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2008年7月30日 (水)

消費者庁と政局

1) 福田政権の行方

福田政権は、どうなるのでしょうね。次の朝日の記事が面白かったのです。

朝日 7月30日 解散政局へ与党突入 首相、8月初旬改造へ調整

特に何時解散するかについての、次のこの名前なんて。

予算成立後派:  森元首相、伊吹幹事長、大島国対委員長

年末年始にも派: 北側公明党幹事長、古賀選対委員長

国民のために働いているのではなく、個人の私欲のために働いているのかな、政治家としてどうなのだろうと思ってしまいます。権力を握ってしまうと、残念ながら、その権力維持のために自分の権力を最大限使おうとしてしまいます。それが、人間のある一面です。

だから、これからの政局は面白いのです。衆議院で自民公明が議席を減少させることは、ほぼ確実と思われる。そんな衆議院選挙って今までなかったことです。そこを各権力者が、どのように動くか、興味があるし、その結果を今後の私たちの判断に生かすべきと思います。

2) 消費者庁

消費者庁は、福田首相が言い出したと理解しているのですが。例えば、この2008年1月24日の読売の記事です。また、この5月22日福田内閣メルマガにも書いてあります。

政局が解散に向かうと、消費者庁はできるのかとの疑問を持ちました。消費者のための行政は実施されている。内閣府が担当をしているものの、多くの省庁にまたがっていることから、積極的なことを実施できていない。

日弁連も、この2008年2月15日意見書にあるように消費者庁の設置を求めています。頓挫することなく、実現して欲しいと思います。

消費者庁が設置されたとして、それで問題が解決するわけではなく、単にスタートラインに着いてだけのことであり、発展させる必要があることに変わりはありません。もし、福田首相が退陣したらどうなるのだろうか?次の政権も積極的に推進するかな?もし、民主党が政権を取ったら、民主党も推進するかな?あるいは、選挙に勝つために、皆が消費者庁設置を叫んだりして。

どうなるか、これも面白いですね。

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2008年7月24日 (木)

石油価格の値下がり始まったか?

7月に入ってから、NYMXの原油価格も横ばいであったのですが、ここにきて価格が下がり始めました。

日経 23日 NY原油、大幅下落 9月物124ドル台に

今年に入ってからの価格(WTI原油スポット)のチャートを見てみますと次の通りです。(データは、米国エネルギー省Energy Information Administrationの資料から採りました。)

Wticrude20080724a 

この7月に入ってからの部分を大きくしたチャートが以下です。

Wticrude20080724b

本日24日の価格については、次のロイターによれば北海原油BrentがU$125.95/bblとのことです。

Reuter Jul 24, 2008 Oil edges up after slide to 7-week low

いずれにせよ、最高値145ドルからは、10%以上(15%近く)の値下がりです。株価だったら、大騒ぎでしょうか。原油価格の変動は、株価よりも経済に対する影響は大きいです。原油価格が下がり始めたとしても、少し、ここで小休止かも知れません。気になるガソリン価格については、面白いですね。日経とNHKを紹介します。(NHKは、続きを読むに入れておきました。)

日経 24日 ガソリン価格0.4円安、2週連続で低下 石油情報センター
NHK 24日 ガソリンの小売価格 依然高値

原油価格も何時までも値上がりが続くわけではありません。但し、長期的には、有限なる資源であり、開発・採掘・生産するにコスト高の油田へと生産が移行していくのですから、値上がり傾向であることに間違いはないと思います。その結果、省エネ対応に成功した国、会社、個人が繁栄をすることになると思います。

なお、短期的には(中期的と考えられるかも知れませんが、エネルギーを考える際は、このことは短期に入ると思います。)イランが一つのポイントかも知れないと思います。北朝鮮は米国政府のState sponsors of terrorismと指定した国ではなくなりつつあります。イランは、ブッシュ政権の後だろうと思っていたのですが、例えば次のReuterの記事です。

Reuter Jul 18 ANALYSIS-U.S. changes tactics in talks with Iran, N. Korea

すこし、雰囲気が変わってきている気がします。米国が、イランをState sponsors of terrorismからはずし、敵視政策を転換すると、その影響は大きい。世界のエネルギー地図が、ほんの少し影響を受けます。

でも平和な地球がいいですね。もうすぐ北京オリンピックの平和の祭典が始まります。敵視政策がなくなり、平和が来て、地球の未来が美しくなることを期待します。

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2008年7月19日 (土)

長銀経営者無罪判決に思う

最高裁は1998年(平成10年)に経営破綻した旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で、証券取引法(現金融商品取引法)違反と商法(現会社法)違反で起訴された経営者3人に対して、18日に無罪の判決を出しました。判決文は以下にあります。

平成20年7月18日 最高裁判所第二小法廷 判決

この判決に対する新聞の社説は、日経朝日読売等ありますが、私は日経の「そこを公に検証する、大恐慌後に米議会に置かれた調査機関「ペコラ委員会」のような場が要る。」との意見に賛成します。少し書いてみます。

1) 銀行経営とは何か

一般企業の経営再建は、事業見直し、コスト削減や販売強化・提携強化等ですが、銀行の場合は、そうではありません。銀行にとっては「再建」というような言葉が付されたならば、直ちに破綻に等しいのです。長銀判決を考える上において、それを念頭に入れる必要があると思います。

何故再建ができないかと言ったら、不安な銀行に誰も預金しないからです。預金の引き上げが生じたら、破綻です。通常の企業の仕入れに相当するのですから、仕入れが不可能となれば、企業は直ちに破綻です。

銀行とは信用力が第一に必要なものであり、信用力は決算書(財務諸表)により測定される。特に貸借対照表が重要となりますが、銀行支援のための資本注入とは何であるかは、資金が必要だから増資するのではなく、資本比率を高め、信用力を上げるためにしていると言えます。

通常の企業とは、すこし異なった面を持っています。

2) 当時の銀行(金融界)の状況

1992年頃でしたでしょうか、バブル崩壊がありました。その頃、流行した言葉に「価格破壊」というのがありました。その中で、一番価格が下がったのが、地価だったでしょうね。金融界の鬼子として住専というノンバンクがありました。本来は住宅資金の融資業務のために銀行が設立したが、銀行自らも住宅融資に乗り出し、住宅金融の競争が始まると、資金コストの高い住専は不利になる。信用力ある大手企業は社債、増資、コマーシャルペーパー等を発行して直接金融の時代にも突入していったことで、銀行の優良融資先が減少して行っていた。

住専は、住宅融資ではなく企業向け融資に走り、しかもバブル期待の土地取得融資なんてバカな金融にも横並び競争を始めていました。さらに、もう一つの問題として農林系金融機関が住専に多額の資金を融資していることでした。農地の売却代金の預金を農協が集めてしまう。(農協にとっては、自らの成績を上げることにるし、農家にとっても銀行より農協の方がおなじみさんです。)農協は、その資金を農林中央金庫、信用農業組合連合会(信連)、全国共済農業協同組合連合会等に預金し、更にその先の運用としては、国債より利息が高く大手銀行が出資をしている住専に貸付ける。ごく普通の金の流れです。更に言えば、住専が企業による農地取得資金を貸し付けるのですから、見事にバブルの構造ができています。

住専を処理できなかった。バブルに対処できなかった。バブルに浮かれた結果、そのツケが銀行の破綻、国庫による損失の負担に繋がっていった面があると私は思っています。

3) 会計基準

会計の方法により利益は変動する。会計を知っている人にとっては、当たり前のことですが、余り知らない人にとっては不思議に思う。一番大きな理由は、期間計算であることによると思います。貸した金で利息を取っても、元本が返済されなければ損失となる。利息分が利益となるが、発生主義が会計基準であるから利息について入金の有無に拘わらず、期間をベースに収益を計上する。元本は、利益の源泉であるが、返済されることを原則とせざるを得ない。貸倒見積高に基づいて計算された貸倒引当金を控除することとなる。

法人税の基となる税務上の課税所得計算は、公平・単純と言った原則が適用されなければならない。税額計算で鉛筆がなめられるなら、不公平が蔓延し、無茶苦茶となる。課税所得計算においても、貸倒引当金が認められるが、業種による差があれば変になる。(特例はあり、例えば現在でも、資本金1億円以下の企業には租税特別措置法57条の10による貸倒引当金計算の適用もある。)

税務で引当金が認められないのに、損失を出すのはおかしいという本末転倒の議論をする人が当時はいました。そうなんです、会計基準の世界でも、税効果会計に係わる会計基準が企業会計審議会より発表されたのが平成10年10月30日で、その適用は平成11年4月1日以降開始する会計年度からでした。

長銀事件で問題となっている平成10年3月期の翌々年から税効果会計が適用となりました。この税効果会計に係わる会計基準で「企業会計上の収益又は費用と課税所得計算上の益金又は損金の認識時点の相違等により、企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金の額を適切に期間配分」なんてことが出てきて企業利益と課税所得の金額に差があることが陽の目を見たように思います。

最高裁の判決文では触れられていませんが、企業会計原則の継続性の原則である「企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。」ということを考え、そして判決文11ページの「9年事務連絡は,・・・その内容も具体的かつ定量的な基準を示したものとはいえない上,・・・金融機関一般には公表されていなかった。」や12ページの「4号実務指針については,具体的な計算の規定と計算例がないなど,これに基づいた償却・引当額の計算が容易ではなく,・・・結局,定性的な内容を示すにとどまり,・・・定量的な償却・引当の基準として機能し得るものとなっていなかった上・・・」と言った指摘を考えると刑事罰まで問うことが正しいのかとの疑問が出ます。

刑事罰は、刑事罰を構成することが明確であるときに問えると思います。心情により罰を下すものではないはずです。

4) 原因者

本当の原因者はバブルに浮かれた国民であったような気がします。直接的に、責任の一端が長銀経営者にあることについて否定しません。しかし、それ以上に大きな責任がルールを作る側にあったと思います。3)で税効果会計に係わる会計基準を書きましたが、金融商品に関する会計基準が出されたのが平成11年1月22日です。(平成12年4月1日以降開始する会計年度から適用)

一つのルールを作るには大変な労力が必要です。利害関係者が多い。だから時間も要するのですが、住専を破綻させたら、農協がつぶれる。農業が破綻するという大変な構造でした。政治家は、ともすれば問題の先送りに奔走します。しかし、それもツケを払いたくない選挙民が多いからでしょうか。

現在も増税を唱える政治家は少ないし、唱えたとして消費税のみで、真に公平な増税論は何かを余り聞かないように感じます。

従って、長銀問題については、刑事罰を追求するのではない公的な調査期間が調査を行って、問題点を幅広く調査、公表して欲しいと思います。

長銀って良い銀行でしたね。金融債の発行が許されたから支店数は少なく、企業の長期設備資金融資が主体であった長銀、興銀の方々は、一般銀行の方々とは少し違った特異性を持った方が多かったと感じています。現在は、元長銀マンの方々も様々なところで活躍されておられると思います。そういう方々を育てた長銀という銀行と優秀な方々が活躍できる場が存在する社会を良いものだと思います。

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2008年7月18日 (金)

教育委員会汚職対策

大分県教育委員会不正合格・汚職問題は広がりを見せております。多くの教育委員会で共通する問題と感じますが、次の読売の記事は「教員採用試験の合否伝達問題で、県議らに試験結果を知らせていたことが計25道府県市教委にまで広がりを見せている。」と書いてあります。

読売 7月17日 県議らによる教員採用合否照会、各地で明らかに

県議が何故関係するかは、うさんくさいものを感じざるを得ないし、大分県教育委員会不正合格・汚職問題での商品券の金額は驚くような金額です。

1) 汚職構造の教育委員会

教育委員会は汚職構造に満ちていると思います。教員になっての出世とは、何でしょうか?楽しみとは何でしょうか?児童や生徒を教育することの喜びが、楽しみのはずが、保護者からのいじめを受けて挫折とは行かなくても、教員を続けることの悩みを持つことは多いと思います。しかし、転職は会社努めの人より困難です。だから、ある時出世欲が出たならば、それに邁進することになることも多いと思います。

人の能力評価なんて、どのようにでも鉛筆なめができるはずです。出世するためには、教員に限らず上の人に気に入られることです。黒を白と言ってでも。教員の世界なんて、他の世界と交流も少ない。

教育委員会とは、昭和31年に制定された地方教育行政の組織及び運営に関する法律により設置されている委員会であり、その権限は23条に定められており、ちなみに、その第三項は「教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること。」となっています。出世して、良いことがあるかどうかは、その人の考え方ですが、人事権を持って人を動かせることは、権力欲の発揮にはなります。

現在の教育委員会は変な独立になっていますから、牽制も働きにくいとしたら、汚職蔓延の世界と思います。勿論、汚職を率先して実行する権力欲のある方々はごく一部の方であると思いますが、そんな方がトップになられることが多くないことを望みます。

2) 教育委員公選制

地方教育行政の組織及び運営に関する法律の4条1項は、次のようになっており、教育委員は都道府県知事と市町村長による任命です。

委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化(以下単に「教育」という。)に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。

しかし、昭和31年以前は選挙だったのです。当時の法律である昭和23年制定の教育委員会法7条は次でした。

第7条 都道府県委員会は7人の委員で、地方委員会は5人の委員で、これを組織する。
2 第3項に規定する委員を除く委員は、日本国民たる地方公共団体の住民が、公職選挙法(昭和25年法律第100号)の定めるところにより、これを選挙する。
3 委員のうち1人は、当該地方公共団体の議会の議員のうちから、議会において、これを選挙する。

3項の一人を議員等することに私は賛成できませんが、教育が政治の影響を受けすぎたことの反省と米国による民主化指導により、教育委員会が日本にも設置されることとなり、選挙で選ぶこととなったのです。なお、教育委員の選挙制度は沖縄では1972年の本土復帰まで実施されました。

だから、本当は沖縄の人たちが、教育委員公選制について語っていただくのが良いと思います。

3) 教育は重要である

教育は重要です。だから、教育委員・教育委員会を地域の人たちが選び、批判し、解任することができなければならないと思います。現在、多くの人たちが、日本の将来について、明るい未来像より、暗雲立ちこめた未来像を持っている気がします。明るい未来をつくることは、教育です。自分たちの子孫が自分の明るい未来を作るはずなのに、逆に問題先送りをして子孫に負債を残しているのが現状であれば恐ろしいことです。

私は、重要な教育委員会の構成メンバーである教育委員を選挙により選出できる明るい未来になって欲しいと思います。

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