税と年金
あと1週間で参議院選の投票日となりました。そこで、私なりに、税と年金について書いてみたいと思います。
1) 住宅借入金に関する特別控除
サラリーマンの人は、6月分の給与支払いから、普通徴収で自分で納付される方は6月の納付より、住民税の金額が変わりました。多くの人にとっては増税で、給与所得のみの場合に収入が約1500万円以上の人については減税でした。しかし、これやこれの総務省のパンフレットを読むと、所得税と合計すると同じだと言うことです。
総務省の計算は、平成18年には受けることができていた定率減税(所得税で10%(最大125,000円)と住民税で7.5%(最大20,000円))の廃止を無視して計算しています。総務省は、地方への税源移譲の説明にとどめ、全体の税構造の議論は別との考えで余り触れておられないものと思いますが。
話をわかりやすくするために地方税は増税、所得税は減税と呼ぶこととして書き進めます。(厳密には、約1500万円以上収入がある給与所得者は地方税減税で所得税増税となりますが)総務省のパンフレットから「夫婦+子供2人の場合」をそのままコピーしたのが次の表です。
住宅を購入した際には、ほとんどの人は住宅借入金に対する所得税の特別控除を使っておられるはずです。この特別控除は申請すると借入金の年末全高の1%が10年間毎年控除されます。(制度が微妙に年により異なります。)即ち、2000万円の借入金があれば、20万円所得税が安くなるわけで、上の表の場合に当てはめると、給与収入が500万円の場合は、119,000円の方が小さいので、所得税は納付する必要がなく、700万円の人の場合は、200,000円安くなると63,000円の納付(実際には源泉徴収)で済むわけです。
そこで、表の右のように所得税減税が実施されたので、700万円の人も所得税がゼロとなるのは良いのですが、税のマイナスがないことから、500万円の人についても所得税が119,00円から59,500円に減税となったので、減税幅59,500円については、損をしてしましまいます。
このため、現在住宅借入金に対する所得税の特別控除を受けている人は(平成18年までに居住をしている人に限り)、住民税から所得税ではみ出た部分の控除を受けられます。但し、来年3月に市町村の税の窓口に、確定申告を提出する必要があります。なお、税務署に所得税の確定申告を提出する人は市町村に二重に提出する必要はなく、年末調整により所得税の確定申告を提出しない人だけです。(条文は地方税法附則5条の4です。)
なお、平成19年以降居住する人は、また扱いが異なります。こちらは、本年3月改正の租税特別措置法41条です。その内容は、1%の控除を6年目まで、7年目~10年目まで0.5%の控除を受けるか、あるいは0.6%の控除を10年目まで、11年目~15年目まで0.4%の控除を受けるかの選択です。
2) 本当に増税・減税同額か
住民税の課税所得の計算と所得税の課税所得の計算が少しだけ異なります。例えば、配偶者控除、扶養控除、基礎控除等が住民税の方が金額が小さいのです。このため、地方税法37条、314条の6で調整されるのですが、保険料控除や寄付金控除は、調整されないため、これらが関係すると少しだけ住民税の増税が大きくなります。
他に大きくなる場合があります。こちらは世田谷区の国民健康保険料です。所得割額が介護保険料込みの場合は、住民税額の1.51倍ですから、負担は大変です。
3) 年金
ある人に「選挙が終わったら、金利は上がりますね。」と言ったら、その人は「消費税も上がりますよ。」と言いました。その可能性もあるのではと思いました。
そこで、どうせ訳の分からないうちに消費税が上がるのなら、基礎年金を全て消費税でまかなうことにし、国民年金保険料を徴収しないこととした方が簡単ではないかと思ったのです。年金の信頼が失われつつあるのでは、もしかしたら一部失われているのではと思いました。本来、年金は皆が喜んで掛け金を払い込む制度であるはずです。なぜなら、掛け金以上の年金が戻ってくるからです。即ち、税金がつぎ込まれて、通常の資金運用とは異なった形になるからです。ところが信用されていない。
基礎年金の掛金の納付者を7千万人とし、月14,000円払うとすると年間約12兆円弱となります。平成19年度の消費税歳入予算は(1%は地方消費税なので、4%の計算で)10.6兆円です。ほぼ基礎年金に見合うのではと思います。消費税が上がることは、悲しいのですが、国民年金保険料を払わなくてもよく、厚生年金保険料も安くなるなら、私はそれでよいのではないか。保険料の徴収よりも消費税の徴収の方が、徴収コストも安いと思います。
社会保険庁を悪者にして、つぎはぎの年金を維持して良いことがあるのだろうかと思います。一方、国の年金は重要です。全て、民間制度となってしまったら、自分で保険会社に掛け金を払ったりして年金を受領することも可能であるし、企業年金もなくなるわけではないでしょうが、格差拡大そのもののような気がします。民間制度のみではない、社会として維持していくべき年金制度があると思います。
基礎年金保険料を税でまなうとして、全てを消費税としなくても良いわけで、例えば、高額所得者の税率を高くすることも可能と思います。現在は、1800万円以上の課税所得があれば、最高税率が適用されるのであり、これを例えば、1億円以上の人についてはもっと払ってもらっても良いのではと。
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[消費税増税 - 税率 10%, 16%, 18% or 30%?]
’07参院選:全候補者アンケート 消費税、自民「引き上げ論」74%-政党:MSN毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070714ddm003010048000c.html
★ http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/images/20070714dd1dd7phj002000p_size8.jpg
財界や政府・自民党から消費税増税・法人税減税大合唱
http://www.toshoren.jp/Ctg-Toshoren_Undo_News/news2007_06/news2007_06-02.htm
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/3695/1184750808/
米国からの便り 消費税が16%?
http://kensirou2001.blog79.fc2.com/blog-entry-67.html
八国山だより 消費税を16%に
http://patience052.blog101.fc2.com/blog-entry-4.html
日本経団連意見書:「近い将来の税制改革」についての意見 消費税率引上げの展望
「消費税率を、第一段階として3%程度は引き上げるべき」
「消費税率を遅くとも2007年度までには10%とすべきである。」
「消費税で賄おうとすれば30%以上の税率」
「2025年度までの消費税率の増加を18%程度までに」
経団連の40億円の政治献金「斡旋」は何をもたらすか
3.(2)(i)② 消費税の税率引上げ
http://www.rikkyo.ne.jp/univ/hikita/JapaneseEconomy/2007/SEIJIKENKIN.pdf
http://www.rikkyo.ne.jp/univ/hikita/JapaneseEconomy/2007/SEIJIKENKIN.pdf#page=9
http://cs.koukokukaigisitsu.com/copy/5404
棄権は危険!そのわけは??
http://senkyo2.seesaa.net/
http://cs.koukokukaigisitsu.com/copy/5348
言戯: 選挙に行かない人って、バカだなあ。
http://maruccho.way-nifty.com/sobae/2004/07/post_19.html
http://cs.koukokukaigisitsu.com/copy/5353
投稿: No More Tax | 2007年7月25日 (水) 22時33分