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2010年3月 9日 (火)

OECDジェンダー報告

OECDが2010年のジェンダー報告(Gender Brief)を出しました。男女共同参画や男女差別なんて言葉を使わず、ここは、OECD(経済協力開発機構)を見習ってジェンダーで通します。

このLong Abstractの中からDownloadできますし、ここからも直接Downloadできます。(ファイル容量はpdfで2.4Mです。)

現在話題となっている子供手当や夫婦別姓あるいは少子化を頭に置いて読むと面白い報告書でした。以下に、少し紹介します。

1) 少子化は日本特有の問題ではない

OECD諸国の1970年、1995年、2008年の合計特殊出生率のグラフです。ほとんどの国で、人口減少とならないレベルである2.1に達していないのです。(ジェンダー報告から直接コピーしたグラフはクリックすると拡大します。)

Oecdgender1

1990年以降の合計特殊出生率の推移を、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、メキシコ、スウェーデン、トルコ、英国、米国にういてグラフを書いてみました。2000年以降スウェーデンや英国で上昇したが、日本、韓国、ドイツ、イタリアでは、上昇はありませんでした。

Oecdgender1a

子供手当で、出生率が上昇するのかと疑問を持ちます。子供手当については、塾の時間が増加したり、教育保険なんて言って保険屋が頑張ったりで、変な風になりそうな気がします。何故なら、児童手当が廃止される故、低所得者のメリットは少なく、お金持ちがお金を手にし、それを目指してビジネスが発生するとはならないでしょうか?

2) 高年齢出産化

高年齢出産の傾向は世界共通です。

Oecdgender2

3) 日本と韓国が特殊な未婚の母

次のグラフは、出産の中に未婚の母による出産が占める割合です。

Oecdgender4

数字で示すと、日本はたったの2.1%であり、アイスランドなんて65.6%ですから、3人に2人が未婚の母からの子供です。出産してから、籍を入れるなんてこともあるでしょうから、ほとんどが未婚で出産するのかもしれません。

未婚の母となるかどうかは、個人の選択の問題であり、未婚の母に対する社会的、経済的、法的な差別は、あってはならないと考えます。女が持つ出産の自由と権利でしょうか。男には、うらやましくも思えます。

4) 男女賃金格差も韓国、日本が大

次のグラフは、正規雇用の場合に、男の賃金が女の賃金より何パーセント高いかを表しています。

Oecdgender5

日本とは、女にとって住みやすい国ではないようです。少子化対策としては、産科医の不足なんかより、多くの女が未婚の母を選択しても、子育てが可能な仕事と収入が得られ、楽しく生きていける社会にする必要がある気がします。

5) 夫婦別姓は当たり前

夫婦別姓を選択可能とする法案について反対論があるようですが、2月15日のNB Onlineにあった自民党が少子化を加速させた 自民党・野田聖子衆院議員インタビューは、面白かった。

野田氏の発言に「高学歴・高所得の女性から生まれにくいのが日本の特徴で、そこが一番の問題点なのに改善されない。」という部分があります。高学歴・高所得の女を生かし切れない社会は、発展しないと思います。

非嫡出子の相続権が嫡出子と同一となるように民法が改正されるのは当然のことで、夫婦別姓の場合は、子供は成人になった時に、自分の姓を決定する権利を持つとか、離婚をしやすくし、日本でもジェンダーの取り組みをまじめにしないと破滅する国になるのではと危惧します。(過激ですか?)

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