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2009年11月28日 (土)

外国為替レートと日本経済

27日の米ドルは一時的に84円82銭までの円高になりました。

日経 11月27日 円続伸、一時84円台 独歩高の様相に

外国為替と日本経済について考えてみます。

1) 本当に円高?

米ドル安の可能性があるわけで、それをチェックするには、他の通貨と併せて見る必要があり、2008年12月1日からの主要通貨の為替レートをグラフにしました。

Forex200911mc

2009年1月頃は、ユーロや英ポンドも安くなったが、2009年5月以降は米ドルのみが安くなった感があります。今度は、新興国通貨も加えて、10通貨を対象に為替レートの推移を見ることとしますが、2008年12月1日を1.0としてグラフを書きました。円との為替レートで現しており、1.0より大きい場合は、その通貨高(円安)としています。

Forex20091110c

10通貨を比較すると、例外的動きがロシア・ルーブルです。一方、最も強い通貨と言えるのが、ブラジル・リアルです。上の2つのグラフからは、円高と言うより、やはり米ドル安と思います。11月になってからは、10通貨比較グラフでも、ほぼ全ての通貨で右下下がりになっているので、円高傾向にはなっています。

10通貨比較グラフでのもう一つの重要なポイントは、米ドルと人民元が重なっていることです。中国当局が、完全に外国為替を米ドルで固定していると考えます。米ドルと人民元のみをグラフにすると次のようになりました。

Usdcny200911

2) 日本経済への影響

今の日本の最大の輸入品原産国は中国であり、中国と米国を合算すると2008年で輸入のうち29%、輸出のうち33%を占めます。次のグラフを見てください。

Import2008

Export2008

米国向けの輸出は、自動車が一番多く、落ち込むでしょうね。中国向け輸出は、人民元が米ドルに固定となっているため、中国からの輸出はあまり変化が起こらないように思います。そうなると、日本から中国向けもそう大きな変化はなく、金額的には増加する可能性さえあると思います。日本の輸出先の2位から7位まで今やアジアですから。成長・発展するアジアに対する輸出は、そう大きく落ち込まないと思います。それだけの活力あるマーケットと思います。

日本経済への影響はむしろ輸入であるように思います。中国品が更に安く入ってきます。消費者は、喜ぶかも知れない。しかし、結果的には、農産物、食料、衣料等が更に安くなる。結果として、農家や地方の産業にボディーブロー的ダメージが行くことを懸念します。今だって、高齢の年金受給者が従事している、あるいは、規模拡大して何とかギリギリで維持している農業が本当に立ちゆかなくなる懸念を持ちます。それが、これから工業製品にも少しずつ広がる可能性もあります。日本製電化製品は、ほとんどなくなったりして。日本は、心臓部品の製造と、新規製品の開発だけになるような気がします。

恐ろしい時代がやってこようとしているのでしょうか?少し前の「上げ潮派」の発想からすれば、中国躍進まっしぐらみたいであり、民主党の農業戸別保証金制度では、財源があっという間になくなるだけで、構造改革は何も進まない可能性もありますから。

そんな日本をどうするのか悩みます。観点を変えて、中国の対米輸出は、金額で日本の対米輸出の2倍以上です。米中の結びつきは、無視できない大きさになっています。日本の、対米オンリーで考えてきたやり方を、アジア・太平洋という大きな地域の中で、日本の役割は何であり、日本はどのような産業を伸ばして行くべきかを考える必要があると思います。

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2009年11月27日 (金)

温室効果ガス排出ゼロの効果

NHKの11月26日首都圏ニュースで、神奈川県が公用車として使っている8台の電気自動車を充電するため、およそ900万円をかけて、充電設備を国内で初めて設置したと報道をしていました。(ニュースの文章は、続きを読むに掲げておきました。)

太陽光で発電して、その電気を充電したバッテリーからの電気で走れば、走行に係わるCO2排出は確かにゼロです。知事は「発電の際にも二酸化炭素を排出しない究極のエコカーのシステムを神奈川から全国に広げていきたい」と話していたとのことです。

でも、それで正しいのか?疑問がわきました。何故なら、太陽光で発電した電気を、県庁の建物の照明として使う。そうすれば、県庁の消費電力が減少し、神奈川県なので、東京電力のどこかの火力発電所の燃料が節約され、CO2も減少するはずです。一方、公用車を東京電力の電気で充電すれば、その電気を作る発電所でCO2が発生します。即ち、プラス・マイナス=ゼロのはずです。

もっと厳密に言えば、太陽光は昼間なので、昼間の時間帯における電力会社の発電は火力発電の割合が大きく、もし夜間に充電するとすれば、原子力発電の割合が大きい。従い、こんな変なことをせずに、太陽光を電力会社に販売し、夜間電力で充電する方が、日本全体のCO2削減には貢献します。松沢知事も、そこまでは考えずに、発言しています。

電力会社との電力売買は、販売と購入で、それぞれ単価は幾らが良いのか、時間帯、季節により変化させるのか等の制度上の課題は多くあります。例えば、晴天時は他の太陽光も同じように発電するが、曇りや降雨時には太陽光から電気が来ないため、電力会社は太陽光発電がなくても、供給できる設備を保有する必要がある。太陽光のための、二重設備も必要であり、課題は多い。このあたりを解決しようとするのが、スマート・グリッドですが、どうなるでしょうかね。イメージとしては、各家庭に電子メーターが設置され、刻々と管理会社(あるいは電力会社)にデータが送られ、例えば毎分単価が違う。晴れれば、太陽光の発電が多くなり、単価が下がる。車には、単価が安い時に充電をして、高い時には、余裕があれば、逆に電力系統に電気を送り、利益を得る。売りすぎると、翌日バッテリーに電気があまりなかったりして。

スマート・グリッドに熱心なのは、(機器を売り込みたいメーカーがいるのは)米国と了解します。このあたり、さすが米国だと私は思います。太陽光の電気が48円で売れるなんて、米国人には賛成できない。公正な市場を最善と考え、「市場原理が働かない構造を作るのは、発展を阻害する。」です。従い、スマート・グリッドのように売り手と買い手が市場の需給で価格が決定されるのが、合理的と考えます。

電気自動車を太陽光で充電する実験をするのは良いのですが、それを究極のエコだと考えるのは、行き過ぎだと思います。スマート・グリッドは、その方向になる可能性はありますが、私もよく評価できていません。

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2009年11月26日 (木)

鳩山政権の温暖化ガス25%削減政策

「新しい日本政府は、温室効果ガスの削減目標として、1990年比で言えば2020年までに25%削減を目指すという非常に高い目標を掲げました。」との鳩山総理の発言は、9月24日第64回国連総会における鳩山総理大臣一般討論演説 であり、その演説全文は、この首相官邸のWeb Pageにあります。

25%削減は1990年比です。1990年の日本の温暖化ガス(GHG)の排出量基準値は1,261百万トンであったので、これを946百万トンにすることを目指すことになります。なお、環境省が発表した2008年度のGHG排出量速報値は1,286百万トンです。

1) 実績

環境省の数字を見ても、1990年以前の数字が見あたりません。そこで、化石燃料である石油製品、LPG、LNG、石炭の消費量から、CO2排出量を計算しました。実は、GHGには、CO2以外にメタンガスやフロンガスその他が含まれます。計算したのは、エネルギー起源のGHG(CO2)になるので、エネルギー起源CO2について、1980年からの実績をグラフにしました。基準となるのは、1990年のエネルギー起源CO2排出量1,059百万トンとその25%減の794百万トンです。

Co2since1980

棒グラフがエネルギー起源のCO2排出量です。赤の線が、1990年の25%減である794百万トンです。1983年が一番少なかったのですが、それでも854百万トンでした。2020年とは、あと10年強ですから、過去に戻るとすると1998年頃の数字になるのでしょうか。

上のグラフで、緑で書いた線が2000年を基準とした実質GDPです。1980年から1983年頃は、GDPは増加(成長)していたが、CO2排出量は減少していたことが分かります。そこで、GDP1円を生み出すのに、何グラムのCO2を排出していたかをグラフに書いてみました。

Co2gdpsince1980_2

省エネが進んだと言えるし、エネルギー多消費型産業からエネルギー小消費型産業に移ったとも言えます。いずれにせよ、今のGDPを実質的に維持するとして、2008年のエネルギー起源CO2排出量1,138百万とを794百万トンにするのですから、30%削減することであり、1.458CO2グラム/GDP円にしなければなりません。上のグラフで見て、1.5を切るのは、相当の努力が必要と思えます。

2) 調査・分析・検討

朝日新聞が次の報道をしていました。

温室ガス25%削減影響、「民主応援する人」で再試算

以前から政府の審議会とやらが沢山あり、その人選は全て政府が行っており、基本的には、与党の政策の影響を受けた報告書が出てきたりしていると感じがあります。それからすると、似たようなものだろうと思います。伊東乾氏は、NB Online 11月25日 オバマ核軍縮ビジネスモデルと原発産業(その1)に、ずばり「政府側の要請で、都合のよい数値を並べる「御用学者」というもののケーススタディーをたくさん目にしてきました。」と書いておられました。

私の要求は、報告書を例え何百ページ、何千ページであれ、全て公開することです。使用した手法、データ、数式等がないと議論にならず、フィードバックも不可能です。

3) 環境省の地球温暖化対策税の家計負担

私は、11月22日の環境税(地球温暖化対策税)で、1世帯あたりの税負担は年間2万円程度と書いたのですが、環境省は1,127円と計算しています。余りにも、差が大きいのです。

環境省の計算は、車を保有し、ガソリン代に含まれるガソリン暫定税が節約できると計算しています。私の計算は、1兆6選700億円の税を徴収するのであるから、1人あたりにすると1万3千円強となります。4人家族であれば、5万円の負担です。企業の負担に一旦はなる部分があるので、直ちに家計の支出に響いてはこないかも知れません。しかし、いずれは製品や商品の販売価格の上昇になるのであり、巡り巡って家計負担にも影響が出てきます。

環境省は、1,127円の計算根拠を示していたので、この計算は誤っていると思いました。一方、税が有効に使われて、生活が良くなることも期待できるので、税の全額が負担となるわけではありません。それからすると、ガソリン大量消費者に恩恵が行く変な税改定案であることには間違いはないと思います。

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2009年11月22日 (日)

現在の日本に最も必要なこと

「現在の日本に最も必要なこと」は、何でしょうか?次の日経の記事を読んだ時に、教育ではと思いました。

日経 11月22日 製造業の投資、新興国シフト 09年、欧米向け逆転も

直ぐ頭に浮かぶのは、日本の失業率の増加です。しかし、よく考えると、新興国シフトにより、企業自身が生き延びることができている。シフトをする力も持っていなければ、その企業はジリ貧となり、売上の落ち込みが始まり、存続できなくなる。グローバル時代の生存競争で勝ち残るのは、適材適所を地球(グローブ)上で、することが勝者になる道である。もし、シフトにより日本での雇用が減少するなら、新たな雇用を生み出す産業が興るのが本筋である。(それさえできないほどの人材不足に陥ると、すごいことになる気がする。)

企業にとって、何に投資をするかは、非常に重要で、選択の幅は幾らでも広がる。投資とは、新規事業の内容やその規模により必要とする設備を、地球上のどこにするかの選択が含まれている。選択肢が多い分、検討事項も、指数関数で増加する。高度成長時代は、日本のどこに工場を建設するかのみで、今と比較すると単純であったはず。

シフトは、製造部門に止まらないと思う。今や、アジアの金融市場規模は、シンガポールや香港の方が、東京より大きい。製造業で、製造部門が新興国に移り、設計部門や研究開発部門が日本という姿も、これから変わる可能性がある。設計・研究が工場と近い距離にあることのメリットで移転するだけでなく、優秀な人材が集めやすい場所が、日本でなくなったなら、日本の魅力は大きく消滅してしまうように思える。観光立国で国民が生活できる程の収入を確保できるとは、思えない。

日本の人材教育を考えた場合、終身雇用時代は企業が新人をOJTなりで、教育して、優秀な人材を育て上げた。今は、大学3年生から就活が始まり、中途半端な人材しか育て上げることができていない懸念を持つ。社会人と大学を行ったり来たりして、研究が自由にできる環境を作るべきであると思う。究極の教育は、研究であると思う。研究することにより、疑問が生まれ、その疑問を解決しようとして、多くの努力をし、多くのことを学ぶことができる。今の学生は、そんな経験ができていない。できるチャンスもなく、下手をすれば、フリーターで、研究生活なんて縁遠くなってしまう。

日本の政治は、不況対策と言ってバラマキをするだけで、日本の将来の発展のための必要な政策を立案・実施できていない。少子化対策、高校教育支援があって良いのだが、それら以外に、世界で競争ができる人材を多く育てることの重要性を感じる。国立大学が何故独立行政法人になる必要性があったのか不思議に思える。(予算を削るためと思えるから)

日本の現在の停滞は、高度成長期の時代に日本が置かれていた環境と現在がまるで違っているのに、高度成長期の連続のようなことをしているから生じていると思う。社会構造や人々の精神構造にまで関係する部分もあると思うから、そう簡単ではない。しかし、ミクロ的に考えれば、この変化に対応して、真に優秀な人材を持った企業が、こらからの勝ち組企業になると思う。

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環境税(地球温暖化対策税)

次のニュースがあり、環境税については、その少し前の11日のニュースを掲げます。

日経 11月21日 国家戦略室、暫定税率見直しで協議 環境税も検討に着手

日経 9月11日 環境税導入なら年1121円負担増 環境省案で家計試算

環境省の税制案は、次のWebからダウンロードできます。(平成22年度税制改正となっている方です。)

環境省の環境税の具体案

平成22年度税制改正には、地球温暖化対策税のみが書いてあり、実質は二酸化炭素税(CO2Tax)です。

1) 環境税の税率

環境省の税案の1ページ目に書いてあり、次が税率です。

1

なお、石炭は炭種により熱量が大きく変動するのですが、25.8MJ/kgは6500kCal/kgに相当する熱量が高い高品質の石炭です。

2) ガソリン税暫定税率

ガソリン及び軽油の税率と私の計算した税額は次の通りです。

200911_2

ガソリン税と軽油取引税を合計すると、4兆円を超える金額となり、暫定税率がその半分の2兆円ですから、暫定税率をなくすと影響が非常に大きいことが分かります。なお、上の日経の記事は、「暫定税率を廃止すれば、年間約2兆5000億円の税収減」としていますが、その理由は、自動車重量税が1兆7000億円あり、このなかに暫定税率による税額が約5000億円含まれているからです。

いずれにせよ2兆5千億円は、平成21年度当初予算の税収46兆円と比べて、その5%以上になる巨額です。この税収がなくなるとどうなるかと言えば、将来の世代に負担を押しつけることとなります。

3) 環境税導入とガソリン暫定税の廃止

ガソリンの地方揮発油税は地方自治体の財源になるので、揮発油税のみを考えると17,320円の増税と24,300円の税廃止であるから、6,980円税が少なくなる。但し、原油段階の環境税が適用されるから、総合では税引き下げ額5,916円である。政府財政の観点では、57百万kl相当の3372億円税収が減少することとなる。

環境税は、石油化学の原料となるナフサ、製鉄用に使用する石炭、セメント焼成に使用する石炭、漁船用と農業用のA重油を除いて、全ての化石燃料に課税されることとなる。その結果は、次の表の通り。

200911a

約1兆円の地球温暖化対策税を徴収して、ガソリンに3300億円補助する。結果としては、6700億円の増税であり、輸入時とガソリン出荷時に課せられる間接税であることから物価が上昇し、国民負担が増加する。

4) 国民負担額

6700億円が輸出品に転嫁される部分もあり全額が国民負担となるわけではない。しかし、車に乗らない人にとっては、実はガソリンへの補助金3300億円も負担するのであるから、一人あたり年間6,000円、一世帯あたり2万円というような額の負担になると思う。

家計支出の直接的な部分のみを考えると;

A) 灯油: 18リットルで50円値上がり。従い、年間700円以上と思う。

B) 電気料金: 1kWhあたり40銭程度の値上がり。従い、年間4,000kWh消費している家庭で1,600円。

C) ガス: 1m3あたり1.32円程度の値上がり。従い、年間500m3消費している家庭で660円程度。

以上合計で、2,960円。鉄、プラスチック、セメントが値上がりしなくとも、それ以外は全て税負担増となるのであり、例えば電力を1kWhにつき10円で購入している大工場があるとすれば、電力コストは4%上昇する。当然、製品に波及すると考えるべき。

増税となっても、税が有効に使われ、低炭素社会に向かうのであればよいが、実際にはガソリンの値下げに使われ、しかもCO2増加に向かう。せめて、ガソリンに対する地球温暖化対策税を暫定税率と同じ24,300円とするか、あるいはヨーロッパ諸国に少しでも近づけるべく例えば30,000円とすれば、どうだろうかと思う。

エコカー減税をしても、その財源は国民全員が負担しているのである。本来であれば、燃費の悪い車に負担をさせるべきである。その方法は、ガソリン税の税率を上げることにある。

5) 石油石炭税のナフサ免税

石油石炭税のナフサに対する免税(租税特別措置法90の4)と税還付(租税特別措置法90の5)の適用期限が2010年3月31日までです。ガソリンは、租税特別措置法で特別扱いしているので、本来の姿に戻すとして25,100円/kl税金を低くなり、同じ思想で本来の姿に戻すなら、ナフサからも2,410円/klの石油石炭税の免税・税還付を中止することとなります。それに対して、石油化学工業各社は、当然引き続きの免税・税還付適用を求めています。

毎日 11月20日 石油化学工業協会:ナフサ非課税継続求め緊急決議

石油化学工業協会 2009年11月19日 緊急決議

2008年は国産と輸入合計で約4,400万Klのナフサを原料としているので、約1,000億円の免税・税還付額です。環境税で免税とし、一方で租税特別措置の撤廃を唱えているから変な現象が生じるかも知れないという笑い話です。

それにしても、石油石炭税とは変な税金なのです。税率からしても原油・石油製品2,410円/kl、ガス1,810/トン、石炭700/トンですから。地球温暖化対策税に統一して合理化すべきです。

税を大きくいじろうとすると種々問題は出てくるのですが、政権のためではない、国民のための税制を作って欲しいと思います。

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2009年11月21日 (土)

事業仕分けの評価

事業仕分けについて、様々な人が色々なことを言っており、その評価について、混乱を招きかねず、私の現在思っていることを書いてみます。

1) 情報公開・情報開示

11月11日の事業仕分けへのお誘いに書き、11月12日の事業仕分け見学報告で私が感じたことを書きましたが、公開されていなかった議論が、一般の人に公開されたことは、有意義であると考えます。

従来のような結論のみの発表では意味がなく、賛否両論を聞くことができ、それぞれの背景に関する情報も得られる。結果、我々も判断が可能となる。行政刷新会議事務局のホームページ資料集から、資料のダウンロードができます。ワーキンググループライブ中継サイトもあるので、インターネット中継を見ることもできます。

ネットの時代であり、政府の公開すべき会議は、このように公開されることが、望ましいと思います。

2) ワーキンググループは結論を出していない

マスコミでは、ワーキンググループの結論と伝えられているが、資料集における表現は「評価コメント」となっています。従い、評価コメントを受けて、要求元である府省が、それに対する反論をすべきと考えます。当然、反論も公開されるべきです。

「専門家でない人達が誤った判断をしている可能性がある。」との批判を耳にします。その可能性はあり得る。しかし、そうであれば、データーを示し、反論する義務が要求元の府省にあります。公務員は誰の為に働くかです。役人として、正しいことを伝えるのは当然の義務です。

結果を受けて、結論を出すのは、国民です。自らの意見を主張すべきと思うし、最終的には与党の意見が一番反映されるのでしょうが、それが間違っていると思えば、次の選挙で正しい人を選ぶことと思います。

3) 例として農道整備事業

項目は11月11日第1会場の4番目です。資料は午後の部(1)と(2)にまたがっています。内容は、都道府県に対する国庫補助率50%の農道整備補助金であり、地域の農業振興計画のもとに支出され、平成22年度概算要求額168.7億円です。

資料やワーキンググループのコメントも参考にして私の意見を述べると次の通りです。

A) 農業振興政策
農業に対して政府が必要な援助をすることに賛成します。その項目には、農道整備以外に用排水施設整備、防災保全等もあり、農業政策という大きな単位で考えないと、個々の予算で議論をすると誤る恐れがある。農水省は、全体の説明をすべきである。都道府県に委ねる部分も多いと思うが、その方針と現状についても説明すべきである。

B) 地方道計画との整合性
資料によれば、平成元年度から平成18年度までに完成した国庫補助支出農道のうち57.2%(広域農道については63.5%)が一般の市町村道に転換されています。それじゃ、初めから市町村道として建設し、維持すべき道路の方が多く、国庫補助金でも国交省から出すべきが農水省から支出されているという管理不可能状態になっていると考えられます。

C) 効果算定
資料に会計検査院指摘の事業効果算定不適切や調査不十分な事業計画が書かれている。農水省の説明は、私には、博報堂や電通の説明みたいに絵や写真があり、数字なしのごまかしに思えます。役人は、数字に基づく計画や評価をすべきです。実施後計画通りになっていなくとも、結果報告もすべきです。国民の税金を支出する以上は、正しい報告をして、その結果による国民の意見も反映すべきです。

D) 結論
上のようなことがあり、ワーキンググループとして単純には承認できなかったはずです。結論は廃止ですが、コメントには「一般道と一緒に自治体に委ねるべき。」ともあり、根本から出直すのが正しいと思います。勿論、それで、平成21年度において支障が出ないかどうかについて、農水省は検討を行い、支障を生じてはならず平成21年度についての暫定措置が提案されても当然と思います。

4) マスコミ報道

マスコミ報道は、騒ぎ立てているのみに思えます。公開魔女狩りだとの批判を言う人の言葉を報道しても良いのですが、ワーキンググループとして参加された方々のコメントも正確に伝える必要があります。

11月21日8:30からの NHK週刊ニュースは、岡山県玉野市で学校の前の橋が農道であり、農道補助金予算が削られると学校が困ると報道していました。これって、徹底的におかしい気がします。農地でないのに、何故農業補助金で整備するのか?今でも、何故農道なのか?NHKとは、本質を掘り下げられない人達ばかりなのだと思いました。

その次に9:00から 経済ワイドビジョンeというのがありました。こちらは、仕分け人として参加された方の出演もあり、少しはましでした。しかし、山口県の例として建設中の農道工事が中断され、その結果、国道の予備道路としての機能を果たせず困ると報道していました。国道の予備道路であれば、農道ではなく、地方道というのが私の整理です。

予算があれば、その予算名目での使い道を考える。金に色はついていない。「誤魔化した者勝ち」 が、まかり通っていた部分がある。それをワーキンググループが指摘したと思います。そのことを認識すべきです。もしかしたら、NHKも実は婉曲的方法で玉野の農道と山口県の農道について報道したのかも知れませんね。

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デフレ対策として最低賃金アップ

この人の言うことは、好きになれないようです。(同じようなことを他の人も口にしていることが報道されていますが。)

日経 11月20日 菅副総理、デフレ脱却へ日銀に協力要請

1) 政府月例経済報告

内閣府の11月の月例経済報告がここにあります。実際にどう書かれているかは、総論の部分を抜き出すと、次の通りです。

(我が国経済の基調判断)
景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
・輸出は、アジア向けを中心に、増加している。生産は、持ち直している。
・企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。設備投資は、下げ止まりつつある。
・企業の業況判断は、依然として厳しい状況にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業ではそのテンポは遅い。
・雇用情勢は、依然として厳しい。
・個人消費は、持ち直しの動きが続いている。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

先行きについては、当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、海外経済の改善などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレや金融資本市場の変動の影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。

(政策の基本的態度)
政府は、家計の支援により、個人消費を拡大するとともに、新たな分野で産業と雇用を生み出し、日本経済を自律的な回復軌道に乗せ、内需を中心とした安定的な経済成長を実現するよう政策運営を行う。また、「緊急雇用対策」を推進するとともに、雇用・環境等について迅速かつ重点的な取組を行い、景気の下支えを図るための経済対策を取りまとめる。日本銀行に対しては、我が国経済が、物価安定の下での持続的成長経路に復帰するため、引き続き政府との緊密な連携の下で、適切かつ機動的な金融政策運営を期待する。

「物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。」であり、妥当な判断と思います。

2) 日銀の11月20日金融政策決定会の結論

日銀の11月20日金融政策決定会の結論は、ここにあります。こちらも違和感なく読めます。結論は、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.1%前後で推移するよう促す。」となっています。

なお、白川総裁が記者会見を行っていますが、内容については東洋経済 11月20日 【日銀総裁会見】政策は現状維持、白川総裁「物価の認識は政府と違わない」が、記事の分量も多いし、冷静に伝えていると思います。

3) 日銀決定に政府は関与すべきではない

日本は、中央銀行が独立している正常な国であって欲しいと思います。意見交換をすることは、問題ないし、情報交換を含め大いにして欲しいと思います。しかし、中央銀行は政府とは独立しており、それを民主党が主張した結果、白川総裁に決まっています。

日銀無担保コールレートを0.1%としていることから、下げても無意味と思うし、国債の買い入れのような禁じ手は、すべきでないと思う。

私からすれば、経済音痴の民主党の議員が変な考えをすると間違いが起きるリスクありと感じます。日銀の政策決定は、日銀に委ねるのが一番です。

4) 最低賃金アップ

民主党のマニフェストには、最低賃金1000円があったはずです。「全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)する。景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000円を目指す。」なんて、書いてあります。

最低賃金アップにより物価が上昇することを目指すべきと考えます。最終消費支出が増加します。結果、消費拡大による経済成長が引き起こされ、経済の好循環が生まれます。緊急経済対策として、最低賃金アップをするのです。

多分、経営者から反対が出るでしょうね。自公政権ではできなかったはずなので、民主政権が実施するのです。経営者の反対論は、人件費を上げると、会社が倒産する、あるいは雇用を維持できず、雇用人数を縮小すると言ったことと思います。しかし、全企業に同じ条件で適用されるので、企業の販売価格を上げることが可能です。

そこで、経営者が更に言うこととして、海外移転が加速されるとのことかも知れません。しかし、もともと日本の最低賃金と海外の労働コストを単純比較することが間違いです。もし、海外移転があるなら、現在の日本の賃金で生じています。むしろ最低賃金に近いような水準での労働は、スーパーのパート労働のように、産業そのものが海外移転できない産業が多いように思います。それからすると、スーパの値下げ競争は減少していくでしょうね。最低賃金アップになり、更に景気もよくなるなら、その方がよいと思います。

なお、正規雇用労働者のような最低賃金が1000円になっても、恩恵を受けない人もいます。しかし、最低賃金低迷や景気悪化によりボーナスや給与は抑えられています。もしかしたら、来年の春闘では、デフレにより賃下げなんてことか経営側から出てこないとも限りません。そう考えると、最低賃金アップは歓迎すべきと思います。

最低賃金アップに関係ない人として、農水産業の人々があります。しかし、見方を変えると、大手スーパーに、力ずくで、価格をあり得ないほど下げさせられ、最低収入に押さえられています。対抗することができなくて困っている現状と思います。それからすると、最低賃金アップを契機に、値上げ交渉できるチャンスと思います。農家も自分の農産物のスーパーでの販売価格を知っています。それが下がっているから、高く売れない。でも、上がれば、自分の販売価格を上げる交渉も可能です。

5) 現在の最低賃金

平成21年度の都道府県別最低賃金を掲げておきます。高い東京都は、安い沖縄県、宮崎県他の1.257倍あり、いきなり1000円で統一は無理と思いますが、10%上げたとして、結構インパクト大きいと思います。民主党は、マニフェストに書いたのですから、景気対策として、最低賃金アップの展望を示し、実行することだと思います。

200911

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2009年11月17日 (火)

八ッ場ダム工事受注企業の自民党支部献金

驚く必要もないのでしょうが、しんぶん赤旗が報じていました。

しんぶん赤旗 11月16日 “八ツ場ダム マネー” 自民還流 小渕 中曽根 佐田氏ら支部に 受注企業が742万円 08年収支報告書

合計で、22社から中曽根弘文氏、山本一太氏、小渕優子氏、佐田玄一郎氏、尾身幸次氏、谷津義男氏他が支部長をしている群馬県の自民党8支部へ年間742万円献金とのことです。22社の企業が八ッ場ダム関連以外の工事も受注しているのでしょうが、スッキリしない部分は感じます。

しんぶん赤旗の記事で、少し前になりますが、驚いたのは次の記事です。

しんぶん赤旗 10月28日 米軍の本音は最新鋭基地 普天間「移設」 元首相側近が証言 “司令官に聞いた”

1990年代当時の首相側近の一人で、政府高官も務めた人物が匿名で話をしたとのことです。次のことが事実であれば、普天間移転・辺野古問題は複雑です。辺野古問題については、当初海上ヘリポート案もあったが、潤うのは本土の造船・鉄鋼関連業で、地元の建設業にメリットがないとのことで消えていったと、森本敏氏がDiamond Online 11月17日 安全保障研究家・森本敏 緊急提言! 「民主党の普天間基地移設見直しは日本の信頼を揺るがしかねない」で述べておられますから、本当に複雑です。

米軍側が、レーダー機能などの最新化を最重点にし、滑走路については、ヘリコプター発着に必要最小限の広さを求めていた、と指摘。固定翼機が離発着可能な滑走路は日本側が求めたものであるとし、建設費をかけることが地元対策につながるからだと説明しました。

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2009年11月15日 (日)

日本航空の事業再生ADR申請

日本航空についてが多いのも気が引けるのですが、次のニュースに関連しては、書かざるを得ないと思いました。

日経 11月13日 日航、最終赤字1312億円 4~9月で最大、つなぎ融資1250億円

記事の最後の「日航は13日付で事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きを申請した。」です。

1) 日本航空の発表

日本航空は、プレスリリースをしていませんが、13日に発表した有価証券報告書の継続企業の前提についてが、次でした。

【継続企業の前提に関する事項】
当社グル-プは、前連結会計年度において50,884百万円の営業損失を計上しており、当第2四半期連結累計期間においても売上高の減少により95,793百万円の営業損失の計上及び借入金の返済条項の履行の困難性が存在している。当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。
 ・・・当社は、当該状況を解消すべく、平成21年11月13日に、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法所定の特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)を申請し、関係金融機関等に対して支援を要請し、事業再生計画案を提示している。当社は、・・・関係各位の皆様のご理解を得て、収益の改善を図りたいと考えている。
 <省略>

2) 今後の見通し

私は、甘すぎるのかも知れませんが、次の日経の記事は、アメリカン又はデルタから増資を受けて再建する案を西松遥社長が述べたと伝えていますが、それが一番良いのではと思います。何故なら、国内線の過去のしがらみを切れるチャンスと思うからです。この際、外圧を使うなら、それでも良い。合理的な経営こそが求められているのですから。2009年9月12日のデルタの日本航空への出資に書いたように、航空法の外資規制により外資は最大33.33%までです。

日経 11月14日 日航社長「アメリカンが自然」 米航空との提携、年内に結論

3) 再建策の反省

過去を振り返って、最悪はチーム前原であるというのが、私の考えです。カネボウ再生と日本航空再建は全く異なります。カネボウは、資産(例えば各事業毎)の切り売りが可能でした。しかし、日本航空は、ほとんどが航空輸送事業であり、切り売りするのではなく、スケールメリットを生かして競争に勝ち抜かねばならない事業なのです。LCCなら、規模が小さくてもチャンスはあるが、定期便運行会社は、スケールメリットを生かすことが重要であると考えます。

チーム前原の報告書は公開されていないと了解しますが、結論は融資銀行に一部債権放棄を求めたと報道により理解します。銀行にしてみれば、資本が先に犠牲になるべきであり、それが本筋です。報告書を読んでいないので、間違っているかも知れないが、変な結論を出したと思っています。

逆に、チーム前原が、変な結論を出したから、政府介入に道を更に開いてしまった。民主党は、自分たちに企業経営の知識や能力もないのに、何かできると誤解をしてしまったと思う。このあたり、まさかとは思うが、利権構造を維持したい人達が、政府介入をさせようと動いていたとしたら、根が深い問題があると思う。

4) 再建の可能性

継続企業の前提に関する記述や事業再生ADR申請は、企業の信用力にとってマイナスです。しかも、政府介入で、信用力が更に落ちたと言えます。しかし、私は、再建可能と思います。

今回の1312億円の赤字は、恐れるべきではないと思います。1312億円の赤字の最大の原因は、営業収入の減少です。従い、営業収入が戻れば、黒字になるはずです。そこで、全日空と比較します。(情報源は、両社の決算説明会資料です。)

Jalana200911

収入の減少率に、それほど大きな差がないことが分かります。日本航空は国際線の収入が全日空の2倍以上あるため、同じ率の減少でも、金額にすれば大きくなる。むしろ、日本航空は、収入減2748億円に対して、事業費・一般管理費等のコスト削減は1526億円であり、全日空は収入減1268億円に対してコスト削減499億円です。対比すると、次のようになります。

Jalana200911c

固定費が大きいことから、収入が減少してもコスト減少は変動費のみとなるので、減少幅はそれほど大きくはならない。次のグラフは、日本航空の決算説明会資料に次のグラフ(国際線の説明)がありますが、日本航空も頑張っています。

Jal200911p

2009年5月・6月が底で、回復しつつあり、9月は座席占有率が80%近くあり、しかもRPKは前年比プラスになっていますから、座席・距離あたりの収入額(円建てと思います)が前年より大きくなったのです。一方、ASKを見ると、座席・距離の総数は、4月-9月の間、連続して昨年より10%程下回っていますから、ダウンサイジングを進めていると了解します。その結果が、コスト削減になっているのかも知れません。

マスコミの報道ほど、悪くないと思います。政府介入でゆさぶられた結果、継続企業の前提に関する注記をせざるを得なくなった。その結果、事業再生ADRを申請せざるを得なくなったとの見解が私の見方です。

5) 企業年金

これにも触れざるを得ないと思うので、書きます。日本航空と従業員・退職者の間のことです。第三者が、よく知らないで、物を言うことは良くないと思います。従い、見守りたいと言うのが私の結論です。

当然、特別立法はしてはなりません。企業年金がマイナス運用となっているのは、現在ごく普通のことです。むしろ、その問題を解決する為の法を考えるべきと思います。くれぐれも、会社が倒産しても、企業年金は労働債権として保護されるなんて考えないことです。確実に保護されるのは、外部の年金基金に積み立てられた部分です。しかし、株価下落により資産が増加するのではなく、減少しているのが現在の状況です。例えば、ここに企業年金連合会の2008年度年金資金運用状況があります。表紙の次の1ページ目に資産残高の推移グラフがあります。平成18年度末に13.2兆円あった資産が20年度末には9.3兆円に減少しています。

企業年金は、議員さんやお役人さんには、少し縁遠いものです。マスコミに扇動されて、日本航空企業年金タタキをするより、大きな観点から、よく考える必要があると思います。国債の大量発行と低金利政策のしわ寄せが、企業年金の資産悪化に繋がっているように感じます。では、どうするか?健全な財政状態に戻すことも重要と思います。

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2009年11月14日 (土)

醜いマスゴミ(その2)

醜いマスゴミをYouTubeで発見しました。これは、すごい!

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2009年11月12日 (木)

妊娠・出産の心得11カ条

LUPOさんが、昨年10月23日に書かれたブログに手を加えて「産科女医からの大切なお願い~妊娠・出産の心得11カ条~」として、無双舎より書籍として出版されます。発売日は11月25日です。

LUPOさんの11月11日のブログで知りました。

LUPOさんの昨年10月23日の「妊娠の心得11か条」はここにありますが、私には暖かい思いが伝わってきます。当時、「妊娠の心得11か条」を読んで、いつか紹介してみたいと思っていましたが、本になってやっと書いています。

LUPOさんって、どんな人かは、この2008年11月24日のJ-CastNewsに写真が出ています。暖かく支えてくれる医師がいて、安心して暮らしていくことができます。

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醜いマスゴミ

直前の「事業仕分け見学報告」では、柔道整復師に関する金額が間違えていたことにつきお詫びします。

「事業仕分け見学報告」では、たまたま眼にしたNHK記者のことを書いたのですが、「マスゴミって本当に醜いですね!」と思います。

1) 市橋容疑者逮捕で加熱したマスゴミ

MSN産経 11月12日 【市橋容疑者逮捕】送検の際の混乱でTBSの男を公務執行妨害で逮捕

公務執行妨害までするのですから、アホもここまでくれば、地に落ちた者です。しかし、TBSに限らず、J-CastNews 11月11日 市橋容疑者東京への「怒号移送」 マスコミ「狂騒曲」の一部始終を読んでも、加熱しまくりです。

アホしかできないマスゴミ稼業でしょうか?

2) みのもんたの朝ズバ!

上に掲げたMSN産経の記事には、”男は「みのもんたの朝ズバッ!」のディレクターとの情報があるという。”と書いてあり、断定されていませんが、「みのもんたの朝ズバッ!」なら、やりかねないと思ってしまします。2007年8月13日にTBS『みのもんたの朝ズバッ!』における不二家不適切報道を書きましたが、つい先日の10月30日にBPOより「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案でTBSに勧告があった直後ですから。

マスゴミのアホは、何も考えることができなくなっている可愛そうな人達でしょうか?なお、BPOの発表はここにあり、委員会決定文はここにあります。次のことが書いてあります。

したがって本件放送には、コメンテーターの発言、放送全体の構成において、『放送倫理基本綱領』における「報道は、事実を客観的かつ・・・公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」との定めに反する放送倫理違反があると言わざるを得ない。

3) マスゴミの隠れ蓑BPO

BPOとは、日本民間放送連盟(民放連)および日本放送協会(NHK)により設置されている団体です。従い、自分たちのことを徹底して悪くは言いません。「割り箸事故・医療裁判判決報道」についても、結論は次ですから。

したがって本件放送においては司会者、コメンテーターらの上記発言が申立人根本医師の名誉を毀損するものではなく、不適切なものになったことについての責任は被申立人の上記2.(1)の放送倫理違反に包摂されると考える。

倫理的な問題に止まり、名誉毀損には至っていないと述べています。マスゴミのアホが作るBPOであります。裁判して、隠れ蓑のBPOをつぶすべきとまで思ってしまいます。

BPOが、一番最近出した見解が11月9日の”「派遣法・登録型導入報道」事案で、テレビ朝日・朝日放送に「構成・表現に関し配慮を求む」見解”です。これは、テレビ朝日の『サンデープロジェクト』2009年2月1日および8日の特集「派遣法誕生」で、「労働者派遣法に登録型を導入するにあたり大きな力を発揮したのは、元労働次官と経済学者の2人である。」と報道したのです。

当然、世の中は、そんな単純ではなく、産業界は派遣労働の条件緩和を強く求めていたし、生産拠点の海外シフトという現象もあり、極めて複雑です。法改正をしたのは、国民が選んだ議員による国会です。法案は、役所が作成したものの、当然法案作成にあたっては、小委員会を含む中央職業安定審議会の審議を開催し、結果を踏まえています。番組を私も見ていないのですが、次のナレーションが入っていたのです。私は正確でなかったと思います。

第1回放送のナレーション
労働省事務次官だった関英夫氏、そして登録型を否定した研究会の座長だった高梨昌教授。実は、この2人こそが登録型を入れた労働者派遣法の成立を主導していたのだった。

第2回放送のナレーション
つまり、関氏は当初から登録型を入れた派遣法を考えていた。それを実現させるため、高梨氏は登録型反対派の意見を取り入れ、いったんは常用雇用型のみの案をまとめさせる。そして最後の段階で登録型を入れ込んだのだ。こうして関氏と高梨氏の協力で、彼らが意図した通り、登録型を含んだ派遣法案が国会に提出された。

BPOの発表はここに、報告書はここにあります。結論は、次です。

以上のような判断を経て当委員会は、本件放送には一部に申立人の社会的評価に影響をもたらす表現が含まれているが、申立人らが公人として労働者派遣法の制定に関わっていた以上、論評を受忍すべき範囲は一般人よりも広く認められるし、そもそも放送内容自体にはその重要な部分において事実に反するところがなく、現在の雇用不安に至る原因を探るという公共性の高い性格を有していることから、名誉毀損などの違法性はないとの見解に至った。従って謝罪・訂正放送の必要は認めない。

放送とは、それほどデタラメで良いのでしょうか?多くの人は、誤解をしてしまう。「公務員はけしからん。悪いのは公務員だ。」なんてムードになってしまいます。批判することは重要です。しかし、批判は公平・公正な観点ですべきです。せめて、お二人の反論ぐらいは、番組の中で流し、正当な放送にすべきであったはずです。(また、BPOは、放送倫理・番組向上機構から放送局擁護機構に名前を変えるべきかな?)

4) 毎日新聞の福島医師名誉毀損問題

マスゴミに関する問題は、幾らでも出てきます。次のMSN産経記事を読んでください。

MSN産経 10月16日 「神の手」医師、毎日新聞を名誉棄損で提訴 「申告漏れない」

当該の毎日の記事は既にWebには存在しないのですが、saihanさんのブログ「マスコミ不信日記」の11月11日のエントリーに新聞記事の画像とsaihanさんのコメントがあります。

マスゴミの浄化をしなくてはならないと思いますが、現状では「類は友を呼ぶ」の状態で、「良貨は悪貨を駆逐する。」とすべく、良いマスコミを育てなければならないと思います。

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事業仕分け見学報告

柔道整復師に関する金額について間違いがあることの指摘を受け、修正しました。
正しくは、「年間927億円」→「約3000億円」であり、「税金から245億円」→「税金から927億円」です。245億円は地方自治体の負担金額でした。結果、税金と地方自治体を合計すると柔道整復師に1172億円が支払われています。

時間を都合して、事業仕分けを、少しだけ覗いてきました。短い時間の見学でしたが、以下報告をいたします。

Photo

1) グランドデザインのない支出は不必要の判断に

配布資料は、行政刷新会議事務局のホームページからたどっていくと、Downloadすることができます。ピックアップされた支出や事業なので当然かも知れませんが、一部の団体が、族議員を利用して、府省庁に要請をして、継続されている事業が、やり玉にあがっています。例えば、農林水産省の農道整備事業。地方道路の基本プランと政府農業支援政策基本構想があって、その上で、農道整備があるはず。あるいは、都道府県に農業振興政策を委ね、都道府県毎の農林関係事業交付金として一括公布とし、各都道府県と総額の交渉をした方が、よっぽでスッキリします。聞き取りにくい部分はありましたが、担当府省の説明は、明確ではありませんでした。

医療費が大変だと言われる中で、医療費総額の増加よりも、伸びているのが、柔道整復師に支払う金額。柔道整復師は医師ではないので、医療行為はできないが、応急手当のように健康保険が認められる場合もある。ところが、実績では国民医療費の0.99%が柔道整復師に支払われており、平成22年度は年間927約3000億円と推定される。このうち、税金から245927億円で、更に国保の市町村負担245億円が加わり、当然健康保険料にも反映されている。制度の問題であり、予算を減額しても、意味がない。MSN産経ニュース 2009年6月22日 療養費不正受給など横行で柔道整復師の処分急増 大阪 のようなトンデモないケースは不正取り締まりの問題であるから別にして、接骨院・整骨院では、X線検査やCTあるいは血液検査等は禁止されており、できないので、医療のカテゴリーに入るのか、医療保険の適用はどうすべきかの見直しは必要と考える。その上で、総額の支出を抑えるのか、必要な医療サービスの確保にあてるのかの問題と思う。

事業仕分けが報道されている3兆円の予算削減にならなくても、各府省が基本構想やグランドデザインを抜きにして要求している予算とその事業については、見直しの方向に向かうのは当然として、各府省が協力して付け焼き刃ではない基本構想・グランドデザインを作っていくよう動くよう、行政刷新会議は頑張って欲しいと思う。

2) 不満

やはりマスコミでした。昔から、TV局等のカメラが乱立するのが気になるが、やむを得ない面があるので仕方ないとします。不満は報道関係者の中でも、記者です。実名を出すこととしますが、NHKという腕章を付けた記者が、同じNHKの記者と長々と声を出しながら話をしているのです。モラル最低のNHKであります。

報道関係者は多く、しかも一般の傍聴者よりよく動き回ります。報道の仕事故やむを得ないと思いますが、モラルだけは持っていて欲しい。会議において、頑張っている枝野氏や蓮舫氏の発言はよく聞き取れるのですが、府省の説明者の言葉は、聞くのが大変なのです。そこを、会議の内容を追いかけているとは思えない報道記者が自分の会社の人間と会議場で打ち合わせをしている。せめて、会議場から外へ出て、自社の打ち合わせをするぐらいのモラルを持ち合わせていないのかと頭に来ました。

料金を払いたくないNHKです。放送法の改正で、強制有料放送を廃止し、一般有料放送にすべきです。カメラマンは黙々と良い絵を撮るために仕事をする人達だと思っていましたが、NHKはカメラマンもそうではないようでした。報道関係者は、腕章をするか胸に氏名票を付けているので、すぐにわかるのですが、この始末でした。

一般の傍聴者の方は、黙って行儀良く聞いておられたので、対照的でした。

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2009年11月11日 (水)

事業仕分けへのお誘い

行政刷新会議の事業仕分けが、11月11日より始まります。

日経 11月9日 事業仕分け、診療報酬など220件447事業 11日から公開協議

事業仕分けのよいのは、公開であり、登録不要で入退室自由。セキュリティチェックのための本人確認用の身分証明書をもって開場に行けばよい。座席数は300名程度なので、立ち見となる可能性や入場制限になることもあり得るがやむを得ないと思います。

事業仕分けに関する内閣府行政刷新会議事務局の案内は、ここにあります。

どうですか、どのようなものか、少し見物に行ってみようかなとの気にもなりますね。場所は、国立印刷局市ヶ谷センターです。

少しは、政府予算と税金が、より身近に感じられるようになるかも知れません。

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2009年11月 5日 (木)

日本航空の問題は経営にあり

日本航空の問題は、解決に向かっているのではなく、悪化が深刻化しているように思えます。

日経 11月5日 日航対策本部、来週に方向性 年金減額は「国民目線で」

読売 11月4日 日航の格付け、2段階引き下げ…S&P

1) 日本航空は営利会社

営利会社と言うと、マイナスのイメージを持つ人がおられるかも知れないが、市場競争による合理的なコストで仕入れを行い、市場競争により合理的な料金でサービスを提供する会社です。競争原理が、制度や技術の革新・改革を生み出し、更に人々や社会・産業を豊かにします。そのような良い循環サイクルを期待します。

しかし、分野によっては、営利事業とせず政府事業が、望ましい分野もあります。例えば、上水道、下水道もそうでしょうし、道路建設もそうでしょう。その点、航空輸送事業は、私は営利事業であるべきと考えます。新機種の航空機が、常にでてきます。必ずしも、新しいのがよいとは断言できません。例えば、ボーイング737なんて、40年も前の1968年にルフトハンザが初めて就航させました。少しずつ改良も加わり、最新機はB737-900ERですが、B737の累計受注は8000機を超えています。その会社に一番適した航空機を就航させることが大事な営業戦略です。その会社の客層、運行している路線、メンテナンス体制、資金調達・・・様々あります。それらを総合して、その会社に一番適した航空機の機種を選定するのです。蛇足ですが、かつて、中国の国内線で、B777に乗ったことがあります。多分、私にとって、その時が初めてのB777であったと思います。当時は、JASが広州に飛ばしていた頃です。中国は、これから、すごい国になるだろうなと、実感したことを覚えています。

日航対策本部のニュースを読むと、営利会社の経営に疎いと思われる政治家が、不必要な手を出して、混乱を拡大しているような気がします。日本郵政も郵貯と簡保について、民営化の視点が必要だと思いますが、日本航空は純粋に営利会社としての経営が必要であり、求められているのは、経営改革を実行できる経営者です。

2) 労務問題

日本航空の重要な資産の一つは、人です。安全運行は、計器が担っているのではなく、計器は補助であり、根本は人です。人がいなくなったら、もぬけの空です。そんな重要な人でありながら、日本航空の経営は、なっていなかったと思います。次のニュースが、そうです。読売と朝日で、内容が少し違い、どちらがより正確か分かりませんので、両方を掲げます。

読売 11月4日 旧JAS系乗務員に不利な扱い…経営統合時
朝日 11月5日 客室乗務員の職級、組合で差別 JALに改善命令

楽しく働ける職場を作ることが、企業の重要な経営事項の一つです。日本航空には、残念ながら、それを感じさせない所があるように思えます。対立状態となった組合との関係を解決するのは、容易ではないでしょうが、話し合って解決に努めないと、どうしようもないはずです。企業年金を切り捨てて、組合問題を解決しないなら、根本問題を解決しないだけではなく、更に傷口を深くする可能性もあると思います。JR尼崎事故ではないが、日勤作業による意欲喪失・不安により事故なんてバカな事態は避けたいし、人材の海外流出も悲しいことです。

労務問題も含め、営利企業の経営者として、解決能力のある人を経営者に就任してもらうことが、現在の日本航空の最優先課題だと思います。

3) 厳しい格付け引き下げ

航空輸送事業は、固定資産の額が大きい、設備産業です。日本航空は、第2四半期の発表を行っていないので、2009年3月期で全日空と比較すると次の通りです。

Jal2009114

参考として、トヨタを右端に掲げましたが、航空輸送会社は売上高に対して固定資産が非常に大きいことが分かります。航空輸送会社にとって、長期資金を低利で調達することが、極めて重要なのです。長期資金を低利で調達するには、高い企業格付けを保有していることが一番です。

S&P2段階引き下げの理由は、現状の混乱のみならず、将来についても暗いと見ている結果と思います。企業格付けについては、現在の経営数字よりも、将来の企業見通しの方が、物をいう世界であるとも言えます。日本航空の経営者には、将来の数字(単なる利益の額のみではありません。)と、その根拠を示せる経営者が必要なのです。

4) 政府援助

政府援助としては、経営の合理化を助けることです。国内不採算路線の減便や、どうしても不採算路線が必要であれば、継続のための補助金でしょう。航空機燃料税というのがあります。1キロリットルにつき26,000円です。軽油取引税が、暫定税率で1キロリットルにつき32,100円です。(暫定をなくすと、15,000円)国際線には、他の国の飛行機会社と競争があるので、非課税ですが、道路を使わない航空機に対して、これ何?です。飛行場に支払う離着陸料は別途払うのです。

航空機燃料税は、全日空も負担しているから、競争原理としては、ブレークイーブンです。しかし、不採算地方空港を支えるために、この税金は使われています。平成21年度の航空機燃料税の税収見込みは予算では、1,052億円です。政府は援助をするのではなく、足を引っ張っている部分があるように思えます。不合理だと感じませんか?日本航空の問題は、解決に向かわせているのではなく、悪化が深刻化する方向に向かわせていないか、原点に戻って考えるべきと思います。

民主党政権は、これまでの自公政権の不合理さを改善しようと選挙民が選んだと思います。ところが、民主党政権は、政権を取ると、不合理を解決するのではなく、さらに拡大する方向に進んでいるように感じます。

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2009年11月 3日 (火)

新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種

本日の朝刊で、新型インフルエンザのワクチン接種について、次の政府広報が掲載されました。

政府広報/厚生労働省 新型インフルエンザ ワクチン接種について

1) 接種回数

「接種回数は、現在2回としていますが、今後、国内データや海外の知見など科学的根拠に基づき、1回にできるか検討します(13歳未満の方は2回です)。結果は速やかにお知らせします。」と書いてあります。

マスコミは一時、1回の接種で効果があることが確認されたので、1回にすることを政府は決定したと報道していたと私は記憶します。いかにも、アホのマスコミ人間が、世の中を狂わせるという見本のように思いました。

この10月31日のロハス・メディカル”新型インフル 「マスコミ報道に憤り。議論続け、逐語で公開を」 森兼氏”に書いてあることが、真実であると思います。私の理解している言葉で言えば、(多分マスコミより正確と思います。)次の様になります。

  • 通常のインフルエンザ ワクチンも製造をせねばならず、どうしてもワクチンの製造数には限界がある。
  • 流行を防ぐには有限数のワクチンを、どの様に接種することが最も有効・効果的であるかの検討が重要である。
  • 多くの意見を聞いて、結論を出す必要がある。日本で、接種も始まっていないのに、結論を出すのは時期尚早である。
  • 現段階では、2回である。しかし、13歳以上については、今後の検討結果により、1回にすることもあり得る。

1回と2回の接種について、例えば1回だと60%の人に有効で、2回だと80%の人に有効であったとした場合、1回を選択して、希望者ほぼ全員が接種を受けられるようにするか、2回で接種を受けられない人が生じるのをやむなしとするか、そのような感じと思うのですが、難しい選択と思います。いずれにせよ、100%にはなりませんし。

2) 費用

1回目3,600円、2回目2,550円と書いてあり、そうすると2回分で6,150円を要します。以外と高いですよね。健康保険で、治療を受けると30%の自己負担で済むのにと思います。もし、大流行すれば、インフルエンザ治療費で健康保険の財政がパンクするなら、意味がないのに。

2回接種の方針が変わらない13歳未満の子供については、全額政府負担か、せめて公共交通料金と同じ50%割引にすべきだと思います。民主党も、補正予算執行停止で捻出した約3兆円は、インフルエンザのワクチン接種に振り向けることをすべきだと思います。

子供2人が政府負担となれば、それだけで12,300円の出費が助かります。

3) インフルエンザ対策

これもこの10月18日のロハス・メディカル”新型インフル 「厚生労働省を信じてはいけない」”によいことが書かれています。全て、当たり前のことですが、最後の「医学的なことの中で一般人でも知っておいた方がよさそうなこと」が、気に入りました。

社会防衛のためには、かかった人は休むということが最も大切。休むことを容認する風土を作る必要がある。自治医大病院では、発熱した者は勤務を認めないことにした。性善説で証明も何も要らない。特別休暇として、解熱から48時間経過するまでは有休も減らない形で休ませる。保育園などが休みになってしまい出勤できない場合も同様の扱いにする。

中間管理職の中には、部下を甘やかしてはならないといったスタイルで仕事をされておられる方がいます。しかし、リスクを考えると、自分の部署の多くの人間に広まる危険性があり、下手をすると社会の多くの人に感染を広げる可能性もある。勿論、中間管理職のみが悪いのではなく、会社のトップが理解して、会社全体で有効なリスク管理をする必要がある。新型インフルエンザ(豚A/H1N1)は、それほど恐ろしいインフルエンザではないようで、2-3日休めば回復するようです。それでも、大流行は避けるようにすべきです。それには、人間的な生活が一番重要ですよね。

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2009年11月 1日 (日)

日本航空への政府介入に反対する

民主党無茶苦茶政権は、庶民の敵でしかないのかなと思います。

日経 10月30日 「日航再建対策本部」を設置 国交相が本部長、年金減額など検討 
日経 10月31日 日航の企業年金減額「特別立法も選択肢」 厚労政務官

1) 恐ろしい懸念

この行き先に何があるかと言えば、将来法律によって、企業年金、共済年金、厚生年金、国民年金が減額されてしまう恐れです。高齢化社会、低金利、減税の先にあるものは、年金支給額の減額です。国会議員を選ぶのは国民ですから、国会議員が法をつくれば、何でもできるという社会は望ましい社会でしょうか?

日本航空の企業年金問題は当事者間で話し合って決めるべきものです。もし、話し合いがつかないなら、会社更生法や民事再生法を使えばよいのです。会社更生法は、会社を更正する法であり、倒産させる法ではありませんから。会社更生法の申請をしても、飛行機は飛ぶのに、倒産させないと啖呵を切って無茶苦茶にする。そんなことが許されてよいのかな?

法では、「XXXの場合は、企業退職給付債務の減額となる。」と言うような条文を入れたら、そんな適用を考える企業が次々と現れるかも知れません。一方、「子会社を含む日本航空の・・・・・」と言うような法をつくれば、企業と個人の間の債権・債務を法が変更することとなり、個人の権利を国家が介入することになり、自由な市場取引を後出しで無理矢理介入する。私にとっては、憲法違反になるような恐ろしい法に思えます。

2) 日本航空の赤字

今は、多くの航空会社が赤字です。全日空はここに第2四半期の決算短信を発表しましたが、税引前損失414億円で、繰延税金資産を積み立てて法人税等を利益として計上し、赤字幅を税引後損失253億円に圧縮しています。

日経 10月14日 日航債務3000億円免除 再生チーム素案、債務超過と判断 なんて報道もありましたが、チーム前原とは何でしょう?私の7月3日のブログに書いたように、2009年3月末時点で日本航空の純資産額は1967億円で、退職給付債務に係わる未認識数理計算上の差異が2561億円あり、これらを合算すれば債務超過です。しかし、新日本が監査をした財務諸表を間違いだと言えるほど私は偉くありません。今でも、新日本を信じています。

退職給付債務8009億円に対して未認識数理計算上の差異2561億円は、確かに大きいのです。しかし、今の世では、多くの企業がそうなっています。ちなみに、トヨタ、ホンダ、日産(2009年3月末)は次の通りです。

日本航空 トヨタ ホンダ 日産
退職給付債務 8009億円 1兆6327億円 1兆4259億円 1兆0871億円
未認識数理計算上の差異 2561億円 4970億円 6438億円 2162億円

純資産額 (トヨタ、ホンダは
その他包括利益を除く)

1967億円 11兆1689億円 5兆3301億円 2兆9260億円

日本航空が8009億円の債務に対して、2561億円の差異ですから、トヨタ、ホンダの比率とほとんど変わりません。純資産額は、参考としての記載で、日本航空に問題なしとは言えないのですが、これ位の会社は多いと思います。トヨタ、ホンダについては、財務諸表が米国基準であるため、私がこれと思う数字にしています。

3) 日本航空の企業年金

企業年金制度は、個別の企業により様々であり、日本航空の企業年金についての詳細は知りませんが、①勤務期間中に労使折半で掛け金を払っていた年金の給付と②退職一時金を有期年金または終身年金として選択した場合の年金給付と聞きます。即ち、退職一時金を受領せずに全額年金とした人にとっては、自分が拠出した掛け金による年金の方が多くなります。

会社にとっては、資金を飛行機の購入に回せるし、従業員にとっては、4%-5%のような利率で確実に運用して年金を受領できる制度であり、日本航空の倒産リスクを無視すれば、年金は賢い選択です。

具体的な金額は、私も分かっていませんが、一方的にJALの企業年金は高すぎるからと叫んで同調するのは、危険な面があることを認識すべきです。

4) マスコミ報道

いつも嫌になるのがマスコミ報道です。どこのマスコミかが、「JALは倒産しても年金債権は労働債権であるから、保護されて優先的に支払われる。特別法で減額しないと、JAL退職者は高額の年金を継続して受領する。」といったような報道をしていた気がします。

企業年金債権も労働債権です。しかし、全額が優先して保護されるとまで言い切れないと思うし、一時金とするか年金とするかの選択をするのであれば、年金でも社内預金と近くなるのではないか。社内預金の場合は、一般債権として扱われてしまう。

多くの担保債権者も存在するはずで、日本航空の年金受領者を特権者であるかのような報道をしてよいのだろうかと思いました。

5) 日本航空の利権

最後まで、経営者のいない会社だったかも知れない。本来は、再建策を作成して、それを実行するのが、経営者であるが、株主でもない政府に振り回されていた。日本航空は1953年の日本航空株式会社法により政府と民間出資の株式会社となり、この法律の1987年廃止まで、政府の影響下にあった。政府イコール官僚とそれを操る自民政治家のスタイルであり、経営者不存在の会社であった。

どこに飛行機を飛ばすかは、会社が決めるのではなく、政府が締結する航空協定の相手国にナショナルフラッグとして飛んでいく。経営者が当事者能力を持っていないから、不合理な労務管理に走り、結果として多数の労働組合が結成される。日本航空は航空機購入のクレジットメモを利用して利益の前倒しをしていたとの報道があったように思います。実は、それ以前には、リベートと称した現金値引きを利益に計上し、飛行機の方は取得原価の減額をせずに計上すると言うような会計処理をしていたと思います。でも、他の会社もやっていたように思いますが。

不採算国内路線を押しつけられ、高い離着陸料を払わされ、政治家達から好きなようにされていますが、極めつけは、旧JASを統合して救済する役目を押しつけられ、日本国内に幾ら多くの不採算飛行場を建設しても、大丈夫なようにさせられたことではと思います。

政治家が巧妙だったと言えるかも知れないし、日本航空経営者が無能力であったと言えるかも知れないし。余りいい気分はしません。でも、民主党が爪を伸ばすとまでは、私も思っていませんでした。

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