世界は大不況に突入か?
サブプライムによる金融面における影響、あるいは住宅関連の不況については、誰もが認識しているところです。一方、別の面で実体経済の不況が進んでいるように思え、本エントリーを書いています。
1) バラ積み船の船賃下落
9月9日に価格下降にどう立ち向かうかを書き、その際にInvestment Tools.comで紹介されているバラ積み船の船賃指標であるBaltic Indexのチャートをコピーして掲げました。現在のチャートと9月9日のチャートを以下に掲げますので、比べてみてください。(上が現時点で、下が1月半ほど前です。
9月9日頃は5,663であったのが、1月と20日弱で1,292と4分の1弱に下落しており、最高時と比べると、その10分の1近くです。
対象となっているバラ積み船とは、大きな船では300mもあるケープサイズの30万トン積のような船から、パナマ運河最大級のパナマックスと言われる8万トン積の船、あるいはもっと小さいハンディーサイズと呼ばれる4万トン積程度の船とか色々あり、石炭や穀物を主たる貨物として運搬する船です。
何故そんなに安くなっているかは簡単です。荷物が無いから、相場が落ちただけです。バラ積み船の市況は、大きく変化しますが、現状の落ち込みは誰もが予想しなかったレベルと思います。
2) 経済の鏡
実際には長期用船もあるので、Baltic Indexが直ちに運賃に結びついていない場合もあるはずです。そして、Baltic Indexが1/4になったから、荷動き量も1/4になっているわけではありませんが、原材料の世界的な貿易量は減少していると言えます。このことは、同時に生産量も落ち込んでいるし、製品の貿易量減少にも繋がっていくし、同時に製造業の売上減少、業績悪化に結びつくはずです。しかも、それが世界的な規模で起こっていると私は考えます。そうでないと、このような大きなBaltic Index下落にはならないと思うからです。
3) 日本経済
闇みたいな可能性もあるのではと懸念します。10月20日の日経ですが、次のニュースがありました。
原材料や燃料の価格下落があり、業績が改善したことを報じていますが、10月22日には鉄鋼大手、3年ぶり減産 自動車向けなど低迷と言った報道があります。利益増加は、原材料価格と製品価格の下落のタイムラグにより生じているだけで、大きな方向は、生産量減少に向かうと思います。
例えば、数ヶ月前には、トラック輸送業界が軽油値上がりにより利益が生まれないとの話がありました。これからは、仕事がない、そして廃業・倒産といった暗い傾向が始まるように思えるのです。
4) 対策
輸出依存が多い企業は、売上減少に見舞われる気がします。輸出依存とは、直接輸出のみならず間接的な部分も含めてです。
数年以上前ですが、リストラという言葉を良く聞きました。日本のリストラの多くは、企業の体質改善ではなく、単なる人減らし、正規社員減らし、中高年高給社員の首切りでしか無かった場合が多かったのではないかと気になります。これらのリストラは企業の業績を一時的には良くしても、長期的な改革策ではないからです。
不況時には何をするか?研究開発と思います。企業の投資とは、設備投資のみにあらず、研究開発への投資は極めて重要です。その企業が、他企業には負けない分野、負けたくない分野で、研究開発投資をするのです。それで、絶対とは言えないでしょうね。うまくいかずにやはり倒産するかも知れません。でも、研究開発の成果は例え倒産しても残ってくれる可能性があるし、夢があります。何もしないでいるより、研究開発に突き進んで、倒産したなら、やるだけやって倒産したので、ある満足感が得られるかも知れません。人員減らしより、よほど楽しいですよ。
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