ソフトバンク750億円損失のディスクロージャー(その2)
ソフトバンクが4月10日に、次のプレスリリースを出しました。
昨年10月29日に開示済みの実質的期限前償還に係る特別損失の計上および平成21年3月期の業績見通しに関するお知らせ
ソフトバンクが述べている特別損失750億円とは、2008年10月30日のソフトバンク750億円社債デット・アサンプションによる損失で書いた「750億円社債デット・アサンプションによる損失」のことです。
ソフトバンクは、昨年10月29日に開示済みと言っていますが、10月29日のこの連結営業利益見通し等に関するお知らせでは、単に「現時点における公表は困難な状況にあります。」となっているのみであり、「開示済み」とは言い難いと思います。
750億円の損失の詳細は、2008年10月30日のソフトバンク750億円社債デット・アサンプションによる損失で書きましたが、この平成21年3月期 第2四半期決算短信 の24ページの「2. 偶発債務」の合計金額です。
私でも、10月30日に750億円の損失を予想できました。一方、私とは比較にならないほど情報量を持ち損失になるかどうかの的確な判断をソフトバンクの経営者は下せたはずです。それにも拘わらず、期末を10日も過ぎた時点で、「750億円損失を出しました。」とは、ディスクロージャーができていないというか、株主・投資家(潜在的株主や投資を検討中の人も含め)やユーザー、債権者、その他関係者をおろそかにしすぎではないかと感じます。偶発債務ではあるが、その発生の可能性が高い場合は、引当金に繰入れ、損失を認識するのは、会計のイロハのイであります。引当金は、期末にのみ繰り入れるのではありません。何のために、四半期開示をしているのだ!第3四半期の決算短信を見ても、全く同様で、引当金処理をしていません。
デット・アサンプションぐらいは、やばそうではあるが、まともなデット・アサンプションもあるとして、「英国領ケイマン諸島に設立された特別目的会社(SPC)」とか「クレジット・デフォルト・スワップ契約」なんて、思いっきりやばそうな単語が並んでいましたから。
それにも拘わらず、今回のプレスリリースも「営業利益およびフリーキャッシュフローの連結業績予想に影響はありません。なお、当社単体業績に与える影響もありません。」なんて言っていますが。私に言わせれば、次の通りです。(書いていて、バカらしくなりました。)
・ 特別損失であるから、営業利益に影響がないのは当たり前。
・ 750億円のデット・アサンプションに関わる社債は、平成22年8月の償還であるから、フリーキャッシュフローに影響がないのは当たり前。
・ 連結子会社ソフトバンクモバイル㈱が発行した社債に関する取引であるから、連結親会社であるソフトバンク(株)の単体業績に影響がないのは当たり前。
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