新生銀行とあおぞら銀行の合併の絵
株主総会では、新生銀行はあおぞら銀行との合併を考えていないとされていたと思いますが、本日は、次のように報道がありました。
日経 6月25日 新生・あおぞら銀、池田・前足利銀頭取に新社長打診 来秋合併へ
両行のプレスリリースは、こことここにあり、両行とも話し合いを持っていることは、認めておられます。そうなると、合併ができないとなると逆に不信感を持たれることになるのが懸念されます。合併の実現までには、1年近く要するのは、当然ですが、産業界や一般個人等に対する融資を含め、より一層の社会に対する金融サービスを向上させるための合併となるよう尽力願いたいと思います。
1) 合併比率1:1
上の日経を含め他の記事も合併比率1:1を報道しています。本日(6月25日)の東証終値で、新生銀行が161円で、あおぞら銀行が154円ですから、1:1はよい所と思います。ちなみに、過去6月間の株価の推移も同じような感じです。
2) 合併後の資本金
発行済み株式の状況は次の通りです。下の表には、煩雑になりすぎるので書けていませんが、新生銀行についても、普通株式のうち269,128千株を預金保険機構が200,000株を整理回収機構が保有しています。両銀行とも、預金保険機構と整理回収機構の資本が入っています。
発行済み株式の状況 (単位:千株) | ||
新生銀行 | あおぞら銀行 | |
発行済み普通株式 | 2,060,347 | 1,650,147 |
自己株式 | 96,427 | 155,888 |
株主保有普通株式 | 1,963,919 | 1,494,259 |
第4回優先株式(預金保険機構保有) | 0 | 24,072 |
第5回優先株式(整理回収機構保有) | 0 | 258,800 |
新生銀行・あおぞら銀行のどちらが存続会社になるか不明ですが、株価を160円として合併により生じるのれんを計算すると、次の表のように、株主資本の方が金額的に大きく負ののれんとなりました。なお、新生銀行を存続会社とした場合の、あおぞら銀行の優先株については、残余財産を分配する場合の1株あたりの金額第4回優先株式1000円、第5回優先株式600円で計算をしています。
単位:百万円 | 新生銀行 | あおぞら銀行 |
株主資本の金額(2009年3月末) | ||
個別財務諸表 | 601,750 | 527,271 |
連結財務諸表 | 600,147 | 534,158 |
株価160円の場合の株主保有株式価額 | 314,227 | 239,081 |
優先株価額 | 179,352 | |
株主保有普通株と優先株の合計価額 | 314,227 | 418,433 |
負ののれんが発生する場合は、昨年12月26日改正の企業結合に関する会計基準が平成22年4月1日以後の適用なので、負ののれんは直ちに特別利益として認識することになると理解します。この利益は税務上は益金ではないので、全額株主資本となるものの、増加する資本金と資本剰余金がその額だけ小さいのですから、お遊びのように思えます。
3) 株主構成
現在のまま移動がないとすると、次の表のようになります。あおぞら銀行の最大株主が米国のPrivate Equity Fundで、あおぞら銀行の最新データは、株主総会が終了しておらず、有価証券報告書が見れていないのですが、過半数の株式を保有していると思います。一方、新生銀行のSATURN・・・・という株主も米国のPrivae Equity FundのJ.C. Flowersであり、J. クリストファー フラワーズ氏は、ファンド創設者と理解します。
新生銀行とあおぞら銀行合併後の株主構成試算(単位:千株) | ||||
新生銀行 | あおぞら銀行 | 合併後 | ||
サーベラス | 821,469 | 821,469 | 23.8% | |
SATURN Ⅳ SUB LP | 322,964 | 595,418 | 17.2% | |
SATURN JAPAN Ⅲ | 110,449 | |||
J. クリストファー フラワーズ | 91,297 | |||
SATURN V C.V. | 70,708 | |||
預金保険機構 | 269,128 | 269,128 | 7.8% | |
整理回収機構 | 200,000 | 200,000 | 5.8% | |
オリックス | 149,975 | 149,975 | 4.3% | |
ゴールドマン・サックス | 68,000 | 68,000 | 2.0% | |
その他 | 831,373 | 522,815 | 1,354,189 | 39.2% |
合計 | 1,963,919 | 1,494,259 | 3,458,179 | 100.0% |
株主を見ても、両銀行は共通性があるように思えます。
4) 合併後の貸借対照表の資産
次のような感じになりました。
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