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2008年8月31日 (日)

新銀行東京

新銀行東京について、3月14日と6月7日に新銀行東京の今後新銀行東京の倒産の可能性のようなエントリーを書いたこともあるので、次の読売の記事については、気になりました。

読売 8月31日 新銀行東京、融資にブローカー暗躍…都議に口利き依頼も

銀行の倒産には1千万円まで預金保険があるとは言え、影響は大きいので、ない方がよく、東京都の追加出資もあり無事に推移しており安心しています。

しかし、自治体が出資する株式会社の銀行はあるべき姿かと言えば、そうではないと考えます。銀行が預金者に対して預金利息の支払いが実行可能であり、預金の払戻しに応じられるのは、預金により得られた資金を預金以上の高いリターンで貸付を行えているからです。すなわち、儲かっているからであり、儲けることは銀行の使命であります

8月18日から9回にわたって、自治体病院の経営指標を連載しましたが、自治体が病院を持つことと銀行を持つことは、全く意味が異なります。自治体病院が赤字であっても、その使命を果たすためには赤字が許される場合があります。しかし、銀行業務は民間銀行(信用組合、信用金庫等を含め)との競争です。この競争は健全な競争です。結果、自治体銀行が赤字であった場合、最終的には預金の利払いと払い戻しに支障を来す。仮にそうならなくても、純資産額の減少は出資の減少であり、自治体の損失となる。

常々そんなことを思いつつ、読売の記事を読んだことから。「あり得るかも知れないなあ!」と思いました。自治体銀行の融資審査なんて難しすぎると思います。下手をするとガバナンスが、無責任体制で、誰も責任を取らない体質になり得ますから。

「民間にできることは民間に」ではなく「民間が望ましい事業は民間が。政府自治体が国民・住民へのサービスとして提供すべき事業あるいは範囲は政府自治体が。」を貫き通すべきと思います。

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アフガンから伊藤さん遺体で帰国

先ほど、伊藤さんは遺体で帰国されたとのこと。悲しい出来事でした。

朝日 8月30日22時53分 アフガン拉致 伊藤さん、無言の帰国

アフガンについては、私も今年の1月12日のテロ特措法の成立のなかの「2) 現在のアフガニスタン」で、世界のアヘンの95%がアフガニスタンで栽培されていると書きました。無法地帯、破綻国家と言える部分があるだろうと思います。伊藤さんは、そんなことも承知してアフガンで活動されておられただろうし、人々が生活している所には、社会があり、喜びがあったと思います。

報道はペシャワール会をNGOと読んでいますが、ホームページを見ると、法人組織とされていないと思えます。会則も「本会は、思想・信条にとらわれず、「支えあい」の精神で一致して会を運営する。」とされておられ、参加する人の自由意志を尊重して活動されていると理解します。多分、伊藤さんも、そんな自由なやりかたでのアフガン支援に賛同して活動されていたと思います。

軍事力で人々を制圧することは不可能である。しかし、武力に対して武器なしで戦うことも不可能である。国連を初め国際機関による援助や政府開発援助も有効ですが、NGO、NPO等々様々な形で人が自分の考えで活動することは人としての生きる誇りであると思います。伊藤さんは31歳であったとのことですが、懸命に生きておられたことと思います。

伊藤さんの事件から思い浮かぶのは、高遠菜穂子さんですが、このサイトは高遠さんのブログでしょうか、現在も活躍されておられるようです。ここには、高遠さんのインタビューがありました。

私は、そんなすごいことできないなあ!でも、やれる範囲でやれることをやり続けよう。

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2008年8月30日 (土)

日本の経済活性化

次のニュースを読んで日本も経済活性化をしなくてはと思いました。

日経 8月28日 米SEC、国際会計基準を14年から順次導入

SECのプレスリリースは、次の所にあります。

SEC Proposes Roadmap Toward Global Accounting Standards to Help Investors Compare Financial Information More Easily

米国も以前からIFRS(International Financial Reporting Standards)採用の動きにありましたが、ずいぶん前面に出してきたと思います。日本は、そんな気運は余り感じられず、一生懸命に国際標準とは少し異なった日本基準を作っているのか、あるいは10年以上遅れた世界にいるのかと思えてしまいます。あえて言えば、上場会社は連結財務諸表のみをIFRSで作成し、公開することだけで良いと思うのですが。

Suntech Power(無錫尚徳太陽能電力有限公司)という中国の太陽電池の会社があります。(ホームページはここ)東洋経済On Lineの8月29日 太陽電池・世界大バトル! 台頭する中国・台湾、半導体・液晶での成功を三たび再現へにも中国最大の太陽電池メーカとして紹介がありました。メーカー別の生産量は私も掴めていませんが、2007年の生産高として日本メーカーが920MWで、中国メーカー820MWという数字があります。Suntech Powerの2007年の生産高は363.7MWでした。しかし、恐るべきは、そんな数字ではなく、売上高と利益の右肩上がりの伸びです。

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事業年度 (Suntech Power) 2003/12 2004/12 2005/12

2006/12

2007/12
売上高(千米ドル) 13,888 85,287 226,000 598,870 1,348,262
純利益(千米ドル) 925 19,757 30,628 106,002 171,275
生産高(MW) 6.4 29.5 67.7 160.1 363.7

Suntech Powerは、米国NYSEとドイツ、オーストラリアで株式を上場しています。ドイツは世界で太陽光発電が最も盛んな国であり、オーストラリアは創業者でChairman of the Boardの施正栄(Zhengrong Shi)が太陽電池技術を学んだ国です。

日本には、先行している競合メーカがいるからという理由があるかも知れませんが、それ以上に新規技術・新分野で株式上場をして投資資金を得ようとした場合に、日本より米国に魅力を感じて、その選択をしたのだろうと思います。Suntech PowerがNYSEで株式上場をしたのは、2005年12月です。

日本の証券市場を活発化するのは、決して税制なんかではなく、その市場の魅力だと思います。NYSEへの上場が楽かというと、日本市場より要求が厳しい面があると思います。(6月19日のエントリーでは、米国で上場取消となった日本企業を書きました。)でも、投資資金を募るなら米国の方が魅力的となっているのではないでしょうか。

追記

日本公認会計士協会は8月29日付で、インフォメーションとして、SECが米国企業のIFRS適用に関するロードマップ案公表を決議を発表しました。「日本におけるコンバージェンスの加速化、さらには、IFRSの選択適用を主張してまいりました。」と記載があります。

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2008年8月24日 (日)

銚子市立総合病院閉鎖の決定

自治体病院の経営指標の実績を9回にわたって書きましたが、その間に銚子市立総合病院の閉鎖が決定したとのニュースがありました。

千葉日報 8月23日 市議会 休止2議案可決 民間経営で再開検討へ 銚子市立総合病院

銚子市議会(定数二六)は二十二日、市立総合病院の診療業務休止に伴う条例制定案、病院事業会計補正予算案を、否決すべきとした二十日の教育民生委員会の判断を覆し、賛成一三、反対一二で可決した。無記名投票による一票差の可決により同病院の休止が正式に決まり、同市は民間経営による再開を検討していく。

市長による休止のお知らせは、7月7日付で出されており、22日の市議会における休止2議案の可決は、休止に伴う条例制定案、病院事業会計補正予算案の可決であるようですが、もう後戻りはあり得ないということと理解します。

銚子市立総合病院の経営指標の実績はその3にありますが、次に抜き出しました。

0808

ごく普通程度の数字に思えてしましいます。この数字以外に医師確保が困難になっていることがあるとのことですが、例えば日経 8月23日 銚子市議会、市立総合病院休止を可決 地域医療の維持課題の記事は、「2007年度末の累積赤字は18億4000万円に増加した。一般会計からの繰り入れも限界に達していたという。」とありますので、赤字金額だけからすると2006年度末が16億円だったので、2.4億円の累積赤字増です。

医師確保ができなければ、当然病床利用率は低くなる。医業収入は減少する。赤字は増加する。悪循環ですね。

平成18年度末累積赤字額が大きい自治体病院を5番目まで、抜き出しておきます。

Worstacmloss0808

次は、平成18年の1年間の経常赤字額が大きかった病院を5番目まで、抜き出します。

Worst2006loss

医療機関のみの取り組みで解決すると思わないし、民営化で解決するならとっくの昔に解決していたと思うし、地方自治体レベルのみでは限界があり、日本全体として解決を求めていく必要があると思います。

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2008年8月23日 (土)

自治体病院の経営指標の実績(その9)

九州・沖縄地方8県にある自治体病院の平成18年度の経営指標の表をアップします。

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自治体病院の経営指標の実績(その8)

四国地方4県にある自治体病院の平成18年度の経営指標の表をアップします。

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自治体病院の経営指標の実績(その7)

中国地方5県にある自治体病院の平成18年度の経営指標の表をアップします。

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自治体病院の経営指標の実績(その6)

近畿地方2府4県にある自治体病院の平成18年度の経営指標の表をアップします。

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自治体病院の経営指標の実績(その5)

東海中部地方4県にある自治体病院の平成18年度の経営指標の表をアップします。

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2008年8月22日 (金)

自治体病院の経営指標の実績(その4)

北陸甲信越地方6県にある自治体病院の平成18年度の経営指標の表をアップします。

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2008年8月21日 (木)

自治体病院の経営指標の実績(その3)

関東地方1都6県にある自治体病院の平成18年度の経営指標の表をアップします。

表を読むには、続きを読むをクリックしてください。そうしないと、このシリーズの体裁が悪くかえって読みにくいと思いました。

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2008年8月20日 (水)

アーバンコーポレーションとBNPパリバのデリバティブ取引

やはりアーバンコーポレーションとBNPパリバ(ホームページはここ)との取引については、日経も8月20日の社説 不信を招いた破綻前の起債と題して取り上げておられたし、書いておかねばと思いました。

1) 東証1部上場会社のするべきことではない

上場会社でなければよいのかとの疑問も多少は残りますが、誰もが株式取引をする公開会社で上場会社である会社は、その財務情報に関する情報開示は厳しくあるべきです。アーバンコーポレーションで起こったことは、一般投資家に不信を与え、株式投資に二の足を踏ませることです。日本の株式市場の破滅にも繋がることと思います。(日経社説よりも、厳しい意見としました。)

2) アーバンコーポレーション(アーバン)が行ったこと

時系列でアーバンの出来事をアーバンの発表から見ていきます。

(a) 6月26日付2010年満期転換社債型新株予約権付社債の発行(第三者割当)のお知らせ(PDFファイル/233KB)
(b) 8月13日付(訂正)「2010 年満期転換社債型新株予約権付社債の発行(第三者割当)のお知らせ」の一部訂正及び営業外損失の発生について(PDFファイル/27KB)
(c) 8月13日付平成21年3月期第1四半期決算短信(PDFファイル/248KB)

(a)の6月26日付の発表を読むと300億円の資金をBNPパリバから新株予約権付き社債により年利2.5%の満期日2010年(償還期間2年)で調達したと読めます。但し、発表文に「平成20 年6 月4 日株式会社日本格付研究所による当社長期優先債務ならびにコマーシャルペーパーの格付けについて各々1 ノッチの引下げが行われたほか、投資家ならびに金融機関の取引姿勢が急激に変化していることを受け・・」とあり、300億円の調達が信じられない気分になりますが。

(b)の8月13日の発表(民事再生手続き開始の申し立てをした当日)にやっと、裏をばらしました。「BNP パリバとの間で、平成20 年6 月26 日及び7 月8 日にそれぞれスワップ契約(以下あわせて「本件スワップ契約」といいます。)を締結しております。本件スワップ契約によれば、当社は、同年7 月11日に、BNP パリバに300 億円を支払う・・」と。300億円を借りた相手に、300億円を払ったら、キャッシュフローは帳消しです。

3) スワップ契約

但し、支払ったのはスワップ契約のアーバンの義務を履行したのであり、同時にアーバンは権利を取得しました。それが何であったのか、現在どうなっているのかを(b)と(c)の8月13日付の発表で想像してみます。

VWAPなんて、ややこしい言葉で表現していますが、「売買高加重平均株価(Volume Weighted Average Price)」のことです。アーバンが取得した権利は、自社株の売買高加重平均株価の90%の価格相当の金額をBNPパリバから受領する権利です。300億円は、「行って帰る」取引ですから、キャッシュフローは無関係ですが(実際には手数料分動いた)、BNPパリバには80,744,202株の新株予約権が残っており、これを使って、アーバン株を取得して市場で売る。売って得た金額の約90%をアーバンに支払う。このような感じです。

BNPパリバは、10%儲かる。アーバンは、もし株価が転換価格の344円より高ければ、(厳密には10%のBNPパリバの取り分をカバーする必要があるから378円)儲かるし、低ければ損をする。但し、何がしかの資金にはありつける。(株価がスワップ契約で取り決めた下限を下回れば、そのままで動かず。)

(c)の決算短信によれば、150億円について8月13日までに株式転換されており、150億円が社債として残っています。(b)の書類には58億円の損失とありますので、そうすると、約90億円をアーバンは受領して終わったのかと思います。

そうであれば150億円の社債債権をBNPパリバは持っていることとなりますが、スワップ契約でのアーバンの権利未行使分が同じ150億円残っているはずですから、BNPパリバには、損はないはずです。少なくともリスクが大きければ、BNPパリバはディールをしなかったでしょう。

4) どう考えるべきか

アーバンがBNPパリバに欺されたと見られる人があるかも知れませんが、私はそうは思いません。インベストメントバンクやインベストメントバンク部門を持つ銀行は、日本人が考える銀行をはるかに超えたことをやります。それについて行かないと、現在のビジネス社会では負け犬になります。インベストメントバンクを利用して勝ち組にならないといけないのです。その意味では、アーバンが自社株の値上がりに賭けたというなら、その判断の是非は別にして一つの選択であったでしょう。(私は、正しくない選択だと思いますが。)

悪いのは、こんな重要なことを、民事再生手続き開始の申し立てをした当日に「実は・・・」と言ったことで、こんな経営者は、最悪だし、市場を裏切る行為だと思います。そもそも、社債とデリバティブはワンセットディールです。それを社債部分だけの発表で実態を誤魔化したといのが私の見方です。

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2008年8月19日 (火)

自治体病院の経営指標の実績(その2)

本日は、東北地方の自治体病院の平成18年度の経営指標の表です。

明日(20日)に福島地裁福島地裁で判決がある大野病院事件で有名な大野病院もこのリストにあります。大野病院事件については、判決文を読んで、ゆっくりとコメントを書きたいと思いますが、私は医療に携わった関係者は最大限の努力を払われたと思っています。しかし、その結果が、刑事事件という痛ましいことに至ってしまった。県立病院だから、ご遺族の方のことも思い、責任めいた書類を作ってしまった結果が、刑事事件に発展していった。医師は、全てが信じられなくなる。人間ですから、逃避したくなる。医療とは、信頼により構築されなければならないが、現実には相当な困難があるということでしょうか。

表を読むには、続きを読むをクリックしてください。

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2008年8月18日 (月)

自治体病院の経営指標の実績(その1)

1回のエントリーでは入りきらず、全9回となりました。北海道以外は、次のエントリーに入っています。

8月19日 その2 東北地方

8月21日 その3 関東地方

8月22日 その4 北陸甲信越地方

8月23日 その5 東海中部地方

8月23日 その6 近畿地方

8月23日 その7 中国地方

8月23日 その8 四国地方

8月23日 その9 九州・沖縄地方

2007年10月27日のブログ 廃止候補の201病院、抜けていた都道府県立病院を補足した12月 2日のブログ 廃止候補の都道府県立病院については、多くの方に訪問いただいています。

過去の2つのブログは、平成17年度の病床利用率のみの実績でしたが、平成18年度について同様に地方公営企業年鑑からデータを抜き出して、一覧表を作成しました。今回は、病床利用率に加えて、平成17年度と比較しての病床利用率の増減、医業収入額、他会計繰入額、経常利益額、繰越利益額を追加しました。

データ表示項目を増やしたことから、本日は北海道のみとします。今回作成して思ったことは、病床利用率が多くの病院で下がっていること。経常利益黒字の自治体病院が、北海道では101病院中で16病院でした。しかも、この黒字は収支イコールのゼロもカウントした結果で、更には収入として医業収入だけではなく他会計繰入額を含んでの収支計算です。

別の表現をすれば、他会計繰入額を含んだ収入でも赤字になる病院が85病院(84%)あります。平成18年度で経常損失額が特に大きかったのは、市立函館病院、留萌市立病院、江別市立病院、深川総合病院(現深川市民病院)でしたが、これら病院も頑張って病院事業を継続されています。なお、経常利益には、土地売却と言ったような特別利益は含まれていません。赤字は累積していくと大変です。繰越損失が大きい病院は、北海道立の江差病院、紋別病院、緑が丘病院、次いで室蘭市立総合病院でした。

自治体病院の事業は、私は経営の合理化は可能であっても、赤字の縮小は容易ではないし、まして民間移譲をすれば、切り捨てざるを得ない部分が多く出るだろうと思います。病院事業については、地方の独立なんてバカなことを言っていないで、日本政府が憲法13条に従って「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

日本政府は、最低限度必要な医療の提供を確保すべきだと思います。

0808   

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2008年8月15日 (金)

終戦の日と東条英機メモ

終戦の日は、大東亜戦争のことについて、少しは思いを及ぼした方がよいのかなと思いました。

1) 東条英機元首相のメモ

1945年8月10日から14日までの間に東条元首相が書いたメモが国立公文書館から公開されたとのニュースがつい最近ありました。

共同 8月13日 東条元首相の手記公開 国立公文書館

このメモの要旨が次の共同47のWebにあります。この要旨をもとに思いをめぐらせました。

共同47 東条元首相手記の要旨

2) 歴史の整理

8月10日から14日までを、整理した上で、考えた方がよいはずなので、その整理をしました。整理のための資料は全て国会図書館の日本国憲法の誕生からです。

7月27日 米英中、「ポツダム宣言」発表
7月28日 鈴木首相、記者団に対しポツダム宣言黙殺・戦争邁進を表明
8月6日 広島に原爆
8月8日 ソ連、対日宣戦・ポツダム宣言参加
8月9日 長崎に原爆
8月10日 御前会議、国体護持を条件にポツダム宣言受諾決定 午前9時在スウェーデンと在スイスの日本大使館に対して東郷外務大臣から電信を発信
8月12日 米国からの回答文が到着(在スイス日本大使館からの電信受領18時40分)
8月14日 御前会議、ポツダム宣言受諾決定 午前11時在スウェーデンと在スイスの日本大使館に対して東郷外務大臣から電信を発信 天皇、終戦の詔書を録音
8月15日 正午終戦の詔書を放送 鈴木内閣総辞職

3) 歴史から学ぶ

東条は、1944年7月に総理大臣を辞めていますが、普通の人ではなかったのであり、上の出来事に直接の関与はなかったにしろ、全て知っていたはずです。そう考えて、このメモを読んでいくと、その当時のことが理解できるし、現在の我々に対する教訓を与えてくれていると思います。学ぶことは、知ることではなく、分析してその結果を、将来に生かそうとする努力だと思います。

4) 8月10日

東条メモが何故8月10日からか。残っているのが、偶然そうである可能性もありますが、やはり8月10日がポツダム宣言受諾を日本政府が決定したからだと思います。午前9時には東郷外務大臣から電信を発信しており、早朝の御前会議だったのだと思います。1941年12月8日の対米英宣戦の大詔の時の総理大臣であり陸軍大臣であったのですから、8月10日のポツダム宣言受諾決定は意味するところが個人的にも大きかった。

5) 8月12日

米国の回答が届くのが12日の18時40分ですから、東条がその内容を知るのは13日だったかも知れません。8月10日の決定は、国体の護持が条件だったが、やはり米国(英国、ソ連、中国も代表して)からの返事は「ポツダム宣言の通り」との言葉であった。(続きを読むに返事を入れておきます。)

その結果、8月14日のポツダム宣言をそのまま受け入れる決定しか残されなくなった。だから東条のメモも13日は「願くは今後の国民諸君、降服によりて来るべき更に大なる苦難を忍びに忍び他日の光栄ある帝国建設に努められんことを伏して願て止まず。」と、ポツダム宣言受諾を受け入れ、戦後の日本復興に思いを馳せ巡らせた。

6) 学ぶべきこと

学ぶべきことは多いと思います。東条も10日は「皇位確保、国体護持については当然にして、・・・」と書き、11日には「新爆弾に脅え、ソ連の参戦に腰をぬかし一部条件を付し在りといえども」と書いています。私は、米国の返事に接するまでは、東条も国体護持に希望をつないでいたのだと思うのです。その望みが消滅したとき、自分の死を覚悟し、国の将来に望みを託した。

東条メモの全文を読まずして、冒頭の共同47の要旨を読んだのみですが、武士道を感じます。東条は広島・長崎の原爆のことを相当程度知っていたはずですが、11日のメモのような言い方をしており、現代人からすれば、不謹慎この上ないとなるのでしょうが、当時の日本人の感覚は、東条メモの感覚が一般的だったのだと思います。

冷静に考えれば、変だと思うこと。自分自身が冷静だと思っていても、他人から見れば、冷静ではない。そんなことが、たくさんあると思います。当時の日本人の思考はどうであったのか。例えば、御前会議とは何であったのか。会議ではなく、儀式ではなかったのか。それまでに実質的に決まっていて、それを確認するための儀式。今でも、日本の社会の中で、そんな儀式のような会議も多くあると思うのです。

だから、KYは今に始まったことではなく、日本に古くからあった。KYは、すべきではない。自分の考えを他人に伝え、理解させること。それが確立されないなら、民主主義もなく、戦前あるいはそれ以前に戻ってしまうのではと思います。

7) 国体

国体護持とは、何であったのでしょうか。天皇制でしょうか。そうすると戦前の天皇制とは何かになってしまうのです。私なんかにとっては、極めて訳の分からないものになってしまいます。

NHK TVが、「国のために死ねますか?」なんて聞いているのが出てきます。さすがNHKは、バカですねと思います。国のために死ねる人なんか、誰もいないと思います。国とは、何ですか?存在しているのですか?政府は存在します。最近、グルジアで南オセチア問題で紛争が起こりました。南オセチアは、グルジアなのかどうか私には何とも言えません。国とは、本来あいまいなものです。欲望を持った人が、愛国心という言葉を利用して、暴走させる。多分、南オセチアに住む人にとって、愛国心とはグルジア政府に反抗することではないのかなと思います。

訳の分からないものは、訳の分からないものとして、排除しておくことも必要なのだと思います。

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2008年8月14日 (木)

景気対策を求める

私なりの日本経済の分析と景気対策を書いてみます。

1) 芳しくない日本経済

本日(14日)の日経社説マイナス成長は改革を促す警報だ(8/14)は、内閣府の国民経済計算のGDP速報を受けて書いておられますが、四半期GDPの前四半期からの成長率と前年同期比を2002年第1四半期からの過去6年半のチャートを書いてみました。

Gdpjapan20088

2008年第2四半期も前年同期比は1.0%のプラスで前四半期に対してのマイナス2.4%のように、マイナスにはなっていませんが、上のチャートのように確実に下がってきています。上のチャートを読めば、日本経済は2003年末をピークに長期低落に入ってきていると言える気がします。サブプライムで悪いと言われている米国よりも悪いと言えます。次のチャートが米国GDP伸び率との比較で、右端が2008年代2四半期ですから、日本の悪さが目立ちます。

Gdpjapanus20088

2) 日本の景気が悪い原因

最近、民事再生を申し立てて、そう至った原因を米国のサブプライムの影響だという会社があります。自分自身の放漫経営を棚に上げて、サブプライムが悪いと言う。日本の景気の悪いのは、個人消費が伸びないからです。一番上の日本のGDPチャートに、個人消費と雇用者報酬の伸びを追加しました。

Gdpjapan20088analy

ゴチャゴチャしすぎましたので前年同期比のみのチャートを作りました。

Gdp200808analys2

3) 個人消費の伸びを促進する政策を

上のチャートは、GDPの伸び率より個人の所得や消費の伸び率が低いことを伝えています。個人消費が伸びない状態での繁栄はありえません。今の日本の政策は個人消費を伸ばすのではなく、逆に押さえていると思います。年金に不安を持ったら、消費を節約して貯蓄を増やす。医療が不安になっても又同じ。

政策が悪いと思います。安心して働ける夢の国は無理だとしても、今より制度を充実させるという方向性でなく、財源がないからできないのが当然だという政策を国民が支持するようになった。増税すればよいのです。消費税だけではなく、所得税も、法人税も、相続税も全て公平に増税すれば良いと思います。そして、それにより必要な正しい政府政策を実施することにより日本の発展があると思います。

いずれ書きたいと思いますが、税と社会保障費を合算した国民負担率は日本は低すぎると思います。低すぎている場合の、そのしわ寄せは、低所得者層に行くことになると思います。

4) まさかのキチガイ政策

日経 8月10日 麻生氏、300万円までの株式投資「配当金を非課税に」とキチガイ政策を叫ぶ人も世の中にいます。300万円もの配当金を受領するには、1億円以上株式投資をする必要があります。例えば、トヨタは年間140円配当ですから、21,000株以上持たねばならず、株価4880円ですから、1億2百万円も投資をしなければいけない。他の例としては、新日鐵だったら、11円配当ですから、27万株を保有する1億4千万円の投資が必要です。株価が下がっている現状で、この状態ですから、正常だったら2億円ぐらい株式投資に回す余裕がある裕福な人でしょうか。

麻生ってバカというか、庶民の金銭感覚を持ち合わせていないと思います。本当の景気対策は、必要な出費を削ってでも生活して行かざるを得ない多くの人に夢を与えることだと私は思うのですが。自分を支持する、特定の人たちに利益を供与することではないはずです。

5) 現状の株式税制(参考)

現在の株式税制を参考まで簡単に述べておきます。税法の該当条文を書いておきますが、所得は所得税法、措置は租税特別措置法の略とします。

(1) 配当控除(所得92条)

受け取った配当金の金額の10%分は税金が安くなります。例えば、65歳以上で受け取っている年金が年間4百50万円とします。この人の場合は、所得税の税率は10%ですから、50万円配当金を受け取っても、配当金の10%は税額で戻ってくるので、配当については全く所得税はかかりません。(住民税は、違いますが)

(2) 源泉税(所得120条他)

配当金は、源泉徴収税を差し引かれた金額が支払われます。(上場株であれば所得税7%と地方税3%。)しかし、確定申告をすれば、全額戻ります。なお、2011年から税率が20%(措置法8条の4)となりますが、仕組みに変わりはなく、全額戻ります。

(3) 損益通算(措置法37条の12の2)

株式ですから、売値が買値より安く損失を出すことがあります。現在は、株式の売買損は売買益と相殺ができ、もし損の方が大きければ3年間持ち越しが可能です。これが、2009年からは受取配当金とも相殺が可能となります。配当金はマイナスにはならず、投資家に有利になる話です。

(4)特別税率(措置法37条の10と措置法附則43条)

2011年から株式売買差の利益に対する税率は所得税15%と地方税5%になりますが、それまでは売買差の利益300万円までは所得税7%と地方税3%です。勿論、損失の相殺は受けられます。

税法は、額に汗して稼ぐより、証券で儲ける方を推奨しています。デイトレーダーを批判した人がいましたが、それよりも証券税制を批判するのが正当だと思います。

株式を大量保有しても、優遇は全て適用です。(源泉税は100万円以上の配当は所得税15%と地方税5%となりますが、戻ってくるから影響なしです。)

預金の利息には所得税15%と地方税5%がかかります。預金には、株式に適用されるような制度がなく、生活が苦しくて預金を取り崩す人でも、優遇は何もない。そんな人の預金からも20%の税金を有無を言わさず取り上げる制度となっています。取られっぱなしで、戻りません。株式税制は投資家に有利です。資金の余裕がない人にとっては、リスクを取って株式投資に回せる金額は少なく、あるいはそんな余裕が全くないのが実情です。

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2008年8月11日 (月)

ガソリン価格まもなく170円

ガソリン価格は8月になって、やはり少し上がったようですが、まもなく下がり始めると予想しました。(参考:日経 8月1日 ガソリン、今月も値上げ レギュラー180円台半ば目立つ

理由は、簡単で原油価格が1バレル115ドル位に下がってきたからです。

Reuters Aug 8, 2008 Oil falls to $115 on economic worries, dollar gains

日経 8月10日 NY原油、急反落 9月物終値4.82ドル安の115.20ドル

7月24日のエントリーで書いたチャートに、それ以後の価格を追加しました。

Wticrude20080811a

Wticrude20080811b

2番目のグラフのピンクの線は、OPECのバスケット平均原油価格です。だいぶ下がってきましたが、未だ4月頃の価格水準でしょうか。

1月17日に揮発油税の扱いと題したエントリーで、日本のガソリン価格は原油価格に運賃、石油精製経費、貯蔵経費、販売経費等と税金を含め80円~100円が上乗せされた価格になっていると書いたことがあります。この上乗せを90円として原油価格を1バレル115ドル、そしてドル為替を110円として計算すると1リットルのガソリン価格は170円となります。

だから、まもなく170円になると予想しました。

石油情報センターの資料による全国平均のレギュラーガソリンの価格をチャートにしました。この数ヶ月で、ずいぶん上がりました。170円になっても、5・6月の水準にもどるだけです。果たして、燃料はいくらであるべきかは、難しいですが、急激な価格変化は影響が大きいので、多少はほっとできるのではないでしょうか。

Gasoline20080811

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