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2007年2月17日 (土)

サッポロHD vs スティール・パートナーズ

15日、サッポロホールディングス(株)は、同社株式の大規模買付行為にかかる意向表明書をスティール・パートナーズより受領したと発表しました。その発表は次のWebにあり、pdfの方にはスティール・パートナーズの手紙も掲載されています。

2007年2月15日ニュースリリース 当社株式の大規模買付行為にかかる意向表明書の受領に関するお知らせ(html)
2007年2月15日ニュースリリース 当社株式の大規模買付行為にかかる意向表明書の受領に関するお知らせ(pdf)

新聞報道には、以下のようなものがありました。

日経 2月15日-米スティール、サッポロに買収提案・総額1500億円でTOB
朝日 2月15日-米系投資ファンド、サッポロに買収提案
産経 2月15日-サッポロにTOB提案 米系ファンド、株66.6%取得で
毎日 2月15日ーサッポロHD:米ファンドが買収を提案 敵対TOB発展へ
読売 2月16日-アサヒ、サッポロに統合提案…米系FとTOB戦も

上記のうち、読売はアサヒビールから統合提案があったと報じていますが、サッポロHDはこのニュースリリースの通り「そのような事実はございません」と否定しています。また、このサッポロHDのニュースリリースのように麒麟麦酒との経営統合との報道もあったと思うのですが、こちらは発見できませんでした。サントリーとも可能性がないわけではなく、勿論単独ということもあり得るし、見物するには興味がある状態です。

1) 友好的?敵対的?

上記新聞の中で、毎日は敵対TOBとの言葉を使っています。私は、2月13日のエントリー: 日興コーディアル元役員への訴訟の”4)蛇足”で、友好的や敵対的の意味は「取締役会」が賛成しているか反対しているかであると書きました。2月15日のニュースリリースに添付されているスティール・パートナーズの訳文で手紙のタイトルは「貴社株式の友好的取得について」となっていました。そこで、原文である英文を見ると”Discussions in Relation to a Recommended Transaction”でした。参考訳としてあり、訳が正しいとか間違いとかの議論をするつもりはなく、日本語と英語の差が面白いと思いました。本文の「(g) 取得後の計画等」においても「・・・現在のところ、貴社の事業および取締役を含む人事を変更することは考えておりません。・・・」(”(g) Plan after acquistion  ......Notwithstanding this, we have confidence in the current management and employees of the Company, and at present we are not considering changing the business and human resources of the Company, including its board members....”)と書いてあるのであり、提案は友好的株式の取得と言えると思います。

但し、日本語の友好的とは取締役会が賛成するか反対するかであるから、その判断は取締役会となります。

2) サッポロHD取締役会はどう考えるか

本日、サッポロHD取締役会は当社株券等の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)に関するお知らせ を発表し、3月29日開催予定の定時株主総会で承認を得て採用することとしました。報道としては日経2月16日-サッポロ、買収防衛策を総会で見直しです。但し、これはスティール・パートナーズの提案を評価した結果ではなく、2006年2月17日に発表した「大規模買付行為への対応方針」の小改正であり、基本線は2006年2月17日の対応方針と同じです。

従い、サッポロHD取締役会のスティール・パートナーズの提案に対する見解は未だ待たなければなりません。しかし、対応方針でスケジュールは次のようになっているので、この予定のはずです。

  • 意向表明書受領後10営業日以内に、大規模買付者に取締役会が必要とする情報のリストを交付
  • 取締役会は、必要情報入手完了後、60日間(場合によっては90日間)評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間を持つ。大規模買付行為は、取締役会評価期間の後にのみ開始される。
  • 大規模買付者がルールを遵守した場合には、取締役会は、反対意見の表明や代替案の提示は行うことがあるが対抗措置はとらない。但し、大規模買付行為が明らかに濫用目的によるものと認められ、会社に回復し難い損害をもたらすなど、株主全体の利益を著しく損なうと判断される場合には、取締役会は適切と考える方策を取ることがある。
  • 大規模買付者により、ルールが遵守されなかった場合には、取締役会の承認が条件となる新株予約権の発行等の対抗措置をとり、対抗することがある。
  • 3) 今後の展開

    今後の展開はどうなるのか、よく分からないのですが、興味津々です。スティール・パートナーズは何を狙っているのか。ファンドですから、利益だ、リターンだとは言えるのですが。スティール・パートナーズが昨年10月に明星食品にTOBを行い、結局は日清食品が明星食品の取締役会が支持するTOBを行い12月に86%強の株式を取得した。スティール・パートナーズのTOB価格は700円。日清食品は870円であった。(日経 2007年12月15日 日清食、明星食株86%強取得・米スティールも全株応募 )結局、スティール・パートナーズは86億円弱で売却した計算となる。同じ様な、ストーリーがあり得ると言う人もいる。このこの毎日の記事は、外資の可能性も指摘している。

    本日のサッポロHDの株価はストップ高の891円でした。50%分株式を取得するには株価900円で1700億円を要います。高いのか、安いのか。日興のベルシステム24のケースと比べれば、安いと感じられ、この辺りが、スティール・パートナーズの狙いであったのでしょうか。即ち、外国のビール、飲料、食品メーカー等と組めば、もっと高い付加価値をつけられる会社であると評価したとか?勿論、これ勝手な想像です。

    どのような展開になるのでしょうか?もし、スティール・パートナーズのファンド運用成績がよいなら、日本の年金資金も一部資金の運用にスティール・パートナーズを利用すべきなのでしょう。そんなこと、既にやっておられるかも知れませんが。

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