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2008年9月27日 (土)

丸大食品のメラミンに関する危険性

メラミンが含まれた食品が日本国内で発見されたと報道が、ありました。

読売 9月26日 丸大食品の自主回収対象4商品からメラミン検出

そこで、丸大食品の商品の安全性を評価してみます。

1) 丸大食品のメラミン含有量

読売の記事によれば、次の通りです。

市販用クリームパンダ      37  ppm(高槻市検査分)
業務用クリームパンダ       36.6ppm(大阪府検査分)
グラタンクレープコーン      14  ppm(丸大食品検査分)

2) 食品安全委員会の基準

食品安全委員会のメラミンについての文書はここにあります。メラミンが工業用の物であることから、食品委員会としての基準値は未だ作成しておられないと思いますが、米国食品医薬品庁(FDA)と欧州食品安全機関(EFSA)のリスク/安全性評価が書かれています。FDAの基準は以下であります。

TDI(耐容一日摂取量):0.63 mg/kg 体重/日
(注)TDI(耐容一日摂取量)とは、耐容摂取量は、意図的に使用されていないにもかかわらず、食品中に存在したり、食品を汚染する物質(重金属、かび毒など)に設定される。耐容一日摂取量は、食品の消費に伴い摂取される汚染物質に対して人が一生涯にわたって摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量

安全値が0.63mg/kgですから、体重を10kg~50kgの場合について計算すると次の通りになります。

体重 10kg 20kg 30kg 40kg 50kg
耐容一日摂取量 6.3mg 12.6mg 18.9mg 25.2mg 31.5mg

3) クリームパンダの安全性

クリームパンダの安全性を評価します。この丸大食品のクリームパンダの商品情報に100gあたりの数字が書いてあります。100gで262Kcalとなっているので、普通であれば1回に食べる量は100g程度ではないかと思います。クリームパンダのメラミン含有量が37ppmであるとすると、100gに対して3.7mgです。従い、1日100g程度クリームパンダを食べるだけだったら良いのですが、例えば体重20kgの子供が1日3食合計で340g以上クリームパンダを食べると危険範囲に入ってしまいます。

なお、基準値TDIは一生涯にわたって摂取を続けても安全であることを前提にしていることから、直ちに危険ということではないと理解します。

4) 中国の乳幼児用調製粉乳の場合

食品安全委員会の文書には、メラミンが混入された中国の乳幼児用調製粉乳に関して、22 の製造者の69 製品からメラミンが検出され、その含有量は、高いもので2,563 mg/kg で、それ以外のもので0.09~ 619mg/kg との記載があります。

乳幼児のミルクの飲む量ですが、3~5月の離乳食前の場合がミルクを飲む量が一番多く、1回200mlを1日5回位のようです。1日に1,000mlですね。この中の粉乳の量は130g程度でしょうか。そうすると、1日のメラミン摂取量は、高いものの場合は333mgで、それ以外のもので0.01mg~80mgとなります。

3~5月の離乳食前の乳児の体重は、6~7kgであり、FDAの基準をあてはめると耐容一日摂取量は3.8mg~4.4mgです。高い場合は、基準値の80倍以上になりました。

食品の安全性について、○×ではなく、数字を使用して評価することが重要であり、本質を追究しないと本当の意味で対策がとれない。下手をすると多大なるコストを有効でないにも拘わらず掛けてしまい、結果的に我々の食品の価格が上がる。それを全員が支持するなら良いのですが、むしろその結果として、更に安いコストを求めて更に危険な食品が出回ることとなる。そんな馬鹿げた「イタチごっこ」だけはしたくありません。

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