ニコスはMUFGカード会社へ
本日の気になったニュースは、以下でした。
日経 9月20日 ニコス、1000億円赤字・今期下方修正、従業員4割削減
気になった理由は、本年4月にDCカードと合併をした元日本信販のニコスが1000億円の赤字で、従業員を4割も削減することになったのか、もし、そうであるなら他の消費者金融会社はどうなってしまうのだろうと思ったからです。見ていくと、やはり、少し違った面が見えてきました。
1) ニコスの発表
この発表が一番まとまっていました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の事業戦略の一環と思います。即ち、本年4月のDCカードとニコスの合併時に計画されていたのだと思いました。本日同時に、ニコスの個品割賦と呼んでいる商品クレジット部門をジャックスに譲渡することを発表しています。その結果、ニコスはカード関連を中心にしていくと、例えば、このパラグラフの冒頭に掲げた発表のファイルの29/30ページにもあります。21/30ページによれば、来年初めにはMUFG Cardが出てくるようです。
2) 従業員4割削減
1)の冒頭ファイルの14/30ページに早期退職に伴う構造改革引当金354億円と記載があります。人員削減の人数は、本年4月にニコス5595人とDCカード1100人が合わさったので、6695人になったわけです。そして、今度は2890人の削減です。354億円を1人あたりの平均にすると12百万円になるのですが、元々1400人の削減予定であったので、追加の人数分が354億円だとすると1人あたり平均24百万円近くになります。規定通りの、退職金も支払われるわけで、これが積み増し退職金の額だとすると、やはりMUFGが取り組む戦略だなと感じました。(人員削減費用は14/30ページ)
3) 19年業績は当初計画比1273億円のダウン
業績の見通しが1273億円ダウンしますって、なかなか言えないことと思います。その内訳は、10/30ページにあります。1273億円のうち、711億円が利息返還引当金、貸倒引当金、債務整理増加等です。18年度に利息返還等引当金を141億円積み増しをしています。ニコスの場合は、グレー・ゾーン金利がそれほど多くないと思うのです。でも、これですから・・・・。と言うことは、消費者金融会社の実態が、怖くなる気がします。サブプライムによる金融機関のロス発生なんて米国のことかと思ったら、実は日本のグレーゾーン金利の撤廃と格差社会のことだったりして。
4) 1273億円の処理
これがすごいですね。たちどころに、消えますから。即ち、MUFGは、1200億円で第3社割当増資に応じます。そうするとニコスの資本金と資本剰余金がそれぞれ600億円増加します。でも、直ちに資本金と資本剰余金をそれぞれ600億円減少します。何をやっているやらですが、ニコスには1200億円マイナス手数料及び経費の1197億円が入ることと、資本金及び資本剰余金減少差益1200億円が計上されて、赤字がなくなります。所詮、このあたりの取引は、2008年8月には株式交換によりニコスが上場会社ではなくなり、MUFGの完全子会社となっているのでしょうから、手の内で遊んでいるような気がします。(このあたりは、このプレスリリースに書いてあります。)
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