年内に総選挙ですか?
次のような記事を見たものですから。
朝日 05月11日21時08分 税制改正を争点に年内にも総選挙 自民幹事長が示唆
可能性は、当然あると思います。もしかしたら、自民・民主のリッシャッフルなんて可能性もあったりして。税制改正が争点と朝日の記事は言っていますが、それが全てではないにしろ、大きな争点になるに違いないと思います。
1) 現状の税収
国会で成立した平成20 年度一般会計の租税及び印紙収入予算額は次のグラフの通りです。
所得税16.3兆円、法人税16.7兆円、消費税10.7兆円でこの3つの税だけで43.7兆円あり、税収の81.5%を占めます。改正するなら、この3つの税をどうするかが一番問題となるはずです。
2) 所得税
所得税を単独で考えるか、消費税と合わせて考えるか、またさらには年金、健康保険も含めて考えるかにより、アプローチが変わるのかも知れません。私は、所得税、消費税、年金保険料、健康保険料の全てを合わせて考えるべきと思っています。
所得税単独での議論では、最高税率が40%で地方税の10%を合計すると、これ以上高い税率はあり得ないとの議論が出てきます。しかし、年収3百万円の人は、確かに所得税はほとんど払っていないかも知れないが、家賃を除けば、ほとんどの支出には消費税を払っているわけで、地方税も合計すれば年間45万円程度払っているのではと思います。そうすると15%です。もっと低所得の人は更に余裕のない生活になってしまう。
社会保険料は、低所得者への減免措置はあるが、累進構造になっていない。基本的には、所得税率の引き下げは、低所得者を直撃する。それが現実に起こったのが、定率減税の廃止で、一方で定率減税と同時に実施した高額所得者の減税(累進税率の高い部分の廃止)は、元に戻しませんでした。
累進構造を持った所得税を社会が、どの上手に使いこなせるかが、今後の日本社会の発展に重要だと私は思います。なお、自営業者の所得が捕捉されないからとの議論は、私は嘘八百と思っています。税務署員は、そんなに甘くないし、職務を立派に果たしておられると思います。昔は、ビジネスの決済が現金でしたが、今は銀行振り込み、クレジットカード、手形小切手を含め銀行口座を経由する方法です。基本的に、所得をごまかしにくい社会になっています。
3) 消費税
高福祉社会を所得税増税だけで実現は困難と思います。どうしても消費税増税をせざるを得ない。その時に、年金の掛け金や健康保険料をどうするのかがポイントと思います。消費税が増税になったとしても、社会保険料が同額安くなればよいのです。上の表の消費税は地方消費税を含まない金額ですから、4%の基準です。1%の増税は約2.7兆円の税収増になります。
ジュリストの2008年5月1日号は、【特集】国家は撤退したか?―「規制緩和」と「リスク社会」です。誰のための国家であり、政府であるか。そんな国家なら政府なら必要ないと言えないのです。無政府状態とは、何をしても犯罪を構成しなくなるわけで、弱肉強食以外の何ものでもない。小さな政府論は、聞こえはよいのですが、ライオンが子羊にささやいている恐ろしい言葉ではないかと思えます。
4) 法人税
諸外国よりも高いとの意見を聞くことがあります。しかし、単純ではありません。例えば、中欧のスロバキアですが、所得税、付加価値税、法人税全て19%です。しかし、社会保険料は会社負担35.2%で個人負担13.4%です。背景として、社会主義国から市場経済へ移行したが、計画主義経済で競争力ある産業が存在しなかったことから、外国から企業誘致を推進し、国民の雇用確保に努めることが最重要政策でありました。それと、社会主義で国営企業のみの産業構造の場合は、国営企業の収益金が国庫収入になるのですから、税の概念が異なってきます。税徴収がスムースに行かなければ、公平な税が成立しませんから。
日本は、日本として法人税をどうするかを考えるべきと思います。法人税の特徴は、赤字企業は支払う必要がないことです。それと、法人の利益は最終的には、個人に回ってくることとなるが、法人税率が低いと、個人には回さず、法人に留保することが有利になってしまいます。法人税率を下げても、それが労働者の賃金に回ることは絶対なく、賃金は税が決定するのではなく労働市場が決定する。
同様に、非正規雇用が話題になりますが、労働市場が決定している面があるのであり、法人税を増税して非正規雇用者のセーフティー・ネット整備に支出するとの考え方もあるのではとも思います。
5) 小さな政府・大きな政府
小さな政府を目指した結果は、格差社会と理想を失った社会になってしまったのではと思います。勿論、むやみに大きな政府が良いのではなく、適切な政府が良いはずです。
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