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2007年12月 2日 (日)

守屋前防衛次官の収賄容疑逮捕

ず~といつ逮捕になるのかと思っていましたが、11月28日に、しかも妻も「身分なき共犯」として逮捕されました。

1) 妻の容疑

妻の容疑である「身分なき共犯」とは、刑法65条の次の条文です。

 犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。
2 身分によって特に刑の軽重があるときは、身分のない者には通常の刑を科する。

妻は公務員ではないので、山田洋行、宮崎元伸容疑や日本ミライズから金銭や物品やその他サービスを受け取っても、そもそも権限がないのだから、収賄には当たりません。そこで、「身分なき共犯」と検察はしました。加功とは「他人の行為の一部を分担すること。手助けをすること。」です。「身分なき共犯」とは、非公務員が収賄をする公務員の手伝いをしたり、計画を助けたりした場合の犯罪です。

宮崎県の官製談合・汚職事件で、前知事安藤忠恕被告(66)の“政治指南役”とされた元国会議員秘書石川鎮雄被告は、「身分なき共犯」であったかも知れません。

マスコミ報道は女帝だから妻が刑事罰を受けるのは当然であるというような論調に思えるのですが、実は、私は妻を「身分なき共犯」で、有罪に持ち込めるのだろうかと疑問を持ってしまいました。そのきっかけは、go2cさんの12月1日のブログでした。即ち、妻も金銭の受領やゴルフに行ったこと、そしてそれが山田洋行、宮崎元伸容疑や日本ミライズからの贈与であったことは認めるはずです。でも、それは単に自分自身の欲望を満たそうとしただけであり、守谷容疑者に働きかけなど全くしていないと主張した場合です。

妻は守谷容疑者が山田洋行や日本ミライズに有利になるように働きかけをすることを中止させなかったという点については、「夫は具体的に何をしているか分からなかったし、中止させる力はなく、夫は聞く耳を持たず、妻としては逆にそれだったら私も十分に金銭的な利益を受けようとしただけです。」と主張した場合です。

2) 何故検察庁は妻を逮捕したか

上のことを考えたとき、検察庁には別のねらいがあるのではと思ってしまいました。守谷容疑者に徹底的に自白させたい、証拠を固めたいものがある。

そもそも、武器は公開入札で購入できないのではないかと思うのです。例えば、潜水能力5000m、連続潜水公開距離1000海里、魚雷****を4本装備なんて仕様書を出して安い物を買うなんて。だから、防衛省には収賄がはびこっている。そこで、守谷容疑者と妻の逮捕により供述を取り、防衛省の収賄体質を正したかった。

しかし、これも前次官である守谷容疑者を収賄で起訴し、最高5年の懲役にできれば、一応の目的を達成するように思える。

もっと大きな犯罪といえば、政治家・議員の収賄になってくる。検察庁が政治家・議員がからんでいるという何らかの情報を持っていて、その証拠固めをするために、守谷容疑者のみならず妻も逮捕して、2人から更に情報を得ようとしているのだったら、なんとなく分かります。最も、これは私の勝手な想像ですから、根拠はありません。

3) ロッキード事件

贈収賄で、一番思い出す事件はロッキード事件です。ロッキード事件とは、私は検察庁の敗北の事件であったと思います。確かに、首相の犯罪について起訴したのですが、贈収賄で起訴に持ち込んだのは全日空の旅客機L-1011の購入に関係する丸紅ルートと呼ばれた5億円の贈収賄の関係者だけ(田中角栄、橋本登美三郎、佐藤孝行他)であったというのが私の記憶です。

しかし、日本に関係したロッキード事件で当時30億円の金がロッキードから日本の関係者に支払われたと言われました。25億円は、どうなったの?検察庁は25億円を見逃したのですから、見逃した金額の方がずっと大きかった。そして、児玉 誉士夫ルートや小佐野 賢治ルートには手を付けなかったのですから。

また、当時の防衛庁のロッキード疑惑である、1960年頃の戦闘機F-104の購入。1970年頃の対潜哨戒機P3Cの購入です。これらは、1958年には、グラマンのG-98J-11の採用がほぼ決定していたという話、そして、対潜哨戒機は当初は国産機の導入という方向であったとの話があります。

今度は首相ではなく、本命・本丸の防衛省を落とすのだと検察庁は頑張っておられるのでしょうか?いずれにせよ、防衛費の一般会計予算は4兆8千億円です。税金から支出されているのであり、無駄な支出は許されません。無駄な支出をするのは防衛省の一部の方々でしょうが、例え一部の人であっても許されることではないはずです。検察庁の検事の方々、ご苦労と思いますが、国民のために頑張ってください。

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コメント

ご紹介いただき恐縮です。
夫婦において身分なき共犯というのがどのレベルで成立するか次第ではかなり影響が大きいかもしれません。

夫の職務権限と贈賄側の請託の意思(これはある程度抽象的なものでもいいわけで)を認識していればアウトとなると、場合によっては広がりかねないようにも思います。
柳沢元大臣のように夫人が版画家でそれを業者が購入したらアウトかもしれませんが、子供の学校が同じで別荘に招待されるとか、父兄会のときに車で送ってもらうなどというのも「いつも主人がお世話になって」のひとことでだめ、となるとそれも厳しい感じもします。

夫人は今のところ争わないようですが、論点としてはけっこうありそうですね。

投稿: go2c | 2007年12月 3日 (月) 19時55分

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