被害者裁判参加制度に被害者からも反対の声
以前から気になっていたのですが、犯罪被害者や遺族らが刑事裁判に参加して被告人に直接質問などができる「被害者参加制度」です。この制度の導入に反対する被害者や弁護士らが、法務省に要望書を提出したとの報道がありました。
産経 3月7日 裁判への「被害者参加制度」 一部被害者が「反対」要望書
毎日 3月8日 犯罪被害者:裁判への参加制度「2次被害の恐れ」 片山隼君の父ら、考える会結成
時事通信 3月7日 被害者の裁判参加「導入慎重に」=交通事故遺族ら国に要請
朝日 3月10日 被害者裁判参加制度に異論の声 日弁連のシンポで
犯罪被害者でありながら反対意見を述べる要望書を提出された人の勇気に敬服します。刑事裁判は私的復讐の為にあるのではなく、社会正義に反した行為を行ったとして起訴された被告人の犯罪を理性的に評価し罪を決定するものです。被害者参加裁判は、私的な憎しみを増長し、裁判員制度の裁判の場合は、大変だと思います。怒りや悲しみの感情を全面に出して被害者の遺族は質問を行うのが通常と考えれば、裁判員は心情的に被害者に同情することとなり、冷静な判断から逸脱してしまう恐れはないだろうかと思うのです。被害者側の裁判参加は検察に申し出ることになるし、被害者であることから検察官の立場での参加になると思います。
要望書をこの時期に提出したのは、今国会に法務省はこの制度を盛り込んだ刑事訴訟法改正案を提出しようとしているからです。次の記事を参照下さい。
日経 2月27日 被害者参加・付帯私訴制度、08年末までに導入・法務省
日本弁護士連合会(日弁連)は、この制度に反対です。2005年6月に意見書を出していますが、その意見書(pdf)はここにあります。又、日弁連は「付帯私訴制度」についても問題ありとして反対しています。
このブログでは、「被害者参加制度」の問題点等を整理して書いておられます。このブログにあるように、犯罪被害者や遺族に対して、政府が行うべきは、経済的支援や精神的支援の充実であると私も思います。人類が長い歴史の中で作り上げてきた制度であり、根幹部分を性急に変える必然性がないと思うのです。
最後に、これが本年2月7日の法制審議会第152回会議で採択され、法務大臣に答申された犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための法整備に関する要綱(骨子)です。
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