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2007年3月 5日 (月)

この人は辞めるべき-2月7日衆議院予算委員会

2月7日衆議院予算委員会の議事録がアップされてきたので、1月近く前になってしまいましたが、衆議院予算委員会における民主党枝野委員の質疑に関連して書いてみることとします。(議事録はここにあります。)

1) 柳澤厚生労働大臣は辞めるべき

2月7日衆議院予算委員会は、1月27日に松江における生む機械発言により野党が審議に応じなった後における審議再開の最初の委員会でした。生む機械発言については、以下のように柳澤大臣は述べています。

人口推計と女性との関係について、私が使った表現は、まことにもって本当に不適切な表現を使ってしまいまして、これにつきまして、女性を初め国民の皆様に、大変お心を傷つけ申しわけなかったということでおわびを申し上げ、深く反省しているところでございます。

ところで、柳澤大臣は辞めるべきと言うのは、この発言ではなく、むしろ次の発言が厚生労働大臣としては私には不適切であると思えます。

枝野委員発言 別の視点から聞きますと、先ほど私が取り上げました〇四年度の厚生労働省調査の時点で、医師の数が減っているのは産婦人科と外科だけというふうに厚生労働省の調査結果になっています。この傾向は大きく変わっていないだろうというふうに思います。なぜ産科、産婦人科と外科だけ減っているのか、大臣は御理解されていますか。

柳澤大臣発言 産科は、先ほど来私も触れたかと思いますけれども、出生数の減少で、医療ニーズがはっきり低減しているということの反映というふうに承知をいたしております
 外科については、一般の外科というとらえ方をすると確かに減少しているんですけれども、医療の専門化が進捗しておりまして、先生御承知のとおり、呼吸器外科それから消化器外科、消化器内科もあるし消化器外科もあるんです。呼吸器内科もあるし呼吸器外科もあるんです。そういうものについて、外科という一くくりをして統計をとるというようなことをいたしておらない。一般の外科という、つまり外科そのものが縮小しているというふうには我々考えておりません。

出生数の減少以上に減少していると私は思います。8月26日のエントリー:産婦人科で書きましたが、分娩取り止め施設から新規開設産科施設を差し引いた純減の数は平成14年度から平成16年度にかけての3年間で61の病院と137の診療所でした。全国周産期医療データベース(平成17年12月1日現在の状況に関するアンケート調査)によれば、日本全国の分娩施設数は病院数が1273、有床診療所数が1783で、有床診療所のなかで常勤医数1名の施設が1214(68.7%)、2名の施設が452(25.6%)、3名以上の施設が99(5.6%)です。それ以外に自施設で分娩を取り扱う助産所が263の合計3319です。現在は、3000を切っていると思われます。分娩に関与する常勤医師数が7873名であり出生数が1,100,000とするとすると、医師1人当たり、年間140人の分娩を手掛けることとなります。

産科医師は高齢化が進んでいるとも聞きます。又、「新卒医師は毎年約8.000人、このうち産婦人科に進む者は300人で、そのうち女性医師が半を占め、時間が不規則な産科を希望しない。従って加重労働と医療訴訟の多い産科(周産期医療)に進む者は僅かに80 人程度である。」とも私はブログに書きました。もし、30歳から65歳までが医師としての活躍年数で年間80人だとすれば、たった2800人です。空恐ろしい計算が出来てしまいます。

こんな現実を放置して良いのでしょうか?そして、この現実に先頭を切って立ち向かって行って欲しいのは厚生労働大臣です。柳澤大臣は知らなくって当然です。厚生労働関係なんて得意ではないのですから。それからすると、大臣にこんな答弁をさせる厚生労働省の役人が最もケシカランのだと思います。そうなると、一部のケシカラン役人をリードして、正しい厚生労働省のやるべきことをするように持っていくのが、大臣の役目です。そんな勤めは、柳澤氏には無理だと思いました。だから、私の結論は柳澤氏は厚生労働大臣を辞めるべきです。

2) この人も辞めるべき 御手洗冨士夫

御手洗氏に関する枝野委員の発言と柳澤大臣及び安倍総理大臣の答弁等は長くなるので、続きを読むに入れておきます。枝野委員の発言の要点は以下の通りです。

2005年12月29日の朝日新聞で「派遣社員を長期雇用 キヤノン行政指導」というのがあった。2006年10月18日には、キヤノンの工場で働く人材会社の派遣労働者が、違法な偽装請負の状態で働かされていたとして、正社員として雇用するよう申し入れたという報道がある。一方、キャノンの代表取締役である御手洗氏は経済財政諮問会議の委員であり、これらの報道が事実であるなら違法行為を行っている企業のトップを政府の委員会の委員としておくことは問題がある。例えば、御手洗氏は「法律を遵守するのは当然だが、これでは請負法制に無理があり過ぎる。」と委員会で発言をしているが、この発言は違法行為をしていながら、法に無理があるから法を改正しろという発言であり、許せない。

政府は、キャノンが法令違反を行っているかどうかについて個別のことについては、回答できないと拒否をしました。又、枝野委員は御手洗氏の参考人としての出席を求めたのですが、本日現在これにも応じていません。

私は、キャノンにおいて人件費削減のための偽装請負があったのだろうと思います。但し、そんなことはキャノンのみに限ったことではなく、多くの企業であることと思います。しかし、多くの企業であるから、許せるとは言えないと考えます。何のための法であるかになります。企業においてコンプライアンスが高々と叫ばれています。その中で、労働に関するコンプライアンスは企業コンプライアンスの一番の事項です。

御手洗氏が経団連会長やキャノン会長から辞めろとは言いません。しかし、政府委員からは、辞めるべきです。もし、継続するなら、枝野委員の質問に対して御手洗氏もしくはキャノンが、潔白であると言明すべきです。なお、キャノンについて、もう一つ問題点を述べておくと外国人株主比率が高い企業です。2005年12月31日は、51%が外国人株主でした。外国人株主比率の高い企業のトップを政府の委員に任命することは問題であると思います。外国からの投資を自由にしているのであり、本質から言えば、企業のトップを政府委員にすることに、そもそも問題がありますが。参考人として呼ぶのは構わないですが。

御手洗冨士夫に関する枝野委員の発言等

枝野委員 産みたくても産めない、いろいろな理由があります。最後に、産みたくても経済的な理由で産めないという問題を取り上げたいというふうに思います。特に、その典型例として、いわゆる偽装請負の話を取り上げたいと思います。厚生労働省、どこまでお答えいただけるんでしょうか。
 キヤノンという精密機器メーカーがあります。例えば、2005年12月29日の朝日新聞、「派遣社員を長期雇用 キヤノン行政指導」というのがあります。朝日新聞2006年7月31日、「偽装請負 製造業で横行」、キヤノンでも、「労働局が調査強化」という報道があります。最近ですと、2006年10月18日、キヤノンの工場で働く人材会社の派遣労働者が、違法な偽装請負の状態で働かされていたとして、正社員として雇用するよう申し入れた。さらには、団交を拒否したので請負労働者が救済の申し立てをした、これはことしの2月2日の報道であります。
 なぜキヤノンという個社名を出すかといいますと、ここの会長は公務員であるからであります。つまり、経済財政諮問会議の委員、メンバーとして、皆さんの政府のつくる経済政策、雇用政策について一定の権限を持っておられます。ですから、単なる一民間企業であるとは私は思いません。
 したがって、お答えをいただきたい。厚生労働省として、このキヤノンあるいはキヤノン関連会社における偽装請負あるいは派遣労働法の違反、こうした事態について、どの程度把握をして、どういう指導を行ってきているのか、お答えください。

柳澤国務大臣 請負における発注者が請負事業主の労働者に対して指揮命令を行って業務の処理を管理し進行させるということは、明らかに労働者派遣法に抵触しておりまして、これは違法行為ということになるわけでございます。
 今先生は個別の企業の名前を出されまして、これに対する労働監督上の諸措置の状況についてお尋ねでございますけれども、これにつきましては、やはり個別の企業の案件であるということから、お答えを差し控えざるを得ないということを申し上げます。

枝野委員 違法な行為なんですよね、いわゆる偽装請負は。違法な行為をした企業で、すべてのことを公表するかどうかは、いろいろな議論があるでしょう。ですから、今新聞記事を読むときに、キヤノンや何々と、ほかの会社の名前は挙げませんでした。それは、キヤノンは、繰り返します、トップが皆さんの政府の一員なんです。皆さんの政府の一員として、皆さんの雇用、経済政策について影響力を持って発言をしておられるんです。
 それで、お認めにならないんですが、新聞記事が100%正しいかどうかわかりませんが、これだけ繰り返し、キヤノンにおける偽装請負や派遣法違反が新聞で報道されているという事実があります。それが事実であるのかどうかぐらいはお答えをいただきたいというふうに思いますし、その上で、こうした報道が事実で、キヤノンにおいて請負に絡んで違法な行為が行われているとすれば、この御手洗何がしという人は、皆さんの会議でとんでもないことをおっしゃっておられます。「法律を遵守するのは当然だが、これでは請負法制に無理があり過ぎる。」今の請負法制、偽装請負などに関連して、今の請負法制には無理があり過ぎる。いいですか。自分の会社は、無理があり過ぎるけれども一生懸命法律を守ってちゃんとやっています、だけれども、これじゃ無理があり過ぎるから何とかしないといけませんねというならば、これは一つの考え方、現場からの声としての考え方です。
 自分の足元で違法な行為をやっておいて、それで、そこのトップとして、うちでやっている違法な行為が合法になるように何とかしてくださいよだなんていうことを堂々とおっしゃっている。私はこれはむちゃくちゃだというふうに思うんですが、総理、そう思いませんか。

安倍内閣総理大臣 御手洗氏は、法律を遵守するのは当たり前のことであるということも諮問会議において発言をしておられるわけでありまして、我々としては、個人としての識見をぜひ発揮してもらいたいということで諮問会議の議員に任命をしているわけであります。

枝野委員 だったら、自分がトップを務めている会社で違法な行為がないようにまずするのが責任じゃないですか。その上で、いや、うちの会社はちゃんと守らせているけれども、これで守っている状況ではとても実態は回りません、だから何とかしましょうよ、こう提言するなら百歩譲って一つの見識だと思います。
 しかし、自分のところでも違法はやっておいて、それを放置しておいて、だけれども、いや、法は守るべきだと思いますが、今の法制度はおかしいと思いますと。そういうのは筋が通らないと思いませんか。総理は何か日本の伝統文化がお好きのようでございますが、まさに恥の文化に反する行為じゃないかと私は思うんですが、総理、違いますか。

安倍内閣総理大臣 当然、政府としては、偽装請負など法令違反に対しては徹底して監督指導を行っていく、これは当たり前のことでありますし、繰り返しになりますが、諮問会議の御手洗議員も、当然法令を遵守していく、これは当たり前のことである、このように発言をしておられるわけでございます。
 現在、経済がグローバル化する中において、経営者としての見識、そしてまたさらに国内においても雇用を確保しておられる、またその観点も常に忘れずに努力をしておられる、そういうことも含めて我々は議員に任命をしているということでございまして、今後とも、議員として見識を発揮していただきまして、経済財政運営においてエンジン役を果たしてもらいたい、このように考えております。

枝野委員 だから、では、キヤノンは本当に守っているんですか。公表してくださいよ。キヤノンに対して、いつどういうふうに、どういう申し立てがあったりとか、どういう監督が行われて、どういうふうに改善されたのか。全部なんて言いませんよ。経済財政諮問会議でまさにいろいろな指摘をされている、自分の会社でやっているんじゃないかという、違法請負をやっていると指摘されているキヤノンについてだけでいいですから。
 現に、ことしの二月になってもキヤノンの請負労働者が、偽装請負だ、だから団体交渉しろと言っても応じない、それ自体が違法だといって労働委員会に申し立てしているんですよ。現に現在進行形なんですよ。昔あったけれども、悔い改めて今はやっていませんじゃないんですよ。
 だから、まずは実態、厚生労働省、明らかにしてください。これは、まさに今の政権の経済財政運営の基本にかかわる問題ですので、まず、このキヤノンにかかわる、厚生労働省として把握している偽装請負や派遣法に絡む違法な行為、監督事例、申し立て事例、全部資料として公表してください。
 それから、欠席裁判は不公平だと思いますので、この予算委員会に、委員長、御手洗何がし、経済財政諮問会議の委員、参考人として来ていただいて、御本人の釈明を聞きたいと思いますので、ぜひお計らいをください。

金子委員長 ただいまのお申し出の件は、理事会で協議をさせていただきます。

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