アフガニスタン援助についてのNHKクローズアップ現代も問題ありすぎ
2日連続でNHKに対する不満を書きたくもないのですが、本日のNHKクローズアップ現代「7月8日(水)放送 混迷のアフガニスタン(2)日本の復興戦略」を見たら、書かざるを得ないと思いました。
NHKクローズアップ現代は、冒頭で「アフガニスタンのチャグチャランPRTへの文民支援チームの派遣」を取り上げ、アフガニスタンは治安悪化により軍隊との共同で援助をしないと援助効果が上がらない。日本の援助の方式である軍隊を伴わないような国際援助は、米国の強い意見に代表されるように、アフガニスタンの様な国に対しては効果が薄いと言うような主張が感じられました。
まさに驚きです。途上国援助について理解が全くなされていなのではないか?軍隊を外国に動かすことは、何を意味し、どのような結果をもたらすかをNHKの人達とは、考えられないのだろうか?日本の外交方針についても考えられない。日本国憲法を、どう考えるのかなと思いました。
まず、チャグチャランPRTへの文民支援チームの派遣については、この外務省のプレスリース2009年4月17日に書かれていますので、これを参照下さい。残念ながら、政界中どこでも治安が良いとは限らず、援助を実施するに際して軍の支援が必要な場所は存在します。従い、外国の軍隊と協力することが時には必要です。しかし、それが全てではありません。
ゲストとして招かれていたのが、JICA理事長緒方貞子氏で、緒方氏はNHKの挑発には乗らず、信念を述べておられました。本日のNHKのクローズアップ現代の制作方針で良かったこと。それは、緒方氏をゲストとして招いたことでした。
なお、私がNHKの言っていたことで、多くを変だと思いましたが、それについて少しだけ私のコメントを書いておきます。
1) NHK曰く:日本の援助はアフガニスタンで効果ある援助活動ができていない
外務省のWebには、2001年9月以降総額約17.8億ドルとあり、その中に、治安の改善:総額約3億6,000万ドルがあげられており、DDR及びDIAG:約1億4,900万ドルとあります。DDRは、Disarmament, Demobilization and Reintegrationであり、DIAGはDisbandment of Illegal Armed Groupsです。タリバン時代に地方軍属が武器を保有していたのを武装解除したのです。日本が、武装解除を中心になって実施した。誇らしいことと思います。そのようなことに、日本の方で先頭を切って行われた方がいらっしゃるのです。
2) NHK曰く:アフガニスタンの治安はタリバン時代より悪化している
緒方氏も述べていましたが、タリバン時代には多くの難民がパキスタンとイランにいました。その難民のほとんどは、アフガニスタンに帰国しました。何を物語っているのでしょうか?
3) NHK曰く:JICAはアフガニスタン事務所の人数を減少させている
緒方氏も述べていましたが、選挙の際の暴動が心配だから避難することとした。長期的に見ることが必要です。それと、実は、人数からすれば、他のJICAの事務所と比べても、現在のアフガニスタン事務所は人数が多いのです。仕事があるから、当然ですが。でも、勤務している人達は大変です。NHKの人達には、分からないでしょうが。
4) NHK曰く:米国は日本に軍隊の派遣を求めている
緒方氏は、自分自身では、オバマ政権になってからそのようなことを聞いたことがないと述べていました。ネオコン・ブッシュ政権とオバマ・クリントン外交は少し違うと私は思います。そもそも、米国の政策をそんな単純とは思いません。米国の要求以前に、日本の政策がなければなりません。
でも、考えてみると、外交政策なんて、NHKには難しすぎて、無理なのかな?
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コメント
HNKの後ろにいる政治家の後ろにある国際情勢についての考察が欠落。
投稿: harvest | 2009年7月 9日 (木) 10時00分