ガソリン税を払わなくて済む方法(プリウスPHV)
ガソリン暫定税率は名目を変えて、維持することで、12月22日に閣議決定がされました。
日経 12月22日 政府、税制改正大綱を閣議決定 環境税、11年度実施に向け検討
政府の平成22年度予算のポイントでは、4ページのマニフェスト工程表の主要事項についての中に、「燃料課税について、現行の10年間の暫定税率は廃止するが、当分の間、税率水準を維持。」と書いてあります。
ところで、暫定税率なんてことを言わずに、ガソリン税を全額払わない方法の紹介です。
1) トヨタのプリウス プラグインハイブリッド(PHV)
トヨタのプリウス プラグインハイブリッド(PHV)を使えば、良いのです。1回の充電で23.4km走ってくれるので、近距離のみ走り、家庭、事務所、工場等のコンセントから充電して走っている限りは、ガソリン税を支払わなくて済みます。万一、23.4km以上は知る場合は、ガソリン税を払うことになりますが、毎回23.4kmまでは確実に無税で走れるから、税を払わないことが好きな人には、楽しい乗り物です。
勿論、逆を考えれば、税収が減少するわけでして、平成22年度予算案の揮発油税は2兆5760億円あります。これからは、PHVとEVの道路税徴収をめぐる戦いが始まると思います。
将来の燃料税、道路建設費や補修費をどうするかは、高速道路のあり方も含め、検討が必要と思いますが、一つの案は、全道路ETC完備にして、料金徴収することではないかと思います。勿論、今のようなETCではなく、車を止めるバーはなく、道路に埋め込んであり、高速で走っても関知できる。料金徴収だけではなく、渋滞情報に使え、何より無駄な道路かどうか、正確なデータが取れます。今の時代、それぐらいの技術は既に利用可能と思うのです。
2) 評価
プリウス プラグインハイブリッドのプレスリリースがこちらにあります。このデータを使って、シミュレーションをしてみました。なお、私が6月29日に書いたインサイトvsプリウス、そしてi-MiEVとティーダを比較しましたも適宜参照してみてください。
2-1) 燃費経済性
6.57km/kWhとなっています。家庭用の月間300kWh以上は、東京電力の場合、kWhあたり24円13銭です。従い、3.67円/kmとなります。
ガソリンの場合ですが、1リットル126円として、10km/lの燃料消費であれば、12.6円ですから、相当安いと言えます。
ところで、プラグインではないプリウスと比較をすると、JC08モード32.6km/lとなっており、3.86円/kmであり、PHVとの差は4%なので、ほとんど差はありません。逆に、長距離を走ると、実はPHVの方が、燃費が悪くなるはずです。なぜなら、普通のプリウスは、車体重量が1,310kgであるのに対して、PHVが1,490kgと約14%重いのです。当然、燃費は悪くなります。それからすると、近距離が多い場合に、PHVは有利と言えます。(勿論、将来のガソリン価格と電気料金により違ってきます。)
ところで、電気料金24円13銭は、家庭用の場合ですが、おトクなナイト8のような夜間割引料金適用の契約をしており、夜間電力で充電すれば、9.17円/kWhで充電できるので、1.4円/kmと非常に経済的です。大口の電力であれば、9.17円/kWhより安いこともあり得ます。
間違っても、太陽光で充電しないことです。何故なら、太陽光は、48円/kWhで電力会社が買ってくれるのです。もし、この電気で充電したら、7.3円/kmの燃費になってしまいます。太陽光で充電したら、ゼロエミッションで環境には、最高です。しかし、経済的には最低です。
2-2) 環境評価
東京電力は、2008年度のCO2排出原単位を炭素クレジット適用前418g-CO2/kWhと発表しています。これを使って、走行時のCO2排出量を計算すると、63.6g-CO2/kmになります。
トヨタが言う、CO2排出量41g/kmは、真っ赤な嘘であります。
ガソリン1リットル燃焼時のCO2排出量を、2,322g-CO2とします。この数字で、普通のプリウスのJC08モード32.6km/lから計算すると、71.2g-CO2/kmとなり、PHVより12%多いことになります。しかし、この程度であれば、長距離を走る場合は、逆転があり得るかも知れません。
2-3) 価格
2年後に市販を開始するとの、発表であり、議論するのは時期尚早と思います。そこで、紹介だけ。日経BP ECO JAPAN 12月17日 東京都、プラグインハイブリッド車の購入費を補助の中の記事には、「本体価格525万円」と書いてありました。
3) 他社(車)動向
先ずは、三菱i-MiEVです。JC08モードの数字を出していないので、プリウスと同じく10-15モードの85.8%とします。結果は、6.864km/kWhです。プリウスPHVよりも4%-5%程度、燃費が良いことになります。i-MiEVは、車体重量1,100kgで、プリウスPHVより26%軽いですから。i-MiEVは、EVなので、160kmしか走れないものの、プリウスPHVは、ガソリンを補給すれば、長距離を走れますから、その分は、有利です。
次は、GMボルトです。こちらは、6.41km/kWhです。プリウスPHVの6.57km/kWhが勝っています。但し、GMボルトは米EPA基準としており、JC08モードと単純に比較するのは、間違いかも知れません。
日産リーフとも比べるべきですが、こちらはデータがあまりないが、電池容量24kWhで走行距離160km以上と日産は発表しています。プリウスPHVは、電池容量5.2kWhに対して3.56kWhを消費するとしています。同じ比率を日産リーフにあてはめると、9.74km/kWhとなります。そうだとすると、プリウスPHVの6.57km/kWhより、EVとして走行できる距離も長いし、燃費も優れていることになります。実際は、分かりません。来年を待ちましょう。
どちらにせよ、EVやPHVの本当の評価は、長期使用をしないと不明であり、現時点で結論まで出すのは早すぎると思います。言えることは、日産のような「ゼロエミッション」には、嘘つき宣伝があることです。(公正取引委員会は動かなくて良いのかな?)
確かに、太陽光で充電すれば、ゼロエミッションです。でも、そんなこと、誰もしないはずです。だから、嘘つきです。もしかしたら、ゴーンさんがそうするかな?だって、ゼロエミッションと宣伝をしていますから。一人でも、そうしていると、嘘でなくなる。
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コメント
>ガソリンの場合ですが、1リットル126円として、10km/lの燃料消費であれば、12.6円ですから、相当安いと言えます。
うちのフィット君は、1リットル120円のレギュラー・ガソリンで22km/L走ってくれました。(笑)
PHVの本体価格が幾らか?ということを抜きにしたエコ(ロジ―)の話ではエコ(ノミ―)の話は難しそうです
投稿: Med_Law | 2009年12月27日 (日) 23時56分
Med_Lawさん コメントありがとうございます。
フィット君は、性能が良いんですね。HondaのWebを見ると、フィットの中で、一番燃費がよい1300cc無段変速の車で24km/Lになっていますから、実走行で22km/Lは素晴らしいと思います。オーナーが良ければ、燃費も良くなるのでしょうね。
ところで、プリウスPHVの車両価格ですが、525万円はプレスリリースで「今後は2010年前半にかけて、日・米・欧の特定顧客を中心に約600台」と言っているので、この台数の生産を前提とする価格のはずで、本当に市場に出す際には、下げると思います。但し、在来型プリウスの電池はニッケル水素電池なのですが、PHVプリウスはリチウムイオンを使っており、重量が140kg重くなっています。
「2年後に市販を開始し、年間数万台規模の販売を目指す。」と言っていますので、幾らになるか興味しんしんです。もしかしたら、経済性では、フィット君に負けるのではないでしょうか?
投稿: ある経営コンサルタント | 2009年12月28日 (月) 00時42分
普段はEVモードで走行し、いざという時はガソリンを消費して長距離も走れるということになるのは分かるのですが、この使い方だと、普段は「ガソリンエンジンとか燃料タンクとか余計なものを背負い込んだEV」状態になってしまうのではないかと思いました。
そして、毎日充電する電気。価格は安いかもしれませんが、CO2排出量は本当に少ないのでしょうか。
充電に必要な電力量(KWh)からCO2排出量は求められそうなので、調べてみると面白いかもしれません。
投稿: chester | 2010年1月25日 (月) 01時46分
chesterさん コメントありがとうございます。
2-2) 環境評価 に書いた”63.6g-CO2/km”が、電気に関わるCO2量をkm走行に引き直した数字です。今のプリウスの燃費を38km/Lとして、km走行のCO2発生量を計算すると61.1g-CO2/kmですから、電気の方がCO2発生量は多くなります。なお、ガソリン1リットル当たりのCO2発生量は2,322グラムとして計算しました。
実際走行の燃費をどう考えるかによっても異なってきます。それと、電気は水力や原子力は、CO2発生は非常に小さいが、石炭であれば多いという違いもあります。
投稿: ある経営コンサルタント | 2010年1月25日 (月) 17時12分
お返事ありがとうございます。
私も計算してみました。
財団法人省エネルギーセンター
http://www.eccj.or.jp/qanda/co2/qa.html
によると、「地球温暖化対策推進に関する法律」では0.555kg-CO2/kWhという値が既定されているそうです。東京電力の言う値と随分差があるようですが、一応この値を使ってみます。
トヨタ自動車ニュースリリース
http://www2.toyota.co.jp/jp/news/09/12/nt09_087.html
ここの数字を参考に考えてみました。
⑦一充電消費電力量 3.56kWh
で
⑥EV走行換算距離 23.4km
を走るものとして計算すると、
3.56kWh / 23.4 km = 0.1521kWh/km
0.1521kWh/km * 0.555kg-CO2/kWh * 1000 = 84.4155g-CO2/km
やはりEVモードで走行したほうがCO2排出量が多くなるということのようですね。
トヨタはあまり表に出したくない話かもしれません。
※個人的にはエコノミーなのは大変助かるのでEVモード使いたいわけですが(笑)
投稿: chester | 2010年1月25日 (月) 22時39分