奈良の妊婦救急車で搬送・流産
奈良県から妊婦を救急車で大阪府高槻市内の病院に搬送したが、流産という事態がありました。報道について、何が見えてくるか眺めてみます。
1) 各社報道
各社の報道をあげておきます。
毎日 8月29日13時11分 救急車事故:搬送中の妊婦流産 大阪
朝日 8月29日13時13分 妊婦乗せ、救急車事故 病院決まらず搬送2時間半 大阪
読売 8月29日14時3分 奈良→大阪9か所断られ、妊婦の搬送先決まらず流産
産経 8月29日15:17 奈良の妊婦 救急 9病院受け入れできず 高槻搬送中に事故、流産
NHK 8月29日 19時7分 妊婦流産 受け入れ態勢が不備 (NHKについては、リンク切れが早いので、続きを読むに入れておきました。)
2) 大淀病院と関連づけるべきか
奈良県で周産期医療サービスの体制が整っていないのは、多くの人が知っている事実であり、1)であげた記事では読売以外全て大淀病院事件のことに触れています。
実は、毎日新聞は妊娠20週の36歳の女性となっていますが、他は妊娠3ヶ月の36歳の女性となっています。(NHKは38歳ですが、NHK奈良のニュースは妊娠3ヶ月、36歳でした。)妊娠3ヶ月で腹痛と出血という事態になったなら、流産よりも他の恐ろしい可能性を考えなくてはならないと思います。妊娠3ヶ月で流産というのは、多くの産科医の方は驚かれたと聞いております。
次にこの女性は午前2時44分頃に、橿原市内のスーパーマーケットで買い物中に腹痛と出血となり、スーパーマーケットで救急車に乗せられたとのことです。そのような時間に買い物をせざるを得ない理由があるものと思います。そして、「かかりつけの医師はなく」と書いてあり、月経がなくなっていたが産科医を訪れていなかったと言うことと思います。だから3ヶ月との話が出てくるのではないか。
この事件は、境遇が通常の妊婦さんと少し違うのではないかと思いました。プライバシーを探る意図は全くありませんが、大淀病院事件とは異なった観点から見る必要があるのではと感じました。
NHKのニュースウオッチ9では、大淀病院事件で亡くなった実香さん(当時32)の夫高崎晋輔さんのインタビューまで流していました。事件の表面だけを見て、報道して良いのだろうかと疑問を持ちます。
3) 毎日新聞の記事の変遷
毎日新聞の当初ネット記事のタイトルは違っていました。11時48分にアップされた時は、「病院たらい回し:妊婦衝突事故後に流産 救急搬送中 大阪」というタイトルで病院たらい回しという言葉が入っていました。そして、この時の記事は、妊娠3ヶ月でした。
当初の毎日新聞記事のWeb魚拓がここにあります。
毎日新聞がどのように記事を変えていったか、実はここに変遷を記録された方がおられます。
ネットって面白いですね。一つの事件に関して様々な情報が得られます。
NHKニュース 8月29日19時7分
妊婦流産 受け入れ態勢が不備
29日午前5時すぎ、大阪・高槻市の国道171号線の交差点で、奈良県の中和広域消防組合の救急車と軽自動車が衝突しました。救急車に乗っていた奈良県橿原市の妊娠3か月の38歳の女性は別の救急車で病院に運ばれましたが、流産が確認されました。ほかにけがをした人はいませんでした。警察などによりますと、女性は29日午前3時前、家の近くの橿原市内のスーパーで腹痛を訴え救急車を呼びました。救急隊が受け入れる病院を探しましたが、産婦人科の当直医がいなかったり、当直医が処置中だったりしてなかなか見つかりませんでした。救急要請から1時間半後、11か所目に連絡を取った大阪・高槻市内の病院に搬送することがようやく決まりました。そして40キロ離れたこの病院に向かう途中、赤信号の交差点にサイレンを鳴らして進入したところ、軽自動車と衝突したということです。女性は、救急要請から3時間たった午前6時前に目的地の高槻市の病院に到着し、診察を受けましたがすでに流産していたということです。奈良県では去年8月にも、病院で出産中に意識不明になった妊婦が、19もの病院に転院を断られた末、運ばれた大阪の病院で出産後に死亡しており、出産の受け入れ態勢の不備が問題になったばかりでした。
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