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2008年3月31日 (月)

リベラルとは

悲しいニュースを見たものですから。

MSN産経 3月31日 18:46 東京での「靖国」上映中止に 「近隣に迷惑の恐れ」

この前のニュースとしては、次の朝日を見てください。(但し、Web魚拓です。)

朝日3月18日「靖国」上映を中止 東京の映画館

3月18日の時点では、東京・新宿の「新宿バルト9」が上映を取りやめ、他の都内3館、大阪1館は予定通り上映と言うことでした。ところが、本日は、銀座シネパトス、シネマート六本木、Q-AXシネマ(渋谷区)とシネマート心斎橋も上映を中止したとのことで、全滅しました。

これだけでは未だ解りづらく、3月9日と3月13日の朝日の記事を見てください。(両方とも、Web魚拓です。)

朝日3月9日 靖国映画「事前試写を」 自民議員が要求、全議員対象に
朝日3月13日 映画「靖国」の助成、文化庁「取り消しは難しい」

朝日の3月18日の記事のように、自民党の稲田朋美衆院議員と、同議員が会長を務める同党若手議員の勉強会「伝統と創造の会」(41人)が試写会を要求し、映画を見たら圧力をかけ始めて、最終的には予定されていた通常の映画館での上映までが全てなくなったという話です。

稲田議員とは、ここにホームページがありますが、福井1区の小泉チルドレンです。

自由と民主主義を壊す巨悪の存在を感じます。映画館にも右翼が圧力を掛けたのでしょうか。日教組のグランドプリンスホテル新高輪を予約したが、ホテルから右翼団体による妨害行為の可能性などを理由に、契約の解除を求めていた。ホテルは「街宣車が集まるなど大きな騒ぎになる恐れがある。」と説明したという報道を思い出します。

右翼が動けば思い通りになると言うのは、イラクかアフガニスタン並みの治安になってしまったのでしょうか。悲しいことです。自由と民主主義を実現していきたいものです。自由と民主主義の敵である稲田議員と41人の伝統と創造の会の議員には直ちに国会議員を辞任して欲しいと思います。

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ガソリン・スタンドはどうするのか

明日でガソリンの暫定税率は一端課税されなくなるようですが、ガソリンスタンドはどうするのか考えると眠れなくなりそうです。(私は、ガソリンスタンドの経営をしていないから、大丈夫ですが)

1) ガソリン税は製造場から移出時に課税

先ずは、ニュースを一つ。

共同 3月31日09:45 ガソリン卸値22-23円下げ 出光興産など3社

記事の中にもありますが、「石油元売り最大手の新日本石油は4月1日以降、製油所から出荷されるガソリンの卸価格を暫定税率分の1リットル当たり25円10銭値下げするが、3月末までに出荷されて油槽所に保管されている在庫については暫定税率を含んだ税額を卸価格に上乗せする。」ということで、暫定税に相当するのは、25円10銭ですが、揮発油税はメディアが言う「蔵出し税」ではなく「製造場所からの移出時課税」です。

だから、複雑です。ガソリンを製造する場合には、税務署に届出をし、製造場所から保管用のタンクにガソリンを運搬して移したりしたのも含めて、移出した量を基準とする税務申告書を毎月税務署に提出して、納税します。

だから、出光興産、ジャパンエナジー、コスモ石油は、既に移出をして旧税率で1リットル当たり53円80銭の税を払ったガソリンがあることから22-23円の値下げと言っていると理解します。

2) ガソリン販売価格は?

自由価格です。誰も統制なんかしていません。もともと税が53円80銭だろうが28円70銭だろうが、いくらで販売しようと自由です。だから皆、安いガソリンスタンドへ殺到するのでしょうね。

3) ガソリンスタンドの競争は?

ここが問題でしょうね。1)の記事からすると

a) 新日本石油は何時から25円10銭の値日をするのか?4月X日Y時z分の出荷からでしょうか?厳密に適用すると、あるタンクローリーの半分は値引きなし、半分は25円10銭値引き適用なんてあり得るのでしょうか。それより、下がる前と後のガソリンが、どのガソリンスタンドに配達されるかで、運命が決まったりして。

多分、1月まとめて請求する段階で、公平になるように調整するのでしょうね。

b) 出光興産、ジャパンエナジー、コスモ石油の場合も、いずれは25円10銭の値引きをするのでしょうね。

大変なのは、ガソリンスタンドで、客は25円も値段が違えば、安い所に必ず行く。石油元売りの販売だったら、掛け売りだから、請求段階で調整は可能であるが、現金・クレジットカードに、「後で価格調整します。」とは言えませんから。

例えば、10キロリットルの在庫を持っていた。所詮値引きしても25万円をはき出すだけ。この在庫がなくなり、元請けから安いガソリンが入荷するまでは、値引きをしないと頑張っても、近くに25円10銭の値引スタンドがあれば、全く売れなかったりして、25万円の損どころか100万円以上の損を出したりする可能性があります。

一方、25円10銭の値引スタンドは、1リットル10円の祖利益があるなら、25キロリットル多く売れれば、トントンで、それ以上売れれば、儲かってしまう。それでなくても、ガソリンスタンドって熾烈な競争をしています。多分、多くのスタンドは25円値引きになるのでしょうね。そうなると、誰が得をしたのか、訳が分からなくなる。下手をすると、「課税に応じて販売価格を決めていく正直者が馬鹿を見る。」なんてことになるような気がしました。

元請けも、直営ガソリンスタンドを幾つかは持っているのであり、変な販売競争はしたくない。でも直営店での販売が伸びないのであれば、頑張ってばかりはおれないでしょうね。

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2008年3月30日 (日)

米Pension Benefit Guaranty Corporation

Wall Street Journalの次の3月26日の記事です。

Uncle Sam Stocks Up

私のつたない英語力では、「Uncle Sam Stocks Up」の意味は、「親方日の丸」と理解してしまうのですが。

記事のPension Benefit Guaranty Corporation(PBGC)のホームページはここにあり、Wikipedia(英語)はここにあります。PBGCとは、米国労働者の年金に関する企業であり、支払われた年金保険料を運用し、支払いを行っており日本の社会保険庁に近いと理解します。

記事で言っている問題点は、2つあり、1つめは累積赤字が140億ドル(1兆4千億円)に上っていることから、株式での資産運用を増やし、リターンを多くするようにする方針としたことです。サブプライム不況の米国で株式投資を増やす(インド株式やアジア株式を買うより米国株式の方を多く買うと思うのものですから)のですから、すごい度胸です。不動産やプライベート・イキティーにも投資するともありますが、どちらにしろハイリスクです。

2つめは、United Airlinesのような倒産企業(正確には日本の会社更生法に相当する連邦法Chapter 11なので、更生会社)の年金保険料問題。保険料の未払いがあった場合でも、未払い保険料が更生債権となり回収できなくなる。(United AirlinesのPBGCに対する未払債務は66億ドル(6600億円)であった。)この事態が他の企業であり、増加している。いよいよ、PBGCの赤字が増える。

PGCBは、制度的には政府の金(税金)をつぎ込まないで、集めた保険料とその運用で支払い年金や保険金と経費をまかなうこととなっているが、最終的には、連邦制が支援せざるを得なくなる。最終的には税金に跳ね返る。

というような内容ですが、日本の社会保険庁にあてはめると、丁度そのまま使える気がしました。今、年金の記録なんて言っていますが、記録なんて些細なことで、運用がどうなっているのか心配です。

日本の社会保険庁ですが、なぜ解体するのでしょう。国民の理解を得ずして、勝手な法律をつくりだす日本の国会で、わけのわからない法律を増産しすぎと思っているのですが。ちなみに、社会保険庁は次のように言っていますが、これ説明になっていないと思います。説明は、「XXという不都合を解消するためにYYにしました。その結果、ZZについて改善すると期待できます。」と言うべきと思います。

抜本的な組織改革を行うこととし、平成20年10月には、社会保険庁から政管健保の運営を、「全国健康保険協会」という新しい公法人に分離し、平成22年1月には、社会保険庁を廃止して「日本年金機構」という新しい公法人を設立することとなりました。

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イラク戦争と石油

ガソリン・軽油の暫定税率をめぐる国会は、総無責任体制みたいです。しかし、国会議員のみを非難するだけでは済まず、実は多くの国民自身が人ごとのように考えているのではと思うのです。私なら、ガソリン・軽油の暫定税なんかなくしてくれるより、消費税を1%引き下げてくれた方が、よほど嬉しいですが。(消費税を1%を下げての減税額は2兆円程度ですから、ガソリン・軽油の暫定税の方が、金額が大きいがそれでも、消費税の方に魅力を感じます。)

暫定税率をなくしても税がなくなるだけで、石油が安くなるわけではない。イラク戦争も開戦から5年を超え、もしイラクから石油がもっと産出されていたならば、もう少し原油が安かったのではないかと思います。

1) イラクの原油生産量

ご承知の通り、原油の国別比較では埋蔵量でも、生産量でもサウジアラビアが1番です。埋蔵量の順で1番から10番までを並べたのが、次の表です。

  埋蔵量十億バレル 2006年
生産量
埋蔵量/
生産量
2008年2月
生産量
1 サウジアラビア 264 10,859 66.7 9,056
2 イラン 137 4,343 86.7 3,866
3 イラク 115 1,999 157.6 2,328
4 クウェート 102 2,704 102.8 2,550
5 UAE 98 2,969 90.2 2,582
6 ベネズエラ 80 2,824 77.6 2,392
7 ロシア 80 9,769 22.3  
8 リビア 41 1,835 61.9 1,770
9 カザフスタン 40 1,426 76.5  
10 ナイジェリア 36 2,460 40.3 2,062

生産量の単位は、1日あたり千バレルです。イラクは、埋蔵量で第3位ですが、生産量では第8位です。「埋蔵量/生産量」は、埋蔵量を生産量で割った数字を年に換算しており、何年で枯渇するかといった感じです。だから、イラクには増産の可能性ありとの感じです。上記は、BP統計(BP Statistical Report)2007年からの数字です。表の一番右端の2月の生産量はOPECの報告書にあった数字です。イラクも多少増産して、3位以下の国々とほぼ肩を並べた感じです。

イラク戦争とイラクの原油生産の関係はあったのかと言うことで、10年間のイラク原油生産量を描いたのが次のグラフです。

Iraqoilproduction20083_3 

米軍のイラク侵攻が2003年ですから、2003年には少し生産量が落ちています。

2) Financial Timesの記事

3月19日のForbidden fields: Oil groups circle the prize of Iraq’s vast reservesと言う記事で、NBOnlineの5年目のイラク戦争~石油をめぐる攻防は「クライマックス」で知りました。2つの記事とも、無料で読めるのですが、登録が必要かも知れません。

Shell is now negotiating a technical support agreement in which it will be compensated for helping upgrade production of producing fields. ・・・・・・Shell is one of several inter­national oil companies – including BP and the US groups ExxonMobil and Chevron – that have been tapping into Iraq’s oil industry by remote control.

と言うことで、大手国際石油会社は皆さんイラクとビジネスをしておられるようです。当然ですけど。これが本格化するかというと、全く見えてこないというお話です。

2つ問題があり、1つは治安です。命をかけて仕事はできないというか、生産をすることは、根をはやすことであり、通常の会社ならできません。次の問題は、誰が地面の下にある原油の所有者か?です。日本人だったら、イラク人と答えるかも知れませんが、イラクの人からすれば、シーア、スンニ、クルドは全て別の国の人という感覚だと思います。その上、油田は南部のシーア派が住んでいる場所とまだ大量の油田が眠っているという北部のクルド人地区に多くある。しかも、憲法で決着がついておらず、イラクの国内問題が存在する。

時間を要すると思います。焦ったら戦いになるだけと思います。戦っても憎しみが残るだけでしょう。時間が癒してくれるのを待つ。もともと、原油はイラクの人たちの物です。イラクが平和になるまで待てば良いだけと思います。

3) 旧フセイン政権とアルカイダ

このこの3月15日朝日新聞の旧フセイン政権とアルカイダ結ぶ証拠なし 米軍委託報告ですが、記事には「ウェブサイトに掲載する予定も取りやめになった」とかいてありますが、ここにあります。"This study found no "smoking gun" (i.e., direct connection) between Saddam's Iraq and al Qaeda."と書いてありますが、結びつく可能性があったことを否定しているわけではありません。

だから、「戦争をしてよい」とはならないと思います。面白いのは、この2003年3月8日放送のNHKこどもニュースの解説です。

アメリカやイギリスは、イラクが「大量破壊兵器は持っていない」というだけで、ちっともその証拠を示していない、と考えていて、「国連の求めに応えようとしないのだから、イラクを攻撃しよう」と準備を進めています。
 これに対して、フランスやロシア、ドイツなどは、「国連の調査団はイラク国内で調査できているのだから、もっとイラク国内を調べるべきだ」と主張して、アメリカなどのイラク攻撃に反対しています。

4) 福田首相はKYやめてツッパシタラ

何故そんなことを思ったかというと。上のこどもニュースの解説に、当時のブッシュ・ネオコンとお友達であった日本の宰相の言葉を付け加えると面白くなるからです。彼は、変人と呼ばれていたから、さもありなんですが。当時変人の近くにいた人たちが皆、変人と同じことを言っていました。

だから福田首相も、せめて3月初めとかもっと早い時期に道路特定財源は2008年度だけにすると宣言してしまえば良かったかも知れないと思うのです。そうすれば、国民に迷惑はかからなかった。名首相であるよりは、国民のことを本当に思う首相であるべきと思います。変人と同じになる必要はありませんが、あの変人のもつ強引さを少しは持ってアドバルンを上げてることがあっても良いのではと思ったのです。

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2008年3月27日 (木)

政府系投資ファンド(SWF)に対する規制

政府系投資ファンド(SWF)に対する規制が必要なのか、考えてみます。

1) 米財務省/シンガポール政府/アブダビ政府の高官による基本合意

先ずは、次の記事です。

読売 3月21日 米・シンガポール・アブダビ、政府系ファンド投資原則で合意

正確な内容については、次のプレスリリースをご覧下さい。

3月20日 US Department of Treasury発表 ”Treasury Reaches Agreement on Principles for Sovereign Wealth Fund Investment with Singapore and Abu Dhabi”

基本合意の概要は次の通りで、当然と言えることでありますが、興味深いとも言えます。

SWFの基本方針

1. SWFの投資決定は、純粋に経済利益の追求を目指して行われ、相手国政府の政策に関与する目的で行ってはならない。
2. SWFが情報開示を進めることは、金融市場の不安を解消し、相手国からの信頼を得ることになる。
3. SWFは、自らのガバナンスを高めるべきである。
4. SWFと民間とは、公平な競争関係であるべきである。
5. SWFは、相手国の法令を尊重し遵守する。

投資受け入れ国の基本方針

1. 投資受け入れ国は、外国からの直接投資を防止する規制・制限をしてはならない。
2. 投資受け入れ国における投資規制の枠組みは明確であり、判断基準が法に明確に示されており、解釈に幅がないこと。
3. 投資受け入れ国は、投資家毎の差別をしてはならない。
4. 投資受け入れ国は、SWFの投資判断に関与してはならない。安全保障を目的に、投資制限を行う場合は、純粋に直接関与する部分のみとすべきである。

発表文にも、”We hope that the IMF and OECD's work can build upon these basic principles”とありますが、IMFもOECDも、大きく違ったルールは作らないと思いますし、これがやはりベースになると思います。

2) 我が国では

上の原則を読んでいると、日本は鎖国に近く、黒船がこないと開国できないのかなと思いました。勿論、開国が全てではなく、整備できていない状態で急に開国をする場合が恐ろしいのであり、また開国せずに頑張って日落ちる国になることの恐ろしさです。

即ち、

1.空港外資規制

この日経の2月3日の記事”の「冬柴鉄三国交相は「一部特定の外資支配は国益に反する」と主張しており」はすごいですね。上の原則とは、真っ向から対立しています。

2.放送局外資規制

電波法の20%規制は合理的なのでしょうか?テレビショッピングより、CNNやBBCがCM付きでよいから、CSでなくて見ることができる方がよいと思いますが。ネット時代にカビの生えた電波法を守ることの滑稽さでしょうか?

3.外為規制

具体的には対内直接投資等に関する命令(これ自身が複雑で嫌になりますが、外国為替及び外国貿易法27条1項の審査が必要となる対内直接投資等に該当するおそれがあるものを定める対内直接投資等に関する政令27条2項の主務省令がこれです)の別表1は安全保障上の必要性を理由に事前届出の対象とする製造業等ということで理解できるのですが、別表2の業種に該当する上場会社については、10%以上外資が保有するには許可(許可とは言っておらず、届出と言っているのですが、禁止することがあるとなっており、甚だしいインチキ法です。)が必要です。

例えば、別表2の最初は「米作農業」になっていますが、株式会社が米作をできないのに、バカかと思います。個別の法で決めるべきを、外為法でするのは、キチガイみたい。

なお、この規制に関しては、この日経 2月14日の記事にある「英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)によるJパワー(電源開発)株の買い増し」が問題となっています。この記事には、日本の安全保障を脅かすかどうかを検討なんて書いていますが、そんな問題でしょうか?最も、Jパワーも原子力発電所を大間に建設しようとしているし、水力発電所も保有していますから、全く関係ないとは言えないのですが、それなら政府が2/3以上株式を保有していた会社なのですから、その株を一般に売り渡して銭を儲けた政府が悪いと私は思います。きちんとした長期の考えも持たずに、株式を売却するバカが一番悪いと思います。もし、問題なら買い戻して、再び政府の子会社にするのが皆が納得しやすいと思います。政府によるTOBも考えれば楽しいものです。

なお、対内直接投資等に関する命令の別表はこの日銀の解説書についています。

3) 鎖国状態は避けるべき

私は、「鎖国状態は避けるべき」と思います。日本国憲法の前文に、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とあります。世界の国々や人々と手を取り合って、世界中の人々が発展するようにするのが、本当だと思います。グローバル標準とは、文字通り世界共通標準であり、米国の標準ではないはず。但し、日本標準でもないのであり、世界を良くし、発展させる標準を世界が確立していくことのはずです。世界の発展のための、世界のことを考えた基準を作っていくべきだと思います。

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2008年3月25日 (火)

ガソリン税はどうなるか

揮発油税の扱いというエントリーを書いたのは1月17日ですから、2月と1週間経過しました。現時点においても、次のような報道ですから、ほとんど進展はなかったように思えます。

読売 3月25日03時01分 ガソリン暫定税、失効は不可避…野党が修正協議を拒否

過去のエントリーで取り上げた話題なので、書いてみます。

1) 政治不信

「政治不信」との言葉が使われたりしますが、政治不信という言葉を私は使いたくありません。何故なら、絶対にそうなってはいけないことであるからです。もし、政治が信じられないなら、革命が残るだけだからです。革命も、言葉としてはすばらしいく思えても、「革命後に理想の世界がある。」、「革命後は今より良くなる。」という保証は、何もないし、むしろ悪くなることだってありますから。

従い、私は政治に期待をします。但し、最善の結果が出るとは思っていません。良い方向に向かう結果が出ることを期待します。

2) 税制改正の行方(正しくは、現状の延長でしょうか?)

前回の1月17日に書いたときより各政党とも歩み寄りの姿勢は感じられるが、解決策を探るようなことを積極的にしなかったし、それは議員個人レベルでもそんなことをする人はいなかった。(次の選挙で公認が得られなくなり、落選するからでしょうか?)

国土交通大臣は、国土交通省の役人の代弁ばかりしていた。日本の政府組織は縦割りである。私は、組織は縦割り以外の組織では、機能させるのが難しいと思います。むしろ、悪いのは縦割り組織を補完する制度や機関が弱いことです。例えば、省庁をまたがった人事交流です。役所で偉くなるには、大使館に出るのは別にして(大使館に出ても、背番号を持ってでるから意味はないのでしょうが)、その省(庁は格が低いと思われている人もいると思うので、はずします。)に(地方にでることはあっても)ずっといて上り詰めていく必要がある。

公務員改革は、本当は優秀・有能な役人の方々に精一杯働いてもらうための改革であった(あるべき)はずが、再就職の部分ばかりをやり玉にあげてしまう。影響力を拡大したい議員と、さらにそれに群がったマスコミに利用されてしまう。嫌な構造を見てしまいます。

今回の道路特別暫定税率の問題も、下手をすると利用されるだけに終わってしまう。せめて、利用されないように、将来の理想に向かえるように終結して欲しいと思います。

税制改正の行方は簡単です。現在の政府案が可決される。何故なら、自民・公明が衆議院で2/3以上の絶対多数を持っているからです。一時的に、新法が成立していない期間が生じても、それを成功・不成功というのは誤りです。一瞬の出来事が重要なのではなく、我々の生活や社会がどうであるかです。(もしかしたら、違うかも知れませんが)

3) 民主主義

民主主義とは何かというのは、実は答えるのは難しいのではないかと思います。例えば、アブラハム・リンカーンの「government of the people, by the people, for the people」は、理念であって、それを実現する手段が民主主義だと思います。専制政治だって「by the people」の部分を除いては、実現可能かも知れないし、天子さんの使命は、そうであったはずです。

NHKは、政府のことを国と呼んでいます。けしからんといつも私は思います。国は無人格です。外国でも民主主義が薄い国ほど、政府のことを国(State)と読んでいます。NHKだから、程度の低いのは仕方がないとは、思うのですが、国はコントロールの対象ではなく、政府と言えば、自分たちのコントロールが幾分かは届く範囲である気がします。

医療崩壊-3月6日参議院予算委員会よりという2007年3月11日 のエントリーで大阪市の国民健康保険料は自営業の夫婦、子供2人で所得280万円の場合を計算すると、保険料が45万円と書きました。最終的には、税金も使われていますが、日本の健康保険制度や介護保険、まもなく始まる老人医療制度にしても、政府が信じられないから、別会計で保険料として徴収するとして動いている部分があるように感じられるのです。

税は所得再配分の機能を持っている。保険制度とは異なります。この機能をうまく使うべきところが、使えていない。ガソリン税・軽油取引税にしてみても、暫定税率部分がなくなると、全く道路が建設されないという極論になっている。本当は、暫定税率部分だけの話だし、道路は税をどのように支出すべきと言う全体の議論の中ですべきところが、政府は信用ならないとの議論が先行する。私は、全ての税目で増税を計る必要があると考えていますが、反対論の根底にあるのは、増税しても悪い人たちが、それを自分の利益に使ってしまうという感覚があるのではと思うのです。

日本の民主主義の発展のためには、信頼できる政府をつくることが先ずは必要なのだと感じました。この観点で、ガソリン税・軽油取引税の暫定税率に対する各政党や議員の発言を注目してみます。

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2008年3月20日 (木)

円高為替の今後

このエントリーを書いている時点での、ニュースでは、次のような報道があります。

日経 3月20日18:59 ロンドン外為9時半 円は対ドルで続落して始まる(前日終値に比べ40銭円安・ドル高の1ドル=99円70―80銭で推移している。)

為替について書いていきます。(チャートは、クリックすると拡大されます。)

1) 円高・ドル安

いずれにせよ、100円を切っているのであり、感覚からしてずいぶん円高・ドル安になってきています。Yahoo Japanのチャートを出してみます。

Yenusd20080320

1年前が120円ぐらいであったのですから、20%近くドルが下がっています。但し、下がり始めたのは、7月に入った頃からであり、それから110円になるまで5ヶ月かかったが、1月に110円を切ったら加速して、ついに3月13日に100円をも切ってしまいました。

3月13日 ロイター ドル12年ぶり100円割れ、ユーロは導入来の高値更新 

2) 外国通貨は米ドルが全てではない

確かに、この1年なり、3ヶ月間なりの為替相場の動きを見ると不安になるのですが、FXの相場をはっているのでなければ、冷静に見るべきだと思います。次のグラフは2007年3月20日以降の円、米ドル、ユーロ、英ボンド、中国人民元、インドルピー、韓国ウォン、タイバーツの為替相場のチャートです。通常のチャートと異なるのは、SDRとのレートの変化で表しました。SDRは、ユーロ、日本円、英ポンド、米ドルで構成されたバスケット通貨ですから、これら4通貨の加重平均相場です。

Sdr20080320

2008年1月1日以降の部分を拡大したチャートが次です。

Sdryy20080320

3) 円高やドル安の影響

この3ヶ月間だけを見ると円は確かに高くなっているのですが、それでもユーロとそんなに大きな差はないのであり、むしろ1年間で見ると黒線の米ドルが一方的に下がってきており、それよりも更に下げているのが韓国ウォンです。通貨が下がるというか弱くなるというか、そんな場合は、その通貨の購買力が低くなるのであり、輸入品が全て値上がりします。

米国は、多くの消費物資を輸入している国ですから、それらが全て値上がりするわけです。今年の米国は大変です。サブプライムで苦しんで、景気後退が予想されており、それを更に物価上昇が追い打ちを掛けるわけですから。イラク戦争以来、悪夢の中にいる状態でしょうか?イラク戦争も、完全な泥沼で、抜けるためには米国が戦後処理をせざるを得なくなっている。

それからすれば、ブッシュとネオコンは、何と浅はかだったのだろうかと思ってしまいます。イラクに侵略する理由などなかったはずで、唯一あったのは、「イラクは今だったら簡単に落とせる。」だけだったのではと思います。ただし、サダム・フセインも、よもや米国は仕掛けてこないと読み間違えたのだろうと思いますが。結果、戦争が起こって苦しむのは、誰なのかイラク戦争を見ているとよく分かりますね。

少し、話がそれすぎた感がありますが、元に戻すと、円高は決して悪いことではないと言いたいのです。当然、戦争とは比較になりません。輸入品が安くなることは悪いことですか?別の言い方をすれば、収入が増えることは悪いことですか?ガソリン、灯油、軽油、鉄、飼料色々安くなるはずです。

例えば、次のチャートは過去5年間のユーロと円の為替です。

Euro20070320

円高とは全く異なった印象を受けるはずです。世界は、そんな単純ではないと思います。だから今回の円・米ドル相場もこの数日は足踏みをしていますが、もしかしたら日銀総裁と関係があったりして。日銀が、信用されるならもっと円高ではないでしょうか?福田首相も絶妙の手腕の持ち主だったりして!

4) 今後の為替

為替レートは、誰にも分かりません。言えることは、悲観する必要は何もないと言うことです。NHKニュース3月20日 16時59分 半数超の大手企業 減益を懸念(リンクがすぐに切れるかも知れませんが、対策はしません。)というのがありますが、減益で丁度良いのではないでしょうか?損失ではありませんし、対応にはある程度時間を要するのはやむを得ないのですから。

上に掲げた過去1年間の円、米ドル、ユーロ、英ボンド、中国人民元、インドルピー、韓国ウォン、タイバーツの為替相場のチャートを見れば、円は勝ち組にいるんです。勝ち組にいることの強みを、今後どう生かしていくのかが重要と思います。

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2008年3月14日 (金)

新東京銀行の今後

新東京銀行のことが、連日話題となっており、400億円の増資を審議する東京都議会予算特別委員会は、本日の3日目の総括質疑が開会できなかったようであります。

新東京銀行については、倒産の秒読みに入っている感もあるものですから、書いてみます。(追記、修正あり。)

1) 新東京銀行倒産の兆候

銀行の倒産という最悪の事態が新東京銀行にやってくると感じるのは、新東京銀行が3月11日に発表した新銀行東京調査委員会調査報告書(概要)を読んだからです。調査報告書(概要)ここにあります。

銀行は預金を集め、貸付を行い、その利子率の差により収益を得て、運用経費を支払い、そのうえで資本に関わる費用(株主配当金)を支払うものです。預金を踏み倒すことは、許されません。従い、貸付は回収が前提で実施されるものです。ところが、調査報告書には恐ろしいことが書かれています。

・営業担当者(契約社員)に融資実行実績に応じた成果手当を支給する一方で(最大年間200万円)、デフォルト発生を不問とした。
・平成18年1月より、融資実行後6ヶ月以内にデフォルトが発生した場合には、成果手当から控除したが、6ヶ月を超えた場合には満額支給とした。
・このような業務執行の結果、営業担当者の間にはデフォルトの発生を軽視したモラルハザードが広まった。

無茶苦茶です。良心の呵責があっても、上司から返済をうけることなんか気にせずに貸し込めと言われたら、多くの人はやっちゃいます。まして200万円の人参をぶら下げられて。

「貸倒引当が予定よりいっていない」や「リスクをとるというのは貸倒引当金をしっかり使い込むということだ」との発言を代表取締役が繰り返した。

信用第一は、金融の常識というより、ビジネスの基本です。与信できる相手であるからこそ、ビジネスをします。個人が銀行に預金をするのも、その銀行が信用できるからです。常識破りの発言を代表取締役が繰り返したなんて、私も、これが新東京銀行による発表でなかったら信じられないです。次の文章もすごいです。ガバナンス・ゼロの会社です。

・委員会設置会社においては、代表執行役と執行役の職務分掌については取締役会決議に基づき明確に定めるものとなっているが、当社においては創業期における統一的かつ効率的な業務を確保する必要があることから、代表執行役は業務全般を統轄し、また、他の執行役はその指揮監督に服することを定めた「執行役職務分掌規程」を設けていた。
・代表執行役は、その強い権限を背景に経営の意思決定や他の執行役の人事等に影響力を不適切に行使し、独善的な業務運営を展開した。
・代表執行役と意見の対立した執行役の辞任もあり、開業後僅か2年のうちに、開業時の執行役6人のうち4人までが退任した。
・その後、後任の執行役は全て代表執行役の推薦により招聘されたことから、代表執行役の独善的な体制が確立し、事実上代表執行役に反対する意見は抑え込まれた。

新銀行東京は、東京都がBNPパリバ信託銀行の全株式を2004年4月に取得し、2005年4月から業務を開始しました。最初の代表取締役はトヨタ出身の仁司泰正氏で、2007年6月からはりそな銀行(埼玉銀行→あさひ銀行の)出身の森田 徹氏で、2007年12月からは前東京都港湾局総務部長の津島隆一氏です。委員会設置会社で辣腕をふるいとは、酷いものです。他の取締役は、飾りであったのでしょうか、今後明らかになっていくと思いますが。

2) 財務諸表から見る倒産

次のグラフは2007年9月末の新東京銀行の貸借対照表です。

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資本金が非常に小さいことが分かります。実は、このグラフの資本金は資本金ではなく、資本金と資本剰余金の合計額から赤字となっている利益剰余金と評価換算差額を差し引いた残額ですから純資産額です。即ち、新東京銀行は、もう体をなしていないに近いと思います。(なお、貸し倒れ引当金は、貸出金から控除せずに負債に含めて表示しました。)

参考までに、損益計算書は次の表をご覧下さい。

  平成18年3月期 平成19年3月期 平成19年9月期(6月)
資金運用収益 2,843 9,024 4,557
信託収益 8 66 76
手数料収入 507 1,783 1,161
その他収益 289 756 127
収益合計 3,648 11,631 5,923
信金調達費用 1,086 4,561 2,945
役務費用 78 126 75
その他費用 444 423 836
貸倒引当金繰入額 7,968 27,800 4,563
当期純損失 20,961 54,651 8,710

平成17年4月に開業ですから、上記が営業成績の全てです。資金運用収益より貸倒引当金繰入額の方が大きいなんて、そんな銀行見たことない。平成19年9月期は、その差が縮小しているが、適正額の貸し倒れ引当金が計上されているか不明です。最も、これが一番問題となる点であり、平成19年9月期の証書貸付残高209,655百万円に対して貸倒引当金は34,461百万円ですから16.4%です。1)に記載した無茶苦茶貸付を考えるとずっと大きいのではと思うのです。もし、20%の貸し倒れ率が妥当とすると7,548百万円追加引き当てが必要であり、30%とするなら28,513百万円追加必要となります。

400億円の増資というのは、どのような計算か不明ですが、不明な金を支出することほど、リスクがあり、怖い物はありません。

3) 新東京銀行の預金は引き上げるべきか

ここまでくると、取り付け騒ぎが心配になります。預金保険機構を調べると新銀行東京は信託銀行として記載されていました。預金者一人につき元本1,000万円までとその利息が預金保険機構により支払われます。

だから、1,000万円以上預金をしている人は、預金の引き出しを始める可能性が高いように思います。但し、一番の大口預金者は東京都だと思うのです。新銀行東京が破綻した場合の東京都の損害はこれまでに支出した資本の1000億円と預金ですから、すごい金額です。1000億円の根拠は資本金と資本剰余金の合計に東京都の出資比率84.22%を掛けました。(株主構成はここにあります。)て1000億円になるのですが、ビー・エヌ・ピー・パリバ信託銀行株式会社の東京都による買収金額にその後の東京都の出資額を合算したのが、これまでの東京都の新東京銀行にたいしてつぎ込んだお金です。(この部分、少し修正しました。)

但し、このこの平成16 年2 月23 日付け全国銀行協会の意見書からすると、当初が1000億円ですから、その後平成17年8月に180億円の増資をしていることから、東京都の出資は1000億円を上回っているのではと思います。(この部分、追記しました)

さあ、そこで問題です。東京都が損をすると言うことは、都税をつぎ込むことですから、東京都民が損をする。しかし、東京都民は株主ではないから、代表訴訟もできなければ、何もできない。自治体が銀行に対して再建のためならまだしも(それでも問題はありますが)、事業を目的として出資するという禁じ手を実施した場合の、最悪のシナリオが実現する可能性がある。

でも、それだけではない、預金保険機構の資金は、預金額に応じて銀行が積み立てたものです。最終的な資金提供者は預金者です。まじめに他の健全な銀行に預金した人のお金をさらっていくドロボウ銀行新東京銀行が実現する可能性があります。

これからは、東京都民がお金をつぎ込み、人様には迷惑を掛けてはならないと、汗水垂らして新東京銀行を再建することになるのでしょうか?東京都が預金を引き上げたら、即刻倒産でしょうし、ずるずる行けば底なし沼の地獄がある。

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2008年3月11日 (火)

時間外診療の有料化

直前のエントリー「割り箸事故医療民事裁判判決を読んで」に続けて、これを書くつもりだったのですが、少し間が開きすぎてしまいました。

「医療は社会の重要なインフラ」と書いたのですが、モンスター・ペイシエントなる言葉があり、救急車の無料タクシー化や病院のコンビニ化が一部で発生しています。これは、本当に必要な患者や急病人がいた場合、迷惑になるだけで、その急病人が万一自分であったとしたなら、悲しくなります。

病院のコンビニ化は、勤務医を加重労働に追い込むことになり、勤務医がつぶれてしまう。勤務医だって、職業選択の自由があり、過労死するなら借金地獄に陥るリスクを覚悟して、開業医となる選択をしても、誰も不服を言うことは出来ないはずです。不服を言う相手は、医師ではなく、非常識な行動をとるモンスター・ペイシエントのはずです。

そこで、時間外診療の有料化を病院に実施してもらいたいと考えました。

というのうは、次の「選定療養」は、 保健医療費に加えて費用を徴収してよいことになっているからです。[健康保険法第63条第2項第4号 被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養(以下「選定療養」という。)]です。

特別の療養環境の提供
予約診療
時間外診療
200床以上の病院の未紹介患者の初診
200床以上の病院の再診
制限回数を超える医療行為
180日を超える入院
前歯部の材料差額
金属床総義歯
小児う蝕の治療後の継続管理

この平成18年3月13日付け厚生労働省保険局医療課長保医発第0 3 1 3 0 0 3 号の7/37ページの「4 保険医療機関が表示する診療時間以外の時間における診察(以下単に「時間外診察」という。)に関する事項」を読むと、

1) 緊急の受診の必要性はないが患者が自己の都合により時間外診察を希望した場合に徴収可能であり、

2) 緊急やむを得ない事情による時間外の受診については従前通り診療報酬点数表上の時間外加算の対象であるから、費用徴収は認められない。

3) 徴収額は、診療報酬点数表における時間外加算の所定点数相当額を標準とすること。

となっています。

私は、この制度は合理的と思うのですが。いかがでしょうか?

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