日銀利下げと株価
10月31日に開催の日銀の政策委員会は、政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を年率0.3%前後とすることを決定しました。日銀発表は以下です。
1) 賛成・反対は4:4ではなく7:1の多数賛成?
当初ニュースを知った時、4:4の同数で、現状維持の委員が4名おられたが、賛成者に白川総裁が回っていたから、この引き下げが決定したのかと思いました。でも、このロイター・ニュース10月31日 日銀が政策金利0.3%に引き下げ、総裁「1カ月で経済・金融変化」によれば、「決定に反対したのは4人だったが、白川総裁は決定会合後の会見で、このうち3人は0.25%への利下げを主張したことで反対に回ったことを明らかにした。1人は現状維持だった。」と報道しています。
0.5%から0.3%とするか、更に引き下げ幅を大きくして0.25%にするかについては、それほど大きな違いはなく、今後の金利政策の柔軟性を高めておくためには、0.25%より0.3%の方が、一応は大きかったかなと思う程度です。いずれにせよ、政治的圧力とは無関係に、日銀独自の判断として政策委員会の決定をされたと思うことから、支持いたします。
参考まで、ロイターに2005年1月からの政策金利と消費者物価上昇率のグラフがありました。ここをクリックすると出てきます。
2) 金利引き下げの影響
私は、一番インパクトがあるのが、為替レートと考えます。為替レートは、いくらが妥当なのかは極めて難しいのですが、不況下の円高というのは、望ましくないというか、普通ではないことと思います。今の日本の不況は、その原因が米国発だと麻生総理は言っておられますが、私にすれば、そんな単純ではなく、10月22日に世界は大不況に突入か?で書いたように、もっと広範囲な地球規模の世界同時不況であり、むしろ日本は今のところ傷が未だ浅い状態のような気がします。
世界が同じように不況になるなら、外国為替レートは動かないはずですが、金利の影響があり、米ドルやユーロが利下げをした中で、円金利を据え置いたままでいると、どうしても円に資金が集まり、その結果円高が進行すると考えます。
3) 株価と外国為替レート
最近のマーケットは、株安と円高の同時進行です。株価と為替を同じチャートで重ねて見るとよく分かります。左軸は日経平均で、右軸が米ドル為替レートです。
8月初めまでは、為替レートは比較的安定しており、株価は緩やかな下降であった。それが、8月に入ってから動きはほぼ同一となり、9月末頃から急激な下落となっていった。ユーロについても、同様にチャートを作ってみましたが、ほぼ同じです。
円高となっているのは、円を買う動きの方が活発であることが、その原因のはずですが、その円資金がどのような形で保有されているのか、現状がよく見えていません。とりあえず円高の流れを抑制するとなると政策金利を低くすることでの対処しか有効でないような気がします。
1米ドルが100円を切り83円位までいったのは、1995年5月頃でした。1990年代の為替と短期金利、長期金利がどうであったかのチャートを掲げておきます。ちなみに、1995年5月に月間平均レートが83.19円/U$となり、この時のオーバーナイト金利(月平均)は1.31%でした。為替が100円/US$に戻ったのは、1995年10月であり10月のオーバーナイト金利は0.47%でありました。
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