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2007年1月30日 (火)

「あるある」とNHK

1) 「あるある」についてフジテレビが謝罪

納豆だけではなく、東京新聞01月28日-「あるある」98年にも捏造 レタスの効果、研究者証言東京新聞01月29日 -「みそ汁」減量も偽りか 米研究者が証言という報道があったからでしょうか、ついにフジテレビが謝罪をしました。

日経 1月29日 21:00 「あるある」捏造でフジテレビ社長が陳謝

その部分だけを書き出すと”「事実でない虚偽の内容が含まれた番組を放送したことを深くおわびする」と陳謝した。”となります。

2) 東京高裁における番組改編訴訟でNHKに賠償命令

このニュースが流れました。日経は以下の通りで、この問題における政治家介入に関する報道を、NHKと対立して、行っていた朝日の記事もあげておきます。

日経 29日 19:52 高裁、NHKに賠償命令・番組改編訴訟で
朝日 29日 20時42分 「NHKが番組改変」 200万円賠償命じる 東京高裁

朝日には、判決理由の要旨があったので、これもあげておきます。

朝日新聞 29日 20時47分 NHK番組改変訴訟 判決理由の要旨

NHKも、本件について報道を行っています。NHKの場合は、このリンクが短期間に消滅してしまうことから、ニュースの全文を続きを読むに入れておきます。

3) どう考える

さあどう考えるべきでしょうか?

「NHK番組改編訴訟」は、市民団体『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク(バウネットジャパン)の女性法廷について取り上げたNHK教育テレビで2001年1月30日に放送された「ETV2001 問われる戦時性暴力」について、バウネットジャパンが放送された内容は改編があり、正しく伝えていないと損害賠償を求めていたものです。「あるある」は、実施していない実験を実施したこととし、発言していない内容を字幕で変更したりという捏造です。一方、NHKは、捏造は行われていないが、部分だけを抜き出して、それが全体像であるように伝えたのだろうと思います。最も、判決文を読んでおらず、放送も見ていないので、報道されている内容からの判断ではありますが、取材を受けたバウネットジャパンがその様な主張をしているのであるから、そう判断してよいと考えています。

一方、NHKの主張は、放送法第3条の様ですが、放送法第3条は取材した内容を自由に加工してよいと述べているのではなく、干渉され、規律されることはないという放送、報道の自由を述べているというのが私の解釈です。放送法第3条は、次の通りです。

放送法第3条 放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。

仮にNHKにインタビューされ「・・・をどう思いますか?」なんて言われたら、そして、それが放送されたら、ほんの一部分だけが出るのでしょう。矛盾することを、たくさん発言しているであろう中から、NHKに都合のいい部分だけ出るのかも知れません。私のブログにも、矛盾することが山ほど書いてあります。一部だけ取り出してパッチワークをされたら、多分異なった主張が成立するでしょう。バウネットジャパンの場合は、インタビューではなくて、事前に番組の主旨や放送内容について説明があり、バウネットジャパンとNHKが合意の上で取材と放送がされたと了解します。NHKの契約違反があったのだと思うのです。取材される側は、例えば、興味本位や意図せぬ目的に使用されるのであれば、断るし、断る権利を有するはずです。

放送事業者に、被取材者の意図と反する編集を認めるなら、放送事業者が好きなように、世論を誘導することが出来てしまう。とても恐ろしいと思います。ちなみに、以下が放送法第3条の2第1項です。

放送法第3条の2第1項 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
  報道は事実をまげないですること。

そう考えると「あるある」の捏造とNHKの「部分のみの放送」は、本質的に同じ根を持っているような気がします。「真実の放送・報道」は、難しいことです。でも、放送関係者には「真実の放送・報道」を目指して欲しいと思います。

4) 蛇足

NHKは、この東京高裁の判決を不服として最高裁に上告するのですね。この費用を誰が払うか?NHKですが、その財源は視聴者の受信料です。最高裁が終わるまでは、NHKは謝罪をしません。それが、NHKが言う公共放送なのだろうかと思うのです。少なくとも、公共放送なんて言葉は私は使って欲しくありません。(但し、上告は、権利であり、その点については、何も言いません。)

更に、もう一つ愚痴を、何故NHKは問題に正面から取り組まずに、常に姑息な方法でのぞむのだろうと思うのです。何のことかというと、受信料です。日経 1月24日-NHK受信料督促訴訟、分割払いで「和解」へ・東京簡裁の様な記事がありますが、NHKが裁判を起こしたのは、受信契約を結んでいるのに、受信料を支払わない契約者(33件)に対してなのです。放送法32条は次のようになっています。

放送法第32条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。但し、・・・・・(省略)・・・・・

放送法32条は、契約の自由と反する規定です。現実にNHKが受信できない受信機を売っていないし、この32条で強制的に受信料を徴収できるか、まだ裁判所で争われていないからグレーです。一方、受信契約には、この32条があることから、解約の条項が記載されていません。すごく、NHKに一方的な契約です。一旦、契約をしてしまうと、解約はほぼ不可能で、受信機を保有する限りは、払い続けなければならない。

勿論、NHKに良い番組はたくさんあるし、NHKが無くなってしまうと、見る番組がドーンと減ってします。この問題はスッキリとしません。だから、そのうちにブログで続きを書いてみたいと思います。

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2007年1月29日 (月)

パロマの業務上過失致死傷容疑での家宅捜索

パロマ工業と親会社のパロマの本社などが業務上過失致死傷容疑で家宅捜索されました。日経の記事を掲げておきます。

パロマ本社など捜索・沸かし器中毒事故

家宅捜索がされたことは、大きく報道され、皆様ご存じであり、今後の進展については見守るしかないのですが、少し書いてみます。

1) 業務上過失致死傷

業務上過失致死傷容疑となっています。これは、何かというと、刑法211条であり、第1項は次の通りです。

刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

今回の家宅捜索でもう一つ深い関係がある条文は刑事訴訟法250条の時効です。

刑事訴訟法250条 時効は、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
五  長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年

従い、今回の家宅捜索は2005年11月の死亡事故に対して行われたとの報道です。

2) 容疑者

刑法の容疑ですから、211条の"者"とは人であり、会社ではありません。そうなると、誰がこの事件の容疑者であり、誰が業務上過失致死傷となるのでしょうか。一連の事故では、1985年以降28件発生し、21人が死亡した。パロマについては、ガバナンスが機能しておらず、小林一族支配のワンマン経営であった。例えば、本日の日経の記事ですがパロマ工業の取締役会わずか年1回、事故十分話し合わずとの報道があります。様々な、パロマに対する批判がありますが、業務上過失致死傷として誰かを刑事罰に問えるのか、疑問に思ってしまうのです。

直接の原因は不正改造、不正修理であり修理を行ったのは、パロマではなく工事業者であった。では、工事業者を業務上過失致死傷に問うことが適切かというと、工事業者はパロマから知らされていないのであれば、死亡事故につながることまで思い及ばなかったのかも知れません。こんな朝日2006年07月21日-パロマ事故、修理の2人が書類送検 85年不起訴処分にという報道もありました。経済産業省は、どうだったのだろうかというのがもう一点思うことです。結果論では、色々言えるのですが、業務上過失致死傷となると、疑問を持ってしまいます。

犯罪人をつくることが命題ではないはずで、どこに大きな欠陥があったかを探しだし、二度と発生しないように制度やルールを変更・整備することが重要だと思うのです。

3) 民事損害賠償

これ日経2006年12月25日-パロマ事故、遺族に100万円超す弔慰金提示です。2007年1月12日の日経では、パロマ工業、見舞金4400万円を提示・港区の遺族にとなっています。私は、パロマの民事賠償責任については非常に大きいと思うのです。パロマ事故は、個人の犯罪ではなく、会社の対応が不適切であったために発生したと思います。室内に設置する大型ガス瞬間湯沸かし器であったため、不完全燃焼で自動的に停止する安全装置をつけた。販売する前から、将来の長期使用中の不正改造の可能性についてもパロマは認識しているべきであった。しかし、実際に事故が発生したことを認識した後も、積極的な事故防止策を講じなかったと思います。パロマに民事賠償責任はあると思うのです。

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2007年1月28日 (日)

パロマ工業no

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2007年1月27日 (土)

IRI発表のIXIによる循環取引(続編)

1月24日にIXI(アイ・エックス・アイ)の民事再生手続の申し立てとして、書いていますが、この中の2) 循環取引に関連してIXIの52.19%の株式を保有する親会社であるインターネット総合研究所(IRI)が、そのWeb上でIXI民事再生手続開始申立てに関する当社の経営環境と経営姿勢についてと題した代表取締役藤原氏の名前での1月24日付け株主宛報告を掲載しています。

実は、この報告の中に、循環取引という言葉が使用されており、次の文章がありました。

当社がIXIより2007年1月19日に調査報告を受けてから、そこで初めてわかったことは、IXIは、メディア・リンクス事件の循環取引に関わっていたということ、そして、ここ数年のIXIの売上の大部分をスルー取引と循環取引が占めているということでした。

メディア・リンクス事件については、前回の1月24日の2)の最後に書いたのですが、例えば、このNIKKEI IT Plus[2006年7月24日]-IT業界のコンプライアンス診断-第5回 止まない架空売り上げ事件、不正は何故起きる?(落合和雄氏著)の様にメディア・リンクスの循環取引には多くのIT関連企業が絡んでいたようです。”この取引には、伊藤忠商事のIT関連子会社伊藤忠テクノサイエンスやライブドアなど80数社もかかわっていたと言われている。” IRIの株主宛報告により、IXIを含む多くのIT関連企業がメディア・リンクスの循環取引に関わっていたことを認識しました。

株主宛報告には「メディア・リンクスの2003年3月期決算発表では、売上高165億円と公表したものの、その85%の140億円ほどが架空取引(循環取引)であったことが判明したとされています。」との文章もあり、すごい量の循環・架空取引が実在したのだと思います。上に引用した文章は「ここ数年のIXIの売上の大部分をスルー取引と循環取引が占めているといっています。IXIの右肩上がりの好業績は、嘘であったと52.19%の親会社が言っているのです。

IRIがIXIの52.19%の株式を取得し親会社となったのは、2005年8月であり、TOBを行っています。IRIとIXI(ややこしいい略称ですが)の決算月は6月と3月であり、少しずれていますが、IRIの連結売上高は683億円で、子会社IXIが403億円です。従い、IXIの売上がなくなるとIRIの売上高は280億円です。

IXIへの投資については、IRIが親会社だから、IRIの目を通してWatchされているから安心だろうと考えてIXI株を買われた方もおられるのではないかと思うのです。IRIの株主宛報告を読むと、「友好的TOBを成功させるために、2005年春から夏にかけて、資金調達、財務諸表の分析、営業取引に関する担当責任者からのヒアリングなど、当社の財務・法務チームは、証券会社をアドバイザーとして、会計および法務の専門家などと共に、徹底的なデューデリジェンスを行いました。また、並行して、当社の事業担当役員による、IXI側の営業担当役員へのヒアリングなどの事業デューデリジェンスも実施いたしました。」と書いてあるのです。私などは、会計・財務・法務なんかより一番大事なIXIが持つITの技術力、その将来マーケットが会社を買う上で一番大事ではないのか。この一番大事な評価は、どうなっているのだろうと思ってしまったのです。

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2007年1月25日 (木)

日本航空706便の続き

日本航空706便は、乗客169名で、乗務員は機長、副操縦士各1名、客室乗務員9名でした。このうち、重傷は乗客1名、客室乗務員3名で、軽傷は乗客4名、客室乗務員4名でした。客室乗務員は搭乗9名中7名が重傷又は軽傷となり、うち重傷者1名は意識が戻ることなく1年8ヶ月後にお亡くなりになられました。

前のエントリーの4)に書いたように、乗客1名はシートベルトを緩めにしていたとのことですが、他の重軽傷者はシートベルトをしていなかった。重軽傷の客室乗務員7名は、ギャレーで作業中であった。このことについて、もう少し書いてみたくなりました。

1) 飛行機の揺れ(タービュランス)とシートベルト・サイン

機長組合のWebには、2007年1月9日の名古屋高裁判決文要旨と2004年7月30日の名古屋地裁の判決文がアップされています。機長組合に対して機長が述べた事故についての証言は、一つ前のエントリーの続きを読むに入れており、この内容と同じなのですが、着陸に際してのタービュランスやシートベルトに関して、どのような経緯があったかを名古屋地裁の判決文で見てみることとします。なお、この部分について判決文は、「事実について概ね争いがない。」としています。

・ 出発前の打ち合わせの際、副操縦士より客室乗務員に対し、又機長からもシートベルト点灯時は例外なく着席するようにと伝えた。
・ 19:15頃 客室乗務員Fがアライバル・インフォーメーションを操縦室に聞きに来る。20:10頃の到着予定を伝え、降下中に揺れが予想されることから、早めに片づけを終えるように機長は指示した。
・ 19:30頃 客室乗務員I(キャビン・スーパーバイザー)が操縦室に客室の様子を伝えに来た。19:20に高度22,000ftから15,000ftに風速変化による軽い乱気流があるとの気象情報を聞いていたことから、客室乗務員Iに対して着陸準備を早めに終えるように伝えた。
・ 19:46頃 シートベルトサインを点灯した。その直後と思いますが、客室乗務員はシートベルト装着のアナウンスを行った。
・ 19時48分25秒頃から15秒間ほど激しい揺れに遭遇した。

2) 客室乗務員は何故着席したいなかったか

1)の状況だけを見ると、この疑問に私は答えられないのです。敢えて、想像を膨らませて以下書き進んでみます。

706便の客室乗務員の配置は、前方3名(I、Fは前方)、中間3名、後方3名でした。このうちで、前方の1名が軽傷。中間3名が軽傷。後方3名が重傷でした。但し、ギャレーは前方と後部の2箇所であることから、事故当時作業をしていたのは、前方1名と中間3名の4名が前方ギャレーで、後部ギャレーに3名がいました。

事故調査委員会の報告書には転倒した食事サービスを行うミールカートの写真があります。後部ギャレーとの説明があり、おそらくミールカートを所定の位置に入れてロックを行おうとしていたのだろうと思います。つまり、ミールカートが激しいタービュランスの中、客室に飛んでいったら恐ろしい事故になるからです。マイナス1Gやプラス3Gになっているのですから、重量(質量)がいくらかは知らないのですが、100kgであれば、300kgの力で押さえつけられるだけでなく、速度がついて上下に飛んだとしたら相当危険です。

多分、客室乗務員も着席してシートベルトをすることが出来なかった理由があるのだろうと思うのです。もしかしたら、甘く見ていた点があったのかも知れないとも思うのです。

でも「安全第一」。どこかの工場や工事現場でよく見かけた看板みたいですけど。そんなものが、おろそかになってないかの警告ではないかと思うのです。裁判では、機長の刑事罰が問われたのであり、「安全第一」のルールについては、争いになっていません。事故調査委員会の調査も事故原因として機体や設計や操縦の面は調査されていますが、航空機を乗務員がチームとして安全に運行する為のルール、或いは会社の職務規程等が安全運行(乗務員の安全も含めて)の面で、どこまでこの事件を通して検討されたのだろうかと思うのです。重要なことと思います。

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航空機事故の裁判

少し前の1月9日のことですが、名古屋高等裁判所において1997年6月8日に日本航空706便が名古屋空港に向けて降下中に発生した事故について当機の機長であった高本孝一氏が業務上過失致死傷について問われた裁判で無罪判決がありました。この判決についての日経記事は以下の通りです。

日経-機長に二審も無罪・14人死傷の日航機乱高下事故

本日24日付で、日本航空機長組合のWeb(ここ)に「706便裁判 完全無罪判決確定」と題する日本航空機長組合、日本乗員組合連絡会議、航空労組連絡会と航空安全推進連絡会議の4者連名による声明文が発表されました。当該声明文(ここ)には、1月23日、名古屋高等検察庁は最高裁への上告を断念したと書かれており、無罪判決が確定したと理解します。

この事故に関連して少し書いてみます。

1) 事故調査委員会

この事故に関しては事故調査委員会が設置され、1999年12月2日付けで調査報告書が出されました。(当該報告書は航空機事故調査委員会のWeb(ここ)からダウンロード可能です。)日本航空機長組合(以下機長組合と略します。)のWebによれば、名古屋地方検察庁はこの事故調査報告書の内容を基に当該機長を2002年5月、業務上過失致死傷で起訴しました。

航空機事故調査委員会は、航空・鉄道事故調査委員会設置法により設置されていますが、同法の第15条(事故等調査)第1項には「委員会は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、第三条第一号から第三号までに規定する調査を行うものとする。」と規定されています。国際民間航空条約(ICAO)第13付属書には、第3.1条「事故またはインシデント調査の唯一の目的は将来の事故又はインシデントの防止である。罪や責任を課するのが調査の目的ではない。」や、第5.12条「事故又はインシデントがいかなる場所で発生しても、国の適切な司法当局が、記録の開示が当該調査又は将来の調査に及ぼす国内的及び国際的悪影響よりも重要であると決定した場合でなければ、調査実施国は、次の記録を事故又は重大インシデント調査以外の目的に利用してはならない。」との規定があります。

事故調査報告書は、事故原因として、機長の不適切な操作や、操縦士が当該MD-11型機の自動操縦装置の特性並びに同型式機の縦安定特性及びピッチ変動が発生した際の回復操作に関し、十分に習熟することができなかったことが関与した可能性が考えられると記載しました。

機長組合は、事故調査報告書を証拠として採用することに強く反対をしています。事故の再発を防止することが、事故調査の目的であり、関係者が包み隠さずに自己に不利なことを述べてまでも再発防止に協力すべきであり、その為には事故調査で得た口述等の記録を犯罪の証拠等他の目的に使用しないことを保証することが重要であるとの考え方です。それと、事故調査で行ったことは原因の推定であり、その推定により刑事罰を問うことの不適切性も述べておられます。

時々飛行機に乗る身になって考えてみると、事故は嫌です。しかし、操縦士を信頼しています。信頼していなかったら、やはり乗れないと思います。万一のことがあっても最善を尽くしてくれると信じます。だからこそ、トラブルや事故があったら原因を出来る限り究明して、再発防止策を講じて欲しい。だからこそ、操縦士がベストを尽くしている限りは、刑事罰を問うことは適切でないと考えます。

2) 事故の概要

事故については、事故調査報告書や機長組合のWebに詳しくあるので、余り書かないこととしますが、機長組合に対して機長が述べた事故の経過として機長の証言が機長組合のWebにあります。この内容が、一番私にはなまなましく感じられました。続きを読むにもコピーを入れておきます。概略は、以下です。

15:38(日本時間16:38) 香港離陸
19:44頃(これ以降全て日本時間) 下降開始
19時48分25秒頃 高度16,700フィート(約5,000m)を降下時激しい機体動揺に遭遇し、この機体動揺は15秒程続き、その際に負傷者が出た。
20:14 名古屋空港着陸

負傷者は重傷が乗客1名、客室乗務員3名で軽傷が乗客4名、客室乗務員4名であり、重傷となった客室乗務員のうちの1名は意識が回復することなく1999年2月に亡くなれました。この亡くなれた父親は自らホームページを作成し、思いを書いておられます。それは、例えば、これです。機長を2002年5月に起訴したのは、死亡者があったことも関係していると思います。

亡くなられた客室乗務員は機体最後部のギャレーで食器等の片づけ中であったようです。19時48分25秒頃から15秒間程の間、どのような状態であったか、以下のグラフが事故報告書にある垂直加速度の推定で、実線が機体後部です。48分27秒では3G以上の力で持ち上げられ、1秒後に天井方向からの1Gの重力を受け、48分30秒で再度通常の床向き2.5Gと言った具合に、48分40秒まで続いたのです。コックピット(操縦席)での加速度は点線ですが、ずっと小さかったのです。(グラフが見にくい場合は、クリックすると別ウィンドウで開きます。)

Jl706vertical_accel

機体は前後に大きく揺れる縦揺れ(ピッチング)状態であったのです。それは、次の事故報告書にあるDFDR(Digital Flight Data Recorder)とADAS(Automatic Data Acquisiton System)のパラメータとピッチ角解析結果を見れば分かります。(クリックすれば、別ウィンドウで開きます。)

Jl706dfdradas

Jl706pitchestimate

3) 事故原因

推定しかできないのですが、事故調査報告書は機長による無理な操縦桿の機首上げ操作の結果、自動操縦装置の指示する昇降舵の舵角から、実際の舵角が許容量を超えて変位したため、自動操縦装置がディスコネクトしPIO(Pilot Induced Oscillation)となった可能性があるとしています。機長組合は、航空機の速度を落とすため機長はスポイラーを上げたが、その結果、主翼の揚力中心が前方に移動し、機種上げが生じた。そして、水平尾翼がスポイラーの後方乱流により不安定となりピッチングが生じたと推定しています。

どちらにせよ、実はMD11という航空機の特性が関係しているのです。MD11はこの写真の様な飛行機です。(事故機と同一機種ですが、別の飛行機です。)この写真のDC10とよく似ているのです。大きな違いは、MD11がハイテク電子制御機です。大きさはMD11とDC10の全長、主翼スパンは58.7mx52.0mと55.5mx50.4mであり、最大離陸重量は280トンと252トンであり、少しMD11が大きいと言えます。水平尾翼は、MD11が逆に小さくなっており、DC10がスパン21.7mに対してMD11は18.0mです。即ち、MD11は揚力と重力中心の距離が短い設計となっており、その分、水平尾翼により下向けの力を加え安定させる力が少なくて済み、燃費も低いが、不安定な機体となっている。この不安定さをハイテク電子制御でカバーしていると言った感じです。

現在日本航空は既にMD11を保有・運行していないのですが、航空機事故には複雑な要素が絡んでいます。

4) シートベルト

事故の際、シートベルト着用サインは点灯していました。機長によるアナウンスはなかったが、客室乗務員によるアナウンスはありました。シートベルト・サインは事故報告書によれば2-3分前には点灯していました。

重傷4名と軽傷8名のシートベルトの関係ですが、重傷4名の中1名の乗客は通路を歩行中でした。重傷3名の客室乗務員は後方ギャレーで作業中でした。乗客の軽傷者は、化粧室内1名、ベルトをゆるめていた人1名、ベルトなし1名、歩行中1名であり、客室乗務員の軽傷4名はいずれも前方ギャレーで作業中でした。

航空機の中におけるシートベルトは重要だとあらためて認識してしまいます。

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2007年1月24日 (水)

IXI(アイ・エックス・アイ)の民事再生手続の申し立て

東京(2部) 上場のIXI(アイ・エックス・アイ)-本社所在地大阪-が21日に大阪地方裁判所に民事再生手続の申し立てを行いました。日経の記事とIXIのプレスリリースを掲げておきます。

日経-IXIが民事再生法申請
IXIプレスリリース-民事再生手続の申立に関するお知らせとお詫び

この結果、東京証券取引所は、再生手続を必要とするに至った場合に該当するとして、IXI株の整理ポストに割り当てと2月22日の上場廃止予定を決定しました。

東証からのニュース(2007/1/21)上場廃止等の決定-(株)アイ・エックス・アイ-

その前には、IXIが昨年12月末近くの28日に行った以下のプレスリリースによる「半期報告書が会計監査人の監査が終了していないことから、期限内に提出が遅延する。」との報告がありました。

IXIプレスリリース-第19期半期報告書の提出遅延についてのお知らせ

上場企業が一気に民事再生手続き、上場廃止となった件であり、もう少し見てみます。

1) IXIの業績

IXIという会社を私も初めて知ったのですが、コンピュータ・ソフトの会社であり、業績(連結売上高、連結経常利益、連結純利益)は下のグラフのように、すごい右肩上がりだったのです。

Ixisaleprofit

もう一つ、別の角度から見るために、連結貸借対照表の図を以下に示します。

Ixibs

資産では、現金預金、受取手形・売掛金と棚卸資産が大きくて資産全体の84%を占めます。一方、負債では、買掛金が負債と純資産の合計の20.6%、純資産(資本の部)が61.8%です。コンピューター・ソフト会社であり、一般の製造業や卸・小売業と当然異なるのですが、絵に描いてみるとその実感がよくわかります。

2) 循環取引

「IXIプレスリリース-民事再生手続の申立に関するお知らせとお詫び」には、「循環取引が行われていた」との表現があります。循環取引とは、販売した同じモノを再び仕入れて又販売することで、これを繰り返せば循環取引です。売上高400億円です。IXIの人員は連結ベースで130人です。一人当たり3億円ですから、自社製作のソフトのみではなくソフトの外注が多く含まれます。

ソフトウェアの棚卸資産は何かわかりますか?どこにあるかと言えば、コンピュータの中あるいはメモリーの中です。監査法人が調査しても、私は分からないと思います。これがソフトだと言われても、ソフトなのだろうが、この特定のソフトかなんて分からないし、それが棚卸資産かどうかも分からない。だから、循環取引が生じても分からない。悪用しようとすると、いくらでも売上も利益もごまかせる。

循環取引で思い起こすのは、高橋篤史氏の粉飾の論理の第四章に書いてあったメディア・リンクスの循環取引です。コンピューター・ソフト産業に潜む悪夢なのかも知れないと思いました。

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2007年1月21日 (日)

納豆の偽造への追記

納豆の偽造への追記です。

産経新聞ですが、関西テレビがおわび放送へ 納豆のデータ捏造でという記事で、「捏造」の言葉を、記事のタイトルで使用しました。

朝日新聞は、Webでは見あたりませんでしたが紙上では、”週刊朝日から関西TVに質問を行ったところ、直接の回答はなく、記者会見・発表になった。”という旨の記載がありました。なお、週刊朝日の1月26日号(01月16日発売)には、この様に「発掘!あるある大事典II」が絶賛した 納豆ダイエットは本当に効くの?」という記事がありました。

フジTVですが、Webを探したのですが、やはり私は本件に関するキイ局の会社としてのプレスリリース等を発見できませんでした。

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2007年1月20日 (土)

納豆の偽造

1月16日のエントリーで「今日は納豆がありました」を書きましたが、その続きです。

先ほど、すごい記事を見ました。

朝日-「あるある大事典」の納豆ダイエットで捏造 関西テレビ
日経-納豆ダイエット効果誇張、TV番組「あるある大事典」
毎日-あるある大事典:「納豆ダイエット」はねつ造 関西テレビ
読売-納豆ダイエット実験ねつ造…手口悪質、番組打ち切りも

「あるある」の納豆に関する放送直後から、捏造の可能性を盛んに耳にしました。上の記事で、毎日は「今回の問題は、「週刊朝日」の取材をきっかけに同テレビが調査を行い、明らかになった。」と書いているのですが、朝日にはこのことは書かれていません。ところで、一番気になる、フジTVと関係が深い産経新聞は以下でした。

産経-納豆ダイエット効果を誇張 「発掘!あるある大事典II」

誇張とは、言葉の意味が違うはずです。新聞は正しく言葉を使うべきです。だって、産経新聞も本文には「発言していないのに日本語訳コメントを勝手に付けた。被験者がやせたことを示す比較写真は無関係の写真だった。」と書いています。これ「嘘つき」と言うことで、私の辞書では「誇張」ではありません。

関西TVのWebにはこのお詫び文がありました。お詫び文に書いてある5項目と末尾の事項は自ら認めている事実であるから、間違いないでしょう。でも、本件につてお詫び文だけで済ませてよいのでしょうか?関西TV、フジ・産経グループのことを、我々はどこまで信用して良いのかとなるはずです。

コンプライアンスとかガバナンスとか内部統制とか、そんな所にも重大な欠陥があるはずです。経営者や関係者は退職になってもよいような事件だと思うのですが。キイ局のフジTVは、どうするでしょうか。私だったら、今後は特別な関西地方の事件で関西TVの協力が必要な番組以外は関西TVの番組をフジTV系列で流すことは中止します。そこでフジTVのホームページを見てみましたが、1月21日(日)のあるある大事典放映中止しか見あたりませんでした。

今後を見ていきたいと思います。

TVに時々これ本当かなと思うことがあります。1月7日放送のTV番組「発掘!あるある大事典II」においては、どのような捏造が行われたかの記録として、続きを読むに関西テレビ放送のお詫び文を入れておきます。

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三菱ふそうトラック・バスのハブ交換について

三菱ふそうトラック・バスは、大型トラックの車軸とホイールをつなぐ部品「ハブ」の強度が不足していたとして、計約56,000台をリコールする方針であると報道がありました。

1月18日産経-5万6千台をリコールへ 三菱ふそう、2度目のトラックも
1月18日朝日-三菱ふそう、リコールは計5万6千台 新型ハブ欠陥

少し、気になることがあるので書いてみます。

1) リコールは重要

一番気になることは、やはり「約56,000台をリコールで終わるのか」と言うことです。過去に、三菱ふそうトラック・バスのハブに関しては、2002年1月に横浜市におけるハブの破断による母子3人の死傷事故、そしてこの事故について道路運送車両法違反に問われた同社の元会長ら3人と法人についての昨年12月13日無罪判決等が思い起こされます。(参考記事は次の記事です。)

2006年12月13日産経-三菱ふそう元会長らに無罪判決 「国の報告要求なし」と

無罪判決についてのコメントは私も判決文を読んでいないので、差し控えますが、三菱ふそうトラック・バス株式会社という会社と起訴された3人に罰金(各被告の求刑罰金20万円)の刑を執行して何の解決にもならない。車両メーカーとして事故が起こらない車を製造、供給することが重要であると考えます。もし不都合が発見されたなら、公表を行い、対策を実施することが企業としての責任であると考えます。CSRの最大の義務は、忠実に本業を履行することと思います。

2) ハブとは何か?約56,000台のリコールで終わるのか? 

ところで、今回のリコールについては、正式なリコールの届出が提出されていないことからと思いますが、同社のWebには未だ出ていませんでした。しかし、報道内容からすると、ハブを固定するナットを過剰に締め付けるケースがあり、この場合はハブの寿命が想定以上に短くなる為ということと理解します。

ハブとは車輪の車軸部分とつながる中央部のことです。即ち、車輪の一番外側がタイヤ・リムであり、自転車の車輪は、リムがスポークでハブとつながっています。コンピューターのハブも、これからであり、ハブ空港のハブも、元は車輪のハブから来ています。車のタイヤ交換をしたことがありますか?乗用車の場合は、車軸の方から4本のボルトが出ており、車輪側の穴にボルトを差し入れてナットを締め付けます。この車輪の穴がある辺りがハブです。Webで見つけたトラックのハブの写真を掲げておきます。

Hub_sm

トラックは貨物を輸送する車ですが、貨物と車体を含めた全重量は地面に接している車輪で支えられており、車輪が車軸を通して車体とつながっているのがハブですから、ハブには全重量が掛かっているし、地面の凸凹からくる震動その他も全てハブに力が加わります。タイヤ交換をしたりすると車輪をはずすことになるので、ハブを取り外し又取り付けてナットを締め付けるという作業を行います。

ボルトやナットは締め付け方が緩いと規定の強度が得られなかったり弛んできたり、一方、強すぎるとボルト・ナットが折れたり、相手物が壊れたりします。規定の力で締め付けることが重要で、一定の力で空回りをするトルクレンチという工具を使用したりします。報道では、ナットを過剰に締め付けるケースがあり、これが一因であると思われます。

もう一つは、自動車の耐久性が良くなったことと、不況からトラックやバスの使用年数が最近では長期間となっており、この為、ハブが破断する結果になっているのではと思うのです。ハブに実際にかかる荷重条件は、トラックの稼働条件によっても異なってくるので、実例のフィードバックでしか対処困難であろうと思います。従い、約56000台のリコールで終わるのではなく、もっと広がる可能性もあり、場合によっては、他メーカーのトラック・バスのハブ交換の必要もあるのではと思います。

3) 望むこと

次の表は、このこの日経BP10月30日号の記事にあった三菱ふそうトラック・バスのハブの表です。同社もハブの改良に取り組んで来たのであろうと思います。

Photo_8クリックするとウィンドウが開き全体が見れます。

朝日の記事は、今回のリコールではハブを最新型のF3に交換すると書いてありますが、1983年のA型が原型で、F3型は2004年12月から使用を始めたフランジ厚24mmのハブです。

三菱ふそうトラック・バスは、三菱造船(現在の三菱重工業)が1932年にバスを製作したことに始まり、2003年にダイムラー・クライスラー、三菱自動車工業、三菱グループ各社の出資により設立された会社で、その後三菱自動車工業が当初保有していた株式をダイムラー・クライスラーに売却したことにより2005年からはダイムラー・クライスラーが85%株式を保有する会社で、ダイムラー・クライスラーのグループ会社の一つです。同社の企業データ概要によれば、グループの中型・大型トラックの世界における年間販売台数は53万台の世界第一位で、2004年シェアは14%である。ちなみに日本他社は、日野6位3.8%、いすず7位3.3%、日産ディーゼル8位1.3%です。

トップメーカーとしてなすことは、状況を正確に公表し、再発防止に努めることと思います。もし、整備において過剰なトルクによるナットの締め付けがあるのであれば、正しい整備の方法を修理工場関係者に伝えることも重要であるし、メーカーとしての義務であると思います。市場に受け入れられる。即ち、社会において良い製品であるとして受け入れられること。これこそ、モノ作りを行うメーカーの最も目指すべき点であると思います。それには、良い製品を作ることのみならず、正しい使用方法とメンテナンス方法の広報に努めることもふくまれるはずです。

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2007年1月18日 (木)

インサイダー取引事件でセイクレストの社員3名を逮捕

インサイダー取引事件で、ジャスダック上場のマンション販売会社「セイクレスト」(大阪市淀川区)社員ら3容疑者を逮捕というニュースがありました。時事ニュースとセイクレストのプレスリリースは以下です。

時事ニュース-2007/01/16 インサイダー取引で3人逮捕=ジャスダック上場会社課長ら-大阪府警

弊社社員のインサイダー取引容疑に係る家宅捜索について
弊社社員のインサイダー取引容疑による逮捕について

これに関して、少し書いてみます。

1) 容疑内容

時事ニュースでは、「2005年11月ごろ、セイクレストが1対5の株式分割をするという情報を入手し、高値での売り抜けを計画。公表前の同月末から約10日間で同社株25株を吉村容疑者らの妻の名義で買い付けた疑い。
 同社は、同年12月9日に株式分割を公表。株価は翌営業日には公表前の約5割増しとなり、榊山容疑者らは約700万円の売却益を得た。」と言うことです。

2) 株式分割とは?

株式分割とは、文字通り1株を1株以上に分割することであり、1対5の株式分割とは、1株の株主であった場合は、株式分割により5株の株主になります。但し、会社に金銭を払い込むわけではなく、会社の純資産は増加しないし、収益力が上がるわけでもないので、1対5の株式分割であれば、1株の価値は5分の1になります。

何故、株式分割を行うかと言えば、成長企業の場合、成長に連れて資金需要も増大するわけであり、利益が出ても株主に配当するよりもその会社の投資資金に充当した方が、より高いリターンを得ることになります。その結果、その会社の純資産や利益は益々増大する構造となります。同時にそれは、1株当たりの純資産、利益および剰余金が大きくなるわけで、株価もそれに連れて高くなります。株価が高くなりすぎると一般投資家には手が出しにくい面もあり、証券市場での取引には、株式分割を必要に応じて実施し、適正な水準を保つのが株式発行による資金調達を含め企業にとっては良い結果が期待できます。

なお、株式分割の手続きとしては、取締役会の決議で増加する株式数や基準日、効力発生日を決定することとなります。(会社法183条)取締役会がない場合は、株主総会の決議となりますが、上場会社の場合は、取締役会があるので株主総会事項とはなりません。

3) セイクレストの概要

セイクレストは、分譲マンションの企画販売事業会社として、1991年3月に(株)大京の元社員であった現在の代表取締役の青木勝稔氏より設立された会社で、2006年9月末時点でも青木勝稔氏が52.34%の株式を保有しています。最近の企業業績等は以下の表の通りです。

  2003年3月期 2004年3月期 2005年3月期 2006年3月期 2006年9月期
売上高(百万円) 2,122 5,381 7,413 3,429 2,261
経常利益(百万円) 148 327 463 456 △199
当期純利益(百万円) 75 114 △390 324 △180
純資産額(百万円) 942 1,031 572 888 662
一株当たり純資産額 177,434 194,230 109,030 33,840 24,989
PBR 0.76 1.70 3.85 10.31 10.56
PER 9.9 15.4 - 28.3 -

4) セイクレストの2005年12月の株式分割

2005年12月の株式分割は、この12月9日付けの株式の分割に関するお知らせの通りです。同日の12月9日の取締役会で決議され、発行済株数5,311株を26,555株に増加します。分割基準日は2005年12月31日で2006年2月20日が効力発生日です。2005年12月の株価チャートを書いてみると以下のようになりました。

Photo_5

11月は50万円を切っていた株価が一時的には3百万円を超えました。売買株式数(右目盛としています)も、12月27日には2004株でした。その後の株価はYahooなりNikkeiなりのチャートをご覧頂ければわかりますが、なだらかに今回のこの事件直前の65,000円程度に下がって行ってます。なお、チャートを見る際の注意点として、2006年9月30日を基準日とし10月1日を効力発生日とする3分割の株式分割が行われていますので、当時の3百万の株は5分割と3分割にされたので、20万円と言うことです。2007年11月の50万円は、今の株価に換算すると33,333円です。チャートを見る際に誤解が生じるかも知れないので、念のため。

株式分割をすると株価が上昇することが多い。これについては、一つは基準日に保有していた株主(正確には基準日に株主名簿に記載されていた株主)は、株数が増加することとなるが株式を入手するのは効力発生日であることから、この間流通株数が不足するので高くなるという説明です。もう一つは、株式分割は基本的には成長企業が行うことから、イメージにより発表と共に「買」注文が「売」注文より増加することから株高になると言う説です。

約700万円の売却益を得たとの報道ですが、仮に11月に購入したのであれば50万円以下であったわけで、これを150万円で売却したとすれば、購入・売却株数は7株です。でも、上のチャートを見ると売買されている株式数は桁がまるで違います。株式分割は、実質的な変更は何もないので、 PERやPBRその他株式指数も変化しません。でも、2005年12月の株式分割の前には、株式時価総額は26億円程度であったが、分割後は100億円を超えていました。現在は50億円程度です。

セイクレストの2006年9月の株式分割では株価は変化しませんでした。株式振替制度となったことから、効力発生日が基準日の翌日となったからです。2005年11月のセイクレストの株式分割については、今回逮捕された3人のインサイダー取引よりずーとあくどい株取引があったのではと思えてしまうのですが、いかがですか?ホリエモンからの悪い影響でしょうか?

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2007年1月16日 (火)

今日は納豆がありました

ここ何日間かは、スーパーに行っても納豆が「うりきれました」と書いてあったが、今日は5時半頃でしたが棚に少し納豆が残っていました。

原因は、7日夜のフジテレビ系列の”あるある大事典”で「納豆ダイエット」ってのをやっていた影響のようです。テレビの影響はすごいのだと思います。ところで、納豆は、本当にダイエット効果があるのでしょうか?

ブログで拾ってみると色々見つかります。

このブログは、このLiverdoorニュースに「納豆製造元のある食品メーカー(長野県・飯田市)が流通側に出した文書を入手した。『「あるある大辞典II」納豆特集の放映の案内のご案内』という表題で、平成18年12月21日付だ。つまり、同番組の放映の二週間以上も前に、納豆メーカーから大手流通関係者に流れた情報提供の案内文だった。」と書いてあるから、「放送業界とメーカーとの関係が見えてきます。」なんて書いています。

そのブログは、更に恐ろしいことを書いた納豆にがんリスクと書いてあるこのブログも参照しています。

本当は、納豆はどうなのでしょうか?納豆のことを放送したのは「あるある大事典」だけではないんですね。このブログでしょうか?では、NHK「ためしてガッテン」は「納豆を食べると血栓が大きくなるのを防げる」と大ウソを言ったと書いてあるし、NHK「生活ほっとモーニング」では「クイズ de なっとく! 納豆&ヨーグルト徹底活用術」と題して、「納豆のナットウキナーゼには血栓を溶かす作用が確認されている。食後2~12時間効き目がある」という内容を放送したともあります。

さあ、何が信用できるのでしょうか?人の体にどのような効果があるかは、実際には簡単にはわかるはずがないと私は思います。新薬の治検をする場合も、ダミーを入れて行うし、効果が大きい薬には副作用も大きい可能性もある。納豆ばかり食べているとバランスが悪くなると思うのですが。

独立行政法人国立健康・栄養研究所という研究所があります。ホームページはここですが、「健康食品」の安全性・有効性情報というのがあります。この情報データベースで納豆を引いてみると概要には以下のことが書いてありました。なお、全文は続きを読むに入れておきます。

納豆は、大豆を納豆菌により発酵させたもので、ビタミン類などの栄養素を豊富に含んでいる。納豆そのものや発酵ろ液にふくまれる酵素ナットウキナーゼが、俗に「血栓の溶解に関与する」といわれているが、ヒトでの有効性については信頼できるデータがない。ビタミンK2は骨たんぱく質の働きや骨形成を促進することから、ビタミンK2を多く含む納豆が、特定保健用食品として許可されている。また豆鼓(トウチ:大豆の発酵物)の抽出物は、糖の吸収をおだやかにすることから、その抽出物を関与成分とした特定保健用食品が許可されている。安全性については、納豆に含まれるビタミンK2が抗凝血薬(ワルファリン)の作用を弱めることから、併用摂取を避けるべきと報告されている。

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2007年1月12日 (金)

不二家の洋菓子販売休止

現在余りにも有名な出来事なので、不二家による「お詫びとご報告」を先ずは掲げます。
今回もグラフの右端が切れているかも知れません。グラフをクリックするか、RSSで見ると全体が表示されます。

不二家ホームページ不二家プレスリリース(PDF)

両文とも同じですが、「当期業績に与える影響については今後わかり次第発表します。」との文章がプレスリリースには加わっています。本事件は食品事業を行っている企業として、事態を甘く見すぎた結果、マーケットの信用を失ってしまった例なのだと思います。しかし、一方で、ともすれば陥り易い落とし穴であったわけで、少し、この出来事に関連して有価証券報告書の情報等を下に書いてみたいと思います。

1) 不二家

株式会社不二家は昭和13年(1938年)に設立され、昭和37年(1962年)に株式を二部上場し、昭和40年(1965年)に一部上場を行った会社です。老舗の食品会社で、設立者は現在の代表取締役藤井氏の親族であり、設立以来代表者及び取締役の多くは一族であった同族経営の会社で、現在は取締役7名中3名が親族と理解します。監査役は現在4名で、このうち3名が社外監査役で、この中に弁護士もおられます。

この出来事の報道からすると不二家は食品の安全性に無頓着であったと感じるのですが、有価証券報告書(2006年3月期)の「事業等のリスク」には、第一番目に、「食の安全性及び品質管理体制について万全の体勢で臨んでまいります。」と書いてあります。経営者も従業員も、このことを認識して働いておられたのだと思うのです。しかし、甘いところがあったと言わざるを得ないのでしょう。

2) 不二家の企業業績

不二家の売上高は年々減少しているのです。次のグラフは平成10年3月期以後の連結売上高、連結経常利益、連結純利益を示していますが、売上高の右肩下がりがわかります。

Photo_1 

利益については、グラフの右目盛(単位:百万円)ですが、経常利益も最大で平成12年3月期の21億円でしたから、売上に対して約2%です。純損益はゼロより下のマイナスの方の面積が大きいことが読みとれ、グラフで対象とした9年間の平均が損失の11億円です。実は、苦しい経営内容なのです。

売上減で利益確保が苦しかったので、経費減に必至に取り組んだのです。次のグラフは、平成14年3月期以後の連結ベースでの従業員の人数です。元々パート従業員が多く、平成14年3月期で70%が臨時雇用従業員でしたが、5年間で一般従業員数は20%減少で、臨時雇用従業員数は6%の増加です。

Photo_3 

だから報道されている情報によれば、埼玉工場の原料仕込み担当者は元社員でパートとして再雇用された60代男性となるのだと思います。売上の減少、人員の削減といったなか、現場の担当者にはコスト削減の心理的プレッシャーが働いていたと想像します。

2006年3月期の連結決算におけるセグメント別の売上高と営業利益をグラフにしたのが以下です。小売事業と称しているのが「ケーキ、ベーカリー、アイスクリーム等と喫茶、レストラン事業」で、卸売事業と称しているのが「チョコレート、キャンディー、飲料等」です。今回の出来事は小売事業と理解しますが、赤字部門だったのです。

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3) 教訓

そんな大げさなことをブログに書くのは、おそれ多いし不適切だと思うのですが、もしかすると身近に起こりうることだったかも知れない気がします。現在の実感のわかない景気回復。不二家の2006年3月期の連結18億円の純損失には、固定資産減損損失が8億円と固定資産破棄損3億円があるのですが、パート雇用者を増やし、人件費を切りつめないと企業は業績を維持できない。そして、働く者にとっては、収入が増加しない。そんな中で発生した出来事だと思います。

本当に大切なものは何であるのか。ともすれば、我々は見失ってしまうのではないか。食品メーカーの不二家は事業等のリスクとして一番最初に食の安全を掲げていました。本日の不二家の株価の東証終値は211円で昨日の終値と比べて22円(9.4%)安でした。出来高は2216万株で発行済株数が126,344,590株だから17.5%が本日売買されたことになる。売買高が百万株を超えることはほとんどなかったのですから。

1月11日(木)より洋菓子販売を休止という発表ですが、本体の直営店が97店あり、子会社不二家フードサービスが101店、ダロワイヨジャポンが13店で、フランチャイズが708店です。従い、合計919店となるが、フランチャイズ店に対する売上減少に対する補填も考えると、相当な損失になると思います。2) でパート従業員の人数を書きましたが、パート従業員が最も多いのが販売店で、直営店441人、不二家フードサービスが2072人、ダロワイヨジャポン102人の合計2615人です。

売上が元に戻るには、時間がかかると思うのです。パートさんも大変だと思います。勿論一般従業員も大変です。経営者は、自社の最重要事業リスクの対策や、その取り組み体勢が十分かもう一度見直しておくべきかも知れないと思いました。

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三角合併と税

引き続き三角合併について税金面を私なりに考えてみます。

1) 合併と税金

A社がB社を吸収合併してA社が合併存続会社となり、B社株主は、合併対価として現金を受け取ると仮定します。

この場合B社株主は、合併の効力発生日にB社株を現金で売却したことと同一です。現金でなくてA社株であっても、現金を受領してその現金でA社株を購入したとすれば、或いはA社株を直ちに売却して現金を得たとすれば同じことです。でも、名前はA社であるがB社従業員も一緒に仲良く働いており、投資家にとっては株券の名前が変更になっただけで、何も変わっていないという風にも言えます。

法人税法、所得税法はどう扱っているかというと、適格合併に該当する場合は、A社はB社の資産・負債をB社の帳簿価額で引き継ぎ、課税関係は生じないこととしています。(法人税法62条の2)即ち、A社とB社の帳簿価額結合です。

適格合併に該当しない場合は、B社が時価でA社に資産・負債を譲渡したとして所得の金額を計算するとしています。(法人税法62条)B社はA社に事業売却を行ったとして、利益に税がかかり、消滅することから清算のような扱いになり合併交付資産のうち資本金等に対応する部分の金額(資本金+資本剰余金と考えて下さい。)を超えるときは、その超える部分の金額は、利益の配当の額とみなすとしています。(法人税法24条、所得税法25条)株主にはみなし配当金としての所得と資本金等に対応する部分に関する株式の譲渡に関する所得(又は損失)が発生します。このみなし配当は、法人の場合は益金不算入、個人の場合は配当控除の適用があるので、ややこしいのですが、支払う方も源泉税を徴収するためには、株式のみでは源泉徴収が出来ないので株主には交付しなくても現金の交付を含めることとなります。

適格合併でないと、合併の税務面は大変なのです。

2) 適格合併とは?

適格合併については、法人税法2条①項十二の八で、「次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人の株式又は出資以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当等(株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配をいう。第十二号の十一において同じ。)として交付される金銭その他の資産及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。・・・・省略・・・・」としています。

三角合併は、現行では適格合併ではないのですが、自民党の平成19年度税制改正大綱の51ページの九2に適格合併の要件に合併法人の親会社株式のみが交付される場合を加えると書いてあります。従い、本年5月1日以後は三角合併も適格合併になりうると思います。なお、適格合併の要件としては、法人税法2条①項十二の八が次のいずれかに該当とあるように、株式のみの交付という条件以外に、

(a) 被合併法人と合併法人が全株を保有する親子会社であること、又は
(b) 50%を超える株式を保有する親子会社の場合は、(i)被合併法人の従業者の80%以上の者が合併後も合併法人の業務に従事することが見込まれており、且つ(ii)被合併法人の主要な事業が合併法人において引き続き営まれることが見込まれていること、又は
(c) 被合併法人と合併法人が親子会社の関係でない場合は、共同で事業を営むための合併として、(i)被合併法人の被合併事業と合併法人の合併事業とが相互に関連するものであり、(ii) 被合併法人と被合併事業の規模の割合がおおむね5倍を超えないこと又は被合併法人の特定役員のいずれかと合併法人の特定役員のいずれかとが合併法人の特定役員となることが見込まれていること、(iii) 被合併法人の従業者のうち、80%以上の者が合併後に合併法人の業務に従事することが見込まれていること、(iv) 被合併法人の被合併事業が合併後に合併法人において引き続き営まれることが見込まれていることの4条件全てにあてはまること。 

となると思います。

3) 税の問題はこれだけか

実は、自民党の平成19年度税制改正大綱の24ページ3に「合併等により外国親会社の株式が交付された場合には、被居住者または外国法人株主は、旧株の譲渡益に対して課税する。」と書いてあります。

これは、租税条約は別にして、内国会社の株式であったなら、合併時に税が課せられなくとも、時価評価で課税されなくとも、最終的には売却段階で所得が生じ課税対象となり得ます。しかし、外国株主に外国株式が交付された段階で、日本政府が課税しないとなると、外国株式を外国で売却したときに日本政府が課税できないという恐れがあります、場合によっては、課税権という主権をおかすこととなります。そこで、外国の株主には課税しておこうという税法案です。なお、租税条約で株式の譲渡所得が譲渡国では課税しないと取り決めている場合があり、実際に課税がどうなるかは又複雑ではあります。

なお、日本人の株主で、ある日三角合併で米国企業の株式を入手した。その後、転勤で米国に行った。米国で、この株式を売却した。この場合は、米国での税で終わりなのでしょうね。グローバル化、ボーダレスの時代の税は、複雑です。

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2007年1月10日 (水)

今年の展望-三角合併解禁

今年の展望と大きく書き出したのですが、風呂敷を広げすぎで、せめて今年5月1日に解禁となる三角合併について書いてみることとします。いずれにせよ、M&Aが日本でも活発化してくるし、三角合併の解禁に伴い日本のビジネス界も新たな段階に一歩踏み入れる年であると思います。

参考記事として、FujiSankei Business i. 2007/1/4- 外資への買収規制、議論加速 「三角合併」5月解禁で を挙げておきます。

1) 三角合併とは

合併とは、2社以上の会社が一緒になることで、吸収合併(会社法749条~752条)と新設合併(会社法753条~756条)があります。吸収合併の場合は合併当事者企業のうち1社が合併存続会社となり、他の合併当事者企業は合併により消滅し、その合併消滅会社の権利義務は合併の効力発生日に合併存続会社に承継されます。新設合併の場合は、全ての合併当事者企業が消滅会社であり、新設合併設立会社が新設合併消滅会社の権利義務を合併の効力発生日に承継します。

合併存続会社の株主は、間接的には投資先の会社の資産負債が増加したり、株主が増加したりするが、株主としての地位に直接的な変化はないが、合併消滅会社の株主にとっては投資先の会社が消滅するのであり、株券は紙切れになってしまうので、合併存続会社の株式あるいは現金あるいは何らかの対価を取得するのでなければ合併に同意できません。合併消滅会社の株主への対価として合併存続会社の親会社株式が交付される場合を三角合併と読んでいます。

2) 何故三角合併が解禁?

1)の説明で三角合併が特殊だとは感じないと思います。FujiSankei Business i.の様な記事になるのは、商法では、対価が合併存続会社(又は新設合併設立会社の株式)と金銭しか認められていなかったのが、会社法でフレキシビリティーの拡大が図られそれ以外の財産も可能となったからです。但し、フレキシビリティーの拡大部分は会社法附則4で会社法施行から一年間は適用されないこととなっているからです。

続きを読むに商法と会社法の双方の合併契約書の対価に関する部分の条文を入れておきます。又、会社法で今年5月1日に施行となる部分をフォントカラーを別にして示しておきます。

3) 三角合併の手続き

通常の合併と同じ手続きとなります。先ず、合併契約を締結しなくてはいけません。(会社法748条)そして、特別な場合を除いて、合併が実施される効力発生日までに合併消滅会社も合併存続会社も株主総会において合併契約の承認を得なければなりません。(会社法738条、795条)そして、この株主総会の承認は特別決議と呼ばれる議決権の過半数出席による2/3以上の多数決です。(会社法309②十二)

会社法による合併であるので、日本企業同士の合併です。但し、会社法は株式会社どうしのみならず合名会社、合資会社、合同会社といった持分会社との合併もあることとしています。外国の会社との合併はないが、外国の会社が日本に設立した子会社との合併で、この子会社が合併存続会社となり、合併消滅会社の株主が外国の親会社の株式を受領する合併があり得るわけです。

4) 三角合併をどう考えるべきか

FujiSankei Business i.の記事も三角合併脅威論の台頭を紹介していますが、本当に脅威なのでしょうかと思うのです。先ず、合併契約書の調印が行われなければならないのですが、その為には取締役会が合併を決定しなければならず、取締役の過半数が賛成しなければ合併契約書の調印がなされません。但し、TOBなりを仕掛けて過半数の株式を取得して取締役を入れ替えてと行った手段を取れば、考えられなくはないだろうがと思うのですが。

さらに株主総会での2/3以上の特別決議です。外国企業が日本に子会社を設立して、その会社に乗っ取られないかと心配なら、上場しなければ良いのです。或いは、少なくとも1/3の株主は自分たちの思い通りに株主総会で投票してくれる株主に就任して貰えば良いのです。そうすれば、2/3以上の特別決議は成立しません。

しかし、ここまで議論をすると会社は誰のものという議論になると思うのです。社長のものではありません。取締役のものでもありません。資金を拠出した株主のものであるはずで、株主総会が株式会社の最高意志決定機関です。株主総会での2/3以上の特別決議で決定する制度に異論があるとすれば、上場しなければよいのにと思ってしまいます。金は出して欲しいが、口は出して欲しくないなら、借入金にしたり、社債にしたりすれば良いのです。条件が合えば、そんな資金調達も可能です。

5) 今後の展望

合併も多くなってきたと思うのですが、やはり更に増加すると思うのです。私は、特段三角合併に不合理な点は見受けないのですが、実際にどのような形となるのが、実例を見てみる必要もあると思います。

やはり、売れない経営コンサルタントのブログ-日興役員に対する株主代表訴訟で言及した日興コーディアルのベルシステム24の買収方法ですが、非道いと思います。第三者公募でいきなり過半数の株式保有株主となり、数日で2/3以上の株式を取得し、そして数週間後の株主総会で議決権を行使するなんて、既存株主を徹底的に無視した許されないやり方と思います。

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2007年1月 9日 (火)

ある経営コンサルタントのブログ

あけましておめでとうございます。

昨年8月から、売れない経営コンサルタントのブログを書いていましたが、本当に売れなくなって、仕事がなくなってしまいました。これは、大変、何とかしなくてはと。やはり、ブログの名前を先ずは変えないといけないと思い、「売れない」から「ある」に変更して、本年から再出発をすることとしました。

何卒よろしくお願いいたします。

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