納税者番号導入、所得税最高税率上げ
納税者番号導入、所得税最高税率上げを、10日午前の自民党税制調査会(津島雄二会長)の幹部会合で大筋を了承したとのことで歓迎します。
日経 12月10日 政府・与党、納税者番号導入を検討 所得税最高税率上げ
反対意見が出てくるでしょうが、所得税を上げないと、お先は真っ暗と思います。所得税を上げて、貧乏人の負担を軽くして、金持ちの負担が上昇するようにしないと、社会不安が解消せず、日本がジリ貧になる気がします。所得税増税は、超過累進課税を採用しているから、高所得者の税負担が大きくなるが、低所得者の負担を一定以上は上げられないので、所得再配分機能が働きます。(なお、考え方によっては、小渕内閣時代に景気対策として時限的に特例として下げた所得税率を元に戻すだけとも言えます。)
観点を変えて考えると、「所得税を上げること」と「消費税を上げること」のどちらが良いかです。勿論、両方とも上げないことが納税者としては、良いに決まっています。しかし、サービスを受けるための財源として負担するなら、どちらが良いかです。私は、所得税が合理的と思います。何故なら、高所得者の負担を大きくして、低所得者の負担を少なくする調整が所得税だと可能だからです。
9月4日のエントリーの中で、次のグラフを掲げました。
紫の線が社会保障負担です。コンスタントに右肩上がりで、これは年金保険料と健康保険料です。グラフは、GNI(国民所得)に対するパーセンテージです。しかも、この紫の線の社会保障負担は、年金改革もあり医療費の増加もあり、右肩上がりが継続します。一方で、保険料であるが故に、一定の高所得者以上は定額となり、そのような高所得者の負担パーセンテージは低くなります。
黒の線が国税で、茶の線の地方税より少しパーセンテージが高いものの、国税収入には法人税もあることから、1990年をピークに下がるか横ばいです。赤の線が、国税と地方税の合計です。これも同じで1990年がピークです。格差社会を緩和することが重要だと考えるなら、所得税の増税が最も有効であり、例えば年間所得3千万円以上の人あたりをターゲットにしたらと思います。次のグラフは、年間所得3千5百万円以上の人について10%増税した場合のグラフです。
なお、最初のグラフの潜在的国民負担率のパーセンテージは、赤字国債も含めて負担率と計算した場合です。つまり、赤字国債も将来返済することから国民負担です。実際の負担は、将来に来るので、言わば将来増税の約束です。
次に納税者番号ですが、大賛成です。公平な課税が原則であり、不公平を無くさないと社会は成立しません。今は、住基ネットという個人には何の役にも立たない番号が割り振られて管理されています。住基ネットの番号を個人で知っていて役に立つことはないと思います。
歳入庁をつくり、年金、健康保険、地方税、国税全て統合して徴収すれば、不正は生じにくくなります。徴収経費も安くつきます。日本が、やっと先進国になれることを期待します。
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コメント
それよりも分離課税のほうをやめて総合課税に移行してほしいと思います。
日本では資産による所得等に対しては累進税率が適用されていませんので、個人所得課税の負担率が諸外国よりとても低くなっています。
投稿: arrack | 2008年12月12日 (金) 16時03分
arrack サン コメントありがとうございます。
所得税で分離課税が適用されている主な項目は、以下です。
1)預金利息 (国税15%、地方税5%)
2) 株式売却益(上場株式については、国税7.5%、地方税2.5%)
3)土地・家屋等の売却益(5年未満30%、5年以上15%)
資産に対する課税と言う場合は、資産保有に係わる固定資産税と、資産の名義が変更となっても売却ではないために、所得が生じない相続・贈与の場合に適用される相続税・贈与税です。このうち、相続税・贈与税は累進税率となっています。
預金や株式売却益は累進課税でよいと思います。納税者番号を導入すれば、適用が容易です。
消費税率のアップばかり報道されますが、税体系の見直しを同時にして、多くの国民が納得できるようにすべきと私は考えます。
投稿: ある経営コンサルタント | 2008年12月12日 (金) 18時54分
裸一貫で身を起こして、稼ぎはいいが資産はない。
不労所得も少ないこれから富裕層入りを狙う人たちへ、さらにハードルがあがりますね。。
格差固定でしょうか。
投稿: ん | 2008年12月14日 (日) 17時04分
がんばる人に重税、怠け者に支給。
日本はお先真っ暗ですね。
投稿: ユキ | 2009年1月10日 (土) 10時23分