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2009年12月31日 (木)

普天間疑惑

こんなタイトルの記事を1年の最後とは、したくなかったのですが、新年に書くともっと嫌になりそうで、書いてしまいます。

次のような記事に関しては、どう思われますか?

日経 1月31日 普天間移設、小沢氏発言で波紋 下地島など活用案

日経 1月31日 普天間問題、外務・防衛の担当者「交代を」 社民・福島氏

多くの案がある中で、現実的な妥協をせざるを得ない所があり、それでも最善をと、尽力されてこられた方が大勢おられると思います。それを、無視して勝手放題に言っているような気がします。何もできないタダ名前があるだけの鳩山首相だから、皆に好き勝手に言われてしまうのでしょうか。

でも、この件に関して、最も注目をしたのは、次のWashington Postの記事です。(もしかして、読むのに登録が必要かも知れません)

Washington Post December 29 U.S. concerned about new Japanese premier Hatoyama

2ページ目に次の文章がありました。

Michael Green, senior director for Asia at the National Security Council during the Bush administration, said the concern is that senior officials in Hatoyama's party with great influence, such as Ichiro Ozawa, want to push Japan toward closer ties with China and less reliance on the United States. That would complicate the U.S. position not just in Japan but in South Korea and elsewhere.

「小沢氏などは、米国よりも中国により接近を図ろうとしている。」との部分です。この見方が正しいかどうかは別にして、米国人の中に、そのような見方をする人達がいて当然だと思います。普天間に関する米国の主張は、12月14日のTVニュースへの不満12月12日の普天間問題に書いたように、、2009年2月17日の在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定を協定の合意の通り、進めることです。

合意に従い進めることと、その上で、可能な修正・変更はあるのか、ないのか議論することです。

私は、自公政権が良かったなんて言いませんが、民社国連立政権も、ひどいものです。小選挙区制を早く廃止しないと、デタラメな国になると思います。その上、マスコミは、声の大きい、権力の強い人達を応援するから、例えば、Washington Postの記事のような、中国論なんかは、絶対に伝えない。

来年も、ブログだからこそ、伝えられる真実を、伝えていきたいと思います。真実とは、言い過ぎです。「マスコミより、少しは、真実に近いこと」に訂正します。来年もよろしくお願いします。

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ニイウスコーの捜査が始まる

年末の31日にアクセスを頂いており、どのページを読んで頂いているのかと調べると

2008年5月14日のニイウスコーの推理

でした。

2年近く前に書いた文章で、恥ずかしくなる面があります。アクセスを頂いているのは、次の記事から、ニイウスコーをWebで検索して来られたのだと思います。

MSN産経 12月31日 680億円粉飾で捜査へ 循環取引 売り上げ水増し

680億円の粉飾とは、巨額です。コンピューター・ソフトであるから、このようなことが可能であったのだと思います。PCやワークステーションを含めコンピューターを使いこなさないと、ビジネスでも他の分野でも成功することが困難です。逆に、使いこなせなかったら、欺されたり、トンデモナイ落とし穴にはまったりすると思います。東証vsみずほ証券も、どちらか一方の側でもコンピューター・ソフトが正常に機能しておれば、あり得ない株式数の売買はなかったものと思います。

参考:
東証プレスリリース 2009/12/14 損害賠償請求訴訟の控訴の見送りについて
日経 12月18日 誤発注訴訟、長期化へ みずほ証券が控訴 

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2009年12月27日 (日)

ガソリン税を払わなくて済む方法(プリウスPHV)

ガソリン暫定税率は名目を変えて、維持することで、12月22日に閣議決定がされました。

日経 12月22日 政府、税制改正大綱を閣議決定 環境税、11年度実施に向け検討

政府の平成22年度予算のポイントでは、4ページのマニフェスト工程表の主要事項についての中に、「燃料課税について、現行の10年間の暫定税率は廃止するが、当分の間、税率水準を維持。」と書いてあります。

ところで、暫定税率なんてことを言わずに、ガソリン税を全額払わない方法の紹介です。

1) トヨタのプリウス プラグインハイブリッド(PHV)

トヨタのプリウス プラグインハイブリッド(PHV)を使えば、良いのです。1回の充電で23.4km走ってくれるので、近距離のみ走り、家庭、事務所、工場等のコンセントから充電して走っている限りは、ガソリン税を支払わなくて済みます。万一、23.4km以上は知る場合は、ガソリン税を払うことになりますが、毎回23.4kmまでは確実に無税で走れるから、税を払わないことが好きな人には、楽しい乗り物です。

勿論、逆を考えれば、税収が減少するわけでして、平成22年度予算案の揮発油税は2兆5760億円あります。これからは、PHVとEVの道路税徴収をめぐる戦いが始まると思います。

将来の燃料税、道路建設費や補修費をどうするかは、高速道路のあり方も含め、検討が必要と思いますが、一つの案は、全道路ETC完備にして、料金徴収することではないかと思います。勿論、今のようなETCではなく、車を止めるバーはなく、道路に埋め込んであり、高速で走っても関知できる。料金徴収だけではなく、渋滞情報に使え、何より無駄な道路かどうか、正確なデータが取れます。今の時代、それぐらいの技術は既に利用可能と思うのです。

2) 評価

プリウス プラグインハイブリッドのプレスリリースがこちらにあります。このデータを使って、シミュレーションをしてみました。なお、私が6月29日に書いたインサイトvsプリウス、そしてi-MiEVとティーダを比較しましたも適宜参照してみてください。

2-1) 燃費経済性

6.57km/kWhとなっています。家庭用の月間300kWh以上は、東京電力の場合、kWhあたり24円13銭です。従い、3.67円/kmとなります。

ガソリンの場合ですが、1リットル126円として、10km/lの燃料消費であれば、12.6円ですから、相当安いと言えます。

ところで、プラグインではないプリウスと比較をすると、JC08モード32.6km/lとなっており、3.86円/kmであり、PHVとの差は4%なので、ほとんど差はありません。逆に、長距離を走ると、実はPHVの方が、燃費が悪くなるはずです。なぜなら、普通のプリウスは、車体重量が1,310kgであるのに対して、PHVが1,490kgと約14%重いのです。当然、燃費は悪くなります。それからすると、近距離が多い場合に、PHVは有利と言えます。(勿論、将来のガソリン価格と電気料金により違ってきます。)

ところで、電気料金24円13銭は、家庭用の場合ですが、おトクなナイト8のような夜間割引料金適用の契約をしており、夜間電力で充電すれば、9.17円/kWhで充電できるので、1.4円/kmと非常に経済的です。大口の電力であれば、9.17円/kWhより安いこともあり得ます。

間違っても、太陽光で充電しないことです。何故なら、太陽光は、48円/kWhで電力会社が買ってくれるのです。もし、この電気で充電したら、7.3円/kmの燃費になってしまいます。太陽光で充電したら、ゼロエミッションで環境には、最高です。しかし、経済的には最低です。

2-2) 環境評価

東京電力は、2008年度のCO2排出原単位を炭素クレジット適用前418g-CO2/kWhと発表しています。これを使って、走行時のCO2排出量を計算すると、63.6g-CO2/kmになります。

トヨタが言う、CO2排出量41g/kmは、真っ赤な嘘であります。

ガソリン1リットル燃焼時のCO2排出量を、2,322g-CO2とします。この数字で、普通のプリウスのJC08モード32.6km/lから計算すると、71.2g-CO2/kmとなり、PHVより12%多いことになります。しかし、この程度であれば、長距離を走る場合は、逆転があり得るかも知れません。

2-3) 価格

2年後に市販を開始するとの、発表であり、議論するのは時期尚早と思います。そこで、紹介だけ。日経BP ECO JAPAN 12月17日 東京都、プラグインハイブリッド車の購入費を補助の中の記事には、「本体価格525万円」と書いてありました。

3) 他社(車)動向

先ずは、三菱i-MiEVです。JC08モードの数字を出していないので、プリウスと同じく10-15モードの85.8%とします。結果は、6.864km/kWhです。プリウスPHVよりも4%-5%程度、燃費が良いことになります。i-MiEVは、車体重量1,100kgで、プリウスPHVより26%軽いですから。i-MiEVは、EVなので、160kmしか走れないものの、プリウスPHVは、ガソリンを補給すれば、長距離を走れますから、その分は、有利です。

次は、GMボルトです。こちらは、6.41km/kWhです。プリウスPHVの6.57km/kWhが勝っています。但し、GMボルトは米EPA基準としており、JC08モードと単純に比較するのは、間違いかも知れません。

日産リーフとも比べるべきですが、こちらはデータがあまりないが、電池容量24kWhで走行距離160km以上と日産は発表しています。プリウスPHVは、電池容量5.2kWhに対して3.56kWhを消費するとしています。同じ比率を日産リーフにあてはめると、9.74km/kWhとなります。そうだとすると、プリウスPHVの6.57km/kWhより、EVとして走行できる距離も長いし、燃費も優れていることになります。実際は、分かりません。来年を待ちましょう。

どちらにせよ、EVやPHVの本当の評価は、長期使用をしないと不明であり、現時点で結論まで出すのは早すぎると思います。言えることは、日産のような「ゼロエミッション」には、嘘つき宣伝があることです。(公正取引委員会は動かなくて良いのかな?)

確かに、太陽光で充電すれば、ゼロエミッションです。でも、そんなこと、誰もしないはずです。だから、嘘つきです。もしかしたら、ゴーンさんがそうするかな?だって、ゼロエミッションと宣伝をしていますから。一人でも、そうしていると、嘘でなくなる。

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2009年12月25日 (金)

鳩山由紀夫首相偽装献金問題

偽装献金問題について、24日午後6時過ぎから、鳩山由紀夫首相の記者会見があり、次のMSN産経のWebにその詳報があります。

MSN産経 12月24日【鳩山会見詳報】(1)偽装献金「本当にまったく承知していなかった」(24日夕)

この問題は、よく考えないといけないような気がしました。このページの詳報には、次の記述があります。

母からの贈与として2002年にさかのぼって申告をして速やかに納税を行ってまいります。贈与税の対象となる資産は、総額で12億6000万円となるということでございますので、納税額は概算でも6億円を超えることになると聞いております。

鳩山由紀夫氏の母から8年間で12.6億円の資金提供があったことを、贈与税の支払いで済ませてよいのかな?払う必要があるのかな?と思いました。母も、政治活動をし、政治献金をすることができるのであり、政治資金規制法による寄附の総額の制限について考えないことにすると、贈与税の話ではないと思う。弟の鳩山邦夫氏にも資金提供していることを理由に、贈与とするのも、何か釈然としない。

ところで、政治資金規制法による寄附の総額の制限(個人:各年2千万円)は、何なのだろうか?選挙権がない、企業、団体に制限をつけるのは、判るものの、個人に制限をつけるべきなのだろうか?

12.6億円を何に使ったのでしょうか?かつて、自民党で派閥の領袖になるには、派閥所属議員に金を渡して、派閥の維持をせねばならず、政治には金がかかるとの話を聞いたことがあります。同じように、仲間にお金を渡さないと政治活動ができないのでしょうか?お金の使い方に関しては、このページの詳報に、五百蔵弁護士の発言として、個人の政治活動1億円、秘書などの給与が6000万円台、残りの政治活動が4千万円で、合計2億円強とあります。

コンサルタント業からすれば、政策研究を行い、その結果を実現するための広報活動が政治活動であるとの気がしますが。従って、コンサルタントやシンクタンクに調査・研究の依頼が増加する。そう、甘くはないかな。

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2009年12月23日 (水)

沖縄返還に関わる核密約文書を読む

故佐藤栄作首相(当時)がサインをした核持ち込みに関する「密約」文書を、次男で元通産相・運輸省・参議院・衆議院議員の佐藤信二氏(77)が保管されておられ、その文書を公表されました。

読売 12月23日 核密約公表「真実残すことが大事」…佐藤元通産相

佐藤信二氏の発言として「文書にはすでに政治的な意味はなく、公表によって現在の日米安保体制が大きな影響を受けることはないと思う。おやじがどう考えたかわからないが、歴史に真実を残すことが大事だと思う。」と読売の記事にありますが、本当にその通りだと思います。真実を残すことは、重要なことです。そこで、私も、自分の考えを書いてみます。

なお、サインされた文書の文面はDaily Yomiuri Online Dec. 23, 2009 Secret N-pact comes to light / Japan-U.S. accord was kept at ex-Prime Minister Sato's homeの記事の下の方にあり、その日本語訳は読売 12月22日 日米首脳「合意議事録」全文和訳にあります。また、このブログの最後の部分に、続きを読むをクリックすると、1969年11月21日の共同声明とともに文書が出てくるようにしました。

1) 有効性

佐藤首相と米ニクソン大統領がサインした本物であり、有効性に疑う余地はないのですが、日米の政府に義務を負わせているのかというと、そうではないと考えます。

文書の1ページ目に、”international obligations assumed by the United States”との言葉があるが、この文書で米国政府の義務が新たに発生しているのではなく、安保条約その他で決まっている義務であり、この文書で拡大も縮小もしていない。”the United States Government will require” とか、”would anticipate ”や”also requires ”が出てくるが、それに対して、どうのこうのは、1ページ目には書かれていません。”with prior consultation with the Government of Japan.”と書いてあることから、米国にとっては面倒くさくも事前協議をしなければならないことを認めたと読むべきなのでしょうか?あるいは、当然のことであり、特に義務が増えたわけではないとも言えます。

問題は、2ページ目の”The Government of Japan, -省略- will meet these requirements without delay when such prior consultation takes place.”という部分ですが、”shall”であれば、義務と私は解釈します。”will”となっており、尽力義務に近いと解釈します。読売の訳文は、「遅滞なくこれらの必要を満たすだろう。」となっています。

”prior consultation with the Government of Japan”ですから、日米政府が事前協議をするのであり、佐藤首相が承認する権限があったのかという点はいかがでしょうか?国会承認は不要でしょうか?緊急事態なら別との議論もありえるでしょうね。しかし、次の首相になっても有効でしょうか?佐藤首相は次の首相に引く継ぐ義務を持っていたでしょうか?自宅に、原本を持って帰ったことからして、私は、佐藤首相自身は、自分個人の義務として扱うつもりであったと考えます。

ニクソン大統領と佐藤首相の個人の間の覚え書きとして有効であるが、政府間の文書としては有効ではない。但し、書かれたことは精神的には引き継がれており、万一本当にそのようなことが生じれば、日本国民は支持するのではないかと思います。但し、「本当に」であり、世界情勢が変われば、全く異なるし、現時点において、そんな事態は全く予想されないと思います。

2) 普天間には核はなかった

Kadena, Naha, Henokoと書いてあり、この3カ所に米軍の核兵器貯蔵施設があったのです。”standby retention”と書いてあり、どこにでも核兵器を簡単に貯蔵するわけにはいかないのだと変な納得をします。そして”activation”ですから、実際に貯蔵するとなると、手入れをして使用可能な状態にしなければならないのです。

極めて当たり前の話ですが、保管するからには、絶対的とも言える安全性で保管し、盗難なんて絶対あってはならない。考えれば、核兵器を保有することは、莫大な経費を要することです。およそ使うことがないとまで言えないかも知れないが、使うことを望まない兵器です。オバマ大統領のプラハ演説も、防衛予算を下げたいと言う理由も、背景にはあると思います。

Nike Hercules(ナイキ・ヘラクレス)ですが、既に旧式であり、今はPatriotに置き換わっていると了解します。地対空ですが、地対地でも使え、核兵器搭載も可能であったようです。必ずしも、一定の場所で使うのではなく、移動して数日で使用開始できたようです。沖縄では、どこに基地があったのか調べていませんが、Nike Hercules用の多分核弾頭も保管されていたのでしょうね。

日米安保条約も60年安保、70年安保の時と今とでは、多くの人の受け止め方が違って来ている気がします。いずれにせよ、日米安保条約の柱の一つは、日本が米国の核の傘の下にいることだと思います。では、核の傘の下にいることは、核兵器の貯蔵庫を提供することに結びつくのか?そうではないでしょうが、完全にNOであるのか、当時の佐藤首相は、great emergency(読売訳文:重大な緊急事態)には、持ち込み可としました。今でも、沖縄に核兵器を貯蔵可能な施設が存在し、維持されているのか不明であり、今の軍事技術で日本や沖縄に核兵器をわざわざ重大な緊急事態と言えども、貯蔵する必要性があるのか、大いなる疑問があると思います。

核兵器が抑止力だとしたならば、原子力潜水艦から核ミサイルを発射できるようにし、発射後潜水艦が潜水すれば、相手は、その潜水艦を攻撃できないから、よっぽど抑止力になると思います。最も、潜水状態でミサイル発射できるでしょうね。陸地だったら、そこを反対攻撃されるから、あまり意味がないような気がします。

米国にBrookings InstitutionというNPOのシンクタンクがあり、そこのWebにBombs in the Backyardというのがあり、日本にある核兵器貯蔵場所として、嘉手納、三沢、横田が書いてあります。

本当は、どうなっているのか、分かっていません。核兵器が使用されない世界をつくる努力が一番重要だと思います。

3) 蛇足

日付が面白いと思いました。文書の表題には1969年11月21日とあり、最後のサインの部分には11月29日とあります。共同宣言には、11月19日,20日および21日にワシントンにおいて会談しと書いてあり、宣言文の日付は最終日である11月21日です。

文書は、3日間の会談の第1日目にサインされたのです。それまでの交渉で、ほとんど固まっていたから、始まったら直ぐにサインして良い状態だったのでしょうね。あるいは、こんな文書のことより、首相と大統領の間で直接会って話をしなければいけない重要事項・懸念事項がたくさんあったのかも知れません。

色々と思い浮かばせてくれる文書であり、歴史の資料は、種々のことを考えさせてくれます。

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2009年12月14日 (月)

TVニュースへの不満

NHKが、今朝「普天間 政府方針を最終調整へ」とのニュースを流していました。その中に、次の表現があり、驚いた次第です。

しかし、アメリカ側は、名護市のキャンプシュワブ沿岸へ移設するとした今の計画が唯一実現可能だとして早期決着を求めており、この問題を放置すれば日米同盟自体に影響が及びかねないという懸念が強まっています。

これは、正しいのでしょうか?

米国側が、キャンプシュワブ沿岸(辺野古)を唯一実現可能だとは、していないはずです。「日米合意した案」が正解です。様々な案がある中で、2006年5月1日の再編実施のための日米のロードマップの合意にいたり、2009年2月17日の在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定を締結し、国会承認を経たことから、その実施を求めています。米国は、予算等の措置も実施しているでしょうし、現実に環境影響評価書を作成しています。即ち、グアム移転に向けて、行動を起こしています。

マスコミに求められていることは、現在普天間に駐留している米国海兵隊の人数は何人であり、8,600人がグアムに移り、またKC130機部隊が岩国に移った後に、何人の海兵隊が沖縄に残り、その海兵隊が必要とする施設は何であるのかを調査し、報道することです。そして、辺野古に1200mのV字型滑走路の飛行場が必要なのか、又辺野古に残る海兵隊の役目は何になるのかです。

普天間も辺野古も日米安全保障条約による米国の施設及び区域を使用であり、第6条は次の文章で始まっています。

日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。

決して一方的に米国が使用できるのではありません。辺野古に駐留する米国海兵隊の規模、人数、役割、機材の説明を日本政府が求めて然るべきであり、マスコミは米国側の取材をして報道するのが本来の役割です。

「放置すれば日米同盟自体に影響を及ぼす。」とは、誰の発言でしょうか?私には、米国が、そんなことを言うはずがないと思います。主権に属することに対して他国が干渉をすることは、許されません。もし、米国政府の誰かが発言をするとすれば、「混乱を招く。」といった表現程度でしょう。

北朝鮮のTVニュースをNHKが、このように伝えていると流していることがあります。もしかしたら、いい勝負かも知れないと思いました。

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2009年12月12日 (土)

普天間問題

迷走する米軍普天間基地移設問題ですが、それを代表するのが、次のような記事と思います。

日経 12月11日 普天間巡る日米合意、首相が修正検討

しかし、選択肢は、多くないはずです。書き進めます。

1) 伊波宜野湾市長の説明

伊波宜野湾市長が、11月26日、衆議院第二議員会館において、与党国会議員に対して説明を行ったとのことで、その内容がここにあります。

「沖縄駐留の米国海兵隊の主要な部隊が一体的にグアムへ移転する。普天間飛行場の海兵隊ヘリ部隊も含まれる。」との説明です。

要望は、普天間飛行場の早期解決であり、12月11日に政府宛に提出した要請文がここにあります。次のように書かれています。

新政権におかれましては、辺野古地区へ新たな代替施設の建設に固執することなく、多くの市民・県民が求める県外・国外移設への意思を汲み取り、普天間飛行場問題の解決に向けて沖縄からグアムへの海兵隊移転の検証を通して、普天間飛行場の危険性除去と早期の閉鎖・返還の実現にむけて取り組むことを切望いたします。新政権におかれましては、辺野古地区へ新たな代替施設の建設に固執することなく、多くの市民・県民が求める県外・国外移設への意思を汲み取り、普天間飛行場問題の解決に向けて沖縄からグアムへの海兵隊移転の検証を通して、普天間飛行場の危険性除去と早期の閉鎖・返還の実現にむけて取り組むことを切望いたします。

2) 沖縄駐留の米国海兵隊のグアム移転

11月26日の宜野湾市長説明の最後に、グアム移転に関する環境影響評価書ドラフトが紹介されています。この環境影響評価書は11月21日に発表されたばかりで、ここから全てDownloadできます。環境影響評価書についての最初の公聴会が1月7日Southern High School, Guamで開催され、Guamで4回、Tinianで1回、Saipanで1回の合計6回が1月15日までの間に開催されます。

環境影響評価書を作成したのは、米国国防省Joint Guam Program Officeであり、この組織は、2006年8月25日に作られました。ホームページはここです。

Joint Guam Program Officeの目的は、2005年10月29日で日米間で合意された「同盟:未来のための変革と再編」(U.S.-Japan Alliance:Transformation and Realignment for the Future)に基づく海兵隊グアム移転の実施のためです。2005年10月29日の合意文書は外務省Webのここ仮訳)にあります。

海兵隊のグアム移転とは、他のコンポーネントも含め以下です。

・ 8,600人の海兵隊員とその家族9,000人のグアム移転と、北マリアナTenian島における訓練所の設置

・ 原子力空母のグアム基地建設

・ ミサイル防衛システムの訓練所の設置(600人の隊員と家族900人)

宜野湾市長が言うように、8,600人がグアムに移動することから、沖縄には実質海兵隊は残らないと思います。

3) グアム移転等の詳細を取り決めたロードマップ

日米間で、2006年5月1日に「再編実施のための日米のロードマップ」(United States-Japan Roadmap for Realignment Implementation)が調印されています。文書は、ここ仮訳)にあります。

8,600人の海兵隊員とその家族9,000人のグアム移転については、次のように書いてあります。

約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する。移転する部隊は、第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部を含む。

「第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部」がグアムに移転することから、辺野古に残る部隊は、何なの?と思います。

2014年までに海兵隊のほとんどが沖縄からグアムに移転することが、3年以上前に決まっていると思います。

政府は、説明すべきです。と同時に、このことをほとんど報道しないマスコミも責任があると思います。マスコミ報道は、普天間から辺野古に移転するように伝えていると感じます。真実を報道しないマスコミは悪いと思います。能力がないことは、理由にならない。「再編実施のための日米のロードマップ」は、密約ではありません。正式な合意文書として、外務省と防衛省が発表している文書です。

4) 在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定

もう一つ重要な日米協定があります。2009年2月17日付けの「在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定」です。日本文も正文であり、外務省Webのここにあります。正式な名称は「第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」です。

注目点は、以下のような部分です。

・ 「再編実施のための日米のロードマップ」の再確認

・ 第三海兵機動展開部隊の要員約8000人及びその家族約9000人の2014年までの沖縄からグアムへの移転および嘉手納飛行場以南の施設及び区域の統合並びに土地の返還

・ KC130機部隊の沖縄から岩国飛行場へ移駐

・ 費用見積額102億7千万ドルのうち60億9千万ドルを日本政府が負担する。

・ ロードマップは、その全体が一括の再編案と想定する。(英文では、Recallingとなっています。)

そして、最も着目すべきは、次の9条2項と考えます。即ち、代替施設の完成と書いてあるが、ロードマップに記載されているのは辺野古V字型1600m滑走路2本の案です。

第二条に規定する合衆国の措置は、(1) 移転のための資金が利用可能であること、(2) ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府による具体的な進展があること及び(3) ロードマップに記載された日本国の資金面での貢献があることを条件とする。

この協定は、国会承認の後の公文の交換により効力を生じる(11条)となっています。5月13日に国会承認がなされ(5月11日外務省発表)、7月11日に公文が交換されました。(外務省発表7月11日)(交換公文はここ

但し、複雑なのは、ねじれ国会であったため、5月11日の参議院で承認されず、同日の両院協議会で意見の一致はなく、結果として衆議院の議決が国会の議決となったのです。

5) 今後

米国と行った公文の交換は有効です。これを無視すれば、逆に米国が無視した時に、何も言えず、世界の中での日本の信頼性も失うし、外交により平和を維持し、発展を計る日本の理念すら通用しなくなるでしょう。7月11日の交換公文は、麻生内閣崩壊直前ですが、米国に対しては、「それを言っちゃあ、おしまいだ。」であります。

自公議員は勿論、民主党、社民党、共産党の議員をも、全て知っているのです。その上で、どうしようというのか?上に掲げた文書を読んでの可能性は、辺野古40m滑走路案で2014年移転を進めることではないかと思います。勿論、米国側が40m滑走路案で受けてくれることが前提ですが、そもそも主力はグアムに移転するし、普通の飛行機は岩国に移転する。沖縄に海兵隊は基本的に残らないはずであり、そもそも、V字型1600m滑走路2本なんて日本が出した提案ですから。40m滑走路案の詳細については、11月17日のエントリーの下の方をコメントを含めて読んでください。

民主党の人達が、40m滑走路案で収めようと、煙幕を張り巡らせているのか、不透明です。

いずれにせよ、重要なことは、2014年ではなく、沖縄の基地の位置づけです。例えば、再編実施のための日米のロードマップには、「キャンプ・ハンセンは、陸上自衛隊の訓練に使用される。」とあり、米軍が出たあと自衛隊は、どのように使うのか?米軍はダメだが、自衛隊はOKなのか?沖縄の基地、防衛、アジアの安全、世界平和について、どのような展望を持つのか議論をする必要があると考えます。遠い、将来は不明でも、5年先-10年先の計画はあって当然であると思います。防衛庁を防衛省にしたのに、防衛計画がないのは、三等国家と思えます。もしかして、存在するのに、国民に伏せているとしたなら、四等国家ではなく、戦前の国民不在の軍部独走となんら変わらないと思います。

民主党さん、やるべきことは、内輪もめではなく、国民に防衛に関する情報を適切に開示することと考えます。

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2009年12月 9日 (水)

川崎協同病院事件医師有罪確定

川崎協同病院事件で殺人罪に問われた須田医師の有罪が、最高裁による上告を棄却を決定したことにより、確定しました。読売の記事と最高裁の決定文を掲げます。

読売 12月9日 延命中止で最高裁が初判断、医師の殺人罪成立

最高裁判所第三小法廷 平成21年12月07日 殺人被告事件 棄却決定

もう一つ、この事件の弁護人である矢澤 しょう治氏が書いた本があります。

殺人罪に問われた医師 川崎協同病院事件 終末期医療と刑事責任

この最高裁の決定に関しては、様々な問題を含んでいるので、書くこととします。

1) 殺人罪

須田医師が検察に起訴されたのは、殺人罪です。業務上過失致死ではないのです。殺意を持っていないにも拘わらず、殺人罪が成立するのでしょうか?検察は医師を殺人者として起訴し、裁判所は殺人罪であるとしました。なお、少し前に無罪となった福島県立大野病院の産婦人科医の容疑は業務上過失致死罪でした。

2) 事件

どのような殺人罪であったのかは、事件を振り返る必要があるので、少し書きます。

死亡したのは、当時58歳男性(1940年生)の型枠大工で、1984年に川崎公害病患者に認定され、以来川崎協同病院に通院するようになり、1985年頃から、呼吸器内科医である須田医師の外来に通っていました。

1998年11月2日、仕事帰りの車内で気管支喘息の重責発作を起こし、午後7時頃、心肺停止状態で川崎協同病院に運び込まれた。救命措置により心肺は蘇生したが、意識は戻らず、人工呼吸器が装着されたままICU(集中治療室)に入院。意識は戻りませんでした。

11月4日から外来の時から主治医であった須田医師が治療の指揮を執りました。血圧、心拍等は安定していたが、気道は炎症を起こし、喀痰からは黄色ブドウ球菌、腸球菌が検出されました。家族に対しては、意識の回復は難しく植物状態となる可能性が高いことなどの病状を説明しました。

その後、自発呼吸がみられたため、11月6日、人工呼吸器は離脱されたが、舌根沈下を防止し、痰を吸引するために気管内チューブは残されました。機械で空気を送り込むことはしなくても、気管内チューブは入れたままにしておかなければ、自分では呼吸できない状態でした。

11月16日、男性の妻に「この管を抜いてほしい。」と言われ、須田医師は「管を抜けば呼吸状態が悪くなり最期になりますよ。奥さん一人で決められることではないですよ。家族で来られる人は全員来て下さい。」と言ったところ、「みんなで考えたことです。実は、今日、夜、みんなで集まることになっています。今日お願いします。」と言われた。同日午後5時30分ころ、男性の妻や子、孫らが病室に集まり、午後6時ころ、須田医師は准看護婦と共に病室に入った。家族が集まっていることを確認し、被害者の回復をあきらめた家族からの要請に基づき、男性が死亡することを認識しながら、気道確保のために鼻から気管内に挿入されていたチューブを抜き取るとともに、呼吸確保の措置も採らなかった。

ところが、予期に反して、男性は身体をのけぞらせるなどして苦もん様呼吸を始めたため、須田医師は、鎮静剤のセルシンやドルミカムを静脈注射するなどしたが、これを鎮めることができなかった。そこで、同僚医師に助言を求め、その示唆に基づいて筋弛緩剤であるミオブロックをICUのナースステーションから入手した上、午後7時ころ、静脈注射の方法により投与した。男性の呼吸は、午後7時3分ころに停止し、午後7時11分ころに心臓が停止した。

3) 殺人罪

2)に書いた事件を読んで、皆さんは、殺人罪とすることが適当と思われますか?刑法とは、社会において犯罪を犯す者を罰し、刑事司法とは後始末をつけて、犯罪の発生を防ぐことが重要と思います。

悪徳医師に対しては、殺人罪であろうが、業務上過失致死罪であろうが、適用すべきと考えます。しかし、善意の行為に対して、罪を問うべきではないと考えます。

最高裁の判断は、次でありました。

上記の事実経過によれば,被害者が気管支ぜん息の重積発作を起こして入院した後,本件抜管時までに,同人の余命等を判断するために必要とされる脳波等の検査は実施されておらず,発症からいまだ2週間の時点でもあり,その回復可能性や余命について的確な判断を下せる状況にはなかったものと認められる。

そして,被害者は,本件時,こん睡状態にあったものであるところ,本件気管内チューブの抜管は,被害者の回復をあきらめた家族からの要請に基づき行われたものであるが,その要請は上記の状況から認められるとおり被害者の病状等について適切な情報が伝えられた上でされたものではなく,上記抜管行為が被害者の推定的意思に基づくということもできない。以上によれば,上記抜管行為は,法律上許容される治療中止には当たらないというべきである。

そうすると,本件における気管内チューブの抜管行為をミオブロックの投与行為と併せ殺人行為を構成するとした原判断は,正当である

4) 最高裁判断の危険な部分

「余命等を判断するために必要とされる脳波等の検査は実施されておらず・・・その回復可能性や余命について的確な判断を下せる状況にはなかったものと認められる」と書いてあり、人は死ぬことに対して、脳波等の検査が必要なのでしょうか。臓器移植をしない場合は、自然死があり得ると私は考えます。

違った表現をすれば、医師は医療費を湯水のように使い、治療をする義務を負うのではとならないのだろうか。医療保険は、どうなるでしょうか?100%公費負担の生活保護を受けていないと、医療費負担も大変。医師や医療機関は、義務を負うから、これを逃れる方法として、死亡する可能性がある人については、受け入れ拒否(何か理由をつけねばなりませんが)となる可能性はないか?馬鹿げたことを思ってしまいます。

回復する可能性がある限りは、治療をすべきです。しかし、医療の進歩は、極限を伸ばしていきました。回復の見込みがない場合、どこまで治療を継続すべきでしょうか?昔なら、「先生に看取ってもらえて、故人も幸せでした。」となるが、今はICUでチューブだらけで、家族からは手も握ってもらえない死しか許されないのでしょうか?

20世紀の時代には、まだQOLとか緩和医療とかの言葉があったが、医師に対して、QOLを言っても、医師が殺人となるなら、医師は患者のQOLなんて考えるより、自分の身の安全を優先せざるを得なくなるのではと危惧します。尊厳死を選択するかどうかは、その個人の自由であり権利であると思います。その権利さえ否定されたのではとの危惧を持ちます。参考までに、矢澤 しょう治氏の本にある米国の状況とした部分にある文章です。(128ページ)

「医師には、痛みと苦しみを除去し、瀕死の患者の尊厳と自己決定権を尊重する義務がある。たとえ死を早めることが予想されるとしても、効果的な疼痛緩和を施すことはこの義務の一部とみなされる。患者が末期症状でも永久的な意識回復不能でもない場合であっても、適切な代行判断や最善の利益についての検討に基づくのであれば、すべての生命維持装置を停止させることは非倫理的ではない。」

5) 家族

家族は殺人罪で起訴されなかったが、どうなのでしょうか?最高裁も家族の要請に基づき行われたと言っています。殺人は、実行犯より、依頼人の方が重罪ではないかと思います。今回の最高裁決定は、医師を保守主義に向かわせるのみならず、家族も常に殺人罪の恐怖に陥れたのかと思います。

この事件の家族について書くと、医療費は公害認定病であったので負担なしでした。それ故、公害認定病患者死亡給付金も1千万円受領できました。実は、この事件は、死亡から約3年を経過病院内でにおいて須田医師と麻酔科のT医師との間で麻酔器の使用を巡る対立が生じ、T医師が、そのときの院長に対し、この男性のカルテのコピーを見せて、須田医師を辞めさせなければコピーをばらまくなどと言って迫ったことから、病院は警察に説明をして、殺人事件に発展していったのです。家族に対して、病院は5千万円支払いました。

6) 筋弛緩剤ミオブロック

須田医師は、筋弛緩剤ミオブロックを死に至らせるために、注射したのでしょうか?男性は家族の見ている目の前のベッドの上で苦しんでいました。筋弛緩剤ミオブロックは、手術の時の筋弛緩に使用するのです。その前に、鎮静剤のセルシンやドルミカムを静脈注射したが、効果がなく苦しみ続けた。須田医師は、長年の人工呼吸療法の経験から、効き目が早く現れる喉頭筋群の筋弛緩作用を期待して点滴でゆっくり落とし始め、自然に上気道の狭窄が軽減したところで止めたと述べています。

医療について、一つのことが、人によっても見方が異なってくるのです。従い、医療に刑法が関わること。グレイな場合には、医師に有利に判断して良いと私は思うのですが。医療機関や医師の選択権は患者にあるのですし、民事の請求権まで放棄する必要はありませんから。

7) 医療崩壊

医療崩壊を加速したと思います。医師と医療機関は安全サイドに治療をせざるを得ず、医療費が増加する。安全サイドになるから、全て書面での確認がなければ、医療を受けられない。あるいは、医師が逃げ出すのでしょうか?

しかし、考え方によれば、現行法の欠陥を指摘した最高裁決定です。これを受けて、医師法の改正や、健康保険制度を根本的に変更することを検討した方がよいように思います。生活保護の医療費無償や後期高齢者制度は、どうなるのかな?かといって、混合診療の拡大のように自己負担を増加させると、治療費が続かないのかな?ただ延命のために、莫大なお金を支出するのみならず、例えば終末期になり、臓器のどこからか出血する。そのため、ほとんど見込みがなくても輸血をする。そのために、若い人に回すべき輸血用血液がなくなる。

医療については、よく考えないと大変なことになります。

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2009年12月 8日 (火)

海軍特殊潜行艇

真珠湾攻撃から68年である。ハワイ時間1941年12月7日午前6時に空母を発進した第1陣航空機が7時前前に真珠湾の米艦隊を爆撃、雷撃した。10時前には攻撃は終了し、米側の損害は沈没・破壊された艦船21隻。破壊・損傷航空機347機。死者2403名にのぼった。

1) NHKスペシャル「真珠湾の謎~悲劇の特殊潜航艇~」

12月 6日(日)午後9:45からのNHKスペシャルで「真珠湾の謎~悲劇の特殊潜航艇~」をやっていた。米WGBHとの国際共同制作で、見ごたえが、あった。

特殊潜行艇とは、ここにWikiがあり、真珠湾攻撃に使われたのは、2人乗り、電気小型潜水艇であります。電気自動車ではないが、直ぐにバッテリーが上がるため、短距離しか走れない。(Wikiから計算すると往復でたった15km)潜水能力100mとあるが、潜水艦に固縛している時の破壊限界水深で、自らは10m-20m程度であったと想像する。当然、計器はコンパス(方位磁石)と深度計(圧力計)のみで、攻撃兵器は魚雷2本。

Wikiの説明に私の想像を膨らませれば、敵艦隊の現れそうな海域で待ち伏せをして、魚雷発射後、直ちに潜水して戦闘が終了するまで隠れるという使い方である。

これを真珠湾攻撃に使ったのは、何故か。想像をたくましくせねばならないが、多分同じ海軍でも潜水艦派閥が自らのプレゼンスをアピールしたかったのだろうと思う。特殊潜行艇は、伊号潜水艦に固縛されてオアフ島に向かう。大型潜水艦が湾内に入ることは危険である。大型潜水艦から特殊潜行艇が切り離されて、湾内に潜行して進入し、目標地点で確認のため少し浮上、直ちに潜水し、自艦の方向を目標艦に定め、魚雷を発射する。距離が近いから、命中する確率が高い。そんなストーリーでは、なかったかと思う。

しかし、実戦では所詮おもちゃレベルである。5隻の特殊潜行艇全てが失敗に終わる。1隻は、一応魚雷2発を駆逐艦に向けて発射するが、珊瑚礁にぶつかり、そこで爆発。

2) 宣伝効果

おもちゃであるが、宣伝効果に優れていた。米は、翌日海岸に打ち上げられた1隻を確保し、戦意高揚と戦費調達の国債キャンペーンに使用した。丁度、トレーラーに積んで、米国の各地を回り、宣伝するのに都合の良い物であった。

日本軍の真珠湾攻撃の一番大きな歴史的波紋は、ドイツの敗戦を早めたことであったと思う。もし、真珠湾攻撃がなかったなら、1941年年末までに米国はドイツに参戦できなかったと思う。すくなくとも、真珠湾攻撃が米国人の感情を沸き立たせ、愛国心を燃え上がらせたことは確かだし、当時の米国指導者は、それに乗っかって、第2次世界大戦に挑んだ。

一方、日本も「九軍神」として、神にしてしまった。2人乗り5隻であるから、計10人であるが、1人は捕虜になったので、日本では抹殺された。戦果なしであるが、戦艦アリゾナを撃沈と報道された。戦艦にはアーマー鋼板があり、魚雷で簡単に沈まないようにつくられている。また、攻撃時には、横に他艦船があり、魚雷攻撃できず、空爆で沈めたのであるが。

しかし、死者を神と言い換える恐ろしさは、愕然とし身の毛がよだつ。多分、学校の先生も、そう教えたのだろうな。理屈も理論も何もない。カルトみたいである。

3) 今の日本

今の日本は、そうでないと言い切れるのだろうか。大きく変わった。しかし、依然として、そんなカルト部分があるように思う。日経 12月8日 環境税に慎重論相次ぐ 10年度税制改正、政府税調が集中討議には、「ガソリン税などの暫定税率については民主党のマニフェスト(政権公約)通り、来年4月に廃止すべきだとの意見が大勢を占める」とある。

カルトの人達が大勢おられるようである。冷静に考えれば、支出をまかなう収入を維持することが健全であり、一過性のこととして、収支が崩れることはやむを得ない。暫定税率も一般財源となったのであるから、国家政府財政の健全性を無視して、マニフェストにこだわれば、カルトであると私は思う。

最終的な予算案や法案ができていないので、結論を出すには早すぎるが、民主党の政策にはカルト部分が多いと感じられる。冷静な分析・検討・立案・判断をして欲しい。最も、「自民党をぶっ壊す」と言った首相の時も、カルト的な部分は多かったと思うし、その前も同じような部分があったと思う。政権交代したのだから、カルト部分を少なくして欲しいと思う。

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2009年12月 7日 (月)

訪問販売お断りシール

朝日が、面白い記事を書いていました。

朝日 12月7日 効くのか「訪問販売お断り」シール 消費者庁が慎重姿勢

1) 特定商取引に関する法律3条の2

特定商取引に関する法律のうち12月1日から施行となった部分に含まれている3条の2を知らないと、議論がかみ合わないので、3条の2の条文を掲げます。第2節訪問販売の中の条文で、法律の全文はここからダウンロードできます。

契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止等
第3条の2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならない。
販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘してはならない。

2) 政府の3条の2についての解説

朝日がクレームしているのは、次の政府(作成当時は、経済産業省所轄)の解説です。

「契約を締結しない旨の意思」については、契約の意思がないことを明示的に示すものが該当する。具体的には、相手方が「いりません」「関心ありません」「お断りします」「結構です」「間に合っています」など明示的に契約締結の意思がないことを表示した場合であって、「今は忙しいので後日にして欲しい」とのみ告げた場合など、その場、その時点での勧誘行為に対する拒絶意思の表示は、「契約を締結しない旨の意思」の表示には当たらない。また、例えば家の門戸に「訪問販売お断り」とのみ記載された張り紙等を貼っておくことは、意思表示の対象や内容が不明瞭であるため、本項における「契約を締結しない旨の意思」の表示には該当しない。

朝日の記事のような、訪問販売を死滅させないための解釈であると言うのは、言い過ぎであると思います。解説するには、裁判における論争と、その結果についても考慮する必要があり、上のような解説になると思います。

3) 政党ビラ配布罰金5万円事件

どうしても、この事件が頭に浮かびます。朝日の記事はここにあります。お奨めは、やはり最高裁の判決文を読むことです。

平成21年11月30日 最高裁判所第二小法廷 住居侵入被告事件判決

社会として許容できるもの、許容すべきもの、禁止すべきもの、刑事罰を与えるべきものについての考えることなく、目の前のことだけで判断してしまうと誤ると思います。

私にとっても、自分の主義・主張と異なるビラを自宅に入れられたら、頭に来ます。しかし、こんな輩もいるのだと、古紙として市のゴミの日に出すだけです。訪問販売の方が、嫌です。インターホンを押されたら、誰か分からないから、出ざるを得ない。

人としての自由を確保する社会であることは、重要と考えます。

4) シールは有効

訪問販売に、中には長時間無理矢理つきあわされたり、不必要物品やリフォームを売りつけられ、意図しない高価な代金を払わされたりというニュースもあります。それを防止するには、3条の2の条文を変更して、例えば「訪問お断りと明示された相手には、訪問販売を行ってはならない。」とすることもあり得ると思います。罰則の強化や取り締まりの強化も考え得ると思います。一方、悪質な業者に対して、実質的な効果があるのかとの疑問も浮かびます。

一方で、3条の2第1項では、訪問販売をしようとするときは、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならないとしており、シールは意思表示のために貼られたのであり、それを無視することは、反すると言えます。少なくとも、執拗に売り込みを図ることは、私は3条の2の違反であると考えます。

シールが貼ってあれば、その家の方も余裕を持って対応ができると思います。訪問販売員は、その勧誘に先立つて、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称を明らかにせねばならない(第2条)。業者名が分かっているから、悪質な場合は、通告することができます。シールを貼って、余裕を生み出すことができる人は、シールを貼ることがお奨めです。

大新聞に挑んでみたくなったのかな?この大新聞の記事は、世の中をギスギスさせるアラサガシみたいな気がしました。施行されて未だ1週間しか経過しておらず、評価困難と思うのに、大胆に批判する。批判するなら、もっと重要なことがあるはずと思いました。

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2009年12月 3日 (木)

消費者金融の総量規制への対応等

9月27日に亀井さん、こちらのほうはどうするの?を書いたのですが、更に気になることが出てきました。

1) サラ金や消費者金融は中小企業金融円滑化法の対象外

中小企業金融円滑化法は、12月1日に参議院を通過し、12月4日から施行のようです。

12月1日 日経 金融円滑化法、施行は4日 亀井金融相が方針

中小企業金融円滑化法(中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律)は、第4条と第5条で中小企業者または住宅資金借入者から金融機関に対し弁済に係る負担の軽減の申込みがあった場合に、借換えその他弁済に係る負担の軽減に資する措置をとるよう努めることを定めたのであり、モラトリアムを義務化したのではありません。一方、金融機関による対応措置の実施に関する方針策定、説明書類の縦覧、行政庁への報告等については義務となっており、一定の効果は期待できるかも知れません。

しかし、個人の場合は、住宅資金の借入に限定されており、消費者金融は対象外です。また、対象となっている金融機関に消費者金融を行っている貸金業者は含まれません。従い、事業資金であっても、銀行、信用金庫、農協その他、中小企業金融円滑化法第2条に該当する金融機関からの借入でないと対象となりません。

2) 総量規制

2006年12月20日公布の貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律により、グレーゾーン金利の廃止となりました。罰則の引き上げは、公布から1月で一部施行となり、施行日は公布後1年でしたが、グレーゾーン金利の廃止は施行日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日となっています。(附則1条4項)従い、2010年6月20日までの、どこかです。

2010年6月施行部分の中に、総量規制があり、貸金業からの借入金は複数の貸金があれば、その合計で年収の3分の1以内を原則とすることが定められています。次の貸金業法第13条2を読んでみてください。この条文は、2010年6月20日施行であるから、現在は未施行です。

(過剰貸付け等の禁止)
第十三条の二 貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が
個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない
2 前項に規定する「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約(住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約(以下「住宅資金貸付契約等」という。)及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に<三分の一を乗じて得た額をいう。次条第五項において同じ。)を超えることとなるもの(当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。)をいう。

3) 総量規制の適用

年収の3分の1を超える貸付は、過剰貸付であるとして原則禁止にしました。1回の借入額はなく、累計して年収の3分の1以下にすべきとの話です。従い、仮に、年収3百万円の人がいて、Aローンから50万円借りており、Bローンから30万円借りているとしたら、新たに借り入れることができる金額は20万円です。もし、既に100万円以上借りているとすれば、新規借入はできないのです。(ヤミ金融奨励法に思えてしまう。)

貸金業者とは、「国と地方公共団体ならびに貸付けを業として行うにつき他の法律に特別の規定のある者が行うもの以外」が原則です。(貸金業法2条)従い、総量規制には、クレジットカードでキャッシングサービス枠の契約をカード会社としていれば、それも対象です。対象とならないのは、住宅借入や銀行とのカードローンの契約、あるいは生協の貸付事業による借入等と思います。

そこで、実態を調べるべく、ネットで探すと、次の日経記事がありました。

日経 10月27日 改正貸金業法の「総量規制」、利用者の6割知らず

日本貸金業協会のアンケート調査によれば、借入残高がある4064人のうち、実際に年収の3分の1以上のお金を借りている利用者は50.2%との報道です。ここに、その日本貸金業協会のアンケートの結果報告があります。「それじゃダメじゃん

消費者金融を利用している半数の人をヤミ金に走らせる法律が良いのだろうか、大いなる疑問です。多重債務は、よくはありません。しかし、グレーゾーン撤廃の陰で、ヤミ金奨励というバカなことをして良いのでしょうか?

4) 民主党の責任

中小企業金融円滑化法なんて、実質的に余り意味のない法を作るより、ヤミ金対策に取り組むべきです。何のために国会で多数を取ったのか、問われています。

対策は相当に難しいと思います。アイフルが事業再生ADRの申請をしたように、消費者金融業者が余力を失っており、焦げ付き可能性の高い貸付を実行する元気は、あまりないと思います。地方自治体が、貸金業者が取り込めない部分の貸付をするのが良いのでしょうが、不良債権の山ができる危険性が高いと思います。素人が、手を出すと、恐ろしい結果になり得ます。

本当は、地方自治体と地域の民生委員やその他NGO・NPOのような支援をする人達と手を携えて取り組むのがよいと思うのですが、グレーゾーン撤廃と同時にNPOバンクの貸金業実施や参入に対するハードルを高くしてしまった。

何もしないでいると、恐ろしいことが起こりそうな気がします。実態を調査し、適切な処置をすべきと考えます。必要があれば、新たな法を作っても良いし、法改正をしても良いのですから。民主党は、苦しい人の生活を考えるべきと思います。

5) 年収証明書の提出

2010年6月施行の改正部分(第13条)に、貸し付け契約締結に際して、その個人に累積50万円以上を貸し付ける時、または他の貸金業者も含めて100万円以上となる場合、貸金業者は源泉徴収票等の年収証明書の提出を受けなければならないとの定めがあります。クレジットカードでキャッシングサービス枠の契約をカード会社としている場合は、枠を極度額とする極度方式基本契約が締結されていることとなり、同様に年収証明書の提出となります。(第13条の3により100万円以上が対象)

借入を受けている側の義務ではないのですが、提出しないとローンが受けられなくなるのでは、困ることとなり、応じざるを得ません。消費者金融やクレジットカードのキャッシングは、ここまでの状態になっているのですから、早急に国民総背番号の納税者番号制度を実現すべきです。金持ち優遇の日本を脱しないといけません。子供手当も実施するなら、親の住民税と固定資産税の合計額が100万円以上を超える場合は、支払われないようにするとかして実施すべきです。各市町村に住民票を置いている住民の住民税と固定資産税は市町村役所が把握しています。民主党で世の中のことを知らない人は、納税番号がないからできないとバカなことを言っていましたが。

消費者金融問題もやっかいな問題と思います。民主党の方々は、官僚依存の脱却と言ったのであり、自ら問題解決にあたるべきです。但し、官僚からの必要な支援を受けるべきと考えます。重要なことは、官僚という言葉ではなく、国民という言葉です。

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次世代スパコン

次世代スパコンの事業仕分けWG評価結果に対して、ノーベル賞受賞者がこぞって反論をしたりで、一度は、自分なりに調べてみなければと思っていました。

事業仕分けWG評価コメントと事業仕分けの資料は次の所にあります。

WG評価コメント この資料の3/10ページから7/10ページ

1) 安井至東大名誉教授の意見

12月1日のあらたにすに安井氏の投稿記事があり、これを読んで、相当分かりました。

2009年12月01日 安井 至 「仕分け」でスパコン予算が削られたが

2) 国民に対するPR

税金を使うからには、スパコンの必要性をPRすることが必要であるが、PRがほとんどなされていないと思う。地デジや裁判員制度に、あんなにPR予算を使うなら、先端技術の必要性を政府は宣伝すべきである。おそらく、科学技術予算は、予算が確保できたなら、予算全額を研究に支出したくなり、PRなんて予算の無駄使いに思えることから、おろそかになるのだと思う。

しかし、科学技術予算の中から、管理費は支出することになる。管理のない支出こそ無駄使いとイコールである。税金を使うのであり、国民に対するPRは絶対必要である。

3) 事業仕分けWG評価コメント

事業仕分けWG評価コメントを読んでも、やはり国民に対するPRの必要性を感じます。例えば、「トヨタもF1から撤退した。苦渋かつ前向きの判断を。」とのコメントがあるが、スパコンとF1を同列に考えた人がいる。おそらくスパコンをやっている人には、思いもつかないことのはずである。

スパコンの成果として何を期待するかは、事業仕分け資料を読んでも余り解らない。それでなくても、解りつらい世界である。

4) 私の整理

私なりに理解すると、ここに世界最速スパコン100位リスト(TOP500 List - November 2009 (1-100))があり、その第1位はOak Ridge National Laboratory(USA)のJaguar - Cray XT5-HE Opteron Six Core 2.6 GHz / 2009 Cray Inc.であり、演算性能1759TFlopsである。現在の日本最速スパコンは、海洋研究開発機構の地球シミュレーター SX-9/E/1280M160 / 2009 NECであり、ランクは31位で、演算性能は122TFlopsと、14分の1である。この状況を挽回するために、演算性能は10000TFlopsと現在1位の5.7倍の性能のスパコンを設置するプロジェクトである。勿論、完成した時に、1位であることの保証はないし、仮に1位であったとして、直ぐにランキング下位になる可能性も充分ある。

事業仕分け対象のスパコンは、理研に設置され、2006年度から富士通、NEC、日立製作所との共同で開発が始まったが、2009年5月にNECと日立が経営環境の悪化を理由に撤退し、メーカーは富士通1社となった。一方、12月2日日経に、富士通、次世代スパコンの試作機を稼働 というニュースがあり、それでは、やれば良いじゃないとの気になる。

スパコンの性能のみを競争しても仕方ないのであり、スパコンを使って、何をして、どのような成果を期待するかが、重要である。世界最速スパコンリストには、500位まで掲載されており、国別の台数をグラフにすると次のようになった。

Supercomputercountry200911

実は、日本は6位である。スパコンにより大量のシミュレーションを実施し、その結果により実験の数を減らし、開発スピードを短縮する競争となっている。スパコンを使いこなすことこそ、次世代の競争に勝ち残れることである。PCも、そうかも知れない。使っているうちに、何に使えるかが分かってきたりする。

日本が中国よりランクが下なのは、現状の国力からすると納得したりして。しかし、そのうちに、現在16位のインドより下になる可能性もないとは言えず。

スパコンは、事業仕分けWGが指摘するように、10000TFlopsを目指すだけが全てではないはず。適切な高性能のスパコンの台数を多くし、多くの研究者が様々に利用できるようにすることも重要である。

事業仕分けWGは、次世代スパコン予算267.8億円を、見送りに限りなく近い縮減としたが、これより増加しても、効果的にスパコンに投資をすることが意味あると思う。投資を怠れば、次世代の発展はなく、競争に敗れる。財源は、ガソリン暫定税撤廃なんてバカなことを止めればたちどころに捻出できる。

1990年代のバブルにおいては、海外の土地に投資をしたバカがいる。その結果は、金融機関の破綻となり、税金が使われた。土地は、投資をしても、投機であり、一方に利益が生まれた場合は、他方に同額の損失が発生する。科学技術への投資からは、フルーツが期待できる。

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2009年12月 2日 (水)

北海道新聞の記事

次のニュースがありました。

日経 12月1日 外務省元局長「沖縄密約」認める 東京地裁で証言

証言をされた吉野氏の密約に関しては、2007年7月18日に外交交渉 西山事件で私も書いていますが、その時にリンクを張って紹介した北海道新聞の次の記事は、今でもWebにあります。約3年10月前の報道でした。

2006/02/08(水)朝刊 1971年 沖縄返還協定 「米との密約あった」 佐藤首相判断で400万ドル肩代わり 外務省元局長が認める

沖縄の祖国復帰の見返りに、本来米国が支払うべき土地の復元費用を、日本が肩代わりしたのではないかとされる一九七一年署名の沖縄返還協定について、当時、外務省アメリカ局長として対米交渉にあたった吉野文六氏(87)=横浜市在住=は、七日までの北海道新聞の取材に「復元費用四百万ドル(当時の換算で約十億円)は、日本が肩代わりしたものだ」と政府関係者として初めて日本の負担を認めた。

日経の記事は、「吉野氏は報道機関などに密約の存在を認めてきたが、偽証罪の制裁のある法廷の発言は重い。」と書いていますが、報道機関自らが、そう言ってしまうと、「そんな軽い取材をされているのですか」と思わせてしまいます。しかし、この毎日のニュースな言葉には、「西山太吉記者が71年5、6月、これを前提としたやり取りを含む極秘電信文3通を入手、一部を報道した。」とあるので、1971年に報道をしたのでしょうが、それを報道機関としての勝利に導けなかった。

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2009年12月 1日 (火)

デフレ対策

日銀の白川総裁も名古屋市内における講演で、現状をデフレと発言されたようです。

日経 11月30日 日銀総裁「デフレ克服に努力」 市場安定へ迅速に行動

普通なら、金融緩和を行い資金需要を興すために、日銀の金利を下げる政策となるが、現状のように0.1%でやっていたら、金利で刺激することは困難と思います。

11月21日のデフレ対策として最低賃金アップでは、最低賃金を引き上げて需要を刺激することの効果と期待を書きました。

もう一つの効果的な方法は、健全な政府政策だと思います。現政権の経済政策は、残念ながら不透明である。違う表現をすれば、不統一で混沌としています。マニフェストに書いてあるから、それを何が何でも実行すると言う。民主党マニフェストには、4年後の平成25年度には、無駄使いをなくして16.8兆円の財源を確保すると書いてある。平成22年度は、7.1兆円となっている。財源は、全く確保できていない。財源無くしてやれば、借金しかなく、そんな財政運営はバカでもできる。

現状は、無駄使いを無くすどころか、支出が増大するばかりである。政府財政が完全に破綻して、政府が何をできるかと言えば、何もできない。子供手当は、所得制限をしないことが聞こえてきたり、16歳以上23歳未満に適用される特定扶養控除を存続させるような話があったり、思想なしの無茶苦茶に思えます。

来年度は税収減と支出増が起こりそうで、それでいてその先が見えない。民主党もバラマキ政策ではない歳入庁構想や年金制度改革のような本当に必要な政策にじっくりと取り組むべきと思う。そして、先端産業・革新技術への研究開発による投資をしないと将来が暗くなってしまう。バラ色の夢は、バラマキではやってこない。夢を作れば、デフレも克服が簡単と思います。

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