朝日新聞天声人語に対する苦言
朝日新聞の次のリンクの11月14日の天声人語です。(1週間を経過すると、有料になるかも知れません。)
奥田碩トヨタ自動車相談役が、座長を務める11月12日の政府の「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」において、年金や医療問題をめぐる報道について「新聞もそうだが、テレビは朝から晩まで厚労省の話を毎日やっている。あれだけ厚労省だけたたかれるのは異常な話」と批判したことについて書いています。
11月11日の天声人語の中に、不適切な記述があると考えます。例えば、次の部分です。
国民から負託された公権力の運用に、厳しい目が注がれ、批判が起きるのは健全なことだ。メディアはそれを担っている。役目を知らぬ奥田氏ではあるまいに、一体どうしたことか
メディアとは、マスメディアのことと思うが、批判する役目は、マスメディアのみではないはず。奥田氏の発言内容についての参考報道として次の共同の記事を掲げます。
共同 11月12日 奥田碩氏、報道を批判 「厚労省たたきは異常」
企業がスポンサーとならない自由は、私はあって良いだろうと思います。TV局は、ニュースについては、スポット広告のみのスポンサーなしででやればよいのです。新聞は、正しい報道をしていれば、販売部数が伸び、広告収入が得られます。これが基本と考えます。
なお、奥田氏の発言の内容そのものの是非については、発言の詳細やその前後の討議も分かっていないので、ここでは議論をしません。
私の言いたいことは、マスメディアが批判を担っているとするなら、マスメディア以外の人々も批判をする権利を持っていることです。大東亜戦争へと導いていったのは、軍部のみではなかった。マスメディアも、戦争協力一色に近かったと理解します。そこには、そのようなになってしまった理由が存在したと思うし、その責任をマスメディアのみに追わせることは間違いと考えます。しかし、マスメディア自身も自ら十分に反省をし、自由な批判が起こるように努力すべきと考えます。
もう一つは、「自分が批判することは正しくて、他人が批判することは間違い。」のような主張はすべきではなく、どの部分が正しくないのか、自分の意見はどうかと、具体的に個々の論点をあげ、エビデンスを示して論じるべきです。論理的思考なくして、議論することは、軍国主義一色の戦前の日本のある時の状態みたいであり、朝日新聞が最も避けようとしていることと思っていました。
ところで、「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の構成員名がこの書類の2ページ目にありますが、大熊 由紀子 国際医療福祉大学大学院教授、元朝日新聞論説委員という方がおられます。他に、読売新聞東京本社専務取締役・論説委員長も構成員となっておられます。奥田氏の発言に対してどのような発言・反論をされたのでしょうか?元論説委員が構成の1員であったことから、朝日は懇談会の議論の詳細を取材することが可能であり、批判するなら、具体的な議論をして欲しかった。大新聞の伝統あるコラムであるだけに、残念です。
まさか、田母神元幕僚長と同じように扱っていないと思いますが。奥田氏は公務員ではなく、自らの意見を述べることに制約は受けません。公務員は全体の奉仕者です。自衛官は、軍隊の一員であり、自らの意志でいかなる決定をすることも許されません。そのことにより、国民の信頼・信任が得られるのであり、他国からも侵略のための武力ではないと受け入れられる。天声人語が田母神元幕僚長のレベルと同じになると懸念します。
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