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2009年3月29日 (日)

公立病院の生産性は医療法人と比べて高い

公立病院の生産性は医療法人と比べて高いと述べている論文がありましたので、紹介します。

ESRI Discussion Paper Series No.210 日本の医療サービスの生産性:病院の全要素生産性とDEA分析

上記のESRIのサイトからダウンロードできます。ESRIとは、内閣府経済社会総合研究所(Economic and Social Research Institute, Cabinet Office)であり、論文は、研究者である東京大学工学系研究科教授(内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官) 元橋一之氏が執筆されておられ、内閣府経済社会総合研究所の見解を示すものではありませんとの断りがありますが、一つの見方であると言えます。

自治体病院については、私も何度か取り上げていますが、基本的にはこの日経の「やさしい経済用語の解説」地方公営企業のように、多くの病院が赤字であり、この朝日岩手版3月23日「地域医療はいま」4 命の現場に経営視点のような報道が多くなされています。

経営といった時に、何が一番重要なのかは「継続すること」と考えます。継続に関して、最も重要なことは「必要性」であると思います。例え、赤字が大きくても、必要であれば、何としてでも継続していかねばならない。赤字だからと、閉鎖するのは、簡単です。必要でなければ、それで構わないが、必要であれば、赤字であっても継続していかなければならない。それが、経営者の義務であり、出資者を初め、多くの関係者を説得しなければならない。単純な継続ではなく、規模縮小や他医療機関との連携や、方向転換もあるので、単純ではないし、個々の状況により様々ではあります。

少なくとも単純に「公営・公立は非効率であり、民間がよい。」とすることは、誤りであると考えます。生産性とは、インプットに対するアウトプットの評価であり、単純にインプットのみを数量で割り算したコスト単価ではありません。医療とは、常時一定のサービスを受けるのではなく、それが必要な時に受けられるかが重要です。アウトプットに対する評価は他の製品やサービスとは相当異なる側面を持っています。

良い医療制度を築いていきたいのですが、医療崩壊が叫ばれ、現状維持すら難しいのでしょうか?

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2009年3月27日 (金)

ミサイル防衛システムで迎撃する破壊措置命令とは何?

本日のNHKニュースが、よく解らなくて困っています。

NHKニュース 3月27日 破壊措置命令 発令を決定

NHKニュースはWebに掲載されている時間が短いので、文章は「続きを読むに」入れておきましたが、「北朝鮮が人工衛星の打ち上げを名目に長距離弾道ミサイルの発射に踏み切る構えをみせていることを受けて、日本国内に落下してきた場合に備え、ミサイル防衛システムで迎撃する破壊措置命令を自衛隊に発令することを決定しました。」との報道です。

何が政府により決定されたのか、政府のWebも見ましたが、今のところ私は発見できていませんが、読売新聞には次の記事がありました。

読売 3月7日 防衛相が初の破壊措置命令、北ミサイル迎撃で

タイトルは、NHKとほぼ同じなのですが、本文の中に、「命令期間は4月10日までで、自衛隊法82条の2の3項に基づき、閣議決定を経ずに発令された。」と書かれています。そこで、自衛隊法82条の2の3項は次の通りです。

防衛大臣は、第一項の場合のほか、事態が急変し同項の内閣総理大臣の承認を得るいとまがなく我が国に向けて弾道ミサイル等が飛来する緊急の場合における我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため、防衛大臣が作成し、内閣総理大臣の承認を受けた緊急対処要領に従い、あらかじめ、自衛隊の部隊に対し、同項の命令をすることができる。この場合において、防衛大臣は、その命令に係る措置をとるべき期間を定めるものとする。

内閣総理大臣の承認を受けた緊急対処要領とは、何かとの部分はありますが、少なくとも北朝鮮からロケットが発射されれば、直ちに迎撃・破壊するとまでは、読めないのです。更には、自衛隊法82条の2の1項に、「弾道ミサイル等」の定義として「弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のものをいう。以下同じ。)」と定められており、北朝鮮からロケットが発射されても、人工衛星打ち上げのロケットであれば、、「弾道ミサイル等」に該当しないから、迎撃・破壊はできないものと考えます。仮に、日本法でそのように定めてあっても、国際的に通用するか、認められるか問題がありすぎると思います。

少なくとも、北朝鮮ロケット問題は、共産党が主張している、「外交的努力を尽くすことが重要」というのが、正論であると思います。それと、世界がどう見ているか、比較的第三者的にいると思えるBBCのニュースのリンクも掲げておきます。

しんぶん赤旗 3月27日 北朝鮮「ロケット」発射問題 自制求める外交努力こそ重要

BBC 24 March 2009 N Korea warns over rocket launch

ところで、政府は外交努力をしていないのか?私は、しているはずと思っています。自衛隊法82条の2の3項に基づく発令は、これを出しておかないと、自衛隊も動くに動けないから出したまでと思っています。いずれにせよ、どのようになるか見てみたいと思います

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2009年3月 7日 (土)

西松建設違法政治献金に思う

仕事が忙しく、ブログを書く時間が取れず、更新を怠っています。しかし、西松建設違法政治献金問題が連日報道され、こうなると書かずにはおれないと本日は久しぶりに書いています。

1) 国策捜査

「国策捜査」という言葉をしばしば耳にするのですが、奇異に聞こえてしまいます。本来の意味からすれば、国家政策を推進する捜査ということであり、国家政策が国民の合意に基づいて民主的に成立しているなら何の問題もないはず。しかし、使われているのは、国家政策が「政権与党の選挙政策」の意味で使用されているとしか思えない。日本語も極度の混乱状態にあるのではと感じます。

それにしても、「西松建設事件は自民党の議員には波及しない-。そんな捜査の見通しを政府高官が口にした。」なんて報道もあり、政権与党の選挙政策による捜査との疑いをもたらすようなことも耳にします。ところで誰かと思って探すとこの共同47ニュースに「政府高官は元警察庁長官の漆間巌官房副長官」とありました。

小沢一郎の公設第1秘書大久保隆規、西松建設前社長国沢幹雄他を逮捕したのは、東京地検特捜部ですが、特捜部のみならず検察は、政治権力からは独立しているとの信念で任務を遂行していると思います。そうでないと、任務遂行に支障を来たすはず。意図的に検察権力が実行されたら、恐ろしい社会が到来します。

日本は、恐ろしい検察国家ではない国民のための社会が納得しうる程度には実現している平和な国であると信じます。

確かに、警察の横暴、検察の不当な介入が見受けられた志布志事件もありました。しかし、志布志事件も少しは真相が明るみに出たのであり、万一今回の西松建設違法政治献金事件が選挙との関係があるのであれば、やがては、それが判明する可能性がある。そうなった場合、現与党と検察は崩壊のリスクに見舞われる。そんなバカなリスクは取らないと思います。

2) 企業献金

企業は選挙権を保有せず、政治意志も保有しない。寄付活動や社会貢献活動は可能であるが、政治と結びつくことは、企業活動の目的のために政治献金が行われることとなり、禁止すべきである。政治資金規正法も企業による政治献金を禁止しているのであり、西松建設が、網の目(Loophole)をくぐり抜け、政治献金をしたことは、政治資金規正法の整備・改訂を実施すべきと考える。

政治家は、献金に左右される政治を実行していないと言うかもしれない。しかし、一方で献金に左右される政治を行って批判されるべきか?例えば、オバマ大統領は巨額の政治献金を大統領選で集めた。その献金は、オバマ支持の人々が拠出したのであり、オバマ大統領は、その人達の声を繁栄できるように尽力すると思う。個人の政治献金は、禁止すべきものではなく、民主主義の根本に、人々が支援する政治家が人々のための政治を執り行うことがあるはず。

3) ゼネコン

今の不況で最も深刻なのは、ゼネコンかも知れないと思う。西松建設のトップがタイの仕事等で裏金を捻出し、それを様々なルートを使って日本に現金で持ち込んだようである。何故そうしたかと言えば、受注が減少する中、公共工事を狙って有力者への札束攻撃を仕掛けたのだと思う。その中心人物は経営幹部と受注活動の部門幹部と想像する。良心の痛みがあったとしても、社内関係者にも内密にすることにより、犯罪者を限定することで、心の痛みを和らげたのではと想像します。

悲惨な面があると思う。もし、内部統制なんて言葉で、考えたら「トンデモないこと」をしています。内部統制もコンプラも何もありはしない。それがゼネコンだと感じておられる方も多いのではと思うのです。内部統制やコンプラなんてゼネコンで言っていたら、倒産して、元も子もなくなってしまうとの思いを持っておられる方もいると思います。

西松建設やゼネコンだけを叩いて解決するとは、思いません。本質部分を考える必要があると思います。

4) 今後の成り行き、政局

どうなるのでしょうか?読売 3月7日 自民にも危機感、国会で防戦共同47 3月7日 自民有力議員側に6千万円 裏献金、西松関係者が供述という報道もあります。

小沢一郎は、民主党代表を辞任することになると私は予想します。但し、民主の他の議員や自民議員に飛び火することを予想します。次の選挙は、そんな中での選挙になるのではと思うのです。そうなれば、正しい候補者についての的確な判断が重要になると思います。今から、よく監視する必要を感じます。

ところで、頭に浮かぶのは、ロッキード事件です。田中角栄が首相の犯罪として有罪となったものの、田中角栄より暗黒部分が大きい可能性がある児玉誉士夫と小佐野賢治については、未だに大部分が闇の中である。検察は、児玉誉士夫と小佐野賢治を追い込めなかったとも言えるのかも知れないし、そこまで言うことは酷であるとも思われる。

検察は、犯罪を告発するのが任務であり、証拠なしで公訴することは許されず、行き過ぎてはならない。従い、検察が真実の解明をすると期待することは、無理がある。しかし、その一端を担うことは可能であり、社会正義に向けた行動を期待したい。そして、主役はマスコミでも政治家でもない市民・国民であることを忘れてはならないと思う。

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