割り箸事故東京高裁無罪判決
1999年に杏林大学付属病院で、4歳の保育園児ののどに綿菓子の割りばしが突き刺さっているのを見落とし死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた医師に対する控訴審判決が東京高裁であり、検察側の控訴を棄却し無罪とする判決が出されました。
読売 11月20日 割りばし事故、2審も元杏林大病院医師に無罪…東京高裁
2月28日のこのエントリーで、東京地裁の民事裁判の原告の請求を棄却する民事裁判の判決(損害賠償の責任はなし)について私の感想を書いたことからの備忘録です。東京地裁民事裁判の判決文は、ここそしてここ(全文)にあります。
今回の東京高裁刑事裁判の判決文も、Webに出てくると思うので読んでみたいと思います。なお、医療事故に関する刑事責任については、私は意図的な犯罪と認められる場合と重過失に該当する場合に限定すべきと考えています。なお、重過失致死罪とは次の刑法211条1項です。
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
医療事故の刑事責任追及に関しては次のことが言えると思います。
1 医療関係者に対する刑事処罰による医療事故防止について効果は期待できない。
2 刑事責任を厳しくすると、治療効果とは関係なく、リスクの高い治療が避けられることとなる。
3 個人責任の追及は現在のチーム医療にそぐわない。
4 刑事責任の追及が、医療関係者の自己保身に走らせると、原因解明と再発防止に向かわない。
5 刑事罰よりも医師免許取消のような行政処分の方が適切である。
裁判員制度が来年2009年5月21日から始まりますが、医療に関する刑事責任追及にどう思われますか?
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