緊急地震速報の誤作動(誤報)
緊急地震速報誤報のニュースがありました。
日経 8月25日 緊急地震速報誤報、プログラム入力ミスが原因 気象庁
この件に関しては、様々なことを思ったので、書いてみます。
1) 原因
上に掲げた日経の記事は、「製造元の明星電気が24日に改修した。この際、緊急地震速報のプログラムについても処理を行い、入力単位を間違えた。」と書いてあり、製造元の改修作業のミスであったのです。しかし、単に群馬県伊勢崎市の明星電気とのみ伝えた他の報道もあり、私は当初気象庁からメンテナンスのみを請け負った業者かと思いました。この気象庁報道発表「緊急地震速報(警報)の誤報について(第2報)」 からしても、そのように読めてしまいます。
明星電気のホームページはここにありますが、2009年3月期売上高8,887百万円、純利益502百万円で気象関連、地震関連の計測機器等の製造をしている東証2部上場会社です。明星電気の本件に関する「緊急地震速報(警報)の誤報についてのお詫び」がここにあり、「緊急地震速報の機能及び精度向上を図る開発において、プログラムの一部手違いにより発生したものであります。」と書かれています。
これ以上の詳細は、不明ですが、メーカーだったら、製品検査や作動検査で確認するから、メーカーを信頼して問題ないと、通常であれば、考えます。しかし、発生した。何か問題があるのだろうか。あるいは、これぐらいのことは、許容すべき範囲であるのか。
どうしても避けられない確率的に生じるミスは、存在するのであります。誤警報の発信は、警報が出なかったことより、問題の程度は低いはず。又、緊急地震速報の一般提供は、2007年10月1日から始まったのであり、速報がない状態も考える必要があると思いました。
2) 緊急地震速報
緊急地震速報の気象庁の説明はここにありますが、次の点が特徴と思います。
A. 地震発生後の速報である。(地震予知ではない。)
B. 十分なデータを得てからの発表ではなく、精度的には劣る。
C. 「高度利用者向けの緊急地震速報」とテレビやラジオなどを通じて提供する「一般向けの緊急地震速報」の2種類がある。
そこで、更に気象庁のWebを見てみますと、このページに過去に出された緊急地震速報があります。2009年になってからは、23回出されています。その中の一番新しい2009年8月25日 06:37:04が今回の速報です。この緊急地震速報の内容によれば、一般向け緊急地震速報は地震波検知から21秒後の6時37分33.8秒に出されています。
千葉県北東部、茨城県南部、茨城県北部、東京都23区、埼玉県南部、神奈川県東部、千葉県南部、千葉県北西部に震度4や5弱の予報が出されたのです。ところが、この緊急地震速報提供から主要動到達までの時間によれば、これらの地域は全て20秒以内の範囲に入っています。即ち、そもそも、揺れが始まった後に出された速報であったのです。
もう一つの例として、8月11日5時07分05秒に発生した駿河湾地震を見てみると、地震波検知から3.8秒後の5時07分14.9秒に一般向け緊急地震速報が出されています。静岡市等は地震主要動到達の時間がゼロであるが、震度4の小田原には地震主要動到達時間は10秒であったことから、揺れを感じる前に緊急地震速報を受けることができたかも知れません。
緊急地震速報が始まって以降で、最も大きな震度の地震であったのが、2008年6月14日08時43分45秒に発生した岩手県内陸南部地震でした。一般向け緊急地震速報は、地震波検知から4.5秒後の8時43分55.2秒に出されています。宮城県栗原市では、震度6になったようですが、地震主要動到達時間がゼロで、仙台市では10秒程度であったようです。
3) 緊急地震速報への対応
そもそも万能ではなく、本当に大きな揺れは、緊急地震速報の前であると考えた方が良さそうな気がします。
NHKなんかは、緊急地震速報を自らが伝える媒体でもあるので、緊急地震速報があれば直ちに対策をすれば被害を小さくできるようなことを言っていますが、そんな簡単なものではないと思います。むしろ、日常から地震に対して(転倒防止や補強等を含め)備えをしておくことが重要と思います。緊急地震速報(特に一般向けについて)は、参考情報であると考えた方が良いと思いました。
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