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2008年5月24日 (土)

日米の経済比較

5月16日に内閣府経済社会総合研究所から2008年第1四半期のGDP速報(1次速報値)が発表され、約半月前の4月30日に米商務省(US Department of Commerce)から米国GDP第1四半期の速報値(GROSS DOMESTIC PRODUCT: FIRST QUARTER 2008 (ADVANCE))が発表されています。

1) 日本の景気は良いのか?

5月16日の新聞報道ですが、以下の様なのがありました。(毎日は社説です。)

読売 日本経済成長加速→1~3月期GDP、年率換算で3・3%
朝日 1~3月期GDP、年率3.3%増 3四半期連続プラス
毎日 社説:GDP成長率 景気、物価両にらみの時だ
日経 2008年度の実質成長率1.3%に・NEEDS予測

おそらくは、読売の記事にある「米国経済の減速などの影響で、今後も順調な成長が続くかどうかは不透明」との見方をされておられる人が多いのではと思います。

4月30日の米国GDPについての報道を掲げておきます。

日経 5月1日 1―3月の米実質GDP、0.6%成長――住宅や消費の不振続く

2) 日米比較

2003年からの5年間についての日米GDPの伸び率、即ち経済成長率のグラフを書いてみました。

Gdp200805

2008年第1四半期の前期比GDP成長率(年率換算)は、日本が3.3%、米国が0.6%なので、これだけだと日本が断然良いと感じるのですが、グラフに書いてみると異なった姿が見えてきます。直前の四半期と比べた場合は、季節調整を行っても3月と期間が短いので、調整しきれないのではと私は思います。

上のグラフで波線で現したカーブが、前年同期比でこちらの方が、安定したカーブになっています。前年同期比を2008年第1四半期で日米比較をすると、日本が1.1%で、米国が2.5%です。日本は、サブプライムで騒いでいる米国より悪いのです。そこで、次が2003年第1四半期を100として書いた実質GDPの推移グラフです。

Gdp2008051_2 

やはり、日本経済の方が、問題が多いのではと感じてしまいます。

3) 民間住宅投資

米国ではサブプライムローン問題が大変であると報道されています。確かに、金融関係では大幅な人減らしとボーナスカットが実施されています。そして、住宅関連の建設を初め、住宅設備関係も不況です。しかし、これもグラフを書いてみると少し異なった絵が浮かんできます。

Gdpresidential200805

サブプライムローン問題が表面化したのは、2007年7月28日のエントリー株価・為替・金利の動向で書いたように、2007年7月中旬です。上のグラフからすれば、2007年7月中旬は米国の住宅投資が2003年初めの水準に落っこちてきた頃です。しかし、米国では2006年に入った頃から、住宅投資は減少を始めていたのです。言ってみれば、その頃から新規住宅金融が減少をしていたのであり、サブプライムローン問題の端緒が始まっていた。

日本は、住宅を見ても米国より事態が悪いように思えます。2007年に入っての落ち込みは姉歯ショックでしょうか?そんな単純なものではなく、個人の収入が伸びないことから住宅投資も長年伸びてこなかった可能性があると思います。

4) 家計最終消費支出

個人の支出である家計最終消費支出がどうであったのか伸び率を見たのが次のグラフです。更に、2003年第1四半期の支出を100として書いた推移グラフをその下に掲げます。

Gdp200805houseconsr

Gdp200805housecurv

上のグラフは平均を示しているのであり、貧困層と富裕層で異なるかも知れません。むしろグラフを書いてみると、昨年の初め頃まで言われていたいざなぎ超える好景気と言うのが嘘であったような気がしました。欺されていたのでしょうか?

サブプライムローン問題なんて、実はたいしたことはないのではと思うのです。むしろ、食料価格やエネルギー価格、その他資源価格の高騰の方が、本当は経済に与える影響が大きいのだと思います。そして、影響力を考えた場合、石油メジャーに代表されるように米国は石油・ガス価格の高騰はマイナスのみに働くのではないのです。食料についても同じで、全て日本経済の方が不利であると思います。

スイスの有力ビジネススクールIMDが「2008年世界競争力年鑑」を発表しましたが、日本は22位です。1位米国、2位シンガポール、3位香港と続き、アジアの国で日本より順位が高いのは台湾13位、中国17位、マレーシア19位です。日経の5月15日の記事日本の競争力22位に上昇・08年、スイスのビジネス校調べがあります。又、順位表は、ここにあります。

日本経済は、多くの問題を抱えている。何も解決していないとの気がしています。例えば、本日は、このあたりにして、時間がかかるかも知れませんが、これから先に書き続けたいと思います。

最後に、日米のGDP速報が記載されているWebを書いておきます。

日本:http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#qe
米国:http://www.bea.gov/national/index.htm#gdp

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コメント

こんにちはHA-NAMです!!
興味深く読ませていただきました!!
ベトナムでもインフレが加速しています。
ベトナムについてのブログを書いています!!
tbさせていただきます!!
時間のあるときに見てみてください!!

投稿: HA-NAM | 2008年5月24日 (土) 13時50分

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