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2007年11月30日 (金)

クレディアの債権届出

9月23日に消費者金融クレディアへの再生債権の届けは大変というエントリーを書いたことから、その続きを書いてみます。

債権の届けの期限はこれの通り、11月26日であったので、期限が終了しました。届出があったのは4800件であったようです。静岡新聞11月29日 金利返還請求は4800件 クレディアの債権届け出 この静岡新聞11月27日 自認債権申請求める クレディア問題で県司法書士協によれば全体で債権者の数が約56万人ということですから、届けをしたのは1%弱であったと言うことになります。

上の2つの静岡新聞に、期限は過ぎたものの可能性を少しは持ってもよいような記述があります。そこで、

1) 届け出は26日にいったん締め切られたが、特別な事情があれば1カ月間は追加で受け付ける

過払い利息のある人はトライしましょう。債権届出の見本はここにあります。取引の記録はこれでクレディアに開示申請しましょう。その他、種々の説明はこの静岡司法書士会のWebにあります。

次の民事再生法95条1項のことを言っているのだと思います。「その責めに帰することができない事由」に該当するとは、少し手前勝手すぎるように思いますが、「恥も外聞もない」で、やるだけやることです。最後は、裁判所の判断です。

民事再生法95条1項 再生債権者がその責めに帰することができない事由によって債権届出期間内に届出をすることができなかった場合には、その事由が消滅した後一月以内に限り、その届出の追完をすることができる。

2) クレディアが自認債権として過払い請求者の洗い出しを進めるのが1番の近道

これは、次の民事再生法101条3項のことと思います。通常は、届出があった債権と債務者が認識している債務について調査をして、再生計画を作っていき、届出のなかった債権については、切り捨てられます。しかし、クレディアは利息過払金の将来の返還請求に備えた引当金を208億8千4百万円計上していたのです。4800件の過払い利息の届出債権額は1件を平均10万円であるとして48百万円です。仮に1件百万円として、4.8億円です。即ち、どう考えても200億円以上の利益が出てしまう。そんな馬鹿なと思えます。(濡れ手に粟かな)

民事再生法101条3項 再生債務者等は、届出がされていない再生債権があることを知っている場合には、当該再生債権について、自認する内容その他最高裁判所規則で定める事項を第一項の認否書に記載しなければならない。

3) 私の結論

クレディアは引当金を計上したのですから、債務と考えるべきと思います。今回は、この債権者が弱小の債権者であった。だから、再生計画の中に債権者として認識して、将来通知をして、そして債権者から手続きがあれば、支払っていくのが今回のケースではないかと思うのです。誰も、損をしないのですから。

しかし、そんなにうまくいくとは限らない。だから、今からでも、利息過払いの人は債権の届出をすべきです。届け出期間までに届出を行った人、1ヶ月以内の12月26日までに届出をした人、認否書の提出期限1月21日までに届出をした人、あるいは全く届出をしなかった人。差が付く可能性も十分あるわけで、今からでもあきらめずに届出をしましょう。なにしろ、208億円です。私も欲しい。

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2007年11月25日 (日)

税制調査会の答申について

政府(内閣府)の税制調査会が11月20日に「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」と題した報告書を提出しました。報道が、答申なる言葉を使用しているため、私もエントリータイトルは答申としました。なお、報道としては、次の読売と時事通信を上げておきます。なぜなら、委員名簿がここにありますが、報道関係者として両社の人が入っているからです。

読売11月20日 政府税調答申、3年ぶりに消費税率引き上げの必要性指摘
時事通信11月20日 消費税上げの必要性明記=証券優遇、道路財源焦点に-来年度税制改正

なお、11月20日の「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」と題した報告書とは、これです。

1) 消費税の増税

消費税や付加価値税は良くない税であるという理論があります。理由は、逆進性です。即ち、税の機能である所得の再販分に、消費税は役に立たないからです。市場経済社会において、所得の再配分は重要です。何故なら、市場経済において一方で、勝者と敗者が存在するわけで、極端な勝者と負けがこんでいる弱者と税負担が、同一であるより、勝者が税負担が大きいことで、社会がスムースに動くはずです。革命を狙うなら、別ですが。

消費税があらゆる人と企業に課税されるから平等であると考えている方もおられるのではと思いますが、企業(個人でも事業に係わる部分)は、消費税を負担していません。即ち、売り上げに対して消費税を売り先から徴収しており、この消費税を税務署に納付しますが、その際、仕入れに係わる消費税を控除するからです。

結局負担をするのは、消費者だけです。だから、消費税を増税することと所得税を増税することは、効果は同じだと言って良いのです。むしろ、金持ちは消費税の方が、負担金額が小さくて済みます。5%消費税を増税したなら、貧困層は5%支出が増加し(一部の家賃のような非課税部分を除き)5%税負担が増加します。金持ちは、貯蓄やら投資やらに回す部分があるので、それらの部分は非課税です。即ち、貧しい人は収入=消費ですが、金持ちは収入>消費ですから、消費税の値上げは結構毛だらけ猫灰だらけであります。

実は、一度消費税増税賛成のようなことをこのブログで書いたことがあります。この7月23日のエントリー 税と年金です。但し、これは、基礎年金保険料を全額税負担とすることが、前提です。つまり、月14,000円ですから、夫婦二人だったから、年間336千円になります。年間672万円消費する世帯は、丁度ブレークイーブンです。これより所得の少ない人は、助かります。そして、徴収費用も安くて済みます。税務署が徴収してくれますから。多分、生活保護費用も少なくなります。所得比例部分は、従来通りの制度を継続すればよいのです。3号被保険者の基礎年金ただ乗りも解消できます。

ところが、報告書(5ページの上の方)は、「基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げについては、平成21 年度までに、税制の抜本的な改革によって安定的な財源を確保した上で実施することが、法律ですでに定められており、速やかに対応を図る必要がある。」と、増税が先行しています。だから、読売や自治通信のような記事になるのでしょうが、日経の記事は微妙にニュアンスが異なっていました。

日経11月20日 「消費税、社会保障財源の中核に」・政府税調答申 ですが、「税率引き上げの時期や幅については触れなかった。」と書いています。

2) 所得税増税

報告書(11ページの上の方)に「所得税の納税者の大部分に5%又は10%という低い税率が適用される構造となっている。」と書いてあります。エ~と思いました。低所得者の地方税を増税して10%にした結果でしょうと私は言いたいのです。税源移譲とか言って、地方税を増税して、その分所得税を減税した。今度は、その結果の所得税の税率を低いという。この委員の人たちって資格あるのかと思いました。

最高税率については、「検討をする必要がある。」と言って、ぼやかしました。現在、所得が18百万円を超えたら40%で頭打ちです。5千万円以上の人には、50%程度を5千万円を超えた分だけ払ってもらえたらと思うのですが。もし、1億円の課税所得があれば、5百万円増加するだけです。私だったら、仮に1億円も所得があれば、5百万円は喜んで払います。

「低所得者は税を払っていない。」との論調に違和感を感じるのですが、年金や健康保険については、低所得者は大変です。所得税のことを論じる場合は、年金、健康保険、消費税、住民税を含めて論じないと誤ります。現在累進構造は唯一所得税で、国民年金は人頭税方式で、年金と健康保険は所得が一定以上は頭打ちですから、金持ちの負担が少ないのが日本です。社会全体を、合理的な負担割合で支えられるから税であるのに、政府税調は違って方向を模索しているように思えます。

3) 法人税

報告書は、減税をにおわせており驚きました。国民が負担する消費税は増税で、法人税は減税というのは、国民を馬鹿にしているのではという気がするのです。最終的には個人のレベルに降りてくるのであり、中間の法人段階で課税しても意味がないとの理論はあるのですが、法人を悪用して税を逃れる道を作ってはならないのです。

「ドイツにおいては、自国で稼得した利益を外国へ移し、自国の課税所得を小さくする動きに対応する等の観点から、法人税率の引下げが予定されている。」と書いています。しかし、これほど誤解をまねく書き方はないはずです。日本の法人税において、日本の法人所得を低くして、その分外国での所得を大きくできるかですが、確かに悪いことをすれば可能です。しかし、そのために、租税特別措置法66条の4や66条の5があるのであり、法人税法55条が存在します。

例えば、外国の会社から高く仕入れる、あるいは、外国の会社から高利率で金を借りる。そして、日本の会社の損金を多くし、税率の低い外国の会社の所得を多くして、全体で税を節約するという形です。1つめ、税務リスクがあります。2つめ、外国の会社が自分のコントロール下でないなら、リスク一杯です。3つめ、最終的には日本に持ってこなくては意味がないのですが、これが簡単ではない。

山田洋行のように裏金で持ってくる方法はありますが、あれは、賄賂だから、税や経費は無視した取引であったと思います。

企業活動を活発にする方法は、税ではありません。何故なら、法人税は利益が出たときに、納付する税であるから、税率で企業の足を引っ張る割合は小さいのです。むしろ、企業は税を安くするより、有能な人材が豊富に存在する国を望みます。

4) 相続税

最後の砦である相続税は、正しく守って欲しい。元の水準近くに最高税率を上げて欲しい。そして、中小企業の相続税を低くするなんて、とんでもないことをしないことです。相続税の基礎控除が最低でも6千万円あるわけで、2人の相続人があれば7千万円です。通常の財産の範囲だったら、相続税を払わなくて済むはずです。濡れ手に粟で、巨額財産を相続するなら、相続税を支払いましょう。所詮、相続財産より相続税の方が金額が小さいのですから。

企業を馬鹿息子に継がせるなら、ファンドに売却した方が、社会のためになると思います。利口な子息なら、きちんと相続税を納付して、事業を継続し、従業員や社会のために働いてくれるはずです。

5) 政府税調

政府(内閣府)が選んだ委員ですから、政府をつくっている自民・公明の考え方を代弁したように思えます。こんな税なら、払いたくないと思わせることを沢山書いていると思いました。私の払いたい税、社会のための税、そのような税制を作ってくれる政府を作り上げていきたいと思います。

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2007年11月20日 (火)

がんの予防

私のブログは土・日・祝日は、アクセスが少ないのですが、この前の週末は普通の時と比べると多かったのです。その原因は 東京日和@元勤務医の日々さんのブログ(M3にブログを書いておられましたが、M3.COMから引っ越しをされるとのことで、リンクは控えました。)や中間管理職さんの勤務医 開業つれづれ日記で、10月27日のエントリー 廃止候補の201病院を紹介いただいて、そちらのブログから来ていただいた方がおられたからの様です。

本日は、逆に私から医師ブログの記事を紹介してみます。よっしいサンのよっしいの独り言に書いてあった、 11月14日のエントリー「ガン予防の方法」です。

1) ガン予防の方法

World Cancer Research FundとAmerican Institute for Cancer Researchが作成したFood, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancerという報告書を紹介されおられます。その報告書の完全版はここにあるのですが、517ページもあり、ここにRecommendationsの部分が抜き出されています。

2) 具体的方法

Recommendationsが8項目とSpecial Recommendationsが2項目あり、読んでいて、健康にいいな!こうしてガンにならないようにしようか!と思わせます。さあ、次の項目です。

方法1:太りすぎるな
BMIを21から23にするのが目標だとか。(BMIとは身長(m)を体重(kg)の2乗で割れば良いのですが、インチやフィートを使っていると換算が大変ですね。)あるいは、21歳時の体重を保て!

方法2:運動を(日常の)生活に取り入れろ
TVを見過ぎることは、運動をしなくなることになるようです。

方法3:高カロリー食を避けろ
コーラを飲んで、ファースト・フードを食べるのは、悪い例のようです。

方法4:野菜と果物を沢山食べましょう
但し、デンプン類や加工した穀類(結構難しい表現です。確実に該当するのは、砂糖)はダメです。

方法5:肉類(Red Meat)は制限(1週間に500g以内できれば300g)そして燻製肉は禁止
鶏肉や魚は肉類には入れないということです。毎日和食にしましょうか。

方法6:アルコールは制限
制限値のガイドラインは男1日にグラス2杯、女1日1杯ということです。制限内なら毎日でもよいと、私は読みました。

方法7:塩分控えめ(1日5g以内)
例えば、パンにも塩は入っており、ダイエット食品や多くの調理済み食品に入っています。それらを含めて1日5g以内ですから、加工済み食品は食べないようにと言うことでしょうか?

方法8:ダイエット用サプリは止めましょう
Randomised controlled trials have produced strong evidence that high-dose supplements of some nutrients modify the risk of some cancers.

と言っていますから、サプリはガンに効果がないだけではなく、ガンになる危険性があるのです。当然のことですが、サプリよりも、バランスが取れた食事が一番です。おいしいし、楽しいし。

方法ー特別編1:6ヶ月までの乳児は母乳で育てましょう
乳児に良いのかと思うと、お母さんにも良いとのことです。(ガン予防のために)

方法ー特別編2:ガンを治癒した人は医師や専門家の指示に従ってください
食事、体重、運動について、医師・栄養士・その他専門家の指示・アドバイスに従ってください。

3) 簡単か難しくて病気になりそうか

どちらでしょうか。個人によると思いますし、ある人は、数個目ができないだけだから、全く問題なしとされる方もおられるのではと思います。

書いていて思ったのは、これはメタボ予防ではないかと思ったことです。そして、メタボ検診という訳の分からない検診が来年4月から始まろうとしていることです。読売新聞の記事はここにあります。健康診断を進めようというなら分かるのですが、メタボなんて、人に言われなくても分かっているはず。人から強制されるものではないはず。でも、アホの政府は、税金を無駄遣いする。この報告書の日本語訳を多くの人に宣伝する方が良いと思うのに。

アホの政府がしないから、我がブログが少しでもする。それが、我がブログの役目であると。

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2007年11月18日 (日)

米証券取引委員会(SEC)の決定

次の日経の記事です。

日経 11月18日 国際会計基準決算書、米が来年から導入――SEC決定

グローバル化に乗り遅れている日本を皮肉っているようで、相当前から進んでいたことで、今更ではありますが、少し書いてみます。

1) 米証券取引委員会(SEC)の発表

実際の米証券取引委員会(US Securites and Exchange Commission - SEC)の発表文は以下です。

SEC Press Release: 2007-235 SEC Takes Action to Improve Consistency of Disclosure to U.S. Investors in Foreign Companies

SECの発表の格となる部分は次の部分と思います。

・・・・the Commission today approved rule amendments under which financial statements from foreign private issuers in the U.S. will be accepted without reconciliation to U.S. generally Accepted Accounting Principles only if they are prepared using International Financial Reporting Standards (IFRS) as issued by the International Accounting Standards Board. The purpose of the requirement to use the IASB-approved version is to encourage the development of IFRS as a uniform global standard, not a divergent set of standards applied differently in every nation.

「外国企業の財務諸表がIASBが定めたIFRSに従っている場合のみ、これを許可する。」であり、「各国が異なった基準を使用するのではなく、IFRSを世界統一基準(a uniform global standard)に発展させていくことが目的である。」です。

2) 会計基準

SEC発表文は正しいことを述べていると思います。会計基準が、異なれば、企業の利益・売上高・原価・資産・負債等が異なってきます。ヒト・モノ・カネが国境を越えて移動する時代です。おそらく、これを阻止することは誰もできないと思います。効果的にヒト・モノ・カネが国境を越えて移動するときに、地球の繁栄があるのだと思います。その中で、ヒトとモノは、カネを目指して移動するのかも知れません。勿論、援助という形のカネの移動もあるでしょうが、売買・投資・貸付・援助何にしても、お互いのお財布を見せっこして有効になるはずです。

企業にとって、資金を集めることは、自分のお財布を見せることです。金を借りても投資を受けても、「この様にしますよ、明朗会計です。」とするのが、最も合理的です。お財布といっても、現金のみではないわけで、借金もあれば、保証もあるし、不良債権も、売れ残りの商品もある。全てを適正に評価して作成するのが、財務諸表であり、評価して数字を作るための基準が会計基準です。

全世界の企業・国家財政が同じ基準でできていれば、すごく便利です。

米国の証券取引の大元締めであるSECが、IFRSを認めると公式に発表したことは、IFRSが今後の世界基準となるための一歩を大きく歩み始めたと思います。

3) 日本は?

日経の記事は、正確でない部分があります。「民間組織が作成した独自の会計基準を採用している日本」はについて、少し違うと言いたい。例えば、金融所品取引法第24条が、有価証券報告書の提出義務を定めており、財務諸表がこれに含まれる。そして、財務諸表は内閣府令(大蔵省令から名前が変更になっていると思うのですが)である財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則に従わなければならないと金融所品取引法に書いてある。内閣府令は、民間組織が作成した規則ですかと言いたいのです。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則については、金融庁や政府が勝手に作成しているのではないし、企業会計基準委員会が定めた多くの企業会計基準・企業会計基準適用指針・実務対応報告があり、細かい部分は、これらによって解釈する部分が多いのは確かです。でも、米国と比べたら、米国の方が政府とは独立したSECがマーケットを管理している。会計基準であるUS GAAPだって、政府により作られた基準ではありません。

政府や政治家にマーケットを委ねたら、自分に都合の良いようにしてしまう。自分たちの金融取引は自分たちがルールを作り、守っていかなければならないというのが根本思想です。政府や政治家が悪いことをするのは、悪い人がいるからではありません。人間がするからです。権力を集中せず、合理的に管理することの重要性と思います。

すこし、横道にそれてしまいましたが、日本の会計基準もずいぶんIFRSやUS GAAP(米国会計基準)に近くなっています。しかし、固定資産の減損会計や企業結合会計等でIFRSやUS GAAPと相当異なる部分もあります。日本的な部分を引きずりすぎた部分と私は思っています。正しいかどうかではなく、国際的に統一する方向に動くことの重要性の認識が薄いと思います。もしかしたら、能力のない経営者に引きずられる甘い公認会計士といった図なのでしょうか?(言い過ぎの点は、お許し下さい。)

4) 日本

日本は、先進国なのでしょうか?途上国なのでしょうか?先進国だとしたら、世界を見渡して活動している。でも、そうではなく、日本のみしか見ていないのではないかと思えるのです。例えば、中国初めアジアの国々を見るときに、日本という視点からのみ見て、アジアという視点は欠いているのではないか。

日本の携帯電話は、世界一高い。何故なら、日本独自の規格だから。TV地デジ放送のワンセグなんて、馬鹿だと思ってしまう。何故、ワンセグが必要なのか分からない。普通に放送を受信する安い携帯TV受信機を作れば、良いだけの話なのに。おそらく、ハイビジョン・テレビも日本だけが世界と異なった規格で突っ走ることになるのだろう。日本のメーカーは、世界の後進国となり、携帯電話同様日本のマーケットしか通用しない、高い物になる。日本の消費者は高くて性能の悪い物を使わざるを得なくなる。

日本のハイビジョン・テレビ放送はISDBという方式(最も衛星放送のISDB-Sと地デジ用のISDB-Tがあるから更にややこしいですが)であり、米国他はATSC方式で、ヨーロッパはDVB方式を使う。日本のことしか考えないなら、日本で勝手にすればよい。でも、そうすると世界の後進国になってしまいます。世界標準・世界規格を積極的に作っていく。作ることに参加する。そんなことができないのは何故でしょうか?

教育が悪いのでしょうか?私は教育で一番大事なのは、真実を見極める目や力を与えることであると思います。そのためには、大人が手本を示さなければならない。大人が目先だけにとらわれて、他人の粗探しばかりしていたら、将来のない世界になるのだと思います。

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2007年11月15日 (木)

これからの日本経済

本日は思い切って大きく出てみました。何をすべきか、何を考えるべきか、思いつくままに書いてみます。

1) 上場企業の決算好調

次の共同通信の報道です。「東京証券取引所の市場第1部に上場する企業の2007年9月中間決算・・・・連結経常利益の総額は約18兆1000億円に達する見通しで、過去5年間で2倍以上に膨らみ、5年連続で過去最高を更新するのは確実・・・・」との記載があります。

共同通信 11月14日 中間益、5年連続過去最高 円安、新興国の需要が寄与

2) 日銀政策金利0.5%に据置き

昨日の日銀決定ですが、日経記事を掲げておきます。

日経 11月13日 日銀、金利据え置き・決定会合8対1、世界経済なお注視

そして、次の日経記事では、大田弘子経済財政担当相が昨日13日の7―9月期の国内総生産(GDP)発表後の記者会見で、実質経済成長率を2.1%とした政府経済見通しについて「相当厳しくなっているのは事実」と述べたと報道されています。

日経 11月13日 経財相「デフレ脱却足踏み」、政府見通し下方修正も

3) 現実の姿は(米国編)

1)と2)は、一見すれば正反対に思えるのですが、実は双方とも正しいのであり、その様な状態が起こるのが現在の日本経済の実態だと思います。現在の日本経済・世界経済に暗雲をもたらしているのは、米国のサブプライム問題でしょうか。例えば、このCitigroupの11月4日のプレスリリースによればCitigroupが保有するサブプライムに関する直接のエクスポージャーが550億ドル(約6兆円)あり、最大110億ドル(1兆2千億円)の損失(税引き後で70億ドル(約8千億円))になる見込みというから、巨額です。でも、Citigroupの年間純益は200億ドル程度で、本年第一四半期から第三四半期の純益の合計も134.5億ドルあり、年間決算で赤字となることはないのだろう思います。

すこし、横にそれてしまいますが、14日Citigroupは、日興との株式交換の比率を変更し、日興株価を1,700円としてCitigroup株は2008年1月15日から27日の間の平均株価を使用して株式交換比率を計算することを発表しました。(このプレスリリースです。

ところで、サブプライム問題とは、金融機関のみの問題ではないのです。このNBOnline Business Week(英語版はここ)は、住宅在庫が大きく膨らんでいることを伝えています。グラフで見ると次の通りです。

Ushousinginventories

米国住宅産業のさらなる不況・不動産価格の低迷・低所得者層の消費支出の減少・・・と様々なデフレーションに向かう、日本のバブル崩壊時の様子を更に深めるのだと私は予測します。

もう一つの米国のニュースはGMの第三四半期の繰延税金資産390億ドル取崩による損失です。結果第一四半期から第三四半期の9ヶ月間の業績は売上高1,342億ドル(14.8兆円)で純損失380億ドル(4兆2千億円)です。円換算すると一瞬、計算間違いかと思う金額です。

米国経済の先行きは、決して甘くないと思います。私が、今思うことは、ブッシュが率いていた共和党は負けるのだろう。来年の選挙は、ヒラリー・クリントンか、どうかは分かりませんが、民主党が勝つのだろうと思うのです。理由は、イラクではありません。民主党支持層が共和党に生活を壊されたと大選挙運動をするのではと思うからです。Sickoで、ムーアが運動した医療保険と同じ構造です。

日本は、どうするのか?ブッシュと友達ごっこをしても、破滅に向かうだけと思えます。

4) 現実の姿は?(世界編)

日本の企業(一部上場会社)が利益計上をしているのは、2つの理由からと思います。1つは、リストラ・社員のスリム化・派遣の起用・・・等々による経費削減の効果が現れているから。もう一つは、中国景気・中国及びアジア諸国向けの輸出の好調と思います。

実は、この2つは将来を考えると、それほど長続きしないと私は思います。経費削減策により、恩恵を被っている人たちは実は少数で、逆に収入が減少したりしてどちらかというと恩恵が及んでいない被害者の方が多いと思うのです。一番、利益を得ているのは、人間ではない会社であったり、会社の株を保有している外国投資家であったりという構造ではないかと思えます。被害者の方が多いとなると、長続きしないと思います。どこかで破綻がくるのではないか。それは、被害者が氾濫するという形ではなく、既に限度に近く、この経費削減策がもう通用しなくなるというケースに陥る可能性もあると思います。

中国・アジアのリスクですが、実はリスクは低いと思います。即ち、成長を続ける。しかし、成長を続けることは、逆に日本を必要としなくなることです。高い頭脳・力・設備・経験・・・そんなものを、どしどし身につけていっていると思います。今、中国・インド・アジアに輸出できているモノは、まもなく、それらの国々で生産される。実は、既に中国製品・インド製品がアジア各国で見られるようになりました。日本製品より高い技術力の製品を見たこともあります。もし、これを素直に認めない日本の企業経営者がいるなら、その人は失格と思います。

推し進めるべきは、協力関係です。中国・インド・アジアが万能ではありません。互いに補完・協力して経済活動を進めることで、互いに豊かになれるのだと思います。EUが何故できてきたか?何故ヨーロッパは通貨統合まで、したのか?通貨統合なんて、すごい決断です。日本で言えば、日銀が存在しなくなるのです。日本の都合で、中央銀行の利率を決めたり、外国為替に介入したりすることができなくなるのです。ある意味、国家主権を放棄することです。そこまでして、ヨーロッパ諸国は通貨統合を果たしたのです。

昔の日本人は唐・天竺から文化・文明を学び交流していました。日本が主導権を握った大東亜共栄圏を勝手に思い浮かべたこともありました。これからは、中国・インド・アジアが連邦国家のようになっていかないといけないのではないか。そんなことを思ってしまいました。

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2007年11月12日 (月)

NHKスペシャル「やくざマネー」

NHKスペシャルで「やくざマネー~社会を蝕(むしば)む闇の資金~」というのを放送していました。「金には色はない。」のであり、行為そのものに違法性がないのであれば、やくざであるからと、それを非難はできないと思います。「やくざ」の定義が明確でないと、単に金を動かすことで、非難はできないし、「やくざ」が違法行為をする集団とその構成員と定義するなら、違法行為を取り締まるべきであると思います。

「やくざマネー」を一般投資家を翻弄し、資金を欺し取ろうとすることであれば、実はたくさんあるし、気をつけておかねばと思います。そんな感じで書いてみます。

1) モックの新株予約権

モックの新株予約権については、9月15日のエントリー 株式会社モックをめぐる推理9月27日のエントリー モック株主総会決議成立で書きました。株価は、以下のチャートの通り下げ続けています。10株を1株に併合していることから、過去の株価は10倍で表示されています。

071111

そして、モックは、この11月1日付開示資料の通り、「2007 年10 月において月末上場時価総額が5億円未満となりましたので、今後の見通し等につきまして、・・・・・」と上場廃止になる可能性を発表しました。既に、新株予約権は10月31日に発行済みであり、これを購入した香港のペーパーカンパニーMaxi Point Investment Limitedは、15,000円で株式を購入できるのであり、株価は15,000円に張り付くはず。私は上場廃止は確実と思っていました。

しかし、11月に入って少し株価は持ち直し、9日には38,350円となったことから、不思議に思う次第です。現在、モックは、11月1日開示資料にも記載の通り子会社株式を含む資産の売却を進めており、Maxi Point Investment Limitedに新株を発行し、60億円の資金を得たならば、何に使うのでしょうかと思います。考えられることは、現在の株価で売却すれば1株あたり15,000円以上の売却益をMaxi Point Investment Limitedが得られること。但し、400,000株も売却することは、困難と思えます。もう一つは、NHKスペシャルで「やくざマネー」であった、Maxi Point Investment Limitedの裏に存在する本当の資金の出し手に戻すこと。もしかしたら、この2つが絡み合っているのではないかとも勝手に思います。

「金には色はない。」と書いたのですが、一方でIR開示内容と企業が実際に実行していることに差がある場合は、やはり投資家を欺すことであり、犯罪であると思います。そう言った点については、強制捜査が可能である警察力に依存せざるを得ない面があるのではと思いました。

2) オックスホールディングス

オックスホールディングスのホームページはここにありますが、10月3日に30億円の発行株価変動型の新株予約権(対価3百万円)の発行を発表し、10月18日に発行しています。この会社の驚くべき所は、11月8日付業績予想の修正に関するお知らせ で、2007年9月期の業績予想が17億円ダウンして、連結27億円の赤字、個別25億円の赤字と発表していることです。従業員17名で関係会社を入れても100名にならない会社です。

何がどうなっているか、私にしたら恐ろしくて投資などは考えられないのです。オックスホールディングスの30億円の新株に相当する新株予約権を引き受けたのも、香港のペーパーカンパニーです。

「やくざマネー」なるものがあるかも知れませんが、昔からあるのはヤミ金融です。嘘と詐欺が存在すると同時に、金も存在する。モックとオックスホールディングスの2社を書きましたが、ヤミ金融が絡んでいるとの根拠は何もありません。共通項は、これら2社の新株引き受け権を購入したのは、香港の会社であり、その資本金がモックは1香港ドル(13円)でオックスホールディングスが2香港ドル(26円)でした。

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