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2007年3月 6日 (火)

タミフルは使うべき?

抗インフルエンザウイルス薬としてのタミフルに関して、服用患者の転落死の報道があり、注目が集まっています。おそらく小さな子どもを持っている親は、子どもがインフルエンザにかかったら、タミフルを服用させるべきかと悩んでおられると思います。私の答えは、医師と相談されるのが一番ですとなってしまいますが。タミフルについて調べていくと色々なことが出てくるので、書いてみます。

1) 薬は必ず副作用を持っている

高い効用が得られる薬は、ともすれば強い副作用があります。ある薬を使用して、治療の効果と副作用の両方があり、効果の方が大きいと判断される場合、個々の場合により異なるが、敢えて言えば、様子を見ながら使用すると思います。そもそも個人差が存在するのであり、個人差を除外して議論することは適切でないと思います。

医薬品の評価は、簡単ではなく、あれが効く、あれは副作用があるから駄目だと簡単に○×を付けられないものと思います。

2) インフルエンザと異常言動

インフルエンザとは何かということで、これがメルクマニュアル家庭版の説明で、ここのサイトにインフルエンザの説明がありました。小児や高齢者は合併症になることがあり、油断をすると恐ろしい病気です。

インフルエンザ脳症も合併症の一つでしょうが、恐ろしい病気です。ここにWikipeidaの説明があります。これは厚生労働省インフルエンザ脳症研究班の2005年11月作成のインフルエンザ脳症ガイドラインです。ガイドラインの4ページの”C. 異常言動・行動”に「インフルエンザ脳症の初期には異常言動・行動がしばしば認められ、熱せん妄との鑑別が問題となる。」と記載がありますが、タミフルを服用しなくて異常言動・行動があらわれることがあります。

ガイドラインの14ページに”2. インフルエンザ脳症の特異的治療法” ”A. 抗ウイルス薬(オセルタミビル)”と書いてありますが、このオセルタミビルとは、タミフルのことです。

また、ここに厚生労働科学研究費補助金による平成 17 年度分担研究報告書「インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」があります。この報告書は、「タミフルと異常言動との関連性は有意差を認めなかった。」と述べています。読み方によっては、5ページですが、「アセトアミノフェンを使用したものでは、異常言動、けいれん、熱性けいれん、意識障害等の臨床症候の出現が有意に増加していた。」と書いてあり、アセトアミノフェンについての調査も必要かも知れません。また、同じ5ページに「臨床症候の発現には薬剤以外の要因も関連していることから、多変量解析による検討を行なった。この結果、異常言動の発現に関与する因子は年齢、全経過を通じた最高体温(40.0℃以上)であることが判明した。」との記載があります。高熱と異常言動との関連です。(異常言動とは、この調査で使用したアンケート用紙が9ページにあり、これを見ると異常言動とした内容が分かります。)

タミフルが悪いと決めつけることが、簡単では無いことが認識できると思います。

3) 新型インフルエンザとタミフル

次の文章は、厚生労働省の新型インフルエンザ対策行動計画からの引用です。

新型インフルエンザは、毎年流行を繰り返してきたウイルスとは表面の抗原性が全く異なる新型のウイルスが出現することにより、およそ10年から40年の周期で発生する。ほとんどの人が新型のウイルスに対する免疫を持っていないため、世界的な大流行(パンデミック)となり、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらす。

近年、東南アジアを中心に高病原性鳥インフルエンザ(A/H5N1型)が流行しており、このウイルスがヒトに感染し、死亡例も報告されている(2003年(平成15年)12月~2005年(平成17年)10月の間で、ヒトの発症者122名、うち死亡者62名)。また、高病原性鳥インフルエンザの発生がヨーロッパでも確認されるなど、依然として流行が拡大・継続しており、ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザの発生の危険性が高まっている。

この新型インフルエンザ対策行動計画は、現段階のフェーズ3Aにおける対策としてタミフル2,500万人分の備蓄も含まれています。新型インフルエンザに立ち向かうため、有効な武器でしょうから、備えておくべきだと思うのです。勿論、タミフルの副作用についての調査はすべきです。

4) インフルエンザ予防接種

インフルエンザ予防接種を進めれば良いはずです。タミフルを医療保険の対象としながらインフルエンザ予防接種は保険対象外であり、65歳未満の人は全額自費です。変なことになっていると思います。予防接種を保険対象とし、インフルエンザの流行が押さえられるなら、社会的なメリットが大きいと思います。

インフルエンザ予防接種は意味がないというキャンペーンもありましたが、医療の評価は、簡単ではありません。ちなみに、これは横浜市のインフルエンザ予防接種についての説明ですが、予防接種は有効と書いてあります。

5) ラムズフェルド前米国防長官とタミフル

有名なようですね。Wikipediaにも書いてあります。又、2005年10月の報道ですが、CNNも伝えています。CNN News October 31, 2005 Rumsfeld's growing stake in Tamiflu タミフルは中外製薬が日本では販売し、製造はスイスのRocheですが、売上の10%がRoyalityとして米Gileadに入っていくと言うわけです。Rumsfeld氏はGileadの元会長であり、Gileadの株も株数は不明であるが保有していると言うわけです。

Rumsfeld氏が政治的な力を利用したと書いていません。従い、医薬品のビジネスだと思います。売れる薬を造れば大儲け。多分、売れる薬を造るには、イヤと言うほど多くの汗を流さなければならないのでしょう。その結果、多くの人が助かり、開発者は正当な報酬を得る。

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コメント

タミフルの服用に非常に興味を持っています。
医者の判断、製薬会社の責任、厚生労働省の責任、一般国民の判断力を大いに問うべき。

投稿: ライラック | 2007年3月24日 (土) 21時41分

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