光市母子殺人事件少年容疑者実名表記の出版
光市母子殺人事件少年容疑者の実名を記載したルポルタージュ本が出版されるとのニュースがありました。
共同47 9月26日 元少年の実名表記したルポ刊行へ 山口県光市の母子殺害事件
どう思われますか?ちなみに、実名の掲載を禁じている少年法61条は、次の通りです。
少年法61条 ・・・・・少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。 |
現在少年は、広島高裁の死刑判決を受けて、最高裁に上告をしている。その少年のことについて、本の上で、本名をわざわざ出さずとも主張はできるので、それでよいとの意見もあると思います。しかし、死刑判決を受けているわけで、実質少年としては扱われていない。次の最高裁が最後の裁判であり、死刑となる可能性が高いと思われる。死刑制度そのものも嫌ですが、死刑判決を受けるであろう被告を人間扱いしないことは、もっと嫌です。
少年法61条は、少年の保護更正・将来の社会復帰の為に、定められている。光市母子殺人事件については、容疑者は死刑の可能性が高く、最も軽い判決でも、無期刑しかあり得ない。一生通常の社会復帰は、あり得ない。一方で、人には、実名で自分の主張や様々なことを語り、他人が自分について語ることに賛成する権利が存在する。一生を少年Aとして扱われ、死刑を受ける。嫌な気がします。既に成人(28歳)となった本人が実名で本が出版されることに同意しているなら、少年法61条の禁止には該当しないと私は解釈したいのですが、いかがですか?
被害者の観点からの報道しかされなかった事件であり、本が出されることは意味があると思うし、出版の自由は極めて重要と思います。少年法においても、無期刑や死刑はあり得るとしていますから、特別な場合には、少年を人としての権利を保護することが必要と思います。
少年法51条1項 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。 |
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コメント
少年法の言う”少年”とは成年に達しない者(=20歳未満の者)全てであって、中でも18歳未満の時の犯罪については、死刑にはならないという事であると。
なので、本件事件の被告人については、少年として扱われつつ、犯行時には既に死刑は排除されない年齢であったという事ですよね。
ん~、単純に少年法第61条の規定を読めば、今回の出版は抵触するとは思いますけど、さりとて、”成年に達した後の本人の、明らかに疑いのない自由意思として、実名を明示した原稿による出版を望む”という事であれば、どうでしょうね。
この点については、司法判断はまだ無いでしょうし。難しいですね。
投稿: 素人の浅知恵 | 2009年9月27日 (日) 12時14分
素人の浅知恵さん コメントありがとうございます。
その通りですね。18歳未満であれば、少年法51条1項が適用されて、死刑にはならない。しかし、この事件の場合、犯行を犯したのが、18歳であったことから、検察は、事件が凶悪であり社会的衝撃も大きかったので、死刑を求刑した。
Wikiを読むと、この事件について、一部のマスコミは少年を実名報道したことがあるようですが、当時少年は実名報道に、同意していなかったことは確実。
今回、少年が同意しているなら、実名を出した本が出版されても、よいと思いました。仮に、少年が自分の名前を出して手記を発表するなら、それは少年法61条には抵触しないと解釈する。この少年は、自分で他人が理解できるような文章を書くことができない人物と私は思います。でも、文章は理解できるはず。もし、その能力さえもないのであれば、死刑を求めることに、問題があると思う。従い、同意していることが確認できるなら、出版は許されるべきと私は思いました。
投稿: ある経営コンサルタント | 2009年9月27日 (日) 13時29分