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2009年1月25日 (日)

ライブドアの株主への賠償責任

株式会社LDH(旧ライブドア)がフジ・メディア・ホールディングス(旧フジテレビ)に310億円払うことで和解が成立したとのニュースがありました。

日経 1月23日 旧ライブドア、フジに310億円支払い 株急落巡り損害賠償和解

フジの要求額が345億円であったことから、90%の額をLDHは認めたこととなります。

元ライブドア株主で株価下落により損失を被った株主はフジTVのならず、大勢存在するのであり、同様にLDHに損害賠償を求めています。しかし、これに関しては日経には、「LDH個人や法人の株主からも賠償請求訴訟を起こされているが、同訴訟は今後も争う方針。」と書かれています。ちなみに、法人や個人関係の損害賠償訴訟に関するニュースとしては、以下があります。

朝日 2008年6月13日 株主に95億円賠償 ライブドアに支払い命令
産経 2009年1月22日 ライブドア個人株主訴訟が結審 判決は5月21日

思うのは、フジTVは他社や一般株主よりライブドアの内容を知っていたはず。即ち、ライブドアがラジオ局のニッポン放送の発行済み株式35%取得を発表したたのが、2005年2月8日でした。(読売 2005年2月8日 ニッポン放送株 ライブドアが35%取得)その結果、2005年4月19日にフジTVとライブドアは提携合意を発表した。フジTVが440億円をライブドア資本金として払込み、さらにはライブドアが取得したニッポン放送株を約1000億円でフジTVが購入する。1474億円というバカみたいな巨額をフジTVはライブドアに払ったのです。(読売 2005年4月19日 フジ1474億円負担 ライブドアと和解

1474億円払う時に、相手のことを普通であれば調査します。ライブドアから金額を闇雲につり上げられたが、日枝氏他が自己保全のために、手切れ金として、それに応じていったとも考えられなくはないですが。推測に過ぎませんが、いずれにせよ、このあたりは、常識外れの気がします。提携するなら提携する価値があるか、相手の会社の能力等様々な調査をするのが普通です。

ライブドアやホリエモンのことを考えると、強欲やくざ(資本主ではありません)と思えるのです。今回LDHが310億円も支払えるのは、LDHが資金を保有しているからであり、昔、ホリエモン達が自社株をあたかも価値があるかのように偽装して手に入れた金がLDHに未だ残っているからです。フジTVに賠償金を払うことに異存はありません。フジTVのみならず、ライブドア株式で損失を被った多くの人達にも、賠償金を払ってあげて欲しいと思います。フジTVには、要求額の90%を認めたのですから。

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2009年1月23日 (金)

大阪産業大学vs週間東洋経済

学校法人大阪産業大学がこの発表 本学園の資産運用に関する新聞報道についてを1月21日付で出しています。

発表の中で「本学園が運用する種々の資産のなかにデリバティブを組み込んだ仕組み債があり、米国発の金融危機に始まる円高の影響を受けて、現在の時価で数十億の評価損を生じております。」と述べられています。

ところで、既にホームページからのリンクはなくなっているのですが、ここに1月19日付けの「本学園に対する「週刊東洋経済」の掲載記事について」という発表文があり、しかも、この文書の下にQ&Aへのリンクまでついてあり、週刊東洋経済の記事の個別論点について書かれています。

週刊東洋経済の記事は、ここにあり、読むことができます。

大阪産業大学が、デリバティブを組み込んだ仕組み債を保有していることは大学自身が認めており、評価損が何十億円か発生していることも確かです。そこで、大学の2008年3月末貸借対照表がこの書類の3ページ目にあり、ここに財産目録もあります。保有している有価証券は139億円でした。

すっきりしないのは、数十億円の評価損との表現だけでは、逃げているのではと感じてしまうことです。それと、1月19日付の発表のリンクを中止してしまったこと。勘ぐれば、監査法人を大手のトーマツから中小の監査法人である監査法人アイ・ピー・オー(公認会計士19名)に変更していることです。上場企業のパターンなら、上場廃止に向かってまっしぐらの時に起こる現象ですから。

学校法人は、財務状態の評価で学生や生徒が集まってくるのではないが、うさん臭いと思わせるような発表はせずに、堂々と正確な会計情報を提供すべきだと思うのですが。

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2009年1月20日 (火)

バラク・オバマ大統領就任

本日就任式です。最近の米国大統領の中では、期待感が最も大きな大統領である気がします。世界的な不況脱出と平和への前進に関しての期待が大きいのだと思います。

1) 不況脱出なるか?

簡単ではないと思います。車のビックスリーにしても、需要減とコスト高を同時に抱え、解決を誤るとサブプライム以上の影響が出ると思います。コスト高には12月18日の自動車産業の今後で書いた様に、UAW(全米自動車労組)との協定があり、ビックスリーの人件費の時間平均73ドルは、日系メーカーの人件費の約1.5倍です。同じ国内での話であり、中国と日本の比較ではないので、大変です。

米国不況について金融方面に関連する話題が多いように思えるのですが、製造業に関する問題もあり、下手をすると1929年のブラックマンデイから始まった世界大恐慌と同じような大不況になる恐れがあると思います。

2) 平和

ガザ停戦はオバマ氏大統領就任とやはり関係があるのでしょうか?米国は、イラクから大部隊を引き上げるでしょう。オバマ大統領に期待をしてるのは、米国国民のみならずイランや北朝鮮も、そうではないかと思うのです。

ブッシュ政権は、9月11日事件はイスラム過激派だ、アルカイダだと激しく非難した。イラクについては、大量破壊兵器の使用を計画しているかのように発言した。9月11日事件のあった2001年より今は安全になっているのだろうか?飛行機に乗る時のチェックが厳しくなったから、安全になっていると思えるが、イスラム過激派がいなくなったわけではなく、インドのムンバイで事件も起きた。9月11日事件以前にも、爆破テロの様な事件は、世界各地であった。軍隊を外国に送ったりするのではない警察力を前面に出したテロとの戦いが本来の姿に思えます。

冷静に考えると米国の過剰攻撃であるように思える。そう考えれば、オバマ政権がそんな特別な平和攻勢に出るのではなく、ごく通常の交渉をベースとした世界の国々の関係を進めていくだけと思います。

3) オバマ大統領期待

”We can change”なのだと思います。変革が可能なのだと米国人を勇気づけたことが、オバマ氏の最大の勝因だと思います。これもブッシュ氏との対比になるが、「正しいアメリカ、強いアメリカ」で引っ張った。それが成功した部分もあるが、ゴムが伸びきり、風船が膨らみすぎた所で、はじけてしまった。サブプライムを含め金融問題も、車のビックスリー問題も根は同じだと思います。

正攻法で、問題を正面からつぶしていくことの重要性だと思います。オバマ大統領の期待を高くした功労者は、やはりジョージ・W・ブッシュその人ではなかったかと思います。

4) 大統領・首相

オバマ氏は、米国民に大きな希望を与え、米国以外の人々にも同じような期待を与えていると思います。”We can change”世界は変わるのだと。

日本の首相も、自ら先頭に立って、日本のため、世界のために頑張るのだという期待を抱かせるような姿を見せて欲しいと思うのは欲張り過ぎなのでしょうか?「可愛そうなくらい苦労しているんですよ。」なんて言った首相がいましたから。これじゃ、首相になる夢を持てないよ。政治に夢がないと思います。あるいは「イラクには大量破壊兵器が存在する。」と言って、国民に大嘘をついた首相もいました。

大統領や首相は、国民のならず全世界の人々に夢と希望を与える人であって欲しいと思います。そのために、一番必要なことは、誠実であることと思います。そして、これからのオバマ大統領を見ていきたいと思います。

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2009年1月18日 (日)

USエアウェイズ乗務員に喝采

US Airways 1549便の事故において全員無事であったことは、とても嬉しいことです。機長の判断と手腕のすばらしさは絶賛すべきですが、同時に副機長や客室乗務員にも賛辞を送りたいと思います。

そこで、US Airwaysの乗務員の名前が、このUS AirwaysのRepleaseにありますが、次の通り、一番若いのが49歳の副機長Jeffery Skilesさんで、他はいずれも50歳代です。平均すると54.6歳になります。

平均年齢55歳弱で立派に乗客150人を乗せた飛行機を安全に飛ばし、全エンジンの離陸1分後の停止といった緊急状態で、安全な着陸を行い、しかも全員を大過なく避難させたというのは立派だと思います。日本は高齢化社会かも知れない。しかし、米国人と日本人に差はないと思います。

50歳代は、働き盛りであることを証明した5人の方々だと思いました。あらためて拍手をします。

Captain Chesley B. Sullenberger, III
Age 58, joined US Airways (PSA Airlines) in 1980. He has a total of 19,663 flights hours

First officer Jeffrey B. Skiles
Age 49, joined US Airways (USAir) in 1986. He has a total of 15,643 flight hours.

Flight attendant, Shelia Dail
Age 57, joined US Airways (Piedmont Airlines) in 1980 and has more than 28 years experience with the airline.

Flight attendant, Doreen Welsh
Age 58, joined US Airways (Allegheny Airlines) in 1970 and has more than 38 years experience with the airline.

Flight attendant, Donna Dent
Age 51, joined US Airways (Piedmont Airlines) in 1982 and has more than 26 years experience with the airline.

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2009年1月17日 (土)

USエアウェイズのエアバスA320型機ハドソン川無事不時着

読売とNY Timesの記事を掲げます。

読売 1月16日 ハドソン川に旅客機不時着…邦人2人含む155人全員救出

NY Times January 15 Pilot Is Hailed After Jetliner’s Icy Plunge

思うことを書いてみます。

1) 冷静

飛行機のパイロットや乗務員、あるいは救助に参加した警察官やその他の人々、そして乗客やマスコミも冷静だと感じました。日本のマスコミ報道も冷静だなと感じました。死者や重傷者がいなかったことがありますが、事故があった際、冷静に対処することが重要と思います。

10月24日に都立墨東病院における妊婦死亡を書きました。妊婦が五の橋産婦人科からの搬送が必要となったのは、10月4日でした。報道は、それから18日後の10月22日でした。墨東病院は、最初の要請を受けた段階では、他の妊婦への対応が必要であったため、他の医療機関を探すことをお願いせざるを得なかった。10月24日の都立墨東病院における妊婦死亡でリンクを掲げた読売の記事も「都は詳しい経緯を調べている。」と書いています。すこし調査をすれば、墨東病院の状態は把握できたと思うのに。読売が甘いのか、都の対応した人が悪いのか。

でも、最低なのは、都知事の対応だった。地方自治体の責任を放棄して、国の責任と言ったのだから。漢字読めない人より、理論・論理は無茶苦茶です。

感情論より冷静な対応が重要と思います。米国は、日本のような国ではなく、論理で説得をしないと進めることができない。だから、常に冷静さが重要。日本も、もっと冷静な対応をしないと、先は暗いと思いました。

2) 不時着機はどんな飛び方をしたか

飛行ルートは上のNY Timesや他の新聞等にも出ていますが、BBCニュースを紹介します。

BBC News 16 January 2009 Pilot hailed for 'Hudson miracle'

このBBCニュースの真ん中から少し下あたりに衛星写真と飛行経路が出ています。離陸が15時26分、15時27分に鳥が両エンジンに衝突したことを報じ、15時28分にテタボロ空港に着陸をアナウンスし、15時31分にハドソン川に不時着したのですから、飛行時間約5分でした。衛星写真には、テタボロ空港の位置も③として示されているので、分かりやすいと思いました。

テタボロ空港もそれほど遠くではないが、エンジンが2基とも使えないので、着陸する際のコントロールが難しい。ハドソン川は、ジョージ・ワシントン橋より下流には橋が存在せず、川幅もある。川を往来する船舶を巻き込む恐れはあるものの、陸上で失敗するよりリスクは低いと判断したのだと思います。BBC衛星写真で赤線のUS Airways1549便航跡がハドソン川の上にかかろうとする位置にあるのが、ジョージ・ワシントン橋です。

機長の仕事って、すごいなあ!と思います。

報道には何も書かれていませんが、満席だったはずです。この飛行機の乗客座席数はこのページにあるように150で、機長、副機長に客室乗務員3名を加えて合計155名であったのです。

3) 原因と対策

多分鳥のエンジンへの衝突であったのだと思います。事故が対策を発展させるのであり、事故とは貴重なものと思います。「事故は、だれかが悪いから発生する。」というような感覚から抜け出るべきと思います。

昔、小学校で「悪いことは、だれかが悪いからだ。」といったようなことを学んだ気がします。もし、今でもそんなことを教えているのだったら、即刻中止すべきと思います。様々な事故があり、原因もまちまち。どのような事故に対しても、勇敢に立ち向かい、被害を最小限に止め、将来に役立たせようと努力する人達が多くいることを肝に銘ずるべきだと思いました。

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2009年1月14日 (水)

失業対策・雇用危機対策

日経は、次の社説を掲げていました。

日経社説 1月13日 雇用危機に手腕問われるオバマ新政権

日本の場合は、XX政権となるのでしょうか?私は、日本のことを書きます。

1) 日本の就業者数、失業者数

昨年12月26日に発表された総務省の労働力調査(速報)平成20年11月分(基本集計)が、最新統計であることから、この数字を眺めます。こちらからダウンロードできます。

(なお、労働力調査における就業者には、自営業者も含んでいます。)

1997年以降の15歳以上の人口を労働人口とし、その総数と就業者数及び就業者割合の推移のグラフを書きました。

20091

この10年間でそれほど大きな変化はないのですが、2002年/2003年頃までは就業率においては、すこし低くなっていった様です。高齢化が進むと低くなっていくと予想されます。

同じ期間について完全失業率を示したのが次のグラフです。

20091_2

失業率は、長期的には2002年をピークに、下がっています。そこで、2008年のグラフが次です。

20091_3

2008年11月までについては、それほど深刻とも思えない。(失業中の人からはしかられそうですが)失業率ゼロが本当によいのかについても、よく考えれば、失業者に対する手当や教育・訓練の場が与えられているのであれば、この世に好不況があり、産業や社会の発展により調整が生じると考えれば、悪と絶対視するより、うまく対処することが重要と考えます。

総務省の労働力調査に主要国の比較も記載されています。最近5年間の推移と1年間の推移のグラフを掲げます。

20091_4

20091_5

米国の2008年11月における失業率は6.7%であり、2007年11月の4.7%と比べると2.0%増加しました。車のビッグスリー関連の失業も増加するでしょうから、日経社説の通りオバマさん大変ですが、頑張ってくださいの言葉となってしまいます。それからすると、日本は健全です。しかし~であります。

2) 失業と収入源

失業と収入減、どちらも嫌です。答えは簡単ですが、現実に日本で生じているのは、12月26日に書いた税制改革中期プログラムを考えるに掲げた次のグラフのように、所得の低い階層の増加がおこっていることであり、これは問題だと思います。

H19_6

総労働人口は増加しておらず、低所得給与所得者は増加している現象です。グラフのデータは、国税庁の民間給与実態調査からなので、公務員・地方公務員および自営業者は対象に入っていませんが、所得者数のグラフは次の通りです。

Photo

グラフが右の方で水平になっていますが、完全に水平になったら、それ以上の所得の人はゼロという意味です。男で年収5百万、女で年収2百万が人数を半分づつ分ける辺りです。「仕事があるだけありがたいと思え。」といった感じで、安く働かされるのは、嫌なのですが、グラフを見るとそんなことが生じているのかなとの気がします。

現実には、親会社が下請けにXX以下だと発注できないとして単価を下げさせられ、そのしわ寄せは下請けの社長を含めた人件費に行っているという形は、あり得ると思います。だから、政治が率先して解決・改善に向けた取り組みをしていかねばと思います。その意味で、失業率のみを捕らえるのではなく、失業者に対する生活保障、教育・訓練そして生活できる賃金の確保が重要と思います。

3) 長時間労働

薬の宣伝を思い出します。「24時間働けます!」なんて、本当は意味がありません。休息すること睡眠をとり、人間らしく働き、楽しむことが生きることのはず。しかし、そうはならずに不況だから益々長時間労働になっていやしないのだろうかと思います。元検弁護士のつぶやきからですが、この1月11日の朝日の記事 風邪や疲れに「点滴バー」 都心に増加、効果に疑問もが報じている「点滴バー」は変だと思います。

元検弁護士のつぶやきに多くのコメントがありますが、「点滴バー」は「プラセーボ(偽薬)効果」のはずです。プラセーボとは、このブログに書かれていますが、薬の治験に際して使用する偽薬です。

点滴して、頑張ってその先に何があるのか?そこまで頑張る必要があるほど人手不足なら、今生じている臨時雇用、派遣切りは何なのか?絶対におかしいと思うのですが。

大分キャノンの労働組合法違反を書きましたが、今の政治の無力さが嫌になる感じです。国会で、あんなことが言われていて、その後何もないの?という疑問です。

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2009年1月11日 (日)

経団連はキャノンを除名できるか?

「経団連はキャノンを除名できるか?」なんて、思ってしまいました。理由は、1月9日の衆議院予算委員会における民主党枝野委員の大分キャノンに関する発言です。

大分キャノンは、1000人以上の請負労働者・派遣労働者を切りながら、ハローワークで期間従業員として組合に入らないことを条件に求人しています。なんと酷い会社ですか。

この 衆議院TVから平成21年1月9日 (金) の会議名 : 予算委員会 の枝野幸男(民主党・無所属クラブ)を選んで、その始まりから48分少しを経過したあたりからです。民社党のこの件に関するニュースはここにあります。

労働組合法に違反することは明らかであり、労働基準法その他の上でも問題があると思います。ちなみに、労働組合法第7条は次の通りです。

第七条  使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一  労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。
二  使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。
三  労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。
四  労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと若しくは中央労働委員会に対し第二十七条の十二第一項の規定による命令に対する再審査の申立てをしたこと又は労働委員会がこれらの申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは労働関係調整法 (昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。

経団連の定款がここにあります。第3条の目的には「国民経済の自立と健全なる発展を促進することを目的とする。」と書いてあり、第4条の事業には「労使関係の健全な発展」や「労使関係の安定に資する経済界としての協力・支援」という言葉が書いてあります。法を守らない、ルールを無視するというのは、「コンプラが全くできない。」や「CSRなんてありえない。」というレベルと思います。

経団連で正当な活動をされておられる企業にとっては、キャノンは迷惑千万な企業となるはず。さあ、キャノンを除名処分にするだろうかと思いました。

ところで、上記は枝野発言が正しいとしての記述です。1月3日に自殺した永田寿康元衆院議員が追求した偽メールとは訳が違うと私は信じています。

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2009年1月10日 (土)

30万トンタンカーは3百万ドルで解放

12月31日のソマリア海賊問題で触れたサウジアラビアの原油タンカー”シリウス スター”(318,000トン)が身代金3百万ドル(2.7億円)を払って解放されたとのニュースが流れました。

日経 1月9日 ソマリア海賊、サウジタンカーを解放 身代金支払いか

どのようにして身代金を渡したかですが、犯人が人質に取って乗船している問題のタンカー目掛けてパラシュートで身代金を落としたようです。次のBBCニュースの写真に身代金とパラシュート及びタンカー"Sirius Star"が写っています。この写真がリンクされていたのが次のBBCニュースでした。このBBCニュースには日本の報道より多くのことが書かれています。

BBCニュース 9 January 2009 Saudi tanker 'freed off Somalia'

ところで、全長330mのタンカーであったので、隠すことはできず監視下にあったのです。BBCにあった写真を誰が撮影したかというと、Photo: David B. Hudson /U.S. Navyと書いてあるので、米国海軍の人ですよね。米国海軍が監視していても手出しはできなかった。犯人は3百万ドルの身代金を受け取ってスピードボートに乗って逃げていったという事件です。こういう中で、自衛隊が出て行って何をするのかな、説明して欲しいなと思います。

釈放されたタンカーに乗っており人質になっていたのは英国人、サウジアラビア人、ポーランド人、クロアチア人、フィリピン人の乗組員25人で、積荷は原油2百万バレルですから、現在のOPEC原油価格US$42.13で計算すると84百万ドル(76億円)相当です。人の命には、貨幣価値がつかないとして積荷だけで考えると身代金は4%相当であったわけで、この30万トンタンカーの中古船価格を30百万ドルとすれば、積荷プラス船体の価格の2.6%相当が身代金でした。

タンカーが乗っ取られたのは11月15日で、解放まで55日間を要したのですが、当初は身代金要求額は25百万ドルであったこともあるようで、10分の1近くに下げて妥結したようです。BBCニュースは未解決の人質船として9月末頃に捕えられたウクライナのFainaという貨物船があることを述べていますが、複雑だと思います。戦車33両と武器を積んでいると言うことで、誰がどこに輸出しようとしていたのか、ウクライナですから恐ろしい可能性があると思います。

12月31日のソマリア海賊問題で書いたように、ソマリア海賊問題は、その背後にある貧困や無政府状態を解決しないと根が残るだけであり、前進がないように感じます。でも、赤羽桂子さんも解放されてよかったですね。日経 1月8日 外務省、赤羽さん解放を確認 外相「卑劣な犯罪行為」

平和は、努力して維持しなくてはなりません。しかし、武力で維持することは不可能であり、それ以上の様々な手段で維持できるのだと思います。その意味で、今ホットなニュースはガザでしょうか?ここに地図がありますが、狭い地域ですよね。そして、次のリンクが国連安保理事会の2009年1月8日決議1860号ですが、これを読んで、非常に納得してしまいます。何故米国が棄権投票をしたのか分からなくなります。理事国各国代表による投票後の演説がここにあります。米国国務長官コンドリーザ・ライス氏の演説は、私なんか賛成演説と思います。コンドリーザ・ライス氏の演説は続きを読むに入れておきます。なお、日本の外務省発表のリンクも掲げておきます。

United Nations Security Council Resolution 1860 dated 8 January 2009

中曽根外務大臣談話 平成21年1月9日 中東情勢に関する国連安保理決議の採択について

続きを読む "30万トンタンカーは3百万ドルで解放"

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2009年1月 8日 (木)

100年に1度の不況なのか?

100年に1度の不況というような言葉が使われることがあります。本当なのだろうか?と疑問を持ちます。東洋経済 1月6日 100年に1度? 未曾有の危機は恐慌につながるか?! しかしデータが語るものはも、そのような疑問を書いていました。私も、そうなんです。

1) 近年の不況

手っ取り早い比較として昭和31年以降の毎年度の前年度実質GDP伸び率を経済成長率として、次のグラフを書いてみました。データは、内閣府の国民経済計算からです。

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経済成長率で捉えると、昭和31年度以降でマイナス成長が記録されたのは、2001年度、1998年度、1974年度の過去3回であり、2008年度もマイナスの記録となるのは、ほぼ確実です。1998年度と2001年度にかけては、一つの日本の景気の谷であり、不況が続いた時期でした。おもしろいのは、1998年は小渕氏が小泉氏を破って自民党総裁となり、小渕内閣が発足した年であり、2001年は逆に小泉氏が自民党総裁となり長期の小泉政権が発足した年です。この1998-2001年度不況はバブル崩壊の余波が約10年続き、失われた10年と呼ばれる日本経済回復のための時期であったと言えます。

バブル経済の絶頂期は1998-1990年度であり成長率は、6.0%、4.4%、5.5%を記録しました。

その前の1974年度は、1971年のニクソンショックによる外国為替の変動相場制への移行、1973年の第一次オイルショックや狂乱物価の影響を受けての不況でした。但し、日本経済のファンダメンタルは強い成長力に支えられていたことから、それほどの影響はありませんでした。

昭和31年度以降の経済成長率推移から判断すれば、1990年以降は安定成長経済に入ったと考えます。従い、安定成長期に高度成長を目指すと失敗する。着実な安定成長を目指すことにより、真の発展を遂げることができると思います。その意味では、行き過ぎた自由主義は経済格差を大きくし、歪みを増す。むしろ、安定成長を目指すことを考えれば、今の不況は大したことではなく、単なる調整期に過ぎないと思います。

2) 終戦不況

昭和20年以降の終戦後の混乱期は、深刻な不況であった。生産能力自身を失っていたことから、今とは比較ができない程の大不況と考えます。衣食住に、事欠いたのであり、戦争が終わったことの喜びがあった。平和のありがたさがあった。だから、そんな経済的に恵まれていなかった時代であるにも拘わらず、民主主義と平和日本の再建に向けて人々は生きていったと思います。

米国はいざ知らず、日本とヨーロッパやあるいは中国を初めアジア諸国にとっても、第2次大戦直後は、今と比較的ないほど物資がなかった。食料がないと言うのは、経済的には最も大変なことです。終戦は今から60年少し前のことですから、100年に1度の不況との表現は間違っていると思います。

3) 昭和大恐慌

昭和大恐慌の時代とは、狭義では1929年ニューヨーク株価大暴落以後を世界不況と捉え、世界不況の日本への影響である。しかし、1919年に終了した第一次世界大戦後の復興需要がヨーロッパ諸国の復興と共に落ち着きを見せ、日本の産業が不況に入いっていたこと、1923年の関東大震災、その後の震災恐慌、金融恐慌があり、1923年頃から長期に暗闇に入っていた状態と考えるべきと思う。小林多喜二の蟹工船が発表されたのが、1929年であった。満州国建国宣言がなされたのが1932年であるが、満州国に関しては日本の不況対策の意図も含まれていたと思います。

昭和大恐慌の時代とは1923年頃から戦前一杯続いていた大不況であり、言わば大不況の結果が日華事変であり、米国戦であったと思う。植民地経営で不況脱出を計ろうとしていた。最後には策が尽き、貿易で輸出入とも最大の相手先であり経済のパートナーである米国と戦争をすることで打破しようとしてしまった。

経済面のみでの判断で動くものではなく、政治体制や制度が絡んでいるが、富国強兵の方針を転換することができない硬直的な対応により、入り込んだ不況から脱出する手段を講じることができず、泥沼状態にあったと考えます。

すくなくとも、今は自由に判断が下せ、政策実行ができるのであり、昭和大恐慌と比べれば実に抜け出しやすい状態である。逆に政策的に失敗すると昭和大恐慌になってしまうという教訓を学ばねばならない。

4) 大政奉還・江戸城開城

徳川の世が終わったことは、武士の消滅である。地方の藩が直ちに消滅したわけではないが、江戸幕府は江戸城開城と共に消滅したのであり、江戸における徳川幕府と藩の江戸屋敷の経済需要は消滅した。職人の多くは受注を極端に失ったはずである。農業が経済の大部分であったはずであるが、第2次産業、第3次産業では大きな需要減が生じ大不況になったと考えられる。

大日本帝国憲法の発布が明治22年、第1回帝国議会開会が翌年の明治23年である。明治2年に版籍奉還がなされ明治政府が存在し、勅令でなんじゃかんじゃ可能であったかも知れないが、近代的な法制度は憲法なしで存在できない。景気対策も様々な法がインフラとして存在するから可能である。

大政奉還・江戸城開城は1867年、1868年であり140年以上経過し、100年に1度の比較対象にならないが、未だ日本は産業革命以前の状態であったのであり、経済へのインパクトは今の不況とは比べものにならないほど大きく、しかもコントロールする手段も当時はほとんどなかった。

少なくとも今の状態は、大政奉還・江戸城開城と比べれば、月とスッポンであり、大したことはない。100年に1度などと大騒ぎをするよりは、じっくりと正攻法で望めばよいと私は考える。

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2009年1月 3日 (土)

激動の時代を乗り切る経営

高度成長期の経営は、成長の波に乗る努力をする必要があった時代。波に乗れなければ、取り残され、事業の成長が望めない。「モウレツ社員」なんて言葉があった時代もありました。

昨年は、サブプライム・ショックの年でした。しかし、米国における住宅ローンの破綻は2007年から始まっていました。例えば、私も2007年8月26日に米住宅ローン会社をめぐる動きを書いています。あるいは、2008年5月24日の日米の経済比較3) 民間住宅投資の中で日米の住宅投資に関するグラフを出しましたが、2006年に入った頃から米国の住宅投資は減少傾向になっていました。サブプライム問題・CDO問題の発生の根は2006年から忍び寄っていたのです。但し、2006年においては、ほとんど誰も気にしなかった。2007年にベアー・スターンズの損失発生がニュースとなり、一方で当時は日本の金融機関はほとんど影響がない、まして金融機関以外は圏外といった感じでした。

しかし、2008年後半には需要減退を引き起こし、実体経済に対しても誰もが予期しないほど大きなインパクトを与えました。やはり、これからは激動の時代と思います。日本国内においても、道路や箱物という公共事業投資のウェイトが今より大きかったので、全ての分野で需要が同時に減少するといった事態はなかったと思います。

従来の経営ではない、変動の時代に対応した経営が必要であると思います。変動の時代に対応した経営とは、何かですが、身の動きを軽くすることと思います。例えば、2008年9月12日のJR尼崎事故の中で、事故電車の運転士が「当該カーブを何Km/h以上で通過すると転倒する危険を生じるか?安全速度は何Km/hか?その安全速度で通過するためには、どの時点でブレーキをかけ始める必要があるか」といったことを知りませんでした。JR西日本にそんなルールがなかったからです。JR西日本に「事故を起こしてはならない。電車を遅らせてはならない。」はあったものの、そのために守るべきルールがなかった。鉄道会社として、常識外と思います。何となく事故が起きていないから、問題はないはずとの思いこみでの経営が行われていたと思います。

そのような思いこみで動いていることが多いのではないか。経営者は、その点を十分に点検すべきと思うのです。そのための人材を持ち、組織を構築する。形だけの内部統制では意味がない。実質です。予期せぬことに遭遇し、大赤字なんて、あり得ます。TVについてFACTA Online 2009年1月号 「地上波民放」をトヨタが恫喝 「けなしたらスポンサーを降りるぞ!」。低劣な番組に若者と広告主がそっぽを向く。が、民法TV放送会社の苦難を書いていました。TV CMを誰が見るか?地デジでデジタル録画をしても、画質・音質が落ちないから、録画してみたらCMを飛ばす。つまらない番組をながすTV放送会社に企業はCMを依頼しなくなる。そんな時代になりつつあると思います。そう思いつつ、2008年12月31日 カナダde日本語 ブログ 派遣や非正規社員の解雇は自業自得とのたまうみのもんたを読むとどうでしょうか?

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2009年1月 2日 (金)

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

本年も色々と書き続けたいと思います。どうかよろしくお願いします。

ブログとは、便利が良いもので、印刷の手間なしに多くの方に読んでいただけるのですから。でも、マスコミにはとうていかないません。しかし、速報性をマスコミと争う必要はなく、正確性やマスコミに抜けている論点や、勿論私が論じたい点を書いていきたいと思います。

そのようなことを考えていたところ、鹿児島大学の木村朗様が志布志事件とは何であったのか─“えん罪”の構図とメディアの功罪を問う (下)と題して12月26日に書かれておられる文章を拝読しました。

マスコミの影響力は大きいと思います。それ故に、暴走したり、変な方向に走ったりすると恐ろしいと思います。しかし、一方で、マスコミの意志は、視聴者・読者をつかもうとすることで、時として深く考えずに動く性質があると思います。直前のエントリーでTBS朝ズバの不二家報道に触れましたが、あれも、TBS朝ズバが、そのような動きをする最先端の番組だからと言えると思います。従い、マスコミが常に正しいとは限らないのは当然と思います。

マスコミの暴走を食い止め、真実を問いかけることが必要だと思うのですが、我がブログも少しは、そんな働きができないかと、微力ながら、楽しみつつ、好きなことを書いていきたいと思っています。

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2009年1月 1日 (木)

コンサルタントの起用

一度は、書いてみたかったテーマです。コンサルタントは、ある種の専門家です。例えば、弁護士も法律家の専門家です。しかし、企業の事業について最もよく知っているのは、その事業の業務に実際に携わっている人であり、外部の人間ではありません。なぜ、外部のコンサルタントを起用するかというと、企業を超えた広い視野や高い観点で見た場合の視点を得るためです。弁護士を起用するのは、法に関する専門的な見地からの意見や助言を得るためですが、同時に一歩離れた視点で見た場合の、見解が欲しいからです。

方針は自分自身で決定せねばなりません。参考例が不二家事件です。

不二家は、2007年1月11日のこのお詫びとご報告にあるように、消費期限切れの牛乳を使ってシュークリームを製造したと1月10日に報道があり、長期の工場閉鎖と休業に追い込まれ、3月に山崎製パンと業務協定を締結し、4月に160億円の第三者増資を受けて、本格的な再開が実現しました。

実は、この不二家事件はコンサルタントをうまく使えなかったことにより発生してしまった損失と言える面が大きいと思います。即ち、「消費期限切れの牛乳」が過度にセンセーショナルな表現であり、実態を反映したものではなかった。勿論、その背景には、不二家の経営が家族主義・同族経営であり、近代的経営でなかったことから、不祥事が発生した時に、それに対処できなかった面があります。2008年第2四半期決算では売上の増加傾向はあるものの、黒字経営には至っていない。しかし、ペコちゃん、ポコちゃんという歴史あるブランドがあり、再生に期待したいと思います。

経営とコンサルタントの起用について不二家問題から雑感を書いてみます。

1) 不二家信頼回復対策会議報告書

不二家は、問題の真相と社会的信頼を失墜するに至った原因を明らかにし、不二家に提言を行うことにより、信頼回復と企業再生を図るために、企業コンプライアンス、食品衛生の専門家、弁護士、公認会計士などの外部専門家により構成された不二家信頼回復対策会議に調査・活動を依頼し、その結果として提出された2007年3月30日付の信頼回復対策会議最終報告書を公表されました。ここにあります。

報告書を読むと、報道されたことと、実態に差があることが認識できます。不二家の食品安全性についても、問題なしとは言えないが、一応の水準にあると私は読みました。不二家の信頼性をアピールするためにも、この報告書を公表し続けていただきたいと思います。そして、何より良いことは、他業界の人でも、この報告書から学べる点が多いことです。

なお、報告書にも厳しい提言があります。TBS朝ズバについては、「TBSの対応如何では、損害賠償請求など法的措置をとることも検討すべきである。」と言っています。

2) 報道されたことの真実

① 埼玉工場での消費期限切れ牛乳の使用

埼玉工場では、UHT殺菌という「超高温殺菌」された牛乳である、消費期限が適用されない牛乳を使っていた。通常は出荷日から7日後が賞味期限であったが、使い捨て容器ではなくリターナブル容器を使用していたことから出荷日から4日を賞味期限としていた。しかし、リターナブル容器の洗浄が工場で行われており、加熱工程を経て商品に使用されることから4日を過ぎても問題がなく、最終的には菌検査も実施されていた。

なぜ、コンサルタントに問題視されたのかは、明確な書面ルールがなく、2006年10月、11月に「チョコ生」の工程のトラブルで余った牛乳がシュークリーム工程に送られていたが、在庫処分のルールもその記録もなかったことから、コンサルタントによる消費期限切れの牛乳使用の指摘につながった。消費期限切れや賞味期限切れの牛乳使用のエビデンスが存在していたわけではなかった。

② プリンの消費期限1日延長

不二家は、プリンの消費期限の社内基準は製造日から8日であった。表示する消費期限としては、安全サイドを採用し製造日から6日としていた。しかし、泉佐野工場で中間製品を製造し、埼玉工場で最終製品に加工するようになった際に、埼玉工場製造日ではなく、埼玉工場受入日を基準に6日とした。結果、無理が生じた。そこで再検証の結果、10日でも細菌検査で問題はなく9日で風味も問題はなく、1~2日消費期限を延長することとした。しかし、社内ルールの変更は実施されなかった。

3) コンサルタント報告書

問題のセンセーショナルな部分を含むコンサルタント報告書は、11月13日に配布された。これがどういう訳か12月29日に複数のフランチャイズ店にFaxされ、1月9日に共同通信から不二家に問い合わせが来た。そして1月10日の報道につながり、不二家の対応のまずさが出てしまった。

もし不二家が1社員の勝手な判断などと説明せず、コンサルタント報告書を受け調査中と説明し、実態を正直に公表していたならば、生産中止に追い込まれなかったと私は思う。では、何故コンサルタントの存在を隠したかは、コンサルタントとの契約で作成した文書等の第三者への開示禁止があったからである。不二家は本末転倒の判断をしてしまったと考える。契約上何が開示禁止かは、その契約書を読む必要があるが、この場合は開示して問題が生じないと思うし、仮に最悪の場合でも、損害賠償を請求されるだけで、金銭的なものである。一方、説明をしなかったことにより受けた不二家の損失は比較にならないほど大きかった。

仮にコンサルタントが不二家の情報開示により信用を失墜したとして不二家を訴えたとしても、不適切な表現や間違った表現があったのであれば、逆に不二家がコンサルタントを訴えれば良いのである。

4) 問題点・改善点

不二家問題の一番の反省点は経営体質であったと思う。報告書の中に、「創業家による同族経営の下での社長を頂点とする企業組織全体のまとまり」との表現がある。一方で、不二家は売上・利益が減少傾向にあり、リストラによる工場閉鎖と人員削減を続けていた。そのような状態で重要なことは、同時に企業の体質改善を実施することであり、そのためには、社内の有能な人員を活用して社内ルールを含む企業の競争力を上昇させることであり、合理的な経営に移行することであった。

コンサルタントも色々です。だから、優秀なコンサルタントを見つけること。そして、いくら優秀であっても、そのコンサルタントと納得がいくまで議論をして、最終決断は自らが下すことです。

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