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2009年5月31日 (日)

レックス・ホールディングスMBO株式買取価格

レックス・ホールディングスのMBOに関しての株式買取価格について、最高裁判所は、レックスが株主総会で決定した少数株主からの株式取得価格230,000円を棄却し、東京高裁が決定した336,966円を認める抗告棄却の決定を5月29日にしました。

日経 5月29日 MBOの買い取り価格、レックスの抗告棄却 最高裁

最高裁の決定文と東京高裁の決定文は、アドバンテッジ被害者牛角会ホームページからDownloadできます。

このブログでも、2008年9月13日にレックスホールディング株式買い取り価格の東京高裁決定文や2007年3月17日にMBO - Management Buy OutでレックスのMBOについて、書いていることもあり、少し感想を述べます。

1) 最高裁の決定

上の「アドバンテッジ被害者牛角会ホームページ 」からDownloadすると、全部で6ページほどの決定文です。この文書の中で、2ページ目の冒頭付近から田原睦夫裁判官の補足意見であり、ほとんど全てが田原睦夫裁判官の補足意見となっています。

これを機会に残すべき文章として、書かれたのだと思います。

2) レックスMBOの整理

整理をしてから、読んだり考えたりした方が、良いと思いますので、少し整理をします。

2006年8月21日 レックスは業績の下方修正を発表(ここに当該プレスリリースがあります。)

 連結ベースでは評価損を45億円出すようにしました。東京高裁決定文の15ページから、その問題点について触れられています。効果は、株価に現れ、30万円から一気に下がりました。

2006年11月10日 アドバンテッジパートナーズ(AP)が公開買付(TOB)を発表(ここに当該プレスリリースがあります。)

TOB価格は、11月9日までの過去1ヶ月間の単純平均値202,000円の約13.9%プレミアムで、プレスリリースにおいても、下記の様に言っており、APとレックスによる共同TOBでした。

AP8は、・・・レックスの筆頭株主でありレックス株式を・・・約16.68%・保有するエタニティーの全株式の取得による間接保有と合わせて、議決権の66.70%以上を、上限を設定せずに取得することを予定しております。本公開買付けはいわゆるマネジメント・バイアウト(以下「MBO」といいます。)の一環として行われる取引であり、AP8はレックスの取締役会の賛同のもと、友好的に同社の株式を取得してその支配権を取得するために、証券取引法に基づき本公開買付けを行うものです。

東京地裁での第4回審問で、判明するのですが、TOBを行ったAP8は9月11日に設立されていたのです。業績下方修正発表の前でした。

2006年12月13日 APによるTOB終了(ここに当該プレスリリースがあります。)

75.20%をAPは取得し、エタニティーと合わせると、TOB実施後の所有比率は91.51%となった。ちなみに争っておられた株主の株数は784株ですから、0.3%です。

2007年3月28日 定時株主総会と普通株主による種類株主総会の決議により全部取得条項付株式1株に対し、0.00004547株の割合による普通株式交付を決定。(ここに当該プレスリリースがあります。)

この株式交付割合では、21,993株以上保有していなければ、1株が230,000円で終わることとなってしまった。争っておられた株主の方々は、この株主総会で反対され、東京地裁に4月12日に価格決定の申し立てをされた。(会社法172条)

3) 株式市場の発展

2)で、このMBOの整理を書いていて、やはり問題があると思いました。ホリエモンと同じように思えるのです。一般投資家から、如何に合法的に金をごまかして巻き上げるかみたいな。

MBOやファンドとかが、悪いとは言いません。倫理観がおかしくなった時に、暴走してしまうことの恐ろしさです。例えば、経営者=取締役は、株主から経営について委託を受けた人達ですが、利害が相反する部分は存在する。経営者が、同時に大株主であった場合、利害関係は複雑になる。敵対的TOBは、悪いかのように言われるが、むしろ健全とも言える。究極の有効的TOBがMBOであるが、実はMBOの方が一般投資家にとっては、怖いと思える。TOBやMBOに限らずIPOだって、経営者と一般投資家との情報格差がありすぎるのであり、気を付けなくてはいけないと思う。

市場が危険であって良いはずはない。ベンチャー企業を育てていくのも市場であり、その為には、情報が正常に得られる、安心して投資ができる市場にすることが最重要と思います。

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2009年5月27日 (水)

ソフトバンク社債

検索フレーズランキングが、私のブログの右欄の下に出ていますが、「ソフトバンク社債」が検索フレーズの1位と3位にあります。何故だろうと思ったのですが、次のソフトバンクの第27回無担保社債600億円の発表が5月26日にあったからでしょうか。

ソフトバンク 2009年5月26日 第27回無担保社債発行に関するお知らせ

購入者全員に、福岡ソフトバンクホークス・エコバッグのプレゼントがあるほか、抽選で20組40名様に2010年シーズンのホーム開幕戦のペアチケットおよび開幕戦当日のホテルペア宿泊券をプレゼントする懸賞を付けております。」ということで、興味ある社債です。

一方で、甘い誘いには気をつけろとの格言もあるので、次のKDDIがその6日前の2009年5月20日に発表した300億円の第14回社債と200億円の第15回社債と比べてみました。

KDDI 2009年5月20日 KDDI株式会社社債の発行について

ソフトバンク社債 KDDI300億円 KDDI200億円
発行総額 600億円 300億円 200億円
各社債の金額 100万円 1億円券の1種 1億円券の1種
利率 年5.10% 年1.278% 年1.969%
払込金額 100円につき100円 100円につき100円 100円につき100円
期限 2年 5年 10年
償還期限 2011年6月10日 2014年5月29日 2019年5月29日
取得格付 BBB
(日本格付研究所)
A+
(格付投資情報センター)
A+
(格付投資情報センター)

一般投資家を対象としたソフトバンク社債と社債金額を1億円としたKDDI社債の差はありますが、3%の利率差は500億円に対しては、金利年額差は15億円ですから、大きいですね。

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西松建設の裏金

小沢一郎・前民主党代表の秘書・大久保隆規が26日に、3月3日の逮捕以来、84日ぶりに保釈されたとのニュースがありました。

読売 5月26日 小沢・前民主代表の第1秘書を保釈

西松建設は少し前の5月15日に内部調査委員会の調査報告書を公表しています。大久保秘書の保釈と直接の関係はありませんが、西松建設の調査報告書を読んでの感想を書きます。

特に、調査報告書の、第3章 海外裏金問題、第4章 政治献金問題、第5章 特別支出金を読むと、すさまじいものでした。

1) 海外裏金問題

調査の対象としたのは、マレーシア、タイ、香港、米国の6案件となっていますが、可能性としては、もっと多いことも考えられると思いました。1件ごとに裏金を捻出したのではなく、種々の方法で作った裏金を別の案件に回したりしています。

6案件のみの調査で、報告書の文章をそのまま書けば、「約9 億円という巨額な裏金が捻出されたにもかかわらず、これまで発覚しなかった・・・・・」や「高原の横領した金額もしくは費消された金額は推測ではあるが、1.4 億円前後に上ると思われる。」なんて、この会社どうなっているのだろうと思う次第です。

2) 政治献金問題

この部分の報告書は、次の文章で始まっています。

平成6 年の政治資金規正法改正(平成7 年1 月1 日施行)により、企業から政治家個人への献金が禁じられたことから、当社は、平成7 年8 月下旬ころ、政治団体を設立した上、政治団体からの献金を装って政治家個人の政治団体等に献金することを画策した。」

画策ではなく、「社員による政治団体への寄附の原資に関しては、当社が一部の社員に対して特別賞与の名目で金銭を交付し、その代わりに当該社員から年に2 回、政治団体への寄附をさせていた。」です。

いくらの金額が政治献金として動いたかも述べられています。「両政治団体では、総収入591,814 千円のうち、103,758 千円を人件費など政治団体の運営等に使用した。政治活動に使用されたのは488,055 千円で、他の政治団体への献金やパーティー券購入に使用されたのは478,239 千円、政治活動の経費として9,816 千円が支出されている。」西松建設は、特別賞与加算金として約11 億円を支給し5億円近い金額が政治献金として動いたのです。

政治献金の効果は、「献金を行う趣旨に関しては、工事の発注を得たいという積極的な動機よりも、受注活動を妨害しないでほしいという消極的な理由もあったと供述する者もいた。とも書かれていますが、なにがしかの費用対効果はあったのだろうなと想像します。なお、最終受取人の政治家の名前は書かれていません。

3) 特別支出金

これ何?でありますが、「「特別支出金」とは、個別の事情により対外的に支払先、支出目的及び個々の金額等を説明することができない支出であって、税務上は使途秘匿金として処理された金銭である。」と書かれており、日本国内で捻出した裏金です。何と、「平成16 年度から平成20 年度までの過去5 年間に、本社及び各支店において計上した特別支出金は総額約26 億円であり、単純に1 年平均をとっても5 億円を超える規模で支出されていた。とあり、すごいものです。

特別支出金が、政治家個人にわたり、賄賂完全犯罪を形成することだってあり得るかも知れないのですから。報告書には、「大別すると、いわゆる近隣対策費及び民間同士でのリベート等での支出が主たるものであった。と書かれていますが、その根拠は何もないし、近隣対策費やリベートって何ですか?となります。政治家に対する支払いでなくとも、裏金であることに間違いはなく、表には出せない支払いに使われたことは確実だと思います。

4) 感想

何をどう考えて良いのやら、訳が分からなくなりました。

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2009年5月23日 (土)

裁判員制度

5月21日から裁判員の参加する刑事裁判に関する法律が施行となり、裁判員制度が始まりました。

平成21年5月21日,裁判員制度が始まりました

実際に裁判員制度による裁判が始まるのは、この日経記事 5月22日のように7月下旬と予想されますが、これを機会に裁判員制度について、私が感じていることを書いてみます。

1) 法は国民にあり

法は国民のために存在する。嘗て、法は専制君主が、統治する為に存在した。立派な専制君主が存在すれば、理想の社会が実現する。しかし、専制君主制を否定し、市民が統治する社会が支持されて、現在の社会が作られてきた。

法の執行に関しても同じで、国民・市民の手に司法があるべきと考えます。すべてを国民がするのではなく、国民が選んだ専門家である裁判官に委ねる方法もある。裁判員制度とは、裁判官とともに一般国民が裁判に参加する参審制である。現憲法は、明治憲法と異なり国民が参加する陪審制、参審制を認めており、憲法前文からすれば、積極的に国民の参加が推進されるべきと考えます。

憲法
第32条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

前文
・・・・ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。・・・・

明治憲法には、次のように、裁判官ノ裁判とした第24条と裁判官についての第58条があり、裁判官による裁判が前提となっていました。

明治憲法
第24条 日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権ヲ奪ハルヽコトナシ

第58条 裁判官ハ法律ニ定メタル資格ヲ具フル者ヲ以テ之ニ任ス
2 裁判官ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ処分ニ由ルノ外其ノ職ヲ免セラルヽコトナシ
3 懲戒ノ条規ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム

なお、明治憲法下においても、大正12年(1921年)に陪審法が制定され、昭和3年(1928年)から陪審法が停止されるに昭和18年(1943年)までの15年間484件の陪審制裁判がありました。現在の憲法施行から60年以上も経過しているのですから、国民の司法参加はもっと早く取り組むべきであったと思います。

ただし、戦前の陪審制では、次の陪審法第95条もあり、裁判官は答申を採用せず審理のやり直しを命じることができた制度でした。

陪審法第95条 裁判所陪審ノ答申ヲ不当ト認ムルトキハ訴訟ノ如何ナル程度ニ在ルヲ問ハス決定ヲ以テ事件ヲ更ニ他ノ陪審ノ評議ニ付スルコトヲ得

2) 裁判員制度の発展に向けて

今回始まった裁判員制度に問題がないわけではない。多くの問題点を抱え、批判もあります。例えば、このネットワーカー弁護士の独り言 裁判員制度の制度設計の誤りについて改めて考えるも、色々述べておられる。そもそも、法律の制定からして2004年4月2日の衆議院法務委員会で法律案の趣旨説明が始まり、衆議院の可決が4月23日で、参議院を通過したのが5月21日でしたから、随分と早い国会審議でした。

その以前の1999年7月から2001年6月まで内閣に設けられていた司法制度改革審議会に「国民の司法参加」についてという一つのテーマが含まれており、そこで審議もされていました。その最終報告書である司法制度改革審議会意見書 平成13年6月12日IV 国民的基盤の確立 第1 国民的基盤の確立(国民の司法参加)を読んでも、次のように述べているが、今回始まった裁判員制度の具体的な事項まで深くは触れられていません。

刑事訴訟手続において、広く一般の国民が、裁判官とともに責任を分担しつつ協働し、裁判内容の決定に主体的、実質的に関与することができる新たな制度を導入すべきである。

国民が参加するにも拘わらず、国民不在で決定されてきた部分があると思う。陪審制、参審制は、その国の歴史と密接な関係があるので、今回のような経過でやむを得なかったとも思える。しかし、今後、このままで良いはずがなく、国民の手によって積極的に発展させることが重要と考えます。つまりは、改良すべき部分は、改良すべきと考えます。

私は、次の裁判員の参加する刑事裁判に関する規則第7条の日当は、安すぎると思います。

第七条 裁判員等の日当は、出頭又は職務及びそれらのための旅行(以下「出頭等」という。)に必要な日数に応じて支給する。
2 日当の額は、裁判員及び補充裁判員については一日当たり一万円以内において、裁判員等選任手続の期日に出頭した選任予定裁判員及び裁判員候補者については一日当たり八千円以内において、それぞれ裁判所が定める。

裁判官の報酬の日割り額より高くて良いと思います。裁判員は、日常の仕事を犠牲にして参加するのですから。

私にとって、今回の法律条文で好きでないのは、第6条の「法令の適用」が裁判官と裁判員の合議で、「法令の解釈に係る判断」が裁判官の合議と定めている部分です。解釈無くして適用できず。また、解釈に係る判断とは何か?解釈に判断があるのか?この辺り、理解に苦しみます。素直に、自分の良心に従って、解釈して、適用するのが正当だと思います。人の解釈を使いたくはありません。

適用する事件は、重大な刑事事件を対象としていますが、市民・国民の参加が望まれる事件が本当の姿だと思います。事実判断が市民・国民が参加して改善されると期待できるのだろうか?別の方面に、市民・国民が参加する方がよい事件が多くあると思います。消費者行政のような事件については、どうでしょうか?

発展、改良をするには、参加した裁判員が、裁判後に多くを語る必要がある。黙っていては、発展しない。第70条の評議の秘密もあります。但し、この最高裁判所のQA 具体的にはどのような秘密をもらしてはいけないのですか(守秘義務の対象)の冒頭にも、「法廷で見聞きしたことであれば基本的に話しても大丈夫です」とあるように公開・公表されていることについては、話をしても問題はないし、自分の感想を述べることは自由です。私は、裁判員制度がよりよい制度として改良・発展を加えていく目的であれば、守秘義務に関わることに触れずに意見を述べることが可能です。

評議の秘密
第七十条  構成裁判官及び裁判員が行う評議並びに構成裁判官のみが行う評議であって裁判員の傍聴が許されたものの経過並びにそれぞれの裁判官及び裁判員の意見並びにその多少の数(以下「評議の秘密」という。)については、これを漏らしてはならない。
2 前項の場合を除き、構成裁判官のみが行う評議については、裁判所法第七十五条第二項後段の規定に従う。

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2009年5月22日 (金)

GDPから見る日本経済

内閣府が5月20日に、2009年第1四半期のGDP速報値を発表し、実質GDPの前期(2008年第4四半期)比で、年率換算マイナス15.2%であり、予想より大きかったと話題になっています。

日経 5月20日 GDPマイナス15.2% 1―3月実質年率、戦後最大の減少

1) 民間企業の設備投資の落ち込みが最大の理由

前期比と言った変化ではなく、過去からの推移を見て見るべく、1994年からの15年間にわたる四半期GDPの推移をグラフにしました。なお、季節調整をした数字であり、年GDPに換算してあります。

Gdpnominal20091q

次のグラフが、名目GDPではなく、実質GDPで表したグラフです。(名目GDPと実質GDPの差は、GDP Deflatorのかけ算ですから、総合物価調整をしたのが、実質GDPと考えて下さい。)

Gdpreal20091q

2008年第2四半期から急降下カーブで下がっています。GDPの主要内訳として、民間最終消費支出、民間企業設備支出、政府最終消費支出、公的固定資本形成支出、純輸出(輸出-輸入)も表示しました。最近の急降下の主要因は、民間企業設備支出と純輸出であることが分かります。

実質GDPの前四半期からの変化額を2006年以降について、表したグラフが次です。

Gdprealchange20091q

民間企業設備支出と純輸出の落ち込みが2008年半ばより大きかったことが分かります。そうなると、余りにも当たり前でありすぎて、あわてることなどなく、これまでの取り組みをしっかり続ければよいと思いました。

2) 米国との比較

日本のみの経済状態で考えるより、広く考える必要があります。そこで、同じようなグラフを米国について作成しました。

Gdpusreal20091q

日本より落ち込みが小さいようです。比較のために、1999年第1四半期を1.0として重ね合わせたグラフを書きました。

Japanusgdp20081 

このグラフを見ると、米国が景気が良かったように見えます。しかし、GDPは人口が多ければ、比例して多くなると考えるべきなので、一人あたりの実質GDPとして同様にグラフを書きました。

Japanusgdpcapita20081 

カーブが異なってきました。実質は、日本の方が良かったのです。但し、生活実感としては、決して楽ではなかった。そこで、今度は、個人消費支出の一人あたりのカーブを、このグラフに追加しました。

Japanusgdppersocapita20081

一人あたりの個人消費を比べると、米国の方が、日本より良かったことになりました。

3) 日本の景気を良くするためには賃上を目指せ

冒頭から2番目のグラフのように、日本経済は、輸出が支え、輸出増による民間の設備投資の伸びに依存した部分が大きかったのです。一方で、個人にはお金は回らず、非正規雇用の拡大もあり、直ぐ上のグラフのように、個人消費は低迷を続けました。なお念のため、米国個人消費には、住宅支出は含まれていないので、サブプライムのバブルは入っていないことを申し添えます。

今や、労働組合は正規雇用者の保護に役立つ程度で、労働市場の健全発展や個人消費拡大には余り期待できないと思います。上のグラフが、それを証明しているような気がします。

現状の日本経済については、輸出減少による民間設備投資の沈滞であり、悲観する必要は何もないと思います。今回のGDPマイナス15.2%を受けて、賃金値下げによる労働者への負担を行うと、真っ暗闇に突入していきそうです。むしろ、雇用を守るのは当然のことで、労働賃金上昇を目指して、創意工夫をしていくべきと考えます。なお、発展のためには、リストラが必要です。日本語で、リストラと言うと、マイナスイメージがありますが、プラスのリストラをすべきです。雇用調整があり得るかも知れないが、雇用保険の適用拡大等を実施して、夢のある日本を作っていくべきと思います。

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2009年5月20日 (水)

漢検(財団法人)のガバナンス

財団法人日本漢字能力検定協会の前理事長大久保昇容疑者とその長男の前副理事長大久保浩容疑者が背任容疑で逮捕されました。

日経 5月20日 漢検前理事長ら逮捕 親族取引巡り背任容疑、2億6000万円損害

2億6千万円は、巨額です。記事の中に、「親族企業との不透明取引や多額の利益を上げていたことが発覚してから4カ月」とありますが、内部の関係者は実質知っており、半ば公然の秘密のような状態ではなかったかと想像します。

この事件は、理事長と理事が結託して、財団法人を私物化して、食い物にした事件であろうと思います。

財団法人日本漢字能力検定協会(以下「漢検」とします。)の19年度収支計算書20年度収支予算を見ると、役員人件費支出は793万円や2750万円になっています。現在の役員名簿では、理事6名、幹事2名、評議員13名の合計21名です。おそらく、常勤は2名のみで、他の役員は非常勤で、実質仕事をしていなかったと思います。実態は、逮捕された2人が甘い汁を吸うために、安い報酬を押しつけ、外部役員が業務を執行することを防いだのだろうと思います。

非常勤で、実質仕事をしていなければ、責任は問われないかは、次の「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の第111条です。

役員等の一般社団法人に対する損害賠償責任
第百十一条  理事、監事又は会計監査人(以下この款及び第三百一条第二項第十一号において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、一般社団法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
 理事が第八十四条第一項の規定に違反して同項第一号の取引をしたときは、当該取引によって理事又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
 第八十四条第一項第二号又は第三号の取引によって一般社団法人に損害が生じたときは、次に掲げる理事は、その任務を怠ったものと推定する。
一  第八十四条第一項の理事
二  一般社団法人が当該取引をすることを決定した理事
三  当該取引に関する理事会の承認の決議に賛成した理事

84条は、次の「競業及び利益相反取引の制限」であり、まさに今回の行為です。

第八十四条  理事は、次に掲げる場合には、社員総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一  理事が自己又は第三者のために一般社団法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二  理事が自己又は第三者のために一般社団法人と取引をしようとするとき。
三  一般社団法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において一般社団法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき。

今回の漢検の問題は、ガバナンスの問題です。公益法人制度改革3法は、2006年に成立し、2008年12月から施行された結果、民法適用時代のガバナンスより強化されました。

公益法人制度改革には関係なく、本来安易に理事や役員を引き受けてはならないのです。引き受けたなら、全力で業務執行にあたるべきであり、漢検のような社会的な影響が大きな財団法人の理事であれば、なおさらです。

なお、漢検が理事長の親族企業との不透明取引を決定した理事会の時期は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行前であったかも知れません。しかし、民法44条もあり、同じく損害賠償の責めを負うと考えます。

漢検は未だ公益財団法人の認定を受けておらず、2013年11月までの移行期間の猶予がある特例財団法人と理解します。今回の漢検の事件は、従来の財団法人や社団法人のガバナンスが問題含みであることを物語っていると思います。勿論、立派にやっておられる特例財団法人・特例社団法人も多いと思いますし、今は一般社団法人及び一般財団法人に関する法律も適用されています。関係者の方は、ガバナンスをもう一度見直していただきたい。役員としての執行に自信がなければ辞退すべきです。一方、全力で尽くすことを望むが、そのための正当な報酬を望んでおられる方は、要求すべきと思います。

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2009年5月19日 (火)

金融危機の犯人は経営者である

「金融危機の犯人は経営者である」というのは、スッキリします。次のIT Proの記事からです。

IT Pro 5月15日 [国際会計基準フォーラム]モラルなき経営者は基準を悪用する---経団連の島崎部会長

5月15日に開催かれた国際会計基準フォーラム  IFRSが企業に与える衝撃における、日本経済団体連合会の経済法規委員会企業会計部会の島崎憲明・部会長(住友商事代表取締役)による特別講演「グローバルビジネス時代の成長戦略とIFRSへの対応」で、島崎氏が述べられた様です。

IT Proの記事の文章をそのまま書くと、「まず島崎氏は、金融危機の原因として経営者のモラルの低さを指摘した。」という部分です。「厳格な会計基準が危機の悪化を招いているという議論は大きな誤解だ。」というのも、その通りと思います。

金融危機の犯人は経営者にのみあるのではないが、一番関与しているのはやはり経営者であると思います。サブプライムから派生して作られたCDO等の金融商品について、その危険性を理解していたのは、それを作った人間かも知れない。しかし、そのリスクを正当に評価認識する必要があったのは、経営者です。自ら評価せずとも、評価能力ある人物を選び評価する必要があった。しかし、現実に起こったことは、金ぴかの表面を経営者自らが利用して、担当者に高報酬を与えると同時に、自らも更なる高報酬を受け取るように動いた。

米国の話であり、デリバティブのような金融商品に多くの人には関係がなく、無縁の話とされるかも知れません。しかしどうでしょうか、日本でも、時価会計の凍結とか、株価対策とか、実に自分勝手な話が耳に聞こえてくることがあります。価格変動による利益獲得を目的とした投資をしていないのであれば、価格が下がっても、大きな影響はありません。価格下落の影響は参考情報です。むしろ、重要なのは、実体経済の需給関係です。

余談になりますが、私もIFRSを積極的に取り組んでいかないとグローバル競争での敗者になると思います。ある時、日本の製造業の品質管理は世界一だとされた。今も、確かに高品質です。しかし、グローバルの世界では、品質管理はISOです。品質管理は、基準より物が良ければの部分がありますが、会計基準は資金コストに直接の影響を与えることがありえます。

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2009年5月16日 (土)

与謝野大臣の発言

民主党の代表選出選挙を前にしての与謝野大臣の発言が面白い。

「岡田さんは逃げない。鳩山さんは逃げる」
日経 5月15日 「鳩山さんは逃げる」 与謝野財務相、消費増税否定を酷評から)

岡田氏のくそまじめさに、つい口に出てしまったのかなと思います。民主党は、基礎年金の全額税負担を言っているのですから、増税なしで絶対無理と私は思います。貧困社会を無くすためには、増税して政府が所得再配分をし夢のある社会にしていかないと、日本の行く先は暗いと思います。

税の面では、90年代から暗い時代が約20年も続いて、やっと岡田氏のような表現をする政治家が現れてきたのかとの思いです。政治家が税を徴収しないと言ったら、そんな人に投票しますか?私は、そんなことを言ったら、その政治家は初めから失格だと思います。何故なら、何もしない、何もできない政府になるからです。強盗や殺人はやり放題。金はごまかし放題。搾取し放題。力が全てで、最貧の人々が蔓延する社会になります。

多くの人が合理的と考える考える社会、そのルールに従いたいと思う社会、を実現するためには、社会の構成員が政府をつくり、政府を合理的に運営して、実現するはずです。

税については、デタラメが通ってきた日本社会と思うからです。

次の表が所得税、法人税、消費税の税率の推移です。財務省のWebにある所得税の推移表に少し手を加えました。

 

49年
1974

59年
1984

62年
1987

63年
1988

元 年
1989

7 年
1995

11年
1999

19年
2007

所得税率 %  万円 %  万円 %  万円 %  万円
10 10.5 10.5 10 10(~ 300) 10(~ 330) 10(~ 330) 5(~ 195)
12 12 12 20 20(~ 600) 20(~ 900) 20(~ 900) 10(~ 330)
14 14 16 30 30(~1,000) 30(~1,800) 30(~1,800) 20(~ 695)
16 17 20 40 40(~2,000) 40(~3,000) 37(1,800~) 23(~ 900)
18 21 25 50 50(2,000~) 50(3,000~)   33(~1,800)
21 25 30 60       40(1,800~)
24 30 35          
27 35 40          
30 40 45          
34 45 50          
38 50 55          
42 55 60          
46 60            
50 65            
55 70            
60              
65              
70              
75              
住民税の最高税率 18% 18% 18% 16% 15% 15% 13% 10%
住民税と合わせた
最高税率
93% 88% 78% 76% 65% 65% 50% 50%

税率の刻み数
(住民税の刻み数)

19
(13)
15
(14)
12
(14)
6
(7)
5
(3)
5
(3)
4
(3)
6
(1)

法人税率

40% 43.3% 42% 42% 40% 平2から37.5%
平10から34.5%
30% 30%

消費税+
地方消費税

0% 0% 0% 0% 3% 3% 平9から5% 5%

所得税は1974年以来税率を下げてきています。1999年と2007年とを比べると、2007年に上がっているように思えますが、(高所得者に対して)住民税を下げているから、実質は変わりません。本当は、この時、定率減税を廃止したから、低所得者に対しては、増税となり、現在に至っています。

法人税は、法人地方税が加わり、更に事業税もあるので、目安税率としては1.3倍ぐらいを考えれば良いだろうと思います。

消費税の導入は、平成になる直前の1988年(昭和63年)12月に法が成立し、1989年(平成元年)4月からの施行で、竹下内閣の時でした。その後、細川内閣の時代に突然福祉目的税として7%が提案され、つぶれ、橋本内閣の時に、1997年(平成9年)から地方消費税と合わせて現在の5%となりました。

所得税と法人税は、小渕内閣の1999年(平成11年)に、景気対策として負担軽減措置を導入して、暫定的に税率が引き下げられた。特別経済対策と思っていたら、小泉内閣の時に、この税率が恒久税率になってしまった。

小泉内閣の路線は、小渕内閣時代の減税政策と財政支出拡大で膨れあがった財政赤字をとりあえずは、支出を切り詰めていったことである。財政支出を切り詰めれば、そのしわ寄せは弱者に行く。その結果が、現在だと思います。そろそろ限界が来ているように思います。多分、与謝野氏も私と同じように感じているのだろうと勝手に思いました。

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2009年5月14日 (木)

アイフルの社債消却利益

消費者金融のアイフルが5月12日に2009年3月期の決算を発表しました。

日経 5月12日 アイフルの09年3月期、純利益85%減
アイフル決算短信 5月12日

決算の概要は、

営業収益  3122億円
営業利益    74億円
経常利益    86億円
当期純利益  42億円

と言う結果ですが、損益計算書を見ると、53.81億円の社債消却益が特別利益として入っています。「こりゃなんじゃ」と言うわけです。

1) 社債消却益

何でしょうね?償却消却とは消滅させることです。最初に思いつくのは、社債発行企業の信用力が悪くなり格付けが下がると社債の市場価格が下がる。そこで、発行企業が自社社債を買い入れ償還すると、満期償還よりも償還金額が低くなるので、償還益が生じる。

5月7日に米FRBが金融機関のストレステストの結果を公表しましたが、米国では金融負債が時価評価されていると理解します。どのような金融負債について、どのような方法で評価するかは、私も調べがついていませんが、例えばこの日経 米シティ「資本調達1兆円必要」 米紙報道、健全性審査受けには「時価会計の適用緩和や負債評価益などの特殊要因もあり」となっています。評価益は、時価評価をすることで計上されることから、負債を債務金額ではなく、市場価格で評価したということです。

IFRSと米国GAAPでは、負債の時価評価をどう扱っているのかは、私も勉強不足ですが、日本の会計基準では、金融商品に関する会計基準第26項が次のようになっており、社債の貸借対照表価額について償却原価法の適用はあるが、時価評価はありません。

26. 支払手形、買掛金、借入金、社債その他の債務は、債務額をもって貸借対照表価額とする。ただし、社債を社債金額よりも低い価額又は高い価額で発行した場合など、収入に基づく金額と債務額とが異なる場合には、償却原価法(注5)に基づいて算定された価額をもって、貸借対照表価額としなければならない。

社債に時価があるからと言って、信用力が低くなれば、資金調達コストが上昇し、業績は悪くなる。にも拘わらず、そんな時に評価益というのは、しっくりいきません。

日本企業でも、米国でADR(預託証券)を発行している場合に、連結財務諸表については米国GAAPで作成している企業があります。その様な企業は、社債の時価評価は、どうなっているのか気になります。

2) アイフルの社債償還

2008年3月末現在のアイフル連結財務諸表においては、一年以内償還予定社債が550億円と個別財務諸表の450億円より100億円大きかったことから、子会社の社債が100億円あったはずです。次の表が私が作成した2008年3月末のアイフルの社債内訳であり、黄色の部分が2009年3月期の間に償還があった社債です。

09

償還した社債の合計は650億円です。決算短信の連結キャッシュフロー計算書には、社債の償還による支出が△65,666百万円となっており、債務金額より6.6億円多く支払っていることになります。このことと、53.81億円の社債消却益が、どう結びつくのか、頭が混乱しました。

未償還の社債の簿価を合計すると3591億円(一年以内償還予定1009億円、一年超2582億円)です。決算短信では、社債金額は一年以内償還予定社債948億円と社債2582億円ですから、一年超は私の計算と一致しています。一年以内については、もし米ドル建ての5億ドルを為替レートを93.7円で評価していれば一致します。

そうではなく、一年以内償還予定1009億円の一部について、すでに市場から時価で購入しており今後償還が必要な社債が948億円に減少しているのであれば、差額の61億円は社債消却益であり、53.81億円の社債消却益と一致してきます。

本当は、どうか、アイフルがプレスリーリースで、社債期限前償還を発表していないか、見てみましたが、私は見つけることができませんでした。

アイフルのJ-CDS参考値(5月14日)を見てみると、3940bpでした。少し下がっていますが、高いですね。会社が自社の財務状態についてよく説明することは、重要と思います。

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2009年5月12日 (火)

民主党小沢代表辞任後の先行き

民主党の小沢代表は11日に辞任を表明(決意表明文)しました。これを機会に、先行きのことを考えてみます。

1) 自公vs民主ではどちらに有利

5月12日 日経 首相「説明責任果たすべき」 小沢氏の辞任表明、閣僚も批判日経 小沢氏の辞任表明、「説明が不十分」 閣僚から批判相次ぐのような報道があり、自公が有利に立ったのではと、一瞬思いますが、小沢氏のことであり、錬られた伏兵戦略であり、単純な見通しで判断はできない可能性があると感じています。

何故、この時期にしたかの戦略があるように思えます。次のMSN産経ニュースが13日の平成21年度補正予算案の採決を衆議院予算委員会が決定したことを伝えています。

MSN産経ニュース 5月12日 補正、13日午後に衆院通過へ 来月12日には自然成立

6月12日に成立すると書かれていますが、憲法60条に、「国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」とあり、解散をすれば、6月12日よりずれていきます。憲法54条第2項に「衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。」と書いてあります。

小沢氏の狙ったことは、解散封じであったと思います。小沢氏の決意表明は、民主党の衆議院選挙に向けての行動開始の宣言であったと思います。

2) 6月13日に衆議院解散戦略はあるか

東京都議選が7月3日告示で12日の投開票です。公明党が反対していることもあるでしょうが、憲法54条に「解散の日から40日以内の選挙」となっていますから、モロです。下手をすれば、自公大敗北だってあり得るわけで。

それ以外にも、他の法案があります。例えば、海賊新法です。4月23日に衆議院を通過なので、6月22日が自然成立の日です。私は、5月3日のエントリーで間違えて、5月23日成立と書きましたが、訂正おわびを致します。なお、憲法59条第4項は、「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。」であり、憲法60条における予算についての30日と扱いが異なっています。

2005年9月11日の郵政民営化選挙で当選したのが今の衆議院議員なので、今年の9月10日ギリギリまで衆議院解散がもつれ込む可能性がある。特に、東京都議選で自公が敗れた場合、そうなる以外にないと思います。

3) 平成21年度補正予算

この補正予算もすごいと思います。本年2月27日に衆議院を通過し、参議院で否決となったので、3月27日に成立した予算の修正で、平成21年度が開始して27日経過した4月27日に国会に提出された補正ですから。

与謝野大臣の4月27日衆議院予算委員会の冒頭における概要説明が、ここにありますが、当初成立の88.5兆円に13.9兆円追加して102.4兆円とする補正予算です。伸び率は15.7%となります。この補正予算の概略は次の表であり、詳細は、この財務省のWebからDownloadできます。

雇用対策 1兆2697億円
金融対策 2兆9659億円
低炭素革命 1兆5775億円
健康長寿・子育て 2兆0220億円
底力発揮・21世紀型インフラ整備 2兆5774億円
地域活性化等 1980億円
安全・安心確保等 1兆7089億円
地方公共団体への配慮 2兆3790億円
経済危機対策関係経費合計 14兆6987億円
国債整理基金特別会計へ繰入 768億円
経済緊急対応予備費の減額 △8500億円
合     計 13兆9255億円

どれぐらい効果があるのかな?確実に言えることは、消費税増税にまっしぐらに突っ込んで行っていることです。100兆円を超えましたから、所得税と法人税のアップではカバーしきれない。消費税増税なしで済ませたら、日本は暗黒社会になるのではと思います。

少し前ですが、この渡辺千賀さんの4月27日のブログに、「今の私が考える、日本の20年後ぐらいの将来はこんな感じだ。」として、ベストケース、ベースケース、ワーストケースなんて書いておられますが、これぐらいのことは十分考えられると思います。渡辺千賀さんが書いている3ケースのいずれでも、消費税増税をしてのシナリオなのだと思います。

4) 基礎年金の国庫負担1/2への引き上げる法案

4月27日に衆議院を通過しました。法案の名前が「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案」ですから、コピペを間違えて2回してしまったのではと思うような名前です。法案は、ここにありますが、附則の部分の改正です。ここに厚生労働省の説明があります。それ以外には、この読売新聞の説明あたりが少しは分かるかも知れません。

現在の国庫負担率36.53%を50%にするのですが、50%とすることは2004年の年金改革で決まっているのです。しかし、政治家とは無責任な人達で、2004年の改正時に次のような附則を置いています。(考え方によっては、責任感が強いから、デタラメはできずと、附則できちんと定めを作ったのでしょうか?)

(基礎年金の国庫負担割合の引上げ)
第十五条  基礎年金については、平成十七年度及び平成十八年度において、我が国の経済社会の動向を踏まえつつ、所要の税制上の措置を講じた上で、別に法律で定めるところにより、国庫負担の割合を適切な水準へ引き上げるものとする。

第十六条  特定年度については、平成十九年度を目途に、政府の経済財政運営の方針との整合性を確保しつつ、社会保障に関する制度全般の改革の動向その他の事情を勘案し、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までの間のいずれかの年度を定めるものとする。
 前項の規定は、特定月について準用する。この場合において、前項中「平成二十一年度までの間のいずれかの年度」とあるのは、「平成二十二年三月までの間のいずれかの月」と読み替えるものとする。

国庫負担率50%にするには消費税1%に相当する2.5兆円が必要と読売の記事にあります。この国庫負担増により、国民年金の納付免除により減額される年金受給者の受け取り年金の減額幅が小さくなると私は理解します。

この辺り、調べても深みには行っていき、自信がなくなりました。もし、違っている場合は、どなたでもご指摘下さい。私の理解による減額幅の変更は続きを読むに書きました。

5) 次の衆議院選挙は誰に投票すべきか

これで決定です。渡辺千賀さんのよに20年先までは申しません。でも、5年先、10年先の将来の展望をきちんと示した候補者に入れたいと思います。

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2009年5月 7日 (木)

新型インフルエンザ診察拒否についての報道批判

次の毎日の報道ですが、「新型インフルエンザに過剰反応した東京都内の病院による発熱患者などの診察拒否が相次いでいる問題で・・・」と始まっていることから、

誤解を生じかねないかと思いました。

毎日 5月7日 新型インフルエンザ:診察拒否問題 厚労省、都道府県に連絡--手順周知

最後は、「「発熱外来」のない医療機関は、新型インフルエンザの疑いのある患者から診察を求められた場合、まず各都道府県の「発熱相談センター」への電話相談を患者側に勧めることを求めている。」となっているので、間違いではないのですが。

同じ種類の報道が、この朝日5月7日 「診療拒否」しないよう通知 新型インフルで厚労省です。一方で、前半のみの報道がずいぶんあったように思います。

一方のみの情報で報道すると誤解をまねきかねない。天漢日乗さんが、これこれ、やこれと連日毎日の江畑記者の報道の批判を書いておられた。

天漢日乗さんの主張は分かります。「病院にいるのは、健康な人よりも、遙かに抵抗力の落ちた患者さんたちなのだ。もし、これらの患者さんが新型でないにせよ、インフルエンザに感染したときに、その患者さん全員に投与可能なタミフルが備蓄された一般病院というのは、存在しない。そして、いま、タミフルは、新型インフルエンザ対策で、発熱外来をもつ病院にしか卸せなくなっているのだ。」と書いておられます。この天漢日乗さんが言われているようなことが、どうして報道されないのだろうかと思います。

そんなことを報道しても、誰も読まないと新聞TV記者や新聞TV編集者が思っているのだろうか?読者や視聴者をバカにしているのかな?と感じます。

現在の厚生労働省の発表を見れば、政府方針として検査キットもタミフルやリレンザも発熱外来に優先配布しており、優先配布せざるを得ないことが、判断がつきます。元々、余っているわけではないのですから。

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2009年5月 3日 (日)

憲法第9条

憲法施行から62年目の憲法記念日にあたり、憲法第9条も、だいぶ光を失い、さび付いて来ているような気がします。

朝日 5月1日 9条改正 反対64%、賛成26% 朝日新聞世論調査

何を、どうしようというのではなく、どうでもいいじゃないかとの感じに取れます。そんな中で、社説で、堂々と憲法第9条堅持を打ち出しておられた新聞社もおられました。

琉球新報 5月3日 社説 憲法記念日 平和の理念再確認したい/拡大解釈は許されない

1945年には戦場となり、現在も日本都道府県の中で基地が最も多い沖縄県です。

自衛隊は、軍隊です。軍隊とは、国王が他の国と戦争をするために、設けた組織である。自衛隊も他の国と戦争とするための組織であり、外国からの武力攻撃が発生した場合には、武力で応戦する。

ほとんど皆がそのように思っているが、その上での憲法第9条の改正論議である。従い、雰囲気で、「郵政民営化」、「100年に1度の不況」・・・の様な標語に押し流されて行くことは避けるべきである。

憲法は国民・市民が定めるものであり、その解釈は、国民・市民の手に存在する。憲法については、政治家の言うことを聞いては絶対にダメと思う。政治家は、自分の都合の良いことしか言わない。勿論、そのようなことは、政治家に限ったことではないが、憲法とは、政治家を縛るものであるからこそ、そう思うのである。そう考えれば、憲法第9条を、例え第2項だけであっても、改正してしまえば、連中は暴走を始めると思いました。

「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(海賊新法)」が4月23日に衆議院を通過しましたが、この国会審議を見ていると、どうしようもない政治家達です。例えば、国会提出が3月13日で、1月10日の期間で衆議院を通過し、参議院は否決される見通しであるが、郵政民営化のおかげで衆議院は2/3以上を与党が占めるから、5月23日には国会で成立し、5月末までには公布できる。

海賊新法には、問題が色々あると思います。法案はここにありますが、これを読んでも、「第5条 海賊行為への対処は、この法律、海上保安庁法その他の法令の定めるところにより、海上保安庁がこれに必要な措置を実施するものとする。」と書いてありますから、余り疑問を感じないと思う。問題の第7条(海賊対処行動)や第8条(海賊対処行動時の自衛隊の権限)を読んでも、唐突すぎて、こんな簡単なの?と思ってしまう。

ここまで、なし崩しにしてしまって良いのかと感じます。

4月23日開催の衆議院特別委員会の議事録がここにあります。議事録からの感想です。

海賊は軍隊ではないので、海賊新法が定めるように、警察力である海上保安庁がよい。海上保安庁もヘリコプター巡視船を13隻保有している。4月23日の衆議院特別委員会の議事録の答弁を読んでも、巡視船で重火器による攻撃を受けても、被害をある程度食いとめて業務を継続する能力があるのは「しきしま」のみ。「しきしま」は、通常の任務で手が離せないと言うことかな。しかし、そんな重火器の攻撃を受ける可能性があるのかと思ってしまう。

それにしても、「しきしま」のみを理由として、自衛隊派遣を、総理大臣の承認で防衛大臣が決定できてしまう。軍隊の(友好親善目的でない)国外派遣が、これほどまでに簡単になって良いのだろうか?

次の共産党赤嶺委員の質問と中曽根外務大臣の答弁です。破棄物の不法投棄や違法漁獲をしたのは、ヨーロッパの国々の反社会的組織と想像するのですが、いずれにしても自衛隊を派遣すれば解決できるほと、単純ではありません。

赤嶺委員 私は、軍隊では問題の解決はできないと思います。そもそも、ソマリアの海賊がなぜ生まれてきたのかという根本原因にきちんと目を向けるべきだと思います。

外務大臣に聞きますが、ソマリアでは、1991年以降、内戦状態が続いてきました。そのもとで、外国漁船による違法操業、廃棄物の不法投棄が横行するようになりました。国連の報告書が出ておりますが、そこでは、放射性廃棄物や産業廃棄物、医療廃棄物など、さまざまな有毒廃棄物がソマリア各地に投棄され、深刻な健康被害を引き起こしてきたとも指摘をしております。これに対して、漁民が自衛手段として高速船や武器を使って外国船を追い払うようになり、それが海賊ビジネスと言われるほどの一大産業になっていったと言われております。

外務大臣も、そういう認識ですか。

中曽根国務大臣 基本的には同様の認識でございます。

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