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2007年9月29日 (土)

ミャンマー経済制裁の可能性

ミャンマー軍事政権による反政府デモ弾圧を取材中に死亡した長井さんのニュースをみてふと考えました。

読売 9月28日22時54分 長井さん、至近距離から銃撃…TV映像などで明らかに
朝日 9月29日00時03分 至近距離から発射の映像 ミャンマー邦人銃撃

との報道があり、その映像ですが、このReuter Videoにあります。

長井さんは、ビデオ・カメラで撮影中に後ろから銃撃されたように思えるのです。断言出来るわけではありませんが、可能性として「ビデオ・カメラで撮影していたから、殺害した。」果たして、長井さんを外国人として認識していたのか、ミャンマー人として認識していたのか不明ですが。

もし、「弾圧に際してカメラマンは殺害せよ!」が軍の命令として、出ていたのなら、どうなるのだろうかと思ったのです。現代は、恐ろしい時代です。高性能ビデオ・カメラが安く手に入り、常に多くの人が撮影しているのが普通なのだと思います。この読売の記事9月28日14時33分 撮影中の長井さん、至近距離から狙い撃ちかには、次のような文章があります。

軍政は武力行使の場面を撮影されることに神経をとがらせており、デモ弾圧では、治安部隊や警察が、カメラやビデオを所持した市民らに銃を向ける場面が多数目撃されていた。

私は、日本政府は、長井さんの死亡に関して軍の組織・命令が、どうであったかも調査すべきであると思います。勿論、解明には困難があるとは思いますが、その尽力はすべきであると思います。そうしないと、今のミャンマー軍事政権は同じことを繰り返すと思うからです。そして、その際に、日本政府は経済制裁にまで及ぶかというのが本エントリーの疑問です。

経済制裁などせずに解決するのが一番よいことは明白であり、当然それを望みます。今回の長井さんの死亡という事件に関連して、日本政府は何をすべきかが問われるのだと思います。なお、ADBの統計書によれば、日本はミャンマーからの輸出第4位2.2億ドル(250億円)、輸入先のなかでは第6位の1.0億ドル(110億円)です。

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2007年9月27日 (木)

モック株主総会決議成立

9月15日のエントリー株式会社モックをめぐる推理でモックのことを書きましたが、モックの株主総会は、昨日開催され7議案すべて承認されたと日経で報じられました。

日経 9月27日 モック、株式併合を決議

16時30分頃、モックはWeb上でも株主総会の決議事項について、全て承認可決されたことを発表しました。ここにあります。

「10株を1株への株式併合」も「400,000株の新株予約権発行」も可決されました。この結果、現在モック株の株価は4,100円(15時現在)ですから、この株価で株式を購入するとすれば、株式併合後は1株が41,000円の原価となります。

一方で、新株予約権により発行される400,000株に対して香港のMaxi Point Investment Limitedによる払込金額は新株予約権の4百万円と株式払込の60億円ですから、1株あたりの原価は15,010円です。従い、新株を36.6%の金額で有利発行することとなります。

当然長期に保有されておられる相当以前にモック株を取得された方の原価はずっと高いのであり、最高株価としては1株10万円を超えていた時もありました。モックが発表を行った9月7日の株価終値は8,680円でしたから、この時点をベースにするのが、合理的としてもMaxi Point Investment Limitedに対しては、17.3%相当の金額で同じものを発行することでした。

そこで私の疑問は、会社法247条2号あるいは会社法210条2号により有利発行の差し止めが可能であるかです。実は、株式併合や定款変更は2/3以上の特別決議ですから、第3号議案の有利発行についても2/3以上の賛成で成立したと思います。ブルドックソースvsスティールの場合、一審は2/3以上の賛成を重くおいて判断したと理解します。但し、対価はステールのTOB価格と同一値を付けたので、36.6%や17.3%なんて金額ではありませんでした。2/3以上が賛成しているから、36.6%や17.3%でもよいではないかとの判断になるのでしょうか?(差し止め請求はあるのでしょうか?)

もう一つは、会社法831条1項3号であります。これについては、資本金1香港ドル(13円)のMaxi Point Investment Limitedの実像・実態が分からない以上は何も言えないのですが、もしかして2/3の賛成側に回られた株主の方は、何かご存じなのでしょうか?あるいは、どうなるか分かりませんが、今後まだニュースが出てくるのでしょうか?

9月15日にエントリーを書いた時は、表面に出てきている株主は33%強でした。従い、株主総会で否決される可能性もあるのではと思っていました。しかし、実態は、表面には出てきていないが、このことを仕組んだ誰かがいたと言うことなのかなとも思ってしまいます。

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2007年9月25日 (火)

円天を知りませんでした

また、ろじゃあサンのブログにあったのですが、円天なんて知りました。次の読売新聞の記事をごらんになって下さい。

読売新聞 9月23日 独自通貨「円天」の健康商品会社、会員5万人への配当停止

円天のホームページはここです。色々読んでみると恐ろしい話ですね。

1) うまい話は存在しない

読売新聞には”「1口100万円の協力金を預けて会員になれば3か月ごとに9万円の配当を支払う」、「1年後の満期には元本を返金する」などとうたって、会員の勧誘を始めた。”と書いてあります。3ヶ月ごとに9%ですから、年にすると36%です。

円天ホームページの先のあかり会員という所を見ると、「1口1万円以上の現金をL&Gに1年間預けると、同額の円天が受取れます。」と書いてあります。利子率年100%です。

「うまい話は存在しない。」というのが、この世の法則だと思います。もし、存在したならば、絶対誰にも教えません。自分一人で、利益を得ます。オレオレ詐欺にかからない大阪のオバチャンなら「そんなアホな!そんなエエ話あれへんで!絶対に嘘やで!」と言うのではと思うのですが。

2) 5万人から1000億円をだまし取ったのですか

読売新聞の記事には、「同社の会員は約5万人、集めた資金は約1000億円に上るとみられ・・・」と書いてあります。銀座にも店舗があったようですが、この円天をやっていたL&Gなる会社は、初めからお金をだまし取る計画であったと私は思います。即ち、ビジネスを展開できる絵が、どうして書けません。

同記事には「今年2月以降、配当の支払いを中止し、各地の消費生活センターに苦情が相次いでいる。」、「社員の大半を解雇したことも判明」なんてありますが、そうなると詐欺の首謀者・実行者達は、まだどうどうとしているのでしょうかね。私なんか、刑法でとっくの昔に警察の捜査が入っていると思ってしまうのですが。

それと、こういった事件の場合の悲惨さは、だまし取ったお金を隠されてしまうことだと思います。結局、被害者には、ほとんど戻ってこない。消費生活センターに苦情が2月頃から入っていたのであれば、何故すぐに手が打てていなかったのかと思います。(現状も、よく分からないことが多いですが)

このブログこのブログを見てみると、少し前から円天について騒がれていたようですが。

3) もしかしたら周りに同じような話が

もしかしたら周りに同じような話があるかも知れません。昔聞いた話に、「ガソリンスタンドが給油券を発行して、当然通常価格より安いわけで、販売した後に親爺はドロンをする。店は倒産し、券を買った客はガソリンや軽油を入れることは出来ず、券は紙切れになってしまう。」なんて。

今は、プリペイドカードなんて、よく出回っていますけど。よほど信頼できる相手のプリペイドカードでないとカード会社が発行したカード以外は怖いと思います。エステ店が、そのようなカードを発行していることもあるようです。例え、店が倒産しなくても、返金にはなかなか応じようとせず、無理矢理押しつけ販売と同じ結果になる。

そういえば、日本の携帯電話の通話料金て高いですね。0円携帯なんて、大嘘がまかり通っていますね。寡占だからでしょうか?

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2007年9月23日 (日)

消費者金融クレディアへの再生債権の届けは大変

本日のろじゃあサンのブログを見て、暫くして、これは大変ではないかと思いました。株式会社クレディアは、静岡市に本社がある消費者金融等金融サービスの会社です。クレディアは、9月14日に東京地裁に民事再生の申し立てを行い、9月21日に民事再生手続開始決定がなされました。関連の静岡新聞の記事とクレディアのプレスリリースを掲げておきます。

SBS動画ニュース 民事再生法適用を申請 クレディア
静岡新聞 9月22日 生手続き開始決定 クレディア、支援企業探しへ
9月14日プレスリリース 民事再生手続開始の申立てに関するお知らせ
9月21日プレスリリース 民事再生手続開始決定のお知らせ

原因は、グレーゾーン金利の返還に伴う損失と会計基準変更による経営悪化でしょうが、もしかしたら、弱者切り捨てに向かう恐れがあると思ってしまったので、少し書いてみます。

1) 再生債権の届出期限11月26日

9月21日のプレスリリースに再生債権の届出が11月26日までと書いてあります。再生債権の届けとは、民事再生法94条に次のように規定されています。

第94条 再生手続に参加しようとする再生債権者は、第34条第1項の規定により定められた再生債権の届出をすべき期間(以下「債権届出期間」という。)内に、各債権について、その内容及び原因、約定劣後再生債権であるときはその旨、議決権の額その他最高裁判所規則で定める事項を裁判所に届け出なければならない。

再生債権とならなかったら、再生計画に基づく弁済を受けられないと思うからです。

通常の会社であれば、一般の債権者は受取手形や売掛金を有している債権者であり、受取手形のコピーや売買契約と受け渡しを行った証明を付ければ債権として立証することが出来ます。ところが、グレーゾーン金利の過払い金利に対する返還請求権については、過去の消費者金融の契約書、元利返済実績、過払い金額を算出する計算書を示して届出をせねばならず、過去に返済のための新規借入を行ったりして相当複雑な場合もあるのではないかと思います。

私も、消費者金融で借入をしたことがないので分からないのですが、そもそもそういった書類が消費者金融の方から、どのような形で渡されるのか、返済は自動引き落としなのか、また借りた方の人は例えば書類を保管していなかったり、何年も前のことなら、どこに行ったか、捨ててしまったかも知れないという方も多いのではと思うのです。

参考に静岡新聞の記事を一つ掲げておきます。

静岡新聞 9月19日 週末にクレディア利用者向け無料相談 県司法書士会

実際の借入においては、手数料や保証料を徴収されていたり、おそらく自分自信で再生債権の届出を行うのは大変で、弁護士・司法書士に依頼しないと大半の人は困難ではないかと思います。しかも、期限は11月26日であり、2月と少ししかありません。

2) グレーゾーン金利とは

2006年12月13日に「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、利息制限法を超える金利による貸付は行政処分の対象となったのですが、この部分については2009年7月頃からの施行と理解します。つまり、利息制限法の上限金利を超えていても、現状罰則はないと思います。(上限金利を超える金利がグレーゾーン金利であります。)

では、何故との疑問になりますが、現在消費者金融をおそっているのは、「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」ではなく、[平成18 年10 月13 日付の日本公認会計士協会による「消費者金融会社等の利息返還請求による損失に係る引当金の計上に関する監査上の取扱い」]であり、グレーゾーン金利に対して全額引当金を計上しないと監査済み財務諸表が作成できないからです。

クレディアの9月14日のプレスリリースにあるとおり、クレディアは209億円の利息返還損失引当金を債務に計上しています。しかし、これは引当金であり、実は法的な債務ではありません。誰も、法的な債務として認識していないと言えるのではと思います。「将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高、かつ、その金額を合理的に見積った残高」です。グレーゾーン金利の返還額を再生債権として届出を行った場合、多分認められるとは思うのですが、考えれば認められる保証はないのだと思ってしまったのです。

3) まさか銀行が得をするのでは?

クレディアの債務金額は758億円で、そのうち利息返還損失引当金が209億円。従い、残額は549億円になりますが、金融機関などからの借入金511億円ですから、93%が金融機関等です。この内訳について、参考までに、2007年3月末の有価証券報告書を見てみると短期・長期借入金合計が565億円で、そのうち359億円が地方銀行です。

このSBS動画ニュース によれば静岡県内の地方銀行の合計は静岡銀行、清水銀行、静岡中央銀行、スルガ銀行を合わせて90億円でしょうか。

もしグレーゾーン金利について再生債権として届出がなされた金額が小さかったり、否認される金額が多かったなら、金融機関等は全額弁済を受けられる可能性があります。実は、クレディアは債務超過ではありません。2007年6月末で株主資本が連結で139億円あります。利息返還損失引当金の209億円は、届出があったとしても、この金額にならない可能性もあります。

銀行がグレーゾーン金利についての再生債権の届出をコントロール出来るわけはないので、銀行が仕組んだわけではないでしょうが、不思議な思いがした民事再生手続開始決定であります。

この直前のエントリーがニコスでした。消費者金融は、これから、どのようになるのでしょうか?

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2007年9月21日 (金)

ニコスはMUFGカード会社へ

本日の気になったニュースは、以下でした。

日経 9月20日 ニコス、1000億円赤字・今期下方修正、従業員4割削減

気になった理由は、本年4月にDCカードと合併をした元日本信販のニコスが1000億円の赤字で、従業員を4割も削減することになったのか、もし、そうであるなら他の消費者金融会社はどうなってしまうのだろうと思ったからです。見ていくと、やはり、少し違った面が見えてきました。

1) ニコスの発表

この発表が一番まとまっていました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の事業戦略の一環と思います。即ち、本年4月のDCカードとニコスの合併時に計画されていたのだと思いました。本日同時に、ニコスの個品割賦と呼んでいる商品クレジット部門をジャックスに譲渡することを発表しています。その結果、ニコスはカード関連を中心にしていくと、例えば、このパラグラフの冒頭に掲げた発表のファイルの29/30ページにもあります。21/30ページによれば、来年初めにはMUFG Cardが出てくるようです。

2) 従業員4割削減

1)の冒頭ファイルの14/30ページに早期退職に伴う構造改革引当金354億円と記載があります。人員削減の人数は、本年4月にニコス5595人とDCカード1100人が合わさったので、6695人になったわけです。そして、今度は2890人の削減です。354億円を1人あたりの平均にすると12百万円になるのですが、元々1400人の削減予定であったので、追加の人数分が354億円だとすると1人あたり平均24百万円近くになります。規定通りの、退職金も支払われるわけで、これが積み増し退職金の額だとすると、やはりMUFGが取り組む戦略だなと感じました。(人員削減費用は14/30ページ)

3) 19年業績は当初計画比1273億円のダウン

業績の見通しが1273億円ダウンしますって、なかなか言えないことと思います。その内訳は、10/30ページにあります。1273億円のうち、711億円が利息返還引当金、貸倒引当金、債務整理増加等です。18年度に利息返還等引当金を141億円積み増しをしています。ニコスの場合は、グレー・ゾーン金利がそれほど多くないと思うのです。でも、これですから・・・・。と言うことは、消費者金融会社の実態が、怖くなる気がします。サブプライムによる金融機関のロス発生なんて米国のことかと思ったら、実は日本のグレーゾーン金利の撤廃と格差社会のことだったりして。

4) 1273億円の処理

これがすごいですね。たちどころに、消えますから。即ち、MUFGは、1200億円で第3社割当増資に応じます。そうするとニコスの資本金と資本剰余金がそれぞれ600億円増加します。でも、直ちに資本金と資本剰余金をそれぞれ600億円減少します。何をやっているやらですが、ニコスには1200億円マイナス手数料及び経費の1197億円が入ることと、資本金及び資本剰余金減少差益1200億円が計上されて、赤字がなくなります。所詮、このあたりの取引は、2008年8月には株式交換によりニコスが上場会社ではなくなり、MUFGの完全子会社となっているのでしょうから、手の内で遊んでいるような気がします。(このあたりは、このプレスリリースに書いてあります。)

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2007年9月18日 (火)

光市事件に関するもう一つの裁判

光市事件は、本日から、広島高裁で差し戻し審3回目の3日間連続集中審理がで開始されました。

中国新聞 9月18日 「傷害致死知らなかった」 母子殺害の元少年が殺意否定

もう一つの裁判というのは、光市事件の弁護団(22名)のうちの弁護士4名が、個人として9月3日に広島地裁に大阪弁護士会所属の橋下徹弁護士に損害賠償を求め損害賠償の民事裁判を提起しました。この、もう一つの裁判も多くの方はご存じと思いますが、3日間の集中審理が始まったことを機会に少し書いてみます。

1) 橋下徹弁護士は自ら手を汚さず

TVで一般の人に対して弁護士会に懲戒請求をさせるべく煽っておいて、自らの手は汚さずというのは、悪人のすることらしいなと思います。結果、全国の弁護士会に約4000通の光市事件の弁護団にたいする懲戒請求が送られてきた。その結果、弁護士会は、事案の調査をすることとなる。

その第一歩として、当然懲戒請求を行った人に対して、その事由の説明を求めることになる。教えて!gooのこの質問(6月24日)のように、「今日、第二東京弁護士会から配達証明が着きました。・・・・・懲戒請求を取り下げたいのですが。・・・・・」といったのがあります。最後は、「やはり、懲戒請求は取り下げます。」となっているので、取り下げをされたと思いますが。

ヤメ蚊さんの6月16日のブログには、「橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなた、取り下げるべきだとアドバイスします! 」というのがありました。

懲戒請求とは弁護士法58条1項ですが、第2項と共に以下に掲げます。

第58条 ① 何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。
② 弁護士会は、所属の弁護士又は弁護士法人について、懲戒の事由があると思料するとき又は前項の請求があつたときは、懲戒の手続に付し、綱紀委員会に事案の調査をさせなければならない。

誰でも、懲戒を求めることが出来ますが、当然その事由を説明する必要がある。もし、不当な理由であれば、請求をした人は、損害賠償の訴えを提起されることがあり得る。不法行為を構成すると考えるべきです。普通に考えれば、他人に懲戒を求めるに当たり、確かな根拠なくしては行ってはならず、軽いのりでするようなことではないはずです。

2) 損害賠償の民事裁判

民事裁判は、扇動者である橋下弁護士に対してなされました。その理由、裁判の目的等は、この民事裁判の原告側弁護師団(光市事件の弁護団ではなく、民事事件の弁護団)がホームページをここに開いて、説明をされています。その中に、提訴記者会見プレスリリース があり、

・・・・弁護士会内部で非公開の手続で行われる懲戒手続よりも,公の場で第三者たる裁判所の判断を求めることができる裁判による方が,より公平で公正な判断を受けられると考えました。」との文章があります。そして、

刑事告訴をするとすれば,橋下氏は実際に懲戒を申し立てた人に対する教唆犯あるいは間接正犯であるという形になり,懲戒請求者に対する取り調べがなされる可能性もあります。しかし,懲戒請求者は,橋下氏による扇動の被害者としての側面もあるので,これまでの請求者に対する責任追及は原告らとしても本意ではありません。」として、悪徳弁護士橋下をターゲットにすることが、必要であるとの判断です。

第1回口頭弁論は9月27日に開かれるようですが、原告に勝訴して欲しいと私は思っています。

3) TV局他マスコミの責任

民事裁判の原告側弁護師団は「テレビ局を被告として損害賠償請求をするつもりはありません。」とされておられ、それはそれでよいと思うのですが、だからTV局は正しいとはつながらないはずです。私にすれば、共犯の扇動者です。コンプライアンスとCSRが全く欠けたTV局です。生放送等で、出演者が話すことをコントロール出来なかったとしても、その後にTV局としての見解を2-3日後になったとしても伝えることが出来たはずです。TV局には顧問弁護士が不在か、馬鹿弁護士しかTV局は雇っていないのだろうと思ってしまいます。(あるいは、TV局に訴訟を提起してくることはないと読んで、逆に視聴率重視を進言したのでしょうか?)

毎日新聞のニュースですが、9月13日 光市事件:「報道を検証する会」がテレビ局に申し入れというのがあります。また、中国新聞 9月17日 河野さんが過熱報道を指摘という記事もあります。河野さんは、松本サリン事件でマスコミに犯人扱いで報道された方です。

果たして、放送倫理・番組向上機構が取り上げるかどうか、分かりませんが、せめてTV局も正しいことを伝えたり、社会の役に立つことを少しはして欲しいと思います。(娯楽提供により、社会の役に十分立っていると主張されるでしょうか?)

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2007年9月15日 (土)

株式会社モックをめぐる推理

株式会社モックを私も知りませんでしたが、本日次のブログが取り上げておられるのを読んで、私なりに調べてみましたが、恐ろしい世界を見たような気がしました。

磯崎さんのIsolog モックの件から改めて振り返る、ブルドックの新株予約権の会計処理の適正性
toshiさんのブログ モック社に対する東証の公表措置
大杉さんのブログ 締め出しの正当性

1) 上場会社が一般株主を閉め出す提案が許されるのか?

モックは東証マザーズのコード:2363で上場している会社です。モックは9月7日に10株を1株への株式併合400,000株の新株予約権発行を同時に発表しました。モックの株式併合の発表に記載がありますが、株主の80%以上は10株未満の株式保有です。従い、10株未満保有の株主は併合結果、なにがしかの金銭対価を得ますが、株主ではなくなってしまいます。そして、株式併合結果、発行済み株式数は11,293株(現在のままとした場合で、10株未満の売買により10株以上保有株主が増加することもあり得ます。)となり、400,000株の新株予約権が行使された場合には、発行済株式数が411,193株となり、400,000株の新株予約権の保有者が97.25%保有の大株主となります。上場廃止に向かうかも?

これが、取締役会で決定できるかというと、株式の併合は会社法309条2項の株主総会の2/3以上の株主総会特別決議が必要とされ、現在のモックの定款による発行可能株式総数が300,000株であることから、定款変更が必要で、定款変更も2/3以上の株主総会特別決議によらなければなりません。定款変更のモック発表はここにあります。

果たして、こんな提案を上場会社がして良いのだろうかと思うわけです。東証は、ここにあるように流通市場に混乱をもたらすおそれがあると公表しました。

2) モック株主総会

モックは6月決算の会社であり、9月26日が株主総会です。10株未満保有の株主は数では80%を超えますが、株式数では13.2%です。だから、大株主が賛成をすると2/3の特別決議が成立することとなります。さあ、大株主とは、モックの新株予約権に関する発表では、以下です。

山田 信房                   24.64%
三井物産株式会社              2.23%
バークレイズ・キャピタル証券株式会社 1.19%
小山田 壮権                  1.04%
株式会社マルチメディアネットワーク   0.91%
鷲見 貴彦                   0.80%
細谷 公敏                   0.74%
松川 和宏                   0.74%
リーマンブラザーズインターナショナルヨーロッパ 0.69%
座安 正                     0.67%

東証が上で紹介したように、公表しているわけで、CSRなりをきちんと対応される会社はおそらく反対に回るのだろうと思いますが、個人株主について社会的責任まで第三者が意見を言えるのか疑問があると思います。ここは、結果をみるしかないのでしょうか?それと、万一の場合、2/3の特別決議が成立した場合に、CSRを基本方針としておられる会社は株主として会社法247条2号等で取り消しを求めて法廷で争って行かれるでしょうか?実は、このあたりも、今後の興味ある点かなと思います。

マザーズではありますが、一般投資家らから、資金を調達していた。おそらく一般投資家の中には、株主に一流企業の名前があるから安心して投資をされた方もおられると思います。その方々に、損害補償までする必要はないと思います。しかし、公正に扱われるように尽力することは、CSRの一環として一流企業であるからこそ取り組むべきであると私は思います。

3) モックをめぐる不穏な噂

私も知りませんでしたが、Webを探すと色々ありますね。2007年2月16日 モックの大株主に登場した生田澄子氏の〝闇〟とか8月6日 モックの不透明な大幅下方修正発表 とかですね。どちらも、メディアリンクス事件に絡んだ人物の名前が出ています。

それでなくとも、400,000株の新株予約権の発行相手です。資本金たった1香港ドル(13円)のMaxi Point Investment Limitedという会社です。そんな会社が60億円モックに出資をするのです。実際の資金の出しては、裏に隠れていると思います。どんな金か?何を狙っているのか、闇であります。もしかしたら、モックの現株主の誰か、現取締役の誰かが仕組んでいたり、仲間になって実行している計画であるなら、企業犯罪小説のようになってきます。

メディアリンクス事件を書いている高橋篤史氏の「粉飾の論理」という本に書かれているのは、そんな世界です。ちなみに、生田澄子氏が出てくるのは、この本の212ページあたりです。

ライブドアで有名になったMSCBを大量に発行していたり、生田澄子氏が関与しているという投資事業組合に株式を発行したり、モックの実態がいつかは出てくるのでしょうか?もし、今回の一般株主締めだしの株主総会の2/3特別決議が成立しても、会社法831条1項3号による決議取り消しの訴えの請求があり得ます。株主となっておられる企業において、これに該当する可能性がある情報を得ているなら、企業のCSRとして請求して欲しいと思います。

一般投資家も、リスクを認識して投資をすべきと思いますが、企業の場合でも、投資先が上場会社ということで安心して投資をするのではなく、むしろ株主としては小さい持ち株であっても投資先が上場企業であるからこそ一般投資家のために率先して会社を管理する必要があるのという部分を認識して投資すべきであると思いました。

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2007年9月13日 (木)

安倍首相の入院

この話題を続けすぎでありますが、安倍首相「機能性胃腸障害」と診断・3―4日の入院必要 (日経)については気になるもので、医師が書いておられるブログを探してみました。

北のCOSMOSさんの社会と医療=本音のカルテ=が書いておられました。

『3,4日の安静、加療』である程度治るのであれば、わざわざ、「職を辞する」ことはありませんでした。首相代理を立てて、1週間ぐらいの入院をすればすむことです。”ということであれば、このような辞任をしなくても良かったのだろうなと思います。

まだ別に理由はあるのでしょうか?

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2007年9月12日 (水)

安倍首相の辞任(その3)

ついにその3を書いしまいます。

安倍首相の辞任について、メディアも様々なことを書いていますが、私は、次のReuter、New York TimesとWashington Postを見ました。

Reuter :Japan PM Abe quits after year of scandal
New York Times : Japanese Premier, Losing Support, Resigns
Washington Post : Japanese Prime Minister Abe Will Resign

New York TimesとWashington Postは、登録が必要なはずで、一応続きを読むに入れておきます。

3メディアの記事について、

Reuterの記事が指摘している点では、日本の株式市場と円為替レートに対する影響ですが、タダでさえサブプライムローンに端を発して、株安、円高となっていますが、Reuterの記事のように、マーケットはその影響力以上に雰囲気で動くことが多く、やはり株安、円高が今以上に進む可能性が高いと私も思います。

次のNew York Timesの記事に関連してですが、「Opposition politicians have suggested that Japan has refueled American vessels that were involved, not in Afghanistan, but in Iraq. In addition, they have said that Japan’s air force — which has been transporting American troops between Kuwait and Baghdad — has clearly overstepped its stated mission of engaging in humanitarian activities.」の部分ですね。テロ対策特別措置法延長にあたっては、この「イラク戦争に関係する艦艇への燃料補給疑惑」と「米軍の武器輸送従事疑惑」について否定する説明とその担保についてが、従来以上に国会で求められるのだろうなと思うのですが。

Washing Postの記事に関しては、「Though Aso is considered a front-runner to succeed Abe, it is not clear whether he has the political clout and popular support to stop the LDP's slide in popularity.」の「麻生幹事長が次の総理大臣になっても、自民党の任期下落を食い止めることが出来るのか不明である。」についてです。どなたが、次期総理大臣に就任されるか分かりませんが、自民党にとって相当厳しいだろうと思います。やはり、政界再編でしょうか?

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安倍首相の辞任(その2)

続けて、安倍首相の辞任について書きます。「やはり、これは?」と思うものですから。

最初に誰に辞意を伝えるかは、その時、それぞれであって良いと思います。ドタキャンをすることは、その相手に対して失礼なことです。その相手が、今回は国会ですから、やはり国民に対して失礼でありすぎるのではと思います。個人的な相手であれば、その個人との間だけであり、第三者がとやかく言うことではないと思います。

ところで、前のブログは投稿後に安倍首相の第168回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説のリンクを後で追加貼り付けをしたのですが、所信表明演説と本日14:00から安倍首相が行った記者会見(NHKで中継を見ましたが)と乖離がありすぎると感じました。

例えば、

所信表明演説では、
私は、この一心で、続投を決意しました。初心に戻り、厳しい選挙結果を踏まえた「反省」と、国民のために闘うとの「覚悟」を持って、引き続き改革に取り組むことにより、国民の皆様に対する責任を果たしてまいりたいと思います。
が、記者会見では
首相は午後2時からの記者会見で辞任を決断した理由として、「国民の支持、信頼の面で、力強く政策を前に進めていくことは困難な状況だ。ここは自らがけじめをつけることによって局面を打開しなければならないとの判断にいたった」と語った。(読売新聞の記事から

となります。

翌々日になれば、全く変わる。エーであります。

首相の所信表明演説とは、そんなに軽いものであって良いのだろうかと思います。

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安倍首相の辞任

たった今、NHKで見ましたが、安倍首相が辞任を党幹部に伝えたと聞きました。3新聞の記事を掲げます。

読売新聞
朝日新聞
日経新聞

すごい人だと思いました。普通の人であれば、「参議院選の結果で、辞任を表明した。」、「衆議院の本会議のドタキャンはしない。」であろうと思います。(ちなみに、本日の衆議院は、9月10日の安倍内閣総理大臣の所信表明演説に対する国務大臣の演説に対する質疑でした。

それと、このニュースの伝わり方です。自らが、国民・選挙民に対してその理由を示して、自己の信念と今後を伝える。総理大臣だったのですから、(国民が直接投票をしたわけではなく、国会(衆議院議員)の議決で指名したのですが。憲法67条)これでは、国民のために任務を果たしていたと言えなくなってしまうと思いました。

この結果は、どうなのでしょうか?私にとって、一番打撃を受けたのが、自民党だと思うのですが。最も、自民党員が総裁として選んだから仕方ないのか。あるいは、今後、政界再編へと大きく動くきっかけとなるのでしょうか?

蛇足ですが、経営コンサルタントとして、経営者の方々、会社を存続・発展させていこうと思うなら、このような辞任の形は避けた方が良いと思います。辞任せざるを得ないことは、あると思います。その際は、他の経営幹部、従業員、主要取引先、借入銀行等には、了解が得られずとも良いから、意向を伝えてから、辞任すべきであります。

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2007年9月10日 (月)

映画シッコ

マイケル・ムーアの「シッコ」(SiCKO)を先日見てきましたが、その感想等を書いてみます。

1) アメリカ医療制度(医療保険)から見た日本

「シッコ」を見て、アメリカのことであり、アメリカはクレージーだと感じただけだったら、つまらないと思います。もしかしたら、明日の日本のことになるかも知れない。それを感じますが、例えば、慶應義塾大学権丈教授も、次の勿凝学問103と104で文章を書いておられます。

・ 勿凝学問103 マイケル・ムーア『SiCKO』のすゝめ それと日医「医療政策会議」で紹介した在日米国経済公使ズムワルト氏の談
・ 勿凝学問104 マイケル・ムーア『SiCKO』の僕なりの見方 社会保障問題とは結局のところ財源調達問題に尽きる

権丈教授の文章の中で、もしそうだったらと、思ってしまったのが、次の一文です。(勿凝学問104の1ページ目の下あたりから)

あの映画、たしかに、マイケル・ムーア監督が訪れたカナダ、イギリス、フランスがかかえる深刻な医療問題については触れてはいない。しかし、それはそれで良いと、僕は思っている。なぜならば、カナダ、イギリス、フランスの医療問題は、今ある制度に公費を投入すればおおよそ解決する問題であるという意味で、これら3カ国がかかえる医療問題は財源調達問題である。いわば、医療制度のあり方を規定するベクトルの方向性は正しいが、いかんせんスカラーが不足していることから生じている医療問題を、これら3カ国はかかえているのである。それに対して、アメリカは、医療制度のあり方を規定するベクトルの方向性が、はじめから間違っている。アメリカがかかえる問題は、今の制度に公費を投入したからといって大きく解決されるような問題ではないのである

せめて日本の医療崩壊は解決できる範囲にとどめておかないと大変なことになると思います。

2) 医療保険

このNew England Journal of Medicine August 23の記事 Election 2008 — Campaign Contributions, Lobbying, and the U.S. Health Sectorは、面白いですね「2008年アメリカ大統領選では、イラク問題は別として、医療問題は移民、経済の問題より重要」と言っていますから。このあたりは、マイケル・ムーアは意識して映画を作ったのだと私は思います。その意味で、アメリカとは面白い国と思います。日本では、誰も格差問題で映画を作ろうなんてしない。(作っても、上映してもらえないと言うべきでしょうか?)

アメリカの医療保険について、李 啓充氏は2月5日の週刊医学界新聞「アメリカ医療の光と影  第101回」で、「米国の無保険社会がここまで深刻化した大元の原因は,医療保険を民間に委ね,市場原理の下で運営してきたことにあった。」と言っておられます。医療保険とは、疾病リスクの平準化と所得格差の平準化の側面を持っています。この2つのリスクの平準化は公的制度でないと実現が不可能です。「民間の論理がよい。」ということや「民で出来ることは民でする。」と言うのが、当てはまらない分野です。民間事業とは、利潤追求により事業永続を計ることです。そして、競争により、品質改善がなされ、供給量が合理的に確保されることです。しかし、万能ではありません。

リスクの高い人には高い保険料が民間保険の原理であり、これをはずしたら競争に負けてその保険会社は倒産する。その結果、保険利用者に損害を与える。しかし、このリスクと保険料の原則は、疾病リスクの平準化と所得格差の平準化には相反します。従い、民間保険には適さない。政府保険を維持することと、税をつぎ込むことの必要性を私は感じます。税収を上げるためには、消費税率、所得税率(累進)、法人税率、相続税率(累進)の全てを少ーしだけ上げればよいものと思います。(所得税だったら、例えば、所得年1億円以上の人だけ少し増税するとか、証券税制を本来の姿に戻すとか)小さい政府を作っても、国民がサービスを受けられないなら、何のための政府かと思いますから。安心して病気になれる方が、精神的に楽です。高齢化社会になったなら、保険会計における保険料収入は下がるし、保険金支出は増加する構造だと思います。さあ、どうしますか?

医療サービスは医療保険と表裏一体の関係であると思います。恐ろしいのは、崩壊すると再建困難になるー再建には超長期を要することと思います。本来なら、あるべき医療を最初に考え、そしてその医療に対して必要な医師・看護師と言った人材・人員(将来計画も含め)を考え、そのための費用を算定する。そして、その費用の捻出方法を考える。ところが、今の政府や厚生労働省のアプローチは、根本的に狂っているのではないかと。増税なしの財政再建が優先であり、税の名目で徴収できないから、保険料を上げ、自己負担を上げ、診療報酬を下げる。その結果、医療崩壊になる。

完全な本末転倒を起こしているような気がします。増税が必要なら、増税です。もしかしたら、参議院選の結果は、それを要求したのでしょうか?何故なら、格差社会の恩恵から取り残された人たちが、勝ったのだとしたら、増税が当然だと思うからです。これ以上、負け組から税を取れません。勝ち組から取るしかないからです。

3) アメリカ医療のある部分

9月3日をもってTaichanは、ブログ「マイアミの青い空」を終了されたのですが、Taichanのブログで私にとっては、衝撃を受けて読んだブログがあります。次の2つです。

米国臓器移植の裏側

緩和ケアの移行が早い

臓器移植に関しては、「ICUに長く入院が続くと患者家族への負担は大です。しかし、臓器移植に応じれば呼吸循環管理費用はドナー管理費用としてGift of Life Donor Program(GLDP)が全額負担となります。」と書かれているのを読んで、そうなんだと思いました。ある意味で、合理的かも知れない。脳死になるまでは、確実に医療を継続してもらえる。脳死患者からの臓器移植って、そんな面があるのだと感じました。

緩和ケアも、「Palliative care緩和ケアへ移行するのがここでは早い。意識レベルの改善がみられない、画像所見からこれ以上の回復が見込めないと判断されると状態が安定して2日目に家族へ主治医から緩和ケアの話が切り出される。アメリカでは重症患者への医療費高騰に対する解決策として緩和ケアの導入が始まった経緯があり、癌末期患者に対する緩和ケア同様、脳卒中患者で意識障害が不可逆的と判断されると家族へのアプローチが早い。」と書かれておられ、その一因がICUの治療費が1日40万円程度で、保険がないとなると、経済的な理由と緩和ケアへの移行が結びつくのだと改めて認識します。

医療は、国により制度が大きく異なります。どのような制度がよいのか、私たちは、自分たちのための制度を作り、維持していくことが重要だと思います。厚生労働省が、作ってくれるわけではありません。マスコミも作らないですね。

4) 週間東洋経済TKプラス

週間東洋経済TKプラスにも、「医療費増大という悪夢が社会主義の復活を招く?」ハーバード大学教授 ケネス・ロゴフが載っていましたので、紹介しておきます。

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2007年9月 6日 (木)

光市殺人事件が裁判員制度での裁判であったなら

「光市殺人事件が裁判員制度での裁判であったなら」なんて、嫌なことは考えない方が、良いのでしょうね。ヤメ記者弁護士さんの9月3日のブログが弁護団が作成した「Q&A(弁護団への疑問に答える)」を紹介されておられ、このQ&Aを読んで、そう思ってしまいました。なお、このQ&Aは、寺本弁護士の9月3日のブログによれば9月3日に愛知県弁護士会会館で開かれた光市母子殺害事件弁護団報告集会で配布された資料です。感想を書きます。

1) 弁護団の主張

勝田清孝と来栖宥子の世界というホームページのWebの先にこのページがあり、ページの下部分に、最高裁における高裁弁護人弁論要旨、弁論要旨補充書、鑑定書-鑑定人:上野正彦(結論部分だけ)、差し戻し審関連の記事等(最高裁検察官弁論要旨もあります。)があります。(すごい量です。大量資料と称することとします。)

弁護団の主張は、「事実に基づく公正な裁判」につきるのだと思います。大量資料の中にある光市最高裁判決と弁護人バッシング報道 安田好弘(3)に、

彼(被告人)が法廷で事実について聞かれたのは、1審、2審を通じて、1審の10分間くらいのことです。その質問の中で聞かれたことは、問と答えで約20分間程度ですから、ほんのわずかです。

と書かれています。Q&Aでは、

Q どうして差戻し前の弁護人は,最高裁までの7年間も,差戻審の弁護団のような主張をしなかったのですか。
A 私たちは,回答すべき立場にはありません。私たちが言えることは,これまでの裁判において審理が不十分であったということだけです。

となっています。

2) この事件の嫌な点

私には嫌な点が沢山ありすぎる事件です。その中の一つに、被告人が拘置所から隣の房にいた少年に対して書いた手紙があります。広島高裁判決文では検察側主張として次のように触れられています。

被告人は,遺族に対しては,謝罪の手紙すら一度も書いたことがないにもかかわらず,友人に対しては,わいせつな話題,出獄を心待ちにしている様子,検察官に対するひぼう,本件各犯行を茶化した記載など,不謹慎極まりない内容の手紙を書き送っているのであり,現在に至るも罪の重さを全く自覚しておらず,およそ真しな反省の態度が認められない,と主張する。

拘置所からの手紙は検閲され、そのような内容の手紙は普通は出せない。検察が私信を手に入れることはできない。裁判所が証拠としてとりあげない。これが、私の常識なのですが、この裁判では私にとっての常識が破られています。

ちなみに、大量資料安田好弘(3)では、次のようになっています。

それは隣の房にいた子どもが、小説家になりたいという希望を持っていて、彼からすれば、死刑を求刑されるような事件をやった被告人は関心の的であったわけです。文通の相手は被告人を偽悪的にもてはやします。そして、そのもてはやし、挑発といってもいいのですが、それに乗せられて書いたのが例の手紙であったわけです。しかし、そういう個人的なてがみのやりとりが、そっくりそのまま検察の手に渡って、検察が証拠請求してきたんです。検察官は、その手紙を盾にとり、裁判官と弁護士だけでなく被害者や被害者遺族も被告人に愚弄されている、絶対に許すわけにいかないと声高に主張を続けたのです。

Q&Aでは、直接触れられていませんが、次のQ&Aがあります。

Q 被告人の態度が悪いといわれていますが,被告人は,差戻審前に被害者や遺族を侮辱したことがありませんでしたか。
A 通常の少年事件の場合,その少年の精神的な未成熟性を考慮して,専門的な知見に基づき処遇する中で,少年も事件に向き合い,被害者遺族や被害者に対する順罪の意識が真に根付いて,更生へと至るものなのです。
  しかし,被告人の場合は,犯行当時の人格特性や精神的に未発達な状況のまま放置されており,また,更生に向けての処遇などは一切なされていません。自己の行為に直面し,自分がどういう生い立ちをし,何を課題として抱えているのか,あるいは解決していないのかを,丁寧に寄り添いながら処遇されなければならないところ,そのようなことが全くなされてはいませんでした。
  したがって,被告人自身が,反省をしていても,その表現の仕方が分からないことに加えて,被害者遺族がどういう思いをしているのか相手の立場に立って考え,被害者遺族を傷つけないで自らの気持ちを表現するにはどうしたらよいのか,などの配慮を欠いていた状態であったことは否めません。

3) 結論は?

どうなるのでしょうね?殺人を犯していることに間違いはありません。だから死刑と短絡して良いのかと思います。即ち、この事件で言えば、検察は死刑を求刑している。遺族は死刑と言っている。遺族に対して与えた苦しみは大きい。でも、死刑の判断を下すことは、容易ではない。無期と死刑と、その差はどこで分かれるべきか?色々悩むと思います。

もし自分が裁判員に選ばれているとするなら、死刑とは、自分が裁判員となった裁判で下したくない判決です。裁判員制度はこの裁判員制度Q&AのQ24にあるように評議に加わり裁判官3名と裁判員6名の裁判員の多数決で無罪、有罪、有罪の場合の量刑を決めることになります。そして、評議については裁判員制度Q&AのQ29にあるように刑事罰が科される守秘義務があります。評議において、自分を含め誰が何を言ったか、多数決の人数を外部の人に言うことは出来ません。当然のことですけれどね。もし、自分がどのような意見を出したか判れば、被害者または加害者から、恨まれるでしょうね。

プロの裁判官に任せたいというのが、本音でしょうか?でも、どうして裁判官3名に対して裁判員6名なんて数になったのでしょうね。いずれにせよ、国民的な議論がないままに、成立してしまった法律である気がします。

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2007年9月 5日 (水)

遠藤元農相辞任となった農業共済組合の補助金

農業共済組合の補助金って、単純ではないんですね。朝日の次の記事から、追っていったのですが。

朝日 9月4日 「補助金」放置3年 県など責任なすり合い 農水相辞任

1) 農業共済組合

1947年に公布された農業災害補償法により設立された共済組合なのですね。農家が災害等による損失補償を共済により行うために設立し、掛け金を支払い、災害が生じた場合に共済金を受け取る。掛け金については、国庫が2分の1を負担することが農業災害補償法で定められていることから、農家と政府が同額を拠出する。

置賜農業共済組合のWebにこのような説明がありました。遠藤元農相が辞任となった原因は、ぶどうに関する果樹共済ですが、果樹共済についての置賜農業共済組合の説明はここです。

2) 農業災害補償制度

農水省は、この説明で次のようにで言っています。

農業災害補償制度は、国の災害対策として実施される公的保険制度です。災害により被害を受けた農家の救済を合理的に行う観点から各地域ごとに農家が組合を設立し、共済掛金を出し合って協同準備財産を造成しておき、災害があったときはその共同準備財産から被災農家に共済金を支払う、農家の自主的な相互救済を基本とし、これを保険のシステムにより全国に危険分散することとしています。

この機構図によれば、政府のお金は、事務費負担・補助として農業組合共済連合会と各農業共済組合に出て行きますが、多くは保険事業を行うための特別会計に出て行き、特別会計には組合員が支払った掛け金がプールされ、災害があったときに保険金として特別会計から支出される仕組みと理解します。

そうなると、例えばこの読売の記事記の「農業災害補償法に基づく共済掛け金として国が補助した約115万円を不正に受け取り」「国の補助金約115万円が不適正に組合側に支払われた。」ということとは少し違うような気がします。この産経の9月4日の論説も、「作物被害を補償する共済の加入者を水増しする方法で、農家と国が折半する掛け金について、国の負担分115万円を不正に受け取っていたものだ。」と言っているのですが、やはり違う気がしてならないのです。読売の記事に「99年は共済の対象となる被害はなく」とありますので、政府の一般会計から特別会計に115万円から事務費負担・補助を差し引いた金額が移っただけなのかもと思うのです。

3) どのような事件であったのか

理由は、2)で引用した読売の記事に書いてあります。

99年産ブドウの被害を補償する農業共済で、同組合の課長(当時)2人が同年1~3月ごろ、米沢市などの農家計261戸の加入手続きをとったが、うち105戸は名前を勝手に使っていた。無断加入者の負担分約115万円は2人が私費で支払った。

加入者水増しについて、2人は発覚直後、「2000年に他の農業共済組合との合併を控えており、加入実績を上げておきたかった」などと話していたという。

置賜農業共済組合のWebには、「第3次広域合併に伴い、平成12年3月31日、東南置賜管内のNOSAI置賜と西置賜管内のNOSAI西置賜の2組合が合併し誕生しました。」と書いてあるので、平成12年が2000年ですから、一致します。99年産ブドウの被害を補償する農業共済と言うことですから、1999年1~3月頃に行われたことだったのです。でも私費で105万円も支払って、合併を有利にするなんて、そんなことをするのか納得がいかない部分がありますが。

4) どう考えるべきか

遠藤元農相については、甘かったし、問題があったと言えます。しかし、マスコミが不正確な報道を繰り返しと言うより、最近は社説、論説が正確な事実を基にして書かれていないと感じます。農業災害補償制度なんて、少し調べれば分かることです。少しだけでも調査して取材してマスコミも報道を行い、議論をして欲しいと思います。

もともと、しっくりこなかった事件であったのですが、はれた気分になれませんね。でも、農家の方々、頑張ってください。農業は、人が生きるための基礎の基礎です。

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2007年9月 3日 (月)

奈良大淀病院の裁判

ここ2回奈良の妊婦救急車搬送事件についてエントリーを書いたので、マスコミ報道が取り上げていた奈良大淀病院の事件に関する裁判について書くこととします。

1) 裁判

本年5月23日に奈良県大淀町立大淀病院で出産時に意識不明となり、19の病院に転院を断られた後に死亡した高崎実香さんの夫晋輔さん他が大淀町と担当医に損害賠償を求めた訴訟を提起しています。私も5月2日のエントリー大淀病院事件の現状についてと6月26日のエントリー大淀病院に対する民事訴訟の弁論始まるで少し書きました。

私は、この裁判については、被告である医療側を全面的に支持します。正しいことを行って、損害賠償が問題となる社会を望まず、社会正義の通る社会にしたいからです。なお、奈良県(のみとは限らないのが現状と認識しますが)の周産期医療や救急医療には、問題があると思っています。その原因・問題の本質はもっと別の所にあり、単純ではない複雑な問題であると思います。医師や病院を叩いて良い結果が得られるとは思いません。

2) 第2回公判と裁判記録

第2回公判が8月29日に大阪地裁でありました。この裁判の傍聴に行かれた僻地の産科医さんは、奈良大淀病院の裁判傍聴にいってきました!とブログを書いておられます。そて、僻地の産科医さんは「残念ながら裁判官のおっしゃることも、弁護士の方のおっしゃることもぼそぼそしていて聞取りにくかった。」ということで、大阪地裁に裁判記録の閲覧をされて、再び大淀裁判、裁判記録の閲覧情報というこのブログを書かれました。

僻地の産科医さんの閲覧情報によれば、

a) 国立循環器センター(国循)の医師は病理解剖を勧めたが、患者の遺族は「このまま引き取らせてほしい」と回答を行い、病理解剖はされていない。でも、訴訟を起こしました。死因の究明を行うことを拒否して、その上で、医師を訴える変な理屈と感じます。CTは、結局撮影していないんですね、「国循到着:脳血管撮影の余裕なし、直ちに開頭手術」とのことですから。

b) 「被告から原告への釈明(?)要求」の内容を僻地の産科医さんが書いておられますが、これを読むと、被告は何を根拠に訴訟を起こしているのかと思います。嫌がらせでしょうか?

僻地の産科医さんの閲覧情報として、ブログに書かれたことを読んでいただければ、よく分かります。

Dr. Iさんのブログ2006年10月26日の奈良の産科医、詳細12006年10月30日の奈良の産科医 詳細2そして一部削除した経緯を書いておられる2007年5月1日のの大淀病院事件、ネットで詳細に2は、訴訟提起前に書かれておられることですが、医師からの観点がよく書かれていると思います。

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2007年9月 1日 (土)

奈良の妊婦救急搬送

この事件に関して、今一度書いてみます。

1) 妊婦健康診査

救急搬送された女性は、38歳で妊娠7ヶ月であったようです。(例えば、この毎日新聞の記事)高年齢出産となるのですが、妊婦健康診査を受けておられなかった。妊娠していることが分かったら、市町村の役場・出張所に行って、母子健康手帳の交付を受けるとともに、都道府県・市町村からのサポートを受ける。これが、私たちが母子保健法で決めていることです。ちなみに、母子健康保険法の第1条から第3条は以下の条文です。

(目的)
第1条 この法律は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もつて国民保健の向上に寄与することを目的とする。
(母性の尊重)
第2条 母性は、すべての児童がすこやかに生まれ、かつ、育てられる基盤であることにかんがみ、尊重され、かつ、保護されなければならない。
(乳幼児の健康の保持増進)
第3条 乳児及び幼児は、心身ともに健全な人として成長してゆくために、その健康が保持され、かつ、増進されなければならない。

今回の事件についても、母子保健法をまずは考え合わせるべきことと思います。母子手帳の交付を受けて、妊婦健康診査をしていれば、健康診査で母体や胎児の状態がある程度は、分かったはずであり、死産・流産を防げた可能性が高かったと思います。

2) 妊婦健康診査の公的援助

格差社会で、妊婦健康診査も大変です。だから、厚生労働省は、平成19年度地方財政措置で少子化対策により財政拡大がなされたことにより、年14回(財政的に困難な場合でも、最低限5回)の妊婦健康診査を全て公費負担とするように都道府県・政令市・特別区に2007年1月19日に通知を行っています。そして、更に6月26日に市町村に対し周知するようにと事務連絡を行っています。

厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課のこの通知と事務連絡はここここにあります。(社団法人日本助産師会にあったものです。)通知の中で、次のように述べられています。

公費負担の有無にかかわらず、妊婦健康診査の重要性について、妊婦及び一般市民に対する周知・広報に積極的に取り組まれたいこと。

本来今回の事件で、問われるべき一つの点は、奈良県、橿原市が妊婦健康診査について広報活動をどのように行っていたのか、十分であったのかという点であると思います。

3) 産科医を助けてあげたい

日本の今の社会はいじめ社会で、いじめ社会の先端を行っているのがマスコミであるような気がしてしまいます。次の奈良県立医科大学附属病院の発表を読んで、どうお感じになられますか?

今般の妊婦救急搬送事案について(8月31日付)

産婦人科は、8月28日19時から当直医2名(但し、29日2時30分までは当直外医師も重症患者がいたため応援1名あり。)で、朝の5時30分までに5名の緊急患者を受け入れています。記録には、既に入院していた重症患者1名の記述がありますが、この患者の手術は9時から23時まで14時間を要したのであり、相当な重症であったと思います。そして、8月29日の朝に2名の当直医の勤務は終了せず、1名は通常勤務、もう1名は他病院で24時間勤務です。

発表文には、「なお、産婦人科に限らず、救急科、脳神経外科、心臓血管外科、麻酔科等の医師も同様の状況であることを付け加えておきます。」と記載されています。

そこで、8月31日の産経新聞 奈良県の「ドクターバンク」、いまだ登録医ゼロ 産科・小児科 不足解消遠くですが、何故医師が登録しないかよく分かります。

日本の医療崩壊は、こんな形で起こってきているんだなあ!つくづくそう思います。

4) 飛び込み出産の増加

次のJ-Castニュースが、本事件について別の側面を伝えた私が知っている一つです。

J-CASTニュース 8月31日 なぜ産科医は患者を断るのか 出産費用踏み倒しに「置き去り」

この記事に神奈川県立子供医療センターの例として、「1~4月に来た飛び込み出産の妊婦8人のうち、出産費用を払ったのはわずか2人しかいなかった。なかには生まれた赤ちゃんをおいていってしまった女性もいたという」と書いてあります。そして、この朝日新聞(神奈川)7月15日には、横浜市内の病院に勤務する49歳の女性産科医の話として「病院でお産をしたあと、出産費用を払わないで帰ってしまう女性が、ここ2、3年で目立つようになってきた。」と書いてあります。

プライバシーは守らねばならないのですが、実態を正確に把握することが、全ての基本と思います。そうしないと、間違ったことをしてしまわないでしょうか?結論を急ぐより正しい解決の道筋を考えることが重要と思います。

5) マスコミへの問いかけ

マスコミが書いていることは、私が上で書いていることと焦点があっていないと思います。

産経社説8月31日妊婦たらい回し また義務忘れた医師たち
読売社説8月31日妊婦たらい回し 一刻も早い産科救急の整備を(8月31日付・読売社説)
朝日社説8月31日奈良の死産―救急網に穴が多すぎる

とあり、社説・論説はありませんでしたが、しんぶん赤旗の記事で8月30日 たらい回しの悲劇再びというのもありました。確かな野党というからには、確かな視点での記事をお願いしたいと思います。

長くなってしまいましたが、医療崩壊が始まっています。このままマスコミの言うように動いていては、私たちが医療を受けられない状態になる危険性があると思います。首都圏の産科でも、実態は次の通りです。

朝日2006年12月30日「お産ピンチ」首都圏でも 中核病院縮小相次ぐ

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