「生む機械」と少子化対策
審議拒否を続けてきた野党も出席して昨日から衆議院予算委員会が開催され、柳沢伯夫厚生労働相も「実に不適切な表現を用い、女性のみならず国民を大きく傷つけ混乱を招いた。強い反省の上に立って、与えられた任務のため全力を挙げて取り組みたい」と語ったとの昨日の報道です。
日経 2月7日 衆院予算委が正常化・首相も陳謝、厚労相続投を強調
偶然ではありますが、昨日2月7日の官報資料版は内閣府の「少子化社会白書のあらまし」でした。内容は、内閣府の文書であり、総花的と思ったのですが、売れない経営コンサルタントの2006年12月28日-最新の人口推計によればや2006年11月 4日-国勢調査から見る高齢化社会というエントリーを書いたこともあり、この官報に掲げられていたグラフについては興味深く眺めました。少し書いてみます。(以下のグラフは官報からのコピペです。クリックすると別ウィンドウで元の大きさにより開きます。)
1) 子どもを産み育てやすい国
次の第7図を見て納得しました。
日本、韓国、アメリカ、フランス、スウェーデンの5ヶ国で調査した結果ですが、日本で「子どもを産み育てやすい国かどうかについて」9%しか「とてもそう思う」と答えなかった。「どちらかと言えばそう思う」を合計しても47.7%で、半数の人は肯定していない。スウェーデンでは「とてもそう思う」が75.2%で、「どちらかと言えばそう思う」を足すと97.8%の人が「子どもを産み育てやすい国」だと思っている。うらやましいと思います。そんな国って、子どもを産み育てやすいだけではなく、きっと「生きがいを持って、暮らしやすい」等についても肯定的に答える人が多いのだろうと思うのです。「どちらかと言えば」を含めてせめて2/3の人が肯定できる国にしたいと思うのですが。そう思って、アメリカとフランスを見ると78.2%と68.6%であり、2/3基準を満たしてしまうのです。
2) 育児、家事関連時間
6歳児未満のいる男女の育児、家事関連時間が次のグラフですが、日本の男は48分となっています。これを、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、ノルウェーと比べるとダントツに短い。逆に女は、その結果と言えるのか、日本が一番長い。
この中では、フランスが一番短いが、それでも2時間30分で、日本の3倍強あります。格差社会とか、ワーキングプアなんて言葉が当たり前のように使われるようになりましたが、満足できる収入を得て、そしてその職を維持しようとなると土日以外は育児は25分、家事を含めて48分しか時間をさくことが出来ない。2時間30分もさいたら、降格され給料の手取りが減少することとなり、住宅ローンの返済に困るなんて状況があると思うのです。
政府の新しい少子化対策の概要を続きを読むに入れましたが、こんなことよりも労働時間の短縮やワーキングプアの解消を計り人間らしい生活ができるようにすることが一番重要なのだと思うのです。
3) 合計特殊出生率
合計特殊出生率の国比較のグラフもありました。
2005年の日本の合計特殊出生率は1.25であったのですが、ドイツ、イタリアと余り変わりません。アメリカが2.0を少し上回っていますが、2.1が人口維持と言われており、先進国はどこも人口減少の傾向です。だから多分日本も2.1を超えることはないと思うのです。1.25は低すぎるために若年世代の負担が大きすぎるかも知れませんが、「生めよ増やせよ」の国策で行うことではないと考えます。人口が減少して良いこともあるはずです。少子化対策よりも豊かな社会をつくる政策が重要なことと私は思います。
新しい少子化対策の概要
1. 新しい少子化対策の視点
新しい少子化対策は、少子化対策の抜本的な拡充、強化、転換を図るため、社会全体の意識改革と、子どもと家族を大切にする観点からの施策の拡充という二点を重視し、四十項目にわたる具体的な施策を掲げている。
特に、家族・地域の絆の再生や社会全体の意識改革を図るための国民運動の推進を強調していること、親が働いているいないにかかわらず、すべての子育て家庭を支援するという観点から子育て支援策の強化を打ち出していること、子どもの成長に応じて子育て支援のニーズが変わっていくことに着目し、年齢進行ごとの四期に分けて子育て支援策を掲げていること等が特徴的な点である。
2. 新しい少子化対策の概要
子育て支援策については、子どもの成長に応じて、「新生児・乳幼児期」「未就学期」「小学生期」「中学生・高校生・大学生期」の四期に分けて、新たな施策を中心に二十の施策を掲げている。
若者の就労支援やパートタイム労働者の均衡処遇の推進、女性の再就職支援等「再チャレンジが可能な仕組みの構築」を推進するとともに、企業の子育て支援の推進や長時間労働の是正、働き方の見直しを含む官民一体子育て推進運動など、従来の働き方を改革する。
「家族の日」や「家族の週間」の制定等、家族・地域の絆を再生する国民運動、社会全体で子どもや生命を大切にする運動といった国民運動を展開し、長期的な視点に立って社会の意識改革を促す。
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