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2007年6月26日 (火)

大淀病院に対する民事訴訟の弁論始まる

昨日25日、奈良県大淀町立大淀病院で出産時に意識不明となり、19の病院に転院を断られた後に死亡した高崎実香さんの夫晋輔さん他が大淀町と担当医に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が大阪地裁(大島真一裁判長)で開かれました。

奈良新聞 6月26日 遺族は責任を転嫁-町が争う姿勢【大淀の妊婦死亡訴訟】
朝日関西ニュース 6月25日 病院側「産科医療全体の問題」と反論 奈良妊婦死亡訴訟
NHK奈良の報道については、Dr.Iさんがブログで紹介されておられます。

訴訟を提起したのは、日経ネット関西 5月24日 夫ら遺族、担当医を賠償提訴──奈良、受け入れ拒否続き妊婦死亡での通り、5月23日であったようです。

このブログでは、5月2日のエントリー大淀病院事件の現状についてを書きましたが、その関連もありアップデートいたします。

1) 報道も落ち着いてきたのかな

この事件は、2006年10月17日の毎日新聞の報道が発端であったのですが、私が探した限りでは今回の裁判についての報道は毎日新聞の関連では見あたりませんでした。

一方で、落ち着いてきたのかなと感じるのは、産経(奈良)には次の6月15日の記事もあったからです。

周産期医療施設の整備遅れ 県のずさん対応浮き彫り

また、読売(関西発)6月25日には、次のように、奈良県内に就職を希望する医師などを病院に紹介するために4月から導入した「ドクターバンク」制度の登録者が、開始から2か月以上たっても1人もいないことを報道しています。

奈良県ドクターバンク登録ゼロ、面談行かない怠慢も

完璧になれないのは、報道のみならず、全てでしょうが、多面的な面から取材をすることを望みます。

2) 医師ブログ

ブログを開設されておられる多数の医師の方は、大淀病院の産科医師を支持されておられます。私も、medさんのブログ 勤務医 開業つれづれ日記 6月26日 「我々は大淀病院産科医師を支持します」 産科医支持のブログに沢山の医師ブログのリンクが張られているのに驚きました。

3) 責任者

亡くなられた高崎実香さんおよび夫晋輔さん他ご遺族のお気持ちは察します。しかし、病院と医師に賠償責任はないと考えます。医師は、転送が最善と判断して転送を行うために全力を尽くしたと理解します。もし、CTを撮ろうとしたなら、転送がさらに遅れた可能性もあると思います。深夜の転送は、簡単ではないはずです。

そこで、もう一つこれも医師ブログ(medさんのブログのリンクにも入っています。)ですが、この方は米国で働いておられます。

Tai-chanのブログ マイアミの青い空 産科支援体制は大丈夫?

Tai-chanの文章を引用しますと。

遺族のお気持ちを考えますと、もっと早く搬送されていれば、、、という事情は十分理解できます。早く搬送されていて、結果はどうだったか?は分かりませんが、今回の事件で周産期の脳神経外科によるバックアップ体制が一番重要なこれからの問題であるように思います。

もしアメリカで同様の事件が起こった場合、アメリカの弁護士は医師ではなく医療行政、つまり県、厚生労働省を相手にするでしょう。今回、医師と町が被告というのが不可解です。

Tai-chanの言うとおりと思います。

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コメント

支援活動お疲れ様です。同じ産婦人科医、同じ一人医長として、「これ以上何をどうせよというのか!」と思わずにいられません。非医師の方の支援は貴重です。今後ともよろしくお願いいたします。

新聞報道については落ち着いてきたというより、調子に乗って医師をたたいたらやぶへびだったので自重しているのではと邪推しています。

投稿: 山口(産婦人科) | 2007年6月26日 (火) 21時20分

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