自治体病院の経営指標の実績(その1)
1回のエントリーでは入りきらず、全9回となりました。北海道以外は、次のエントリーに入っています。
2007年10月27日のブログ 廃止候補の201病院、抜けていた都道府県立病院を補足した12月 2日のブログ 廃止候補の都道府県立病院については、多くの方に訪問いただいています。
過去の2つのブログは、平成17年度の病床利用率のみの実績でしたが、平成18年度について同様に地方公営企業年鑑からデータを抜き出して、一覧表を作成しました。今回は、病床利用率に加えて、平成17年度と比較しての病床利用率の増減、医業収入額、他会計繰入額、経常利益額、繰越利益額を追加しました。
データ表示項目を増やしたことから、本日は北海道のみとします。今回作成して思ったことは、病床利用率が多くの病院で下がっていること。経常利益黒字の自治体病院が、北海道では101病院中で16病院でした。しかも、この黒字は収支イコールのゼロもカウントした結果で、更には収入として医業収入だけではなく他会計繰入額を含んでの収支計算です。
別の表現をすれば、他会計繰入額を含んだ収入でも赤字になる病院が85病院(84%)あります。平成18年度で経常損失額が特に大きかったのは、市立函館病院、留萌市立病院、江別市立病院、深川総合病院(現深川市民病院)でしたが、これら病院も頑張って病院事業を継続されています。なお、経常利益には、土地売却と言ったような特別利益は含まれていません。赤字は累積していくと大変です。繰越損失が大きい病院は、北海道立の江差病院、紋別病院、緑が丘病院、次いで室蘭市立総合病院でした。
自治体病院の事業は、私は経営の合理化は可能であっても、赤字の縮小は容易ではないし、まして民間移譲をすれば、切り捨てざるを得ない部分が多く出るだろうと思います。病院事業については、地方の独立なんてバカなことを言っていないで、日本政府が憲法13条に従って「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」
日本政府は、最低限度必要な医療の提供を確保すべきだと思います。
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コメント
はじめまして。
自分のブログを立ち上げてから、あちこちブログを歩いています。
公立病院ガイドライン、地方からの怒りが湧いてこないのは、どうしたことかと感じています。大きいのは、知らない、知らされていないということでしょうか。
よく言われているのは、憲法25条の生存権ですが、憲法第13条も国の責任を問う大切なことですね。
投稿: 春が、来た | 2008年8月23日 (土) 13時23分
貴重な資料を提供いただき、ありがとうございます。私のブログで、「自治体病院の経営指標の実績」をご紹介させていただきました。
公立病院改革ガイドラインが最後の一押しになって、自治体病院の破綻がドミノ倒しのように起こりかねません。特に、北海道・東北地方の過疎地域に深刻な影響を及ぼしそうです。医療崩壊が地域崩壊に結びつくことが懸念されます。
投稿: zundamoon07 | 2008年8月24日 (日) 19時10分
「春が、来た」さん
憲法が軽んじられるような風潮は、避けなければいけませんよね。国民共通の願いを書いているのであり、最近マニフェストなる言葉が使われていますが、マニフェスト以前に憲法があり、憲法を軽んじる政治家は失格にすべきでしょうかね。
Zundamoon07さん
ブログで紹介ありがとうございます。自分自身、表を作成しつつ思いました。「赤ばかり。金額も大きいところがあるなー!」とため息をついていました。
投稿: ある経営コンサルタント | 2008年8月25日 (月) 01時31分