自公政権では、大臣がそんなことを言うはずがなかった。でも、
日経 10月13日 「羽田、国際ハブ空港に」 国交相表明、成田など活用焦点
多くの人が、誰かが言い出すと思っていたが、誰も先頭を切りたくなかった。羽田で4本目の滑走路(D滑走路)が完成し、年間の発着能力が現在の約30万回から約41万回に増えることになる2010年10月まで1年になりましたから、直前に言い出したら、混乱は更に大きかったはずで、タイミングとして丁度良かったのだろうと思います。
1) ところでどうなるか
国交省東京空港整備事務所のWeb(ホームページはここ)を見ると羽田の平成15年度離発着回数は300.1千回になっており、完成により増加可能なのは11万便である。(1時間あたりでは、現在の最大29便を41便に増加させることができる。)一方、成田空港は、成田国際空港株式会社の有価証券報告書によれば、2008年度は離発着回数191,331回でした。
現実には、新規あるいは増発の羽田乗り入れ希望国内便もあり、成田に乗り入れたがっている外国の航空会社もあると理解する。
どのように振り分けるかですが、単純なのは、滑走路により区分することです。羽田はA滑走路3,000m、B滑走路2,500m、C滑走路3,000mと工事中のD2,500mの4本であり、成田はA滑走路4,000mと延長工事中のB滑走路2,500mです。3,000mの滑走路で、離陸できる飛行機とできない飛行機と、区別されるかどうかですが、このJLのWebを見てください。これだとB747の離陸滑走距離が3,250mになっています。但し、少し古いので、このNHのWebを見てください。B777の離陸滑走距離が3,580mとなっています。なお、JLもB777を保有しています。ここには離陸滑走距離が書かれていませんでしたが、離陸に関する性能は同じと考えてください。
ところで、B747やB777の場合に、3,000mはダメで、3,500mや4,000mの滑走路が必要かというと、3,580mの滑走距離になるのは、例えばロンドンやニューヨークに飛ぶ時で、シンガポール程度なら燃料積み込み量が55トン程度少なくて済み、機体が軽くなるので、滑走距離は2,500mでも大丈夫となります。従い、滑走路が3,000mあれば、アジアには大丈夫で、オーストラリアやインドも大丈夫と思います。米国西海岸あたりだとは微妙ではないかと思います。
飛行機の性能が関係するので、政治的に変えようとしても変わらない部分です。
2) 羽田と成田
羽田に、それほど多くの国際線が移るかというと、羽田の国際線ターミナルはそれほど大きくはなく、余り多くは移らない気がします。現在の最大の不便さは、羽田と成田の間の移動です。ところで、同じように2010年度完成を目指して成田新高速鉄道が工事中です。(ホームページはここ)最高160km/hで走り、都心と36分で結ぶと言うのです。この都心とは、どこかですが、京成上野又は日暮里です。現在の北総線が空港に延長され、京成が走るのですが、それなら、押上から地下鉄に入れば、京急と連絡され、成田ー羽田が1本の鉄道で乗り換えなしに、高速・短時間で繋げるべきと思います。
成田は、国内線がほとんどなく、地方と外国の間は羽田と成田を使うと、とても不便です。羽田・成田高速鉄道を実現するのが良いと思います。
3) 千葉県問題
千葉県知事や成田市長は、おさまりません。対立は、良くないのです。それでなくとも、成田問題こそ、対立の歴史であったのですから。羽田と千葉県は無縁ではありません。羽田空港に着陸する際に、否が応でも千葉県の上空を3000ftから6000ftで飛ばざるを得ないことが多いのです。深夜便は、東京湾沿いになんとか、海の上を飛んで着陸する計画ですが、風向きの都合で、千葉県上空に入らざるを得ないかも知れない。
対立する必要もないので、話をすれば解決すると思います。
4) 関空問題
関空は、A滑走路3,500mとB滑走路4,000mですから、実はハブ空港として日本で最も好都合な空港です。この滑走路を生かせるかどうかは、関空の経営力なのでしょう。
どうすればよいか。簡単です、日本唯一の東アジアのハブ空港として売り出すのです。その為には、大阪空港(伊丹)を閉鎖して、関空に人が集まるようにする。大阪空港が、存続している理由は、エゴでしかなく、もし存続するなら大阪府に税金の負担を願う。なお、関空の2008年度の離発着回数128千回でした。
どちらにせよ、大阪府が経営をすればよいのであり、前原さんが突き放したのも正しかったのかと思います。大阪府が関空をハブ空港として経営できるか、府税を投入し続けるか、興味があります。
5) 地方空港のハブ選び
地方空港は、インチョンをハブ空港として考えるべきとの気がします。インチョン空港は3,750mが2本と4000mの合計3本の滑走路を持っています。富士山静岡空港も、インチョンに1日2便ですから。それに、富士山静岡空港は、新幹線の線路の上にありますから、静岡県が新幹線駅を建設し、JR東海に「こだま」を止めてもらったら、新幹線と空港とその先のハブ空港に繋がります。現実に財務的に成り立つかどうか検討が必要ですが、地方空港は地方空港としての身の振り方を決めて行かざるを得ないと思います。
所詮、政府なんて信頼できないですから。無理筋は、政権が変われば、反故にされると思った方がよいのです。次の地図は、富士山静岡空港が新幹線の上にあることを示しています。
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