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2009年11月27日 (金)

温室効果ガス排出ゼロの効果

NHKの11月26日首都圏ニュースで、神奈川県が公用車として使っている8台の電気自動車を充電するため、およそ900万円をかけて、充電設備を国内で初めて設置したと報道をしていました。(ニュースの文章は、続きを読むに掲げておきました。)

太陽光で発電して、その電気を充電したバッテリーからの電気で走れば、走行に係わるCO2排出は確かにゼロです。知事は「発電の際にも二酸化炭素を排出しない究極のエコカーのシステムを神奈川から全国に広げていきたい」と話していたとのことです。

でも、それで正しいのか?疑問がわきました。何故なら、太陽光で発電した電気を、県庁の建物の照明として使う。そうすれば、県庁の消費電力が減少し、神奈川県なので、東京電力のどこかの火力発電所の燃料が節約され、CO2も減少するはずです。一方、公用車を東京電力の電気で充電すれば、その電気を作る発電所でCO2が発生します。即ち、プラス・マイナス=ゼロのはずです。

もっと厳密に言えば、太陽光は昼間なので、昼間の時間帯における電力会社の発電は火力発電の割合が大きく、もし夜間に充電するとすれば、原子力発電の割合が大きい。従い、こんな変なことをせずに、太陽光を電力会社に販売し、夜間電力で充電する方が、日本全体のCO2削減には貢献します。松沢知事も、そこまでは考えずに、発言しています。

電力会社との電力売買は、販売と購入で、それぞれ単価は幾らが良いのか、時間帯、季節により変化させるのか等の制度上の課題は多くあります。例えば、晴天時は他の太陽光も同じように発電するが、曇りや降雨時には太陽光から電気が来ないため、電力会社は太陽光発電がなくても、供給できる設備を保有する必要がある。太陽光のための、二重設備も必要であり、課題は多い。このあたりを解決しようとするのが、スマート・グリッドですが、どうなるでしょうかね。イメージとしては、各家庭に電子メーターが設置され、刻々と管理会社(あるいは電力会社)にデータが送られ、例えば毎分単価が違う。晴れれば、太陽光の発電が多くなり、単価が下がる。車には、単価が安い時に充電をして、高い時には、余裕があれば、逆に電力系統に電気を送り、利益を得る。売りすぎると、翌日バッテリーに電気があまりなかったりして。

スマート・グリッドに熱心なのは、(機器を売り込みたいメーカーがいるのは)米国と了解します。このあたり、さすが米国だと私は思います。太陽光の電気が48円で売れるなんて、米国人には賛成できない。公正な市場を最善と考え、「市場原理が働かない構造を作るのは、発展を阻害する。」です。従い、スマート・グリッドのように売り手と買い手が市場の需給で価格が決定されるのが、合理的と考えます。

電気自動車を太陽光で充電する実験をするのは良いのですが、それを究極のエコだと考えるのは、行き過ぎだと思います。スマート・グリッドは、その方向になる可能性はありますが、私もよく評価できていません。

太陽光で電気自動車充電 (NHK首都圏ニュース2009年11月26日)

電気自動車を太陽光発電で充電して走らせることで、温室効果ガスの排出をゼロにする新しいシステムが、神奈川県で導入されました。

このシステムは、慶応大学の研究者などでつくるベンチャー企業が開発したもので、神奈川県が公用車として使っている8台の電気自動車を充電するため、およそ900万円をかけて、国内で初めて設置しました。
26日は、装置が設置された県庁の玄関前で、神奈川県の松沢知事やベンチャー企業の関係者らが除幕式を行い、さっそく、公用車の充電を始めました。
この装置は、たたみ10畳分ほどの大きさの太陽電池で発生した電気をリチウムイオン電池に蓄えておくことで、雨の日や夜間でも、電気自動車に充電できるようになっています。
火力発電所などで電気をつくるのとは違い、温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスを排出せず、およそ2時間の充電で、40キロ程度の走行が可能だということです。
松沢知事は「発電の際にも二酸化炭素を排出しない究極のエコカーのシステムを神奈川から全国に広げていきたい」と話していました。

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コメント

太陽電池発電と風力発電電力を有効に活用出来る電力供給ネットワークは、火力発電所は相性がものすごく悪いのです。火力発電所は予想電気需要に退所する為に数時間前にスチームの増減を調整するので、風任せ、天気任せの風力発電と太陽電池発電は不確定要素として、買って捨てられるのです。壮大な無駄です。

ただし原子力発電所と水力発電所の相性の良さとその電力供給ネットワークシステムは、調整が圧倒的に簡単で、風力発電と太陽電池発電も取り込めるのです。

日本の原子力発電は一定量の発電を二四時間続けて安全性を高めているので、夜間電力は、水力発電の発電機を逆回転して上流の水力発電ダムに水を吸い上げ、昼の電力使用ピーク時に対応しています。日本は水に恵まれている水量の大きな国で、今の水力発電を2倍にする水力発電所候補地が在ります。
八ッ場ダムを廃止して一五〇万キロワットの発電原子炉六基を擁した原子力発電所を作り、上流の東電所有の山林渓谷に一億トンクラスの水力発電所を複数作って、温室効果ガス排気量ゼロの発電体制が作れます。

鳩山総理大臣の一九九〇年基準の25%の温室効果ガスの削減って国際会議での国際公約では、非化石燃料体制が必要なのです。
日本って膨大な化石燃料を中東から輸入していますが、鳩山の徹底的な非化石燃料主義では、ドバイ原油マーケットはショックを隠しきれないようですね。

投稿: takubo | 2009年12月 4日 (金) 18時11分

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