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2010年3月10日 (水)

富士通の対応は正しいか

3月9日、東京証券取引所は富士通に対して、厳重注意を行いました。

日経 3月9日 東証、富士通を厳重注意 前社長の辞任理由変更で

1) 東証の発表

東証のWebで、私は見つけられませんでしたが、富士通の発表は、ここにあり、次のように述べられています。

・・・・・『平成21年9月25日の適時開示は、代表者の異動理由について適切な説明が行われておらず、開示の適正性に欠けていたものと考えられますが、代表者異動自体に係る投資者の投資判断に大きな誤りをもたらすほどの重大な影響があるとまでは言い難いことから、改善報告書徴求等の措置をとるには至らない』とのご判断により、口頭で、厳重に、注意を受けました。当社は、これを真摯に受け止め、今後も、状況に応じて、適切な情報開示に努めてまいります。

2) 富士通の対応

「今後も、状況に応じて、適切な情報開示に努めてまいります。」なんてのは、従来から適切な情報開示を行っていたと、あたかも問題はありませんと言っているみたいで、スッキリしません。もともとスッキリしない事件です。今回のことにしても、富士通の発表は次の「一部報道について」という表題でしたから。

富士通 2010年3月6日発表 一部報道について

「一部報道について」(英語では、”Regarding Media Reports on Former President, Mr. Kuniaki Nozoe”と固有名詞は入っていますが)では、本題をはぐらかしているみたいです。本文では、「昨年9月25日、野副氏の事情聴取と弁明の機会を設け、野副氏と当該企業との関係が調査結果どおりであれば代表取締役社長を解職すること、ただし野副氏に辞任の意向があればこれを受け入れることとし、野副氏と面談を行いました。であり、野副氏代表取締役辞任(解職?)のことに対する説明です。

富士通の対応は私にはスッキリしません。

3) 会社は誰のもの

12月 3日の次世代スパコンで書きましたが、富士通は次世代スパコンをつくる能力がある、日本経済を牽引することができる会社であると思っています。会社は、個人や取締役会のものではなく、多くのステークホルダーもものであると考えます。会社を私物化してはならない。

すくなくともガバナンスやコンプラができていなければならないが、ここにある病気療養のためという社長の辞任理由を発表することは、社会に対して虚偽の発表であると考えます。

4) ガバナンス問題

3月6日 ダイヤモンド 富士通 野副前社長 “解任”取り消し動議の全真相が実態なのかと思いますが、3月10日 ダイヤモンド 富士通とトヨタに見る“日本的ガバナンス”の崩壊~なぜ取締役会は経営監督機能を果たせないのかは、

取締役会が発揮すべき機能を発揮していない。

社外取締役や委員会等設置会社というガバナンスの装置が、日本企業特有のムラ社会経営の閉鎖性を糊塗するために変質、利用されているとも言える。

と日本企業のガバナンスについて批判をしていました。企業や団体・組織のガバナンスは「法令についての違反はありません。」ではなく、自分たちがルールを率先して作り、社会がそれを追いかける姿としなければならないと思います。政治献金の話みたいになりましたが、政治の世界もビジネスの世界も同じで、自分たちが世界のルールを作る。ルールを作った人達が一番尊敬され、名誉、栄誉、果実を受けることができると思います。

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