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2007年2月27日 (火)

日経のみすず監査法人に関する記事

1) 日経の記事

25日の日経に次の記事が出ました。

みすず、トーマツに300社移管・監査業務

2) みずず監査法人の発表

上の記事を受けてのみすず監査法人の発表は以下です。

2月25日付け 日本経済新聞(朝刊)の当法人に関する記事について (07年02月26日付けプレスリリース)

文章は、次の通りです。

標記記事において報道された、当法人の監査先企業の移管につきましては、当法人と他の監査法人との協議によって決定をする性格のものではないと認識しております。

  なお、当法人は、2月20日に公表した他の3監査法人との合意に基づき、人員の移籍について協議中でありますが、これにつきましては、移籍先、移籍人数等に関して、本日現在、未定であります。

3) 会社法では

監査法人を選ぶのは監査法人と監査契約を締結する会社であり、しかもその選任は株主総会の決議を必要とします。その意味でみすず監査法人の言っていることは正しいし、私が2月21日のエントリー:みすず監査法人の解散で言っているとおりです。次の会社法329条1項が株主総会での選任を規定しており、会社法338条2項が変更しない場合には決議がなければ再任とみなすとの規定です。

第329条 ① 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第371条第4項及び第394条第3項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。

第338条 ① 会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
② 会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす。

即ち、みすず(中央青山)監査法人により監査を受けていた会社は会計監査人が代わることになるので、全て次回(3月末決算の場合は6月末)の株主総会で選任決議を行う必要があります。

4) でも、・・・・・

でも、そう簡単ではないのです。6月末の株主総会での選任の為には、2週間前には議案を記載した招集通知を送付する必要があるので、送付前の取締役で総会議案を決議しなくてはなりません。と言うことは、遅くとも6月初めには内定していなくてはなりません。

でも、これは会社の都合であり、監査法人からすると、監査を引き受けるからには、その会社の監査を責任を持って実施可能と判断出来なければなりません。これは、理想論を述べているのではなく、監査が不十分であった場合には、訴訟されるかも知れないし、最悪は監査法人を解散しなければならないリスクが考えられることとなった。「みすず」がその例を示しているだとすれば。言ってみれば「粉飾をするのは会社です。監査法人は粉飾を見抜けなかった。」ですから。連結財務諸表なんて大きな会社は嫌と言うほど対象の子会社・関係会社があります。2月23日 日経-三洋電機、不適切な会計処理の疑い・証券監視委が調査のような報道がありますが、これも子会社に関連してです。そして、監査法人というのは、社員は無限責任です。(勤務会計士は、大丈夫と思いますが社員会計士は無限責任です。)

だから非公式に、会社と監査法人が相談をしておかないと取り残されてしまいます。取り残されてしまったら、上場廃止になってしまうリスクがある。監査法人ではなく公認会計士個人に監査をして貰う方法もあると言えば、ありますが、監査という膨大な量の作業を個人が出来るほど簡単でもないのです。個人が監査をしていて上場廃止となったのが、西武鉄道です。西武鉄道には個人の会計士2人が会計監査人になっていた。当然、監査なんて出来ない状態で、かの堤義明がワンマンで取り仕切り株主構成まで誤魔化していたのを認めていた。監査とはほど遠い実体であったと言われても仕方がないと思う。参考まで、このNikkei Netが西武鉄道事件をよく書いていると思います。

実は、「みすず」の会計士さんも大変ですが、。「みすず」に監査を依頼していた会社も大変です。しかも、これから時代は、もっと大変な方に動いていますから。金融証券取引法の内部統制報告書が2008年4月から始まり監査法人による監査証明を得なければならないし、四半期決算に対する監査も同時に始まるはずです。(金融証券取引法193条の2) 公認会計士・監査法人の仕事はIPOに関連する仕事もあるはずですし、デューデリ関係の仕事もあるでしょう。でも、面白い時代かも知れません。時代が色々動いているとき。そんなときに仕事が出来るのは、ある面では幸せだと思います。

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