日興コーディアル関連
1) 日興コーディアルホールディングの上場廃止
ついに日興コーディアルホールディング(日興CH)の上場廃止というニュースが出始めました。
これに対して、日興CHは、次のように東証においては未だ具体的な決定は行われていないと日経の報道を否定しました。
日興プレスリリース(pdf) 2月28日 本日の一部報道について
東証が決定を行っていないのは事実ですが、日興CHの株式が上場廃止となっても不思議ではない、可能性はあると言えるのが現状であると思います。
2) シティグループvsみずほ
シティについては、次のような報道があります。
産経 2月24日 米シティグループ、日興コーディアルを傘下に
朝日 2月26日 米シティ幹部3月初め来日 日興傘下入りに向け最終協議
みずほに関しては、次のような報道です。
日経 2月27日 みずほ、日興支援案を提示
朝日 2月27日 みずほ、日興の支援検討 米シティと提携も模索
シティは33%以上を取得で、みずほは最大でも20%程度というところでしょうか。日興CHの発行済み株数(自己株式を除く)は976百万株であるから、10%の取得で株価を1150円として1122億円必要となります。シティが33%取得するとなると28.5%の追加取得であるから3200億円です。シティの狙いは日本市場だと思います。日興コーディアル証券と日興シティ証券の営業マン・ウーマンを取り込んでの日本の投資家への食い込みと、日本での資金需要家である企業等への食い込み。シティが出来ていなかった日本市場へ入っていく手段を手に入れることと思います。私は、シティが日興CHを手に入れたなら、魅力のない部分(多分NPIなんてシティには不必要と思うのです。)を売り払って、シティの欲しい部分を残す。そして、それをシティの世界戦力のなかでの日本ポーションとすることと思います。シティに取って、運用先は世界です。顧客投資家も世界ですが、投資家は先進国に多いと思います。だから、日本でも戦略拠点が欲しいはずと思います。
そう考えると、3200億円は安い買い物と思います。買ったところでゼロにはなりません。もしかすると2/3を狙うこともあるのではと私は思うのです。その場合、7100億円が必要なのですが、ソフトバンクモバイルの1兆7500億円よりはるかに安いのです。それと、もし上場廃止となるなら一株1150円より安く買える可能性もあります。シティにとって日興CHは手を上げてチャンスを狙っておくべきターゲットと思います。
みずほにとっても証券会社は2008年1月に新興証券と合併予定のみずほ証券以外に関係先は拡大しておきたい。その証券強化としては、1000億円程度の出資で15%弱を保有する提携関係が考えられる範囲かと思うのです。
シティvsみずほについては、シティの方が可能性があるというか、シティが日興CHの買収方針を決定すれば、シティに決まるのであり、シティ次第なのだろうと思いました。
3) 中央青山(みすず)監査法人に対する訴訟提起の可能性
次の読売の記事です。
読売 2月27日 日興、旧経営陣3人に31億円の損害賠償請求へ
この記事の中に「不正会計を見逃したみすず(旧中央青山)監査法人に対する責任追及は今後、検討するという。」と書かれています。検討と書いてあるので、断定ではありません。しかし、もし中央青山に訴訟を提起すると裁判で実体が浮かび上がってしまうので日興CHは、そんなことは絶対しないだろうなと感じました。主体は日興CHであったわけで、監査法人は実体を誤魔化されたと主張するはずで、その証拠が数多く出てくる可能性がある。そうすると、旧経営陣3人のみではなく関与者は相当広がる可能性があるなと思いました。
それと、監査法人の会計士は大変です。社員である会計士の無限責任の組織ですから、監査法人が清算を行って解散登記をしても、解散の登記後5年間は社員の債務は継続し消滅しないと理解します。
4) 日興CH粉飾決算の悪質性
三洋電機の粉飾決算が報道されており、自主訂正を間もなく発表するようです。
私は、三洋電機の粉飾決算は単体財務諸表の話しであり、連結財務諸表については粉飾はなかったということと理解しています。即ち、固定資産の減損会計が適用されたのは2005年3月期からであり、それ以前の子会社株式の評価は「金融商品に係わる会計基準」に従うのであり、「市場価格のない株式については、発行会社の財務状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をなし、評価差額は当期の損失として処理しなければならない。」に該当するかどうかが判断基準であった。解釈が入ってくる部分があります。
連結財務諸表については、子会社の資産・負債を財務諸表に反映することから、子会社株式は計上されません。従って、連結財務諸表は子会社を含めた企業業績をより正しく反映していると理解されるのであり、連結財務諸表が正しいのであれば、三洋電機の粉飾決算は日興CHと比較すれば軽いと思います。連結財務諸表を親子会社間の取引を利用して粉飾を行うことは、悪質と考えます。
もう一つの点が、日興CHが日興コーディアル証券と日興シティ証券の親会社であったわけで、証券市場を顧客とした事業を行っている。それであるにも拘わらず、虚偽の利益を報告する証券市場の信頼性を失う行為を、信頼性を確保しなければならない企業が行ったことでです。企業が自らの業界の信頼性を失うことはすべきではないと思う。しかも、そのことを確信犯でやったのだから許せないと思う。不二家は、食の信頼性を失うことをした。しかし、故意でしたのではないと思います。
5) 参考エントリー
今までに日興CHに関しては随分多くのエントリーを書いてきました。参考にそれらを上げておきます。
12月18日 日興コーディアルグループのプレスリリース
12月18日 日興コーディアルとミサワホーム
12月20日 日興疑惑
12月27日 日興役員に対する株主代表訴訟
2月 1日 日興コーディアル上場廃止の可能性
2月 1日 日興コーディアルの報告書を読んで
2月 2日 こりゃ駄目だ日興コーディアル
2月 2日 日興コーディアルの連結決算修正
2月 3日 日興 ベルシステム24の推理
2月13日 日興コーディアル元役員への訴訟
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