医療、医療費、医療保険を考える(その2)
厚生労働省が、医療費の動向を発表しています。様々な表がこのページからダウンロードできます。そこで、これらの資料も使って、現状を見ることとします。
先ずは、1970年以降の医療費の推移です。ここで言う医療費とは、個人が医療機関と薬局に支払った金額及び保険で支払われた金額の合計です。
35兆円ですから、すごい金額です。例えば、防衛費は5兆円ですから、医療費はその7倍です。それで、これが医療費の全てかというと、この厚生労働省の資料は、医療保険に関する審査支払業務において集まる医療費情報を集約し、医療費の動向を把握し、医療保険行政のための基礎資料を得ることを目的として、作成されているので、例えば自由診療や差額ベッド代は含まれていません。救急車やドクターヘリの費用も別です。また、介護保険適用の分野も含まれていません。
次に、同じグラフの上に国民総生産GDPと国民所得NNI(要素費用表示)を重ね合わせました。GDPとNNIは、右目盛としています。
1990年からGDP、NNIは水平になり、増加しませんでしたが、医療費は増加を続けています。そこで、今度は、国民総生産GDPと国民所得NNI(要素費用表示)に対する医療費の割合をグラフにしました。GDPに対する割合は、一定の付加価値を生み出すために、医療費としてのコストが幾ら必要かを示します。NNIに対する割合は、個人と法人を併せた総所得のうち、幾らを医療費に費やしているかを示します。
医療費負担が大きくなってきていることが分かります。次に、一人あたりの金額をグラフにしました。なお、1970年からの金額をグラフにしているので、消費者物価指数で2005年基準金額にしたCPIによる調整金額も表示しました。
今回は、これまでで、次回に更に分析をします。単純に考えると、これほど医療費が増加すると、パンクをしてしまう。デフレで苦しい中、医療は合理化ができていないと考えてしまいます。しかし、そう考えるのは、危険な面を含んでいます。何故なら、一面では医療崩壊が存在するからです。マスコミは、たらい回しと報道したりして、患者と医療を対立させることがありますが、表面ではない、根本の部分を見ていかないと誤ります。
また次の分析もお読み下さい。
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