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2008年3月11日 (火)

時間外診療の有料化

直前のエントリー「割り箸事故医療民事裁判判決を読んで」に続けて、これを書くつもりだったのですが、少し間が開きすぎてしまいました。

「医療は社会の重要なインフラ」と書いたのですが、モンスター・ペイシエントなる言葉があり、救急車の無料タクシー化や病院のコンビニ化が一部で発生しています。これは、本当に必要な患者や急病人がいた場合、迷惑になるだけで、その急病人が万一自分であったとしたなら、悲しくなります。

病院のコンビニ化は、勤務医を加重労働に追い込むことになり、勤務医がつぶれてしまう。勤務医だって、職業選択の自由があり、過労死するなら借金地獄に陥るリスクを覚悟して、開業医となる選択をしても、誰も不服を言うことは出来ないはずです。不服を言う相手は、医師ではなく、非常識な行動をとるモンスター・ペイシエントのはずです。

そこで、時間外診療の有料化を病院に実施してもらいたいと考えました。

というのうは、次の「選定療養」は、 保健医療費に加えて費用を徴収してよいことになっているからです。[健康保険法第63条第2項第4号 被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養(以下「選定療養」という。)]です。

特別の療養環境の提供
予約診療
時間外診療
200床以上の病院の未紹介患者の初診
200床以上の病院の再診
制限回数を超える医療行為
180日を超える入院
前歯部の材料差額
金属床総義歯
小児う蝕の治療後の継続管理

この平成18年3月13日付け厚生労働省保険局医療課長保医発第0 3 1 3 0 0 3 号の7/37ページの「4 保険医療機関が表示する診療時間以外の時間における診察(以下単に「時間外診察」という。)に関する事項」を読むと、

1) 緊急の受診の必要性はないが患者が自己の都合により時間外診察を希望した場合に徴収可能であり、

2) 緊急やむを得ない事情による時間外の受診については従前通り診療報酬点数表上の時間外加算の対象であるから、費用徴収は認められない。

3) 徴収額は、診療報酬点数表における時間外加算の所定点数相当額を標準とすること。

となっています。

私は、この制度は合理的と思うのですが。いかがでしょうか?

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コメント

うーん、いかがなものでしょう。金銭的に負のインセンティブをつけるというのは、よほどの金額をかけないと逆効果になりかねません。

当院では時間外は一律3000円也を徴収していますが、その程度では全くアクセス制限はかかりません。システム上の問題かもしれませんが。(日勤時間帯に来ると差額があれば払い戻し)

「その程度の金で済むのなら」と思われるような金額だと、かえって「こっちはきちっと金払ってんだぞ、さっさと診ないか、ゴルァ」てなことになりそうな気が。

投稿: 山口(産婦人科) | 2008年3月12日 (水) 21時05分

山口(産婦人科)さん

コメントありがとうございます。

実は、「3) 徴収額は、診療報酬点数表における時間外加算の所定点数相当額を標準とすること。」という部分の「診療報酬点数表の所定点数相当額」の金額を知らずに書いております。

診療報酬点数表の所定点数による金額を、どなたか匿名でよいので、コメントに書き入れていただけないかとお願いします。

色々なご意見があると思うのですが、「時間外料金はいくらがよいのか」という議論があっても、よいのではと思うのです。需給関係で決定することでも、私はよいと思うのです。何故なら、急病で必要性があるなら、患者負担なしとすることができるのですから。

需給関係で料金を、お好きにとするなら、厚労省に対して、3)の「標準とすること。」を削除するように、要請すれば良いのですし、解釈として、例えば「1万円を徴収することは禁止する。」とまでは読めないので、厚労省に意地悪されないだろうと思うのですが。

おそらく重要なことは、厚労省より患者の皆様(潜在的患者を含むので国民全てになると思いますが)の理解と支持を得ることが一番だし、そのためにも、3000円を徴収されている山口(産婦人科)をご立派だと思います。

投稿: ある経営コンサルタント | 2008年3月12日 (水) 22時40分

私は一勤務医ですので、これは病院方針です。ただしアクセス制限が元々の目的ではありません。事務上の都合です。

要するに夜間事務を貼り付けていちいち会計するのが困難だから、一律徴収なんです。それゆえ日勤で差額払い戻しなんですね。いっそのこと1万円前払いくらいにして、日勤で払い戻しにすれば、かなりのアクセス制限になりそうと思うのですが。

投稿: 山口(産婦人科) | 2008年3月15日 (土) 11時49分

山口(産婦人科)さん

コメントありがとうございます。夜間事務の合理化で、平日時間帯において、自己負担額との差額を精算する方法と理解しました。

「時間外診療負担金」は、「アクセス制限」というより、「公平」という観点の考え方も必要と私は思っています。日本は、健康保険制度があることから、地方と都市で、同一サービスが同一料金で提供されます。夜間の時間外と通常時間帯を同一料金とすることが、健全な健康保険制度を維持することに資することになるのかとの点についても疑問を持った次第です。

投稿: ある経営コンサルタント | 2008年3月15日 (土) 14時42分

時間外加算ですが、現行では
休日         初診 480点 再診 420点
深夜(22時から翌6時)初診 250点 再診 190点
上記以外の時間外   初診 85点 再診 65点

6歳未満

休日         初診 695点 再診 590点
深夜(22時から翌6時)初診 365点 再診 260点
上記以外の時間外   初診 200点 再診 135点

1.専ら夜間救急確保のために設けられている医療機関(夜間急病センター等)における小児の取り扱いは小児科標榜の有無などにより複雑ですが、同程度の点数です。
2.休日加算+時間外加算は算定できません。
3.もちろん1点=10円です。

選定療養ですが、以下の部分が気になります。
「保険対象外のため、患者が全額を支払う。正確には入院基本料の15%がカットされ、保険者(国保・社保)から医療機関に、患者の負担分を除いた額が支給される。(by wiki 選定療養の項)」
外来診療で上記のような15%カットが適用されるかどうかは、私にはわかりません。

投稿: 元ライダー | 2008年3月16日 (日) 10時55分

元ライダーさん

診療報酬点数表における時間外加算の所定点数を教えていただきありがとうございます。

それほどの高額ではないと私は感じました。例えば、22時までの時間外は初診850円ですから、むしろ時間外で診療を受けられたことを感謝したいと思います。

6歳未満の場合に、金額が高くなるのは、良いことですね。乳幼児の医療費を全額市町村が負担する市町村が増加しています。議員も人気取り・票集めのために高らかと声をあげていることがありますが、全額市町村負担の場合、きちんと市町村は医療機関に対して時間外加算を支払っているのでしょうか?気になります。

>元ライダーさん
wiki 選定療養の項を見ました。私には、時間外加算の場合は、入院基本料に相当する部分がないことから、15%カットは適用の方法がないように思えました。

投稿: ある経営コンサルタント | 2008年3月16日 (日) 11時36分

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