粉飾決算に加担しているという認識はなかった」と、罪の意識も感じていないような報道であった。

1) ニイウスコーは140億円をだまし取った

一つ前のエントリーにニイウスコーの決算短信の訂正を表にして書いたが、訂正をした2003年6月以降全て純利益は赤字であり、2005年6月期以降は、債務超過であった。ところが、2005年6月期と2006年6月期に増資をして140億円を手にした。そして、2008年5月に民事再生法の適用を申請し、その年の11月には100%原資となった。140億円をだまし取って、出資者には無価値とした。

140億円は泡と消えたが、何に使ったかと言えば、役員報酬や役員賞与を含む会社の支出である。次の表が、有価証券報告書から抜き出した数字です。取締役は、大村紘一、末貞郁夫と割方美奈子のたった3人でした。監査役が3人いるので、単純に3で割れないが、それでも年間2億円近い金を3人が各自取って行くのです。赤字会社ですよ。

単位 2005年
6月期
2006年
6月期
合計
資本金 百万円 5,346 8,564 -
株式発行による収入 百万円 7,500 6,435 13,935
期末発行済み株式数 633,452 686,452 -
発行株式数 347,192 53,000 -
役員報酬 百万円 431 378 809
役員賞与金 百万円 156 156 311

2) 誰からだまし取ったか

一般投資家が一番に考えられる。しかし、ニイウスコーの株主には、証券・金融関係も多い。但し、固定されているのは、最大株主の野村證券。野村證券もうまく欺されたのかも知れないが、外資証券・金融も多い。1部上場株であったので、投資信託や年金資産に組み込まれていた可能性もある。年金資産に組み込まれていたなら、被害者は相当多いこととなる。ちなみに、ニイウスコーの株価は、以下のような推移であった。(Yahooチャートより。)

ニイウスコーは、コンピュータ・ソフトの会社であった。成功していなかったのかも知れないが、コンピュータ・ソフトについても悪事を働いた可能性はある。コンピュータ・ソフトとは、性能や価格を評価することが極めて困難なものであり、メンテナンス、将来の拡張性、他システムとの融通性等があり、価格はあって無きのごとし。だから、1円入札もあり、結局は、その業者の信頼性が評価基準の大きい位置を占める。ニイウスコーはどのような売り込みをしたか、想像できる。まさか、欺された地方自治体等は、ないだろうと思うが、心配でもある。もし、欺されていたら、その地方自治体の住民も被害者である。国庫補助金が出ていれば、日本国民全員が被害者。

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ニイウスコー事件で検察は懲役5年、罰金1千万円を求刑

横浜地裁で、ニイウスコーの元代表取締役大村紘一被告の刑事裁判が結審し、検察は懲役3年、罰金500万円を求刑したとニュースがあった。神奈川新聞の記事を掲げます。

神奈川新聞 7月5日 ニイウスコー事件、懲役3年などを元副会長に求刑/横浜地裁

ニイウスコー事件については、3年以上前になるが、2008年5月14日にニイウスコーの推理で取り上げたことがあるので、今回少し書きます。

1) 300億円、400億円を超える粉飾

神奈川新聞の記事には、「2年間の粉飾額は売上高ベースで274億円、経常利益ベースで115億円に上るとされる。」となっており、300億円、400億円より少額です。(これを少額というと、常識がないと言われそうですが)

ニイウスコーが民事再生手続きの開始を申請したのが、2008年4月30日で、その時に同時に過去5年間(2002年7月1日から2007年6月30日まで)の決算短信の訂正を発表しています。(ここにあります。)この訂正発表に、5年間の合計欄を付け加えたのが、次の表です。

Photo_3

決算短信の訂正発表にもあるように売上高の粉飾額合計は、連結で682億円、単体で373億円、当期純利益で連結276億円、単体419億円です。(純利益は、単体が何故こんなに金額が増加するのか不明ですが)

神奈川新聞が伝えている274億円、115億円は、記事の中にも「2004年7月以降」とあり、2004年6月以前については時効により刑事罰の対象とならなかったのではと、勝手に想像します。

要は、ライブドアなんて、チャッチイ粉飾ではなく、欺しに欺した419億円(単体の純利益粉飾額)だと思います。報道では「違法な粉飾決算に加担しているという認識はなかった」と主張したのだから、相当なものです。最も、そうであるから、こんな大粉飾が可能であったのかも知れませんが。

2) 何故大粉飾が可能であったか

そのようなことができる人物であったというのが一つだと思う。そして、2008年5月14日に書いたように、日本アイビーエムと野村総研と言う名前を、最大限利用したのでしょう。ちなみに、大村紘一は、日本アイビーエム昭和41年入社です。同じく、起訴された末貞郁夫も日本アイビーエム昭和46年入社です。刑事責任を問われたかどうか不明であるが、割方美奈子も日本アイビーエム昭和63年入社です。

宣伝文句として「当社は、日本IBMと野村総合研究所(NRI)によって設立されたニイウスは、最先端のハード、アプリケーション、それに高度なSEサービスを組み合わせた事業展開のもと、情報システムを構築するソリューション・プロバイダです。」と言って、仕事を取っていくやりかたです。循環取引をして、金を払わない時に、随分役に立ったのでしょう。東証2部上場が、2002年4月、第1部銘柄になったのが2003年6月であり、上場するなり大規模粉飾に精を出したというすごい会社・人達です。(上場したら粉飾しかしなかった)

3) 監査法人トーマツは

粉飾の5年間の全期間が、トーマツであったか確認できていないが、トーマツの2010年9月期の貸借対照表の重要な係争事件としての注記を見てみると、奇妙なことがあります。ニイウスコーの株主たる3事業体及び個人株主3名から合計15,636百万円の損害賠償を受けて係争中であることが書かれているが、1年前の2009年9月期は、同じ注記の金額は1,199百万円であったのです。10倍以上も膨らんだ。

ソフトウェアって、本当に難しくて分かりづらいですね。それが、最近はクラウドの世界なんて、ついて行くのも大変になってきた。でも、何とかついて行かないと、取り残されてしまう。そして、挙げ句の果てには、欺されてしまう危険性があるのかも。

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