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2007年1月29日 (月)

パロマの業務上過失致死傷容疑での家宅捜索

パロマ工業と親会社のパロマの本社などが業務上過失致死傷容疑で家宅捜索されました。日経の記事を掲げておきます。

パロマ本社など捜索・沸かし器中毒事故

家宅捜索がされたことは、大きく報道され、皆様ご存じであり、今後の進展については見守るしかないのですが、少し書いてみます。

1) 業務上過失致死傷

業務上過失致死傷容疑となっています。これは、何かというと、刑法211条であり、第1項は次の通りです。

刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

今回の家宅捜索でもう一つ深い関係がある条文は刑事訴訟法250条の時効です。

刑事訴訟法250条 時効は、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
五  長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年

従い、今回の家宅捜索は2005年11月の死亡事故に対して行われたとの報道です。

2) 容疑者

刑法の容疑ですから、211条の"者"とは人であり、会社ではありません。そうなると、誰がこの事件の容疑者であり、誰が業務上過失致死傷となるのでしょうか。一連の事故では、1985年以降28件発生し、21人が死亡した。パロマについては、ガバナンスが機能しておらず、小林一族支配のワンマン経営であった。例えば、本日の日経の記事ですがパロマ工業の取締役会わずか年1回、事故十分話し合わずとの報道があります。様々な、パロマに対する批判がありますが、業務上過失致死傷として誰かを刑事罰に問えるのか、疑問に思ってしまうのです。

直接の原因は不正改造、不正修理であり修理を行ったのは、パロマではなく工事業者であった。では、工事業者を業務上過失致死傷に問うことが適切かというと、工事業者はパロマから知らされていないのであれば、死亡事故につながることまで思い及ばなかったのかも知れません。こんな朝日2006年07月21日-パロマ事故、修理の2人が書類送検 85年不起訴処分にという報道もありました。経済産業省は、どうだったのだろうかというのがもう一点思うことです。結果論では、色々言えるのですが、業務上過失致死傷となると、疑問を持ってしまいます。

犯罪人をつくることが命題ではないはずで、どこに大きな欠陥があったかを探しだし、二度と発生しないように制度やルールを変更・整備することが重要だと思うのです。

3) 民事損害賠償

これ日経2006年12月25日-パロマ事故、遺族に100万円超す弔慰金提示です。2007年1月12日の日経では、パロマ工業、見舞金4400万円を提示・港区の遺族にとなっています。私は、パロマの民事賠償責任については非常に大きいと思うのです。パロマ事故は、個人の犯罪ではなく、会社の対応が不適切であったために発生したと思います。室内に設置する大型ガス瞬間湯沸かし器であったため、不完全燃焼で自動的に停止する安全装置をつけた。販売する前から、将来の長期使用中の不正改造の可能性についてもパロマは認識しているべきであった。しかし、実際に事故が発生したことを認識した後も、積極的な事故防止策を講じなかったと思います。パロマに民事賠償責任はあると思うのです。

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