株式会社モックをめぐる推理
株式会社モックを私も知りませんでしたが、本日次のブログが取り上げておられるのを読んで、私なりに調べてみましたが、恐ろしい世界を見たような気がしました。
磯崎さんのIsolog モックの件から改めて振り返る、ブルドックの新株予約権の会計処理の適正性
toshiさんのブログ モック社に対する東証の公表措置
大杉さんのブログ 締め出しの正当性
1) 上場会社が一般株主を閉め出す提案が許されるのか?
モックは東証マザーズのコード:2363で上場している会社です。モックは9月7日に10株を1株への株式併合と400,000株の新株予約権発行を同時に発表しました。モックの株式併合の発表に記載がありますが、株主の80%以上は10株未満の株式保有です。従い、10株未満保有の株主は併合結果、なにがしかの金銭対価を得ますが、株主ではなくなってしまいます。そして、株式併合結果、発行済み株式数は11,293株(現在のままとした場合で、10株未満の売買により10株以上保有株主が増加することもあり得ます。)となり、400,000株の新株予約権が行使された場合には、発行済株式数が411,193株となり、400,000株の新株予約権の保有者が97.25%保有の大株主となります。上場廃止に向かうかも?
これが、取締役会で決定できるかというと、株式の併合は会社法309条2項の株主総会の2/3以上の株主総会特別決議が必要とされ、現在のモックの定款による発行可能株式総数が300,000株であることから、定款変更が必要で、定款変更も2/3以上の株主総会特別決議によらなければなりません。定款変更のモック発表はここにあります。
果たして、こんな提案を上場会社がして良いのだろうかと思うわけです。東証は、ここにあるように流通市場に混乱をもたらすおそれがあると公表しました。
2) モック株主総会
モックは6月決算の会社であり、9月26日が株主総会です。10株未満保有の株主は数では80%を超えますが、株式数では13.2%です。だから、大株主が賛成をすると2/3の特別決議が成立することとなります。さあ、大株主とは、モックの新株予約権に関する発表では、以下です。
山田 信房 24.64%
三井物産株式会社 2.23%
バークレイズ・キャピタル証券株式会社 1.19%
小山田 壮権 1.04%
株式会社マルチメディアネットワーク 0.91%
鷲見 貴彦 0.80%
細谷 公敏 0.74%
松川 和宏 0.74%
リーマンブラザーズインターナショナルヨーロッパ 0.69%
座安 正 0.67%
東証が上で紹介したように、公表しているわけで、CSRなりをきちんと対応される会社はおそらく反対に回るのだろうと思いますが、個人株主について社会的責任まで第三者が意見を言えるのか疑問があると思います。ここは、結果をみるしかないのでしょうか?それと、万一の場合、2/3の特別決議が成立した場合に、CSRを基本方針としておられる会社は株主として会社法247条2号等で取り消しを求めて法廷で争って行かれるでしょうか?実は、このあたりも、今後の興味ある点かなと思います。
マザーズではありますが、一般投資家らから、資金を調達していた。おそらく一般投資家の中には、株主に一流企業の名前があるから安心して投資をされた方もおられると思います。その方々に、損害補償までする必要はないと思います。しかし、公正に扱われるように尽力することは、CSRの一環として一流企業であるからこそ取り組むべきであると私は思います。
3) モックをめぐる不穏な噂
私も知りませんでしたが、Webを探すと色々ありますね。2007年2月16日 モックの大株主に登場した生田澄子氏の〝闇〟とか8月6日 モックの不透明な大幅下方修正発表 とかですね。どちらも、メディアリンクス事件に絡んだ人物の名前が出ています。
それでなくとも、400,000株の新株予約権の発行相手です。資本金たった1香港ドル(13円)のMaxi Point Investment Limitedという会社です。そんな会社が60億円モックに出資をするのです。実際の資金の出しては、裏に隠れていると思います。どんな金か?何を狙っているのか、闇であります。もしかしたら、モックの現株主の誰か、現取締役の誰かが仕組んでいたり、仲間になって実行している計画であるなら、企業犯罪小説のようになってきます。
メディアリンクス事件を書いている高橋篤史氏の「粉飾の論理」という本に書かれているのは、そんな世界です。ちなみに、生田澄子氏が出てくるのは、この本の212ページあたりです。
ライブドアで有名になったMSCBを大量に発行していたり、生田澄子氏が関与しているという投資事業組合に株式を発行したり、モックの実態がいつかは出てくるのでしょうか?もし、今回の一般株主締めだしの株主総会の2/3特別決議が成立しても、会社法831条1項3号による決議取り消しの訴えの請求があり得ます。株主となっておられる企業において、これに該当する可能性がある情報を得ているなら、企業のCSRとして請求して欲しいと思います。
一般投資家も、リスクを認識して投資をすべきと思いますが、企業の場合でも、投資先が上場会社ということで安心して投資をするのではなく、むしろ株主としては小さい持ち株であっても投資先が上場企業であるからこそ一般投資家のために率先して会社を管理する必要があるのという部分を認識して投資すべきであると思いました。
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