原油価格の安定化(か?)
7月 3日のエントリー 日本航空と全日空の比較の中で、シンガポール渡しのジェット燃料の価格チャートを掲げ、日本航空の燃油価格ヘッジのことを書きましたが、原油価格が乱高下をしている現状であります。
1) 原油価格
2001年以後の原油価格チャートを掲げます。
8年半の価格の動きですが、どう感じますか?これを見れば、株なんてバカらしくやってられないよと感じるかもしれません。次に、本年1月1日以降の原油価格チャートを掲げます。なお、こちらはOPEC原油バスケット平均価格としました。(価格は、基本的に同じです。別の価格も出しておこうと掲げました。)
そして現在の原油価格として次のブルームバーグ・ニュースを掲げます。
7月10日 NY原油時間外:週間ベース1月以来の下落率に-ドル高で魅力薄れる
今年になってからの価格は、40ドルから始まって現在60ドルですから、半年で50%高です。
2) 原油需給量
一方、需給量は、それほど変動していないのです。原油生産量のグラフが次の通りです。
生産日量が73百万バレルであり、年間42億キロリットル強に相当します。8年半の間で生産量の最小と最大の差は10%です。一方、価格は9倍です。原油は、食料と同じように重要です。いくらが正当な価格かは、誰も言えないが、価格変動が大きすぎると思えます。
3) 市場価格コントロール
株なんかやるより、原油で儲けた方が簡単だと1)で書きました。しかし、株と異なるのは、タンクが必要なことです。従い、もしやるなら先物の売買のみに徹することです。それと、日本航空と全日空の比較で書いた石油製品に関するデリバティブ取引から生じる原油や石油製品の先物市場に対するインパクがあると思います。デリバティブ取引は、金融商品であり、原油等を渡したり、引き取ったりせずに、契約した条件での差額決済です。デリバティブ取引を提供した証券会社等は、リスクを取るわけではないので、何ならかの形で先物商品市場等に繋ぎます。デリバティブ取引を否定はしませんが、行き過ぎると実需を超えた架空取引による市場価格の乱高下を生み出すと思います。
本日、商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部改正が公布されました。経済産業省の法案国会提出時の2009年3月3日プレスリリースがここ(説明)にありますが、「市場及び相場操縦手法の国際化、複雑化等に対応するため、相場操縦行為に関する罰則を整備するとともに、海外当局との情報交換手続を規定することにより、国際的に協力して市場を監視できる仕組みとします。」と言っておられます。
米国の場合は、商品先物市場を監視するのがCFTC(Commodity Futures Trading Commission)です。CFTCが、原油等の市場監視を強化するとして7月7日に声明を発表しました。”Aggregate Position Limits and Review of Hedge Exemptions for Energy Futures Markets”と言っておられます。日経の記事とCFTCの声明は次の所です。
日経 7月8日 原油先物の持ち高制限、米取引委が導入へ 市場の透明性高める
原油価格はエネルギー価格の中心であり、世界中の人々の生活と産業に影響を与えます。一国での取り組みは意味がなく、少しでも対策を見つけていただければと思います。もしかしたら、世界不況の原因はサブプライムではなく、原油価格ではないかと思ったりします。
| 固定リンク
コメント
私もサブプライムより原油価格の上昇の方が影響が大きかったと思っています。さらにやはり金融市場、デリバティブの影響が大きかったと思います。今後、事実上損失負担は政府が行うので今に債務不履行、インフレの問題が起きてきます。米国はGM、日本の場合は原油が日本航空の金融支援につながっており、投機家のヒトたちが引き起こした災厄は日本中と世界中を巻き込むことになるのです。
こうした恐ろしい時代にどう過ごしていくか、大変な難題だと思っております。
投稿: ああ | 2009年7月12日 (日) 05時30分
ああ さん
コメントありがとうございます。
「米国はGM」とのこと。GM以外の他の米国自動車メーカを見ても、Hybrid車の開発には、投資をしていなかった。しかし、その理由は、新技術の重要性が分かっていながらも、業績悪化により思い切ったことができなかった。また、不沈艦との油断があったと思います。それが、サブプライムによる需要落ち込みで、ノックアウトされてしまった。そのような感じがします。
冷静に置かれている環境を見ることが重要で、それにより悲観的になるのではなく、進み行く方向を見つけねばならないし、その結果、明るい見通しを立てることができると私は思います。
投稿: ある経営コンサルタント | 2009年7月12日 (日) 10時50分