ライブドア(LDH)配当の実態は資本の払い戻し
株式会社LDH(旧ライブドア)は、680億円の配当を行うとのニュースが先週ありました。
MSN産経ニュース 6月17日 ライブドア680億円配当案 1株6500円 「株主の要請」
このことに関連して、書きます。
1) 配当原資
6月26日の株主総会で決定し、6月末までに株主に対し、支払われると思いますが、実はLDHの事業利益からの配当ではなく、その原資は株主がかつて払い込んだ資本と言えます。
次の表が、株式会社LDH 第14期決算情報からLDHの個別貸借対照表の純資産の部を転記したものです。株式会社の株主への金銭交付額は、会社法461条に定められた分配可能額を超過してはいけない。LDHの現時点における分配可能額は、1203.9億円です。即ち、その他資本剰余金1766.5億円があるからであり、1年前の平成20年3月末であれば、実は30.6億円でした。資本金が862.9億円から1億円に、資本準備金が871.4億円から0への減少しており、合計1733.3億円がその他資本剰余金に変わったからです。
2) 資本金、資本準備金の減少
資本金とは、株主が払い込んだ財産の額であり、資本準備金とは、その中で資本金として計上しなかった額です。(会社法445条)株式会社とは、株主が払い込んだ資本により活動をし、その結果として財産が増加すれば、払込時点より増加した額が剰余金であり、株主配当の原資です。従い、資本金や資本準備金を減少させることは、基本原則に反するが、会社の規模縮小等で株主に払い込んだ資本を戻すことはあり得ます。
会社法は、資本金、資本準備金及び(LDHの場合は計上されていなかったが)利益準備金の減少については、株主総会の議決(会社法447条、448条)と債権者に対する手続き(会社法449条)を定めており、LDHは2009年2月23日に、この資本金及び準備金の額の減少公告を行いました。
結果、その他資本剰余金が計上され、株主への配当が可能となりました。LDHは、社名がエッジであった時代を含め、株主配当を一度もしていなかった。初の株主配当が株主が払い込んだ財産の払い戻しで実施される皮肉な結果です。
3) LDHの今後
LDHが現在保有している最大の会社が株式会社セシールです。次の表がLDHの有価証券報告書にある2009年3月上半期の事業の種類別セグメント情報です。
セシールの株式の50.3%をLDHが保有しており、このLDH保有株式について、フジ・メディア・ホールディングスの子会社フジ・メディア・サービスがTOBを発表しています。(ここ)これに、LDHは賛同しており、このTOBは成立確実であり、その結果、上の表の黄色の通販事業がLDHから消滅する。残るは、インターネット事業が主体であり、インターネット事業のみを継続するのであれば、大きな金額の資本を維持しておく必要がない。そこで、今回の配当というか資金の払い戻しというかになるのは、合理的な判断と思います。
4) 最終的には
2009年3月期のLDH業績は連結で576億円、単体で557億円のそれぞれ純損失です。ほとんどが、LDH単体で発生していますが、その内訳には、
・ フジ・メディア・ホールディングスに対する和解による支払済み損害賠償金: 314.8億円
・ 日本生命他及び個人株主約3000名に対する訴訟損失引当金繰入: 223.8億円
の合計538.6億円の特別損失があります。
今回ホリエモンに対して配当を支払わない場合は、117.7億円については、現金の流出はされず、2009年2月18日付け公告でLDHが発表しているホリエモンを含む7名に対する損害賠償金345億7773万円と相殺されることと理解します。
2009年3月末時点でLDHには、現金・預金が1076億円あり、この中から、今回の配当をホリエモンには保留として支払うと564.4億円が流出し、511億円残ることとなります。しかし、訴訟損失引当金として計上している223.8億円を今後支払う場合は、残が287.8億円となります。ホリエモンには保留するとし287.8億円は、1株あたり3,300円強の配当資金です。
上記の場合は、ホリエモンに対して損害賠償金と相殺した金額は177.4億円であり、他の人達を加えると少し大きくなるかも知れませんが、損害賠償金の51%程度に止まり、ホリエモンから賠償を受けた分だけ、株主への今後の配当も多くなると言う計算です。事業収益からの配当期待ではなく、損害賠償金からの配当期待という変な形であります。
5) ライブドア
ライブドアとは何であったのでしょうか?2004年2月にエッジからライブドアへ、2007年4月にライブドアからライブドアホールディングへ、そして2008年8月にLDHへと、めまぐるしく社名変更を続けました。ホリエモンは、2006年1月に逮捕され、2006年4月にマザーズ上場廃止。現在までの利益の累計は、マイナスであり、損失なのです。
2005年9月期(当時はLDHは、9月決算でした。)からの貸借対照表と損益計算書を連結と個別の両方について掲げます。(クリックで拡大)全ての期間について、売上よりも流動資産の金額の方が大きく、資金調達サイドはほとんどが資本金・資本剰余金です。やはり財務諸表はいびつであったと言えると思います。そんな会社に対する投資は、気を付けなければいけないのでしょうね。実態のないバブル人気を一時は持っていましたから。
(注)途中に決算期の変更があり2008年3月期は6月期間です。2008年9月期は中間期であり、2009年3月期は中間期を含む1年間です。
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投稿: sheltem | 2011年11月 8日 (火) 03時46分