還付金付き消費税
前回の「企業健保の保険料率上げ」の中で、還付金付き消費税なんて、変なことを書いたので、少し触れてみます。
1) 政府から国民への給付金
税は国民が政府に払います。納税であり、金銭で納付します。逆に、政府が国民に支払ったら、どうなるか。子ども手当で、実施するので、できなくはありません。
2) 消費税
現在消費税は4%(で地方消費税1%と併せて5%)であり、平成22年度予算では9兆6380億円です。ちなみに、平成21年度予算では、1兆130億円でした。消費税1%は、約2兆5千億円の税収に相当します。
3) 還付金付き消費税
仮に、消費税率を10%アップするとします。そうすると25兆円税収が増加すると期待できますが、例えば国民1人につき5万円還付します。そうすると、人口1億2千5百万人として6兆2500億円を還付するので、実質の増税は18兆7500億円です。徴収しておいて、バラマキをするのは、意味がないと言える部分があるが、18兆7500億円の税収増が残ります。
いずれにせよ、計算結果を見る方が早いので、結果が次の表です。こども手当の計算に使用した金額を使いました。即ち、手取金額から消費税が対象となり、更には家賃やローン返済や各種保険料のような非課税支出が存在します。どのような前提の金額を置いたかは、表を見てください。なお、消費税の還付金は一人5万円とし、4人家族を想定しました。(クリックで拡大表示されます。)消費税の計算は、110%で割り算をして、10%を掛けています。
還付金があることにより低所得者の負担が軽減されていることにつきるのかも知れません。生活保護手当をどうするかですが、調整すればよいのです。従来から、生活保護費は消費税を考慮して決めていたので、消費税率を上げれば、生活保護費も上げる必要があったのですが、還付金があれば、相当額の減額調整を行えば良いのです。
4) 消費税アップの使い道
幾らでもあるはずですが、やはり国債の償還、基礎年金の補填、医療保険の補填のような生活に密接に関係した部分を優先すべきと思います。何故なら、消費税は、事業者が負担するのではなく、消費者が負担するのであり、消費者・国民の為の年金や医療制度の維持を優先すべきと考えます。健康保険や医療保険の制度維持ができれば、多くの人が安心して住める社会になると考えます。
5) 納税番号制導入
番号制の導入が、どうしても必要と考えます。何故なら、還付金の管理は非常に重要になるからです。
現在付加価値税(消費税)が多くの国で導入されていますが、ほとんどは日本と異なり伝票方式と理解します。付加価値税(消費税)は、事業者が売り先に対する代金とともに徴収し、納付しますが、納付に際し、仕入れの際に支払った付加価値税(消費税)が控除されます。その時に、伝票の保管が義務づけられるのです。日本でも、消費税法30条において伝票の保管や帳簿の記載が求められています。
納税番号制があれば、仕入れ業者の納税番号を電子データで入れることにすれば、他の業者の脱税が露見しやすくなります。税務調査なんて、あまり歓迎するものではありません。疑わしい場合に、限るべきと考えます。そのためには、露見しやすい制度を取ることにより、公平性の確保にもなり、効果的で、気持ちもよいと考えます。
手続きが煩雑になる可能性はありますが、免税事業者や簡易課税制度は、金額制限の見直しは必要かも知れないが、制度としては残せばよいと思います。
6) 代替案
銀行の利子収入は非課税売上であるため、非課税売上に対応する仕入れ税額ができません。そのため、消費税率アップは、銀行業にとっては、利益減少に繋がります。もっとも、仕入れに相当する預金の方も消費税非課税であるので、建物を含め、一般管理費に関する部分ではあります。但し、還付金付き消費税に限定されるのではなく、消費税であれば、同じ結果です。
消費税アップなんて望むところではありません。消費税アップするなら、高額所得者の所得税率アップもあってよいと考えます。つい10年少し前の1999年までは、所得税の最高税率は3000万円以上が50%で、住民税も15%でしたから、高額所得者は15%減税の恩恵を受けています。一方、低所得者は、減税なしで、逆に消費税の負担が増加し、医療保険料が高くなり、可愛そうな者です。
平成22年度予算の国債発行収入は44兆円ですから、消費税率にすれば20%近くになるのでしょうか、大変な金額です。勿論、一度に返済するのではないが、発行残高1000兆円の国債を利率年3%として50年均等返済を考えると年間38.8兆円になります。平成22年度は、普通国債残高637兆円で、利払い額9.7兆円で済んでいますが、リスクがあることは間違いないと思います。
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